「おい、ルヴァイドよ。貴様、また他人に迷惑を掛けてはおらぬだろうな?」
「海賊が他人の迷惑考えてどうする。お主とて非加盟国から略奪しとるだろうに」
男禁制の島であり九蛇海賊団の本拠地である女ヶ島から少しだけ離れた島の中、儂は茶を啜りながら孫娘の苦言を受け流す。
ロジャー海賊団の時から基本的に好きにやらせてモラっとったんだから、別に孫娘の言葉も受け流して良いじゃろう。
この癖のある味の茶が偶に飲みたくなるのだよ。序でに孫娘達の顔を見るのも良いし、九蛇独自の菓子だって美味い。
借金の催促が五月蝿いから滅多に来られないのは残念だがな。
「妾は良いのじゃ。何故なら妾は美しいから!」
見下しすぎて見上げてるポーズ、ぶっちゃけ馬鹿っぽいと思っとる。滅多に口に出さんけれど。
「サンダーソニア、茶のお代わりくれ」
奴隷狩りにあってる所を偶然助けてレイリーに押し付けようとしたら孫娘だった三人の長女であるハンコック。
流桜やら覇王色纏いまで教えてやったというのに、借金を何度かして五割ほど踏み倒したらこの有様だ。
年頃特有の反抗期……には少々歳が過ぎてる気がするがの。
「姉様も心配してるのよ、爺様。他のロジャー海賊団のメンバーは隠居してるのに一人だけ度々ニュースになるじゃない。なのに連絡は全然くれないし」
差し出した湯呑みに茶が注がれると同時に茶菓子の小皿も差し出される。サンダーソニアら下の姉妹は素直だってのにハンコックは本当に……。
「何というべきか、ハンコックは自由な奴じゃの」
「貴様には! 言われとうないわ!!」
覇王纏いがされた上段蹴りを間に挟み込んだ腕で防げば多少の痺れが伝わって来る。関心関心、成長が見られるな。
前に金を借りに行った時は大将より少し劣る程度じゃったが、此処から感じる島の戦士達を含めて随分と修羅場を超えたか。
ああ、そういえばリンリンの奴とぶつかったと新聞に載っていたな。
何でも襲った船がビッグマム海賊団の幹部の船だったとかで、派遣された大幹部の娘を半殺しにして海軍基地に放り込んだとか。
そのせいで取り返しに行ったリンリンに海軍支部が壊滅されたり、リンリンとハンコックが三日三晩サシでやり合って痛み分けで互いに引き下がったとも。
「マリージョアや政府機関から悪魔の実を幾つか持ってきてやったが覚醒した者はどれ程出た?」
「流石に覚醒まで行った者はおらぬ。上位の戦士に流桜の取っ掛かりを掴んだ者が数人出た程度じゃな」
そもそも悪魔の実の能力など覇気のオマケに過ぎない、と言いながらハンコックは右手を差し出した。
「なんじゃ? 小遣いでも欲しくなったか?」
「いや、返済する金が三千万程足りぬ。今直ぐ耳を揃えて返さぬか」
……撤退!
覇王色の覇気を当てて三人が僅かにたじろいだ瞬間に剃と月歩を組み合わせて離脱する。くそ! 砂の小僧のカジノで稼いだ金で返金する筈が道中で散財し過ぎたか!
「ええい! あの男は毎度毎度! 我が祖父ながら頭が痛い!」
「それよりも姉様、多分迷惑掛けたのはこの男じゃない? 新聞に同行している姿が載ってるわ」
「麦わらのルフィ、懸賞金一億五千万。にしては大きな事件に関わってないけれど、政府の隠蔽と爺様に関わったからかしらね」
新聞の顔を見る限り直感が同類だと告げてはいるが、ならば仲間に苦労掛けただろうと三姉妹の直感が告げていた。
男禁制だが、仲間の女程度はもてなしてやっても良いと、そう思う程度には。
「……まさかノックアップストリームで空島に行こうなんて馬鹿が此奴他にも居るなんてな。他の連中は方法を聞いた途端に怖気付いたってのに」
「にししし。冒険には危険が付きものだろ。それよりも栗のオッサン。空島に行く手伝いはしてくれるんだよな?」
「こっちの準備のついでで良ければな。神兵だの面倒な連中が居るみたいだし、戦力は多い方が助かる」
匿名を条件に行われた空島に飛ばされた黄金郷の記事にベラミーの名前が実名で載った事により増えたのが空島に行こうとする海賊達だ。
それにはルフィ達も勿論その中の一つ。一度空島に行ったベラミーが何やら準備をしていると知って会いに行ったのだが、全員生き残るか全員死ぬかの危険な方法を前に他の海賊は白旗を上げ、ナミとウソップとチョッパーは必死に諦めさせようとするも冒険を前に輝く船長の瞳の前では無駄である。
「先に言っておくがシャンドラの先祖が居た場合は敵対するな。それが協力する条件だ」
空島……今回の場合はスカイピアであるが、現状についてはモンブラン・クリケットも把握している。
シャンドラの一族が大切な土地を奪われただけでなく、今は雷の能力者によって島全体が支配されている事をベラミーから知らされたのだ。
既に黄金郷の実在についてはモルガンズによって周知された事で決着したのだが、ならば残るのは四百年前の約束だ。
向こうがそれを伝えているかはどうでも良い。これは男の意地なのだから。
「別に良いよ。向こうが仕掛けて来たらぶっ飛ばすけれど、俺達から喧嘩売らなきゃ良いんだろ?」
これをルフィ達も了承。船の改造をしつつタイミングがかち合う時を待つ事にしたのだが……。
「
「……ああ、相手の動きを読む技で、こっちじゃ見聞色の覇気って呼ばれてるんだとよ」
空に舞い上がる準備の最中、造船技術を持っていないルフィ達は暇を持て余していた。ナミはサンジと共に買い出しに出掛け、ゾロは日課の鍛錬か昼寝。
ルフィ達はというと同じく暇をしている上に一度スカイピアに行ったベラミーの所へ話を聞きに行ったのだった。
「ボールみてえに太ったサトリってのと戦わされたんだが俺の動きを完璧に読まれて手も足も出なかった。結局、あの爺さんが指先で弾いた小石で一撃だったぜ」
「そーいやルヴァイドが覇気について言ってたなー」
「身に付け方は教えてくれなかったけれどな。それでよ、ルフィ。俺は空を飛んではいけない病がだな……」
「ビビってんなら留守番しときな。あの時は爺さんが居たが、黄金を手に入れたいってんなら今度は俺達だけで連中をしてしなきゃならねえんだ。雷のロギアとの戦いも避けられねえだろ」
怯えるウソップを脅すような声色を出しながらベラミーは手元の刃物を動かし続ける。作っているのはとある植物を材料にした槍だった。
更新は未定
尚,この交流があっても二年後はドフィに操られて戦いま……