一般星十字騎士団員だけど質問ある?   作:伊勢うこ

9 / 9
 (久々に投稿したら評価が落ちるのは)見えているぞ。(挨拶)
 
 投稿がすっかり遅れてしまい申し訳ありません。ユルシテクレメンス
 それにしてもBLEACHアニメ凄いっすね、急に知らないカルピスがお出しされるんスもん。
 


"Q"

「あれはまさか……!」

 

 

 見えざる帝国の侵攻により塗り替えられた一番隊隊舎。

 瀞霊廷を一望できるそこから見える巨大な蒼い火柱は、当然ながら一番隊である彼らにはよく見えた。

 

 姿だけではない。

 この熱、この渇き、この圧。

 それはもはや疑いようもなく、導かれる答えは一つだった。

 

「隊長……!」

「やってくれるねぇ、どうも」

 

 一番隊副隊長に就任したばかりの伊勢七緒は、彼女が支える同じく総隊長に就任したばかりの男、京楽春水の顔を覗く。

 

 彼にとって恩師である前総隊長、山本元柳斎重國。

 その形見ともいえる力は、あろうことか侵略者に使われ護るべき瀞霊廷へと向けられている。

 その事実は、どれほど彼の心情を揺さぶるものか。

 笠に隠れた表情を、窺い知ることはない。

 

 

「やってくれるよ、本当に」

 

 

 だがそのことに対する憤りを、京楽は表には出さない。

 

 怒りはある。

 恩人の力が好き放題されていることに。

 それを赦してしまっている、自分たちの醜態に。

 この惨状を恩師が目にすれば、情けなしと一喝するだろうか。

 

 しかしだからといって焦るわけにもいかない。

 それは致命的な隙になりかねないのだから。

 

 京楽は先の戦いの負傷から独眼となったその眼を、やや細めて目の前の男に向けた。

 

「思いの外、冷静なようだ」

「そうかい? そう見えたなら、僕のポーカーフェイスもまだまだ捨てたもんじゃないらしい」

 

 二度目の侵攻が開始して間もなくして彼らの前に現れた冷厳な雰囲気を纏う男。

 星十字騎士団最高位、見えざる帝国皇帝補佐。

 自らの肩書をそう口にした滅却師、ユーグラム・ハッシュヴァルトは、実際はどうであれ屈辱を味わう眼前の男をそう評した。

 

「星十字騎士団”Q“ ベレニケ・ガブリエリ。それが今、あの卍解を使っている者の名だ」

「それはご親切にどうも。でもいいのかい、そんなにあっさり僕らに教えても」

「問題は無い。隠したところで、どうということもないのだからな」

 

 滅却師の力を阻む結界を挟み、彼らは対峙する。

 両者の間では、言葉を交えつつもそこに現れない部分の読み合いが静かに繰り広げられていた。

 

 ハッシュヴァルトが、何かを懐から取り出す。

 

「既に知っていると思うが、このメダリオンを使えばそちらの卍解を奪うことが出来る」

 

 取り出されたのは、掌ほどの銀の円盤。

 刻まれた五芒星が特徴のそれは、死神の切り札を奪い、浦原喜助により奪還の術が開発されるまで護廷を苦しめた忘れられない代物。

 これのお陰でどれだけ苦しめられたか。

 

「だが奪った卍解を扱うことが可能なのは、原則奪った本人だけだ」

「なら、今あそこで山爺の卍解を使っているのは君たちのボスってことになるけど、それは……」

「そうだ、陛下ではない。あの卍解を使っているのは、今しがた名を教えた滅却師だ」

 

 ハッシュヴァルトの言葉は、語ったばかりの彼自身の話と食い違っていた。

 卍解を使えるのは、奪った本人だけ。

 だが現在それを扱っているのは、その本人ではなく別の人物だという。

 

 ならば。

 

「ならその原則ってところに抜け道があるわけだ」

「そうだ。例外として、奪った本人の了承のもと、ある条件を満たせば他の者であっても扱うことは可能だ」

「その条件は?」

 

「霊圧の類似だ」

 

 隠すことなく、ハッシュヴァルトは条件を開示した。

 

「知っての通り、我々滅却師は陛下を祖とする種族。その霊圧は概ね似通っている。だがその我々であっても、通常他人の卍解を奪ったメダリオンを使用することなど出来はしない」

「ならその条件を満たすってことは」

「我々滅却師の中でも極めて陛下と霊圧が近しい、ということだ」

 

「そんなことが……」

 

 可能、なのだろう。

 現にこうして、その実例が瀞霊廷に対して猛威を奮っているのだ。

 

 しかし、だとしても。

 

 

 本当にそんなことがあり得るのかと、七緒は違和感を覚えた。

 

 

 ハッシュヴァルトの話が本当なら、彼ら滅却師の霊圧は互いに似通っている。

 これは、前回の侵略で得た彼らの霊圧のデータから判断して真実なのだろう。

 事実データが示した彼らの霊圧の類似性は、高い数値として表れていた。

 しかしそんな彼らであっても、あの銀の円盤──メダリオンを他者が扱うことは不可能だという。

 

 

 ならば今あの焔の卍解を扱っている滅却師は、果たして彼らの王とどれだけ類似しているのか。

 

 そもそもそんな存在が自然に──

 

 

 

 ──いや。

 

 思い出せ。

 彼等は千年もの間、瀞霊廷の影に国を創り、こちらの様子を観察していた。

 そして遂には死神にとっての最高戦闘技術である卍解すら奪うほどの物を考案、開発し、実戦で使用したのだ。

 

 つまり、こちらの技術はある程度あちらにも流れている。

 

「まさか……」

 

 そして、もし。

 彼等が魂魄に手を加え、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 それを可能にするやもしれない技術を、彼女は知っていた。

 魂魄を後天的に改造し、特定の能力の向上や獲得を行う。

 即ち──

 

 

「改造、魂魄……!?」

「星十字騎士団"Q"「滅却師」ベレニケ・ガブリエリ」

「滅却師……?」

 

 

「陛下から奴に与えられた聖文字。その能力は、滅却師としての基礎能力の向上────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────などではない」

「それは能力が齎す影響の一側面でしかない」

「その本質は『魂魄の変容』。滅却師の祖、ユーハバッハ陛下の魂魄へと近づいていくことだ」

 

 

 #9 "Q"

 

 

 ★★★★★★★★★

 Daten

 

 聖文字"Q"「滅却師」

 

 星十字騎士団、最新の騎士であるベレニケ・ガブリエリに与えられた聖文字と発現した力。

 本人は「滅却師としての能力の向上」と認識していたが、それは能力の副作用でしかなかった。

 その能力は「魂魄の性質変化」。

 彼等の王、ユーハバッハの魂魄に徐々に近づいていき、それに伴い滅却師の力が高まり外見にも変化が現れる。限りなく近づくが、完全に同質となることはなく、見た目も近づくだけに止まる。

 だが、魂魄の変質は確実に彼の在り方を変化させるだろう。

 

 なお本人はその事実を未だ知らない。

 




 読んでいただきありがとうございます!
 今回少し短くなってしまいましたが、楽しんでいただけたなら幸いです。
 感想、高評価などお待ちしています。それでは!
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