カイドウがウィーネを娘にするのは間違っているだろうか?   作:リーグロード

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前話から3ヶ月も間があいて申し訳ない。
新作の小説が頭に浮かんだのと、この話の途中からスランプ気味で面白いのが出来なかったので投稿出来ました!

世界一の大剣豪になりたくて!っていう小説書いたので、お気に入りと評価をお願いします。

https://syosetu.org/novel/310125/


ソーマファミリアの災難

 満点の星空の下、いい気分で酒を飲みながらほろ酔い状態で自分のホームに戻る帰り道の途中、こちらを待ち伏せしていた人物が姿を現した。

 

「ウィック、なんだキング? 出迎えか、すまねえな!」

 

「……随分と機嫌が良さそうで。あの子兎が余程の器だったのか?」

 

 現れたのは自身の右腕として信用をおいてるキングであった。

 

 酔って気分の上がっているカイドウはゲラゲラと笑いながら手を振ると、その様子を見て普段は無口なキングがその機嫌の原因を尋ねてきた。

 それを聞いたカイドウは先程までの酔っ払いの顔から、1人の戦士の顔付きへと変えてその質問に返事を返す。

 

「……冒険者としての才能はねぇな。あれはただの出会いに恵まれた凡人だ。だが、その出会いを糧に出来るだけの根性と純粋さを持ち合わせちゃいる……」

 

「そうか、だからアンタが指導に熱を入れてた訳か……。外の方から見物させてもらったが、 手加減といってもレベル4相当の実力で相手してただろ? それに、最後のあの技を受ける際はレベル5まで実力を上げていたな……?」

 

「ウォロロロォォ! そうだな、レベル3相手に情けねえ真似をしたと思うが、ありゃ正真正銘のジャイアントキリングの才のある主人公だ。オレ自身の実力不足ではあっても、偶然なんかの一撃じゃなかった!」

 

 この胸についた傷がその証拠になる。ポーションで癒そうと思えばすぐにでも治る傷ではあるが、オレはこの傷を残すことに決めた。

 オレは強者が好きだ。強い奴と戦う時はいつもワクワクしていた。前世で総合格闘家だった頃も、強い奴と戦う前はいつも武者震いを起こしていた。

 

 この世界で今の俺を満足させる奴はそうはいねえ。キング、クイーン、ジャック、オッタルの4人くらいしか俺を楽しませる奴は存在しないだろう。

 その4人も未だオレを超えるような強さを持ち合わせちゃいねえ……。

 

 だからこそ、あの小僧の成長に期待しているのだ。

 

「いずれ奴はオレ達の後ろにまで迫ってくるぞ! お前も精々追い抜かれないように気を張ってるんだな!!」

 

「それについては問題ありませんよ。たかが子兎一匹に遅れをとるほど、ぬるい鍛錬をしているつもりはねえですから……」

 

「ウォロロロォォ! そりゃそうだ!! お前はオレの見込んだ男だからな! 頼りにしてるぜ相棒!!」

 

 余裕と自信からくるキングの返事に、オレは満足気に笑って腕をキングの肩に回して酔っ払いのダル絡みみたく並んで帰路へとついた。

 

 

 ♦

 

 

 カイドウが去り、平穏が戻ったヘスティアファミリアのホーム内で気絶していたリリが目を覚まし、気絶していた間にあった出来事を聞いてあまりの驚愕に顎を外してしまうほどに叫び声を上げた。

 

「はああぁぁぁぁ!! あのカイドウ様とベル様が戦ったですってぇ!!?」

 

「う、うん……」

 

 全身包帯を巻かれていかにも怪我人ですと言わんばかりの格好をしたベルを見て呆れたようなため息を吐いてから、クドクドといかにカイドウという男が危険な存在かをベルに説いて語った。

 

 それはもう真剣に語り、モンスターもかくやという気迫で説明するリリから、僕が無茶をした時に怒るエイナさんの面影を思わせた。

 

「おいおい、それくらいで勘弁してやったらどうだ、リリスケ? ベルの奴も漢を見せたんだ。俺はよくやったと思うぜ?」

 

「なにを言ってるんですか、ヴェルフ様!? あのカイドウ様ですよ! 一歩間違えばなんて言葉じゃ足りないくらい危険な相手なんですから!!!」

 

 もはや悲鳴のような声で叫び散らかすリリの様子に、ベルとヴェルフも昔カイドウ絡みで何かあったのではと思い訊ねてみることにした。

 

「……ええそうです。昔、リリはカイドウ様に出会ったことがあります。アレはまだ私がソーマファミリアでサポーターをしていた頃の話です……」

 

 

 ♦

 

 

 

 数年前、ついに猛者オッタルのレベル7を超えてレベル8に至ったカイドウは事実上オラリオ最強の冒険者の称号を手に入れた。

 それまで大抗争の事件のこともあり、無法者という印象しかなかったカイドウの価値が一変して、そこに取り入ろうとする者が急激に増えていった。

 

 そこには当時のソーマファミリア団長であるザニスの姿もあり、昔から酒好きで有名だったカイドウに取り入ろうと、神酒のソーマを献上するという名目で自らのホームに誘い入れた。

 

「ウォロロロォォ!! これは中々美味い酒だな!!」

 

 無数に飲み干された空となった酒瓶が床に転がっている。神酒ではないにせよ、そのどれもが数十万ヴァリスの値がつく程の代物だ。

 それを安酒のようにガブガブと飲んでは捨てと繰り返し、顔も随分と赤く染まってきた頃だった。

 

 ザニスが数名の団員を引き連れて市場には出回らない失敗作ではない完成品のソーマを幾つも持って来た。

 その団員の中にはリリルカの姿もあった。

 

「随分と楽しまれているようで何よりです。カイドウ様」

 

「おう、ザニスか! お前もそんなところに立ってねぇでこっちに来い!」

 

「ええ、ではお言葉に甘えて……」

 

 カイドウからの酒の誘いに少々遠慮しがちに断りを入れて酒の席に着く。

 その後ザニスは団員の1人に命じてツマミを持ってこさせる。

 

 酒だけではなく、そのツマミもレベル1……いや、レベル2の冒険者が1ヶ月ダンジョンに潜ってようやくご馳走にありつけるレベルの豪華さだった。

 

 そのままカイドウは神酒を一口飲むと今までとは違う酔いしれたような顔で神酒を見つめる。

 

「ほぉ……」

 

 ああ……、やはり最強の冒険者といえど人間では神酒には敵わないのかと落胆した気持ちになった。

 そんなリリの心情とは正反対に、団長であるザニスは上手くいったとばかしにニヤリと笑って次々とカイドウに神酒を飲ませて酔わせていく。

 

 ガブガブと飲まれて消えていく神酒を見ながら周りの連中はごくりと唾を飲み込む。

 いや、ひょっとしたら今のはリリ自身の喉から出た音かもしれない。

 

 ここに立っているだけでも香ってくる神酒の匂いだけで酔ってしまいそうだ。

 それをあんなに飲んでいるカイドウはもう神酒の毒から逃げられないだろう。

 

 これでまた1人ウチの団長の手駒が増えた。

 そう思いながらこれから始まる茶番を黙って見ていると驚きの光景が目に入ることになった。

 

 

 

 今回のカイドウ個人の為だけの宴会で何千万ヴァリスもの金が消えた。

 だが、全て問題はない。このオラリオ最強の冒険者であるカイドウを堕としさえすれば、これから何億ヴァリスもの利益が見込める。

 それだけではない。この男さえ味方になるだけで都市最強派閥であるケルヌンノスファミリアも実質の支配下に置けると言っても過言ではない。

 

「ふぅ~、なぁザニスよ。こいつはいい酒だな。前々から聞いていたがソーマだったか? 神が造ったと耳にしたが、なかなかどうして美味い酒じゃねか。神って奴は下界の人間に恩恵を与える以外は能のねぇ連中かと思っていたが、流石は酒の神と名乗るだけはあるな!」

 

「ええ、なにせ私共の主神ですから」

 

 上機嫌で神を見下す発言を口にするカイドウに対して、ザニスは驚愕や憤慨することもなく肯定するように首を縦に振る。

 まあ実際、ザニスも神である己の主神をただの金稼ぎの道具としてしか見ていない節がある為、カイドウの意見には頷けるのだ。

 

「それでカイドウ様。その酒は非常に高価なものなのですが、今回は顔合わせの意味を込めてこちら側が無償で提供しましたが、これから先はそうもいきません。ですので、ビジネスの話といきませんか?」

 

「ウォロロロォォ、いいぜ! これだけの酒だ。それなりの金は出してやる」

 

 その言葉を待っていたとばかりにザニスは予め用意していた神酒の値段が書かれた紙を1枚カイドウに手渡す。

 

 後から知ったことだが、その紙に書かれていたのはゼロが8個ほど書かれており、リリの一生じゃ到底払えない金額ではあった。

 まあ、失敗作の神酒でも何万ヴァリスもの価値があるのだから、完成品である神酒は億に値する価値はあるかもしれない。

 

「…………」

 

 それを受け取ったカイドウは数瞬見つめて固まった。そして何を思ったか、飲みかけの神酒の入った瓶の吞み口を力一杯に手のひらで叩き付け、瓶はその衝撃を受けて底の方からバラバラに砕け散った。

 当然、中身の入った瓶が割れたことで目の前に置かれていた料理に()()()()()()()()()()

 

「っな!?」

 

「「「「っっ!!?」」」」

 

 ザニスを始めとしてその場にいた全員がカイドウの突然の奇怪な行動に言葉を失う。

 

「例えどれ程上質な酒だろうが、こうして飯にぶちまけりゃただの残飯だ。この酒に一体いくらの値がつこうとも、こうなってしまえば飲むに値する価値は無くなる。だが、武器ならば、防具ならばどうだ?」

 

「え? はいっ?」

 

 怒りの感情ではなく、無表情に近い顔で語るカイドウにザニスは困惑の声を漏らす。

 

「いくら傷つき泥で汚れようとも、その価値はいささかも衰えることなく、むしろ戦士を守り傷ついたという実績を持ってその価値を高めていく。俺の言いたいことが分かるかザニス?」

 

「……っ?!」

 

「まあ、分からねぇだろうな。戦士でもない小悪党が理解できる話じゃねえ。だがな、そんなお前にも分かることはある。俺はな誰かにナメられるのが酷く頭にくる。今の俺は酒でも飲ませて酔わせれば金を絞り取れると勘違いした格下の馬鹿を今すぐ殺してやるぐれぇに怒り心頭だということだ!!!」

 

「はひぃっ!?」

 

 ガタッとカイドウの睨みつける視線に、ザニスは腰を抜かして倒れ落ちる。

 それはザニスだけに限ったものではなく、直接視線を向けらずとも、カイドウから発せられる不機嫌なオーラに部屋の中にいたリリ達も倒れてしまいそうだった。

 

 空間が軋みを上げていると感じてしまうほどのカイドウのプレッシャーにザニスは失禁一歩手前の状態でガタガタと体を震わせている。

 

「だがな、俺も馬鹿じゃねえ。小悪党には小悪党なりの使い道ってのがある。テメェが俺の役に立つ道具であるうちは生かしといてやる。だが! 役に立たないクズだったらどうなるか? 言葉にしなくとも理解出来るよな!?」

 

「……は、はい」

 

 震える口を必死に動かして助かりたい一心で何度も首を縦に振るザニスを見て、カイドウはようやく威圧感を霧散させて立ち上がり、「後でキングを来させる。もし逃げるなら覚悟をしておけよ! キングは拷問好きのサディストだ。下手な逃亡は地獄をみるぜ」とだけ言い残して帰っていった。

 

 その後、少し経った頃にキングがやってきてザニス団長と少し話をし終えると、顔面を蒼白にしたザニス団長が今後の完成品のソーマはケルヌンノスファミリアへ全て献上するということを宣言した。

 

 これに反発したのはソーマに深く魅入られた団員達だった。いくら都市最強派閥のケルヌンノスファミリアだからといってもそれは横暴だ! と抗議の声を上げた。

 

 しかしそれらの声は全て団長ザニスの手で無理矢理押さえつけられた。

 それでも、納得のいっていない団員達の不満は募っていき、今までソーマ目当てでダンジョンに潜っていた団員達は日に日にホームで安酒を飲むだけの日々を送っていくようになった。

 

 誰もが死んだような目で毎日を送っていると、突然ホームにケルヌンノスファミリアの団員達が乗り込んできた。

 何事かとホームにいた団員達が視線を送ると、ケルヌンノスファミリアの団員達は許可を取ることなくホームの中へと侵入してきた。

 普通ならば、そんなこと到底許されないのだが、相手はケルヌンノスファミリアの団員達だ。

 

 ただの平団員ですら弱小ファミリアの団長並みの力がある。

 そんな恐ろしい相手を前に文句を言えるような豪胆さを持つ者などこのファミリアにはおらず、彼らの暴挙をただ黙って見ているしかなかった。

 

 それに対して、やって来たケルヌンノスファミリアの団員達は自分達を見て大声で「なんだここは? 本当に冒険者のファミリアか?」「ただの飲んだくれの落第者しかいねぇじゃねえか!!」「情けねえなぁ!?」と侮蔑の言葉を並べ立てる。

 

 それに対して、青筋を浮かべる者もいるが、相手が相手なだけに反論などせず俯いて酒を流し込んで聞こえないフリをしていた。

 

「けっ!」

 

 そんな彼らの反応が面白くないのか近くの椅子を蹴り飛ばして奥へと消えていった。

 そのすぐ後だった、

 

「そ、そんなぁぁぁ!!!?」

 

 ずっと部屋に引きこもっていたザニス団長の叫び声が聞こえてきた。

 やって来たケルヌンノスファミリアの団員達と一体どういう会話がされたのかは知らないが、その日からソーマファミリアは変わっていった。

 

 今まで酒で支配されていたファミリアは、今度は暴力で支配されるようになった。

 

 それから、ホームで安酒を飲んでいた団員は無理矢理ダンジョンに連れ出されていき、過酷な日々を送るようになっていった。

 勿論、そんな目にあったソーマファミリアの団員達は脱退しようと動きを見せはしたが、それら全てはキングの手によって支配されたという事実ごと纏めて締めあげられ、表には決して漏れ出ぬように恐怖でみっちりと押し固められ、ホーム内はかつての暗黒期のようなオラリオを思わす陰鬱さを漂わせていました。

 

 それがリリが知るカイドウとケルヌンノスファミリアの恐ろしさだった。

 

「あれからのザニス団長の変わりようは凄まじかったです。もう何十歳と歳を取ったように老け込んでいって、いつ自殺しても可笑しくない程に酷い表情で働いていましたからね」

 

「ああ……そういや、数年前からソーマファミリアが変わったって噂を聞いたことがあるな。確か、今まで貯め込んでいた酒を売りに出して商売系ファミリアに変わったんだっけか?」

 

「ええ、それがザニス団長とケルヌンノスファミリアによって決められた決め事でした。表向きには商売系として活動し、裏ではケルヌンノスファミリアに対して非合法的な援助をし続ける。それが今のソーマファミリアです」

 

「なんだいそれは!? 悪いのはその団長のザニスって奴だけなんだろ? なんでファミリア全体で被害を被ってるのさ!!」

 

 我が事のようにプンプンと怒るヘスティア様にリリは穏やかな顔で首を横に振る。

 

「ですけど、私的にはあれで良かったと思うんです。結局のところ、私みたいなサポーターは待遇は変わらずでしたので、今までリリ達サポーターを馬鹿にしてきた奴らがひ~こらと悲鳴を上げていたのは痛快でしたしね!」

 

 その言葉に噓はないのだろう。リリの顔は非常に晴れやかに笑っていた。

 

「私だって別にカイドウ様は怖い人で悪い人だっていうのは理解しています。けど、だからといっていたずらに弱者をイジメたり食い物にする下衆ではないってことも知っています」

 

「リリ……」

 

「ですから、ベル様。きっとウィーネ様は大丈夫です。あの人は敵には厳しいですけど、味方には甘い一面を見せることでも有名な方ですからね」

 

 リリの昔話を聞いているうちに、ベル様の顔は不安で曇っていましたが、先程のリリの言葉を聞いてホッと一安心してため息を吐いた。

 

「リリがそう言うなら大丈夫だね。ふわぁ~~」

 

 安心したおかげか、カイドウとの戦闘の疲れもあって急激な眠気に襲われる。

 

「もう夜も遅いし、ベルも疲れてるんだから寝かしてやろうぜ」

 

「だったら私が寝室へお連れします」

 

「なにぉ~!!」

 

「このエロ狐! ベル様の寝込みを襲うつもり満々ですよ~!」

 

 しれっとベルを横から搔っ攫うように抱き寄せる春姫にヘスティアとリリが怒りの声を上げる。

 コ~ン! と涙目になりながらショックを受ける春姫を囮にヴェルフがいち早く喧嘩の原因であるベルを背負ってそそくさと寝室へと連れていった。

 

「ふぅ~、やれやれヘスティア様もリリ助も毎度ながらってやつだな。それにしても……」

 

 カイドウに振りかけられたポーションのお陰で目立った傷跡は残っていないが、それでも全ての傷が癒えたわけではなく、ベルの体に巻いてある包帯の下には痛々しい傷が残っている。

 

「やっぱオメェはすげえよ、ベル。あのカイドウに正面きって戦いを挑むだなんてよ」

 

 寝ているベルの頭を撫でながら、兄貴分としてもっと役に立ってやりてえと心から思う。

 

「なんか妙に目も覚めちまったし、たまには徹夜で剣でも打ってみるか……」

 

 何よりあの戦いの感動を……弟分のベルが見せた勇気と男の意地に自分も答えたくなった。

 

 その日の夜、ヘスティアファミリアの鍛冶場から夜明けまで木槌を振り下ろす音が聞こえていた。

 




酒をぶちまけたところからスランプ気味で、自分でも読んでいてなんか意味不明っていうか、面白いのかこれ?って感じになって、とっととベヒーモスの話しにいきたいから雑に書き上げてしまった感が否めないけど、お気に入り解除と低評価は勘弁して~!

次回の過去編はどれがいい?

  • リヴィラの街
  • ソーマファミリア
  • ヘファイストス&ゴブニュ
  • 飛び六胞の誰か?
  • 港町メレン
  • テルスキュラ
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