転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

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という訳で、今回も1944年4月1日に関するエピソードです。
そして、お久しぶりにメカの話題など……





第429話 【レアアース鉱石収集の】”紫電改”と”流星”のお話……に見せかけて、本当は希土類元素とGOLDと”ブレトン・ウッズ協定”が本題かも?【黒幕判明!】

 

 

 

 さて、近衛しゅしょーが右や真ん中だけではなく左にもちょっとだけ優しかったという、彼にしては珍しいかっ飛び方をした1944年4月1日……

 当然、この日は日本皇国津々浦々まで全国的に1944年度、あるいは昭和19年度の始まりだ。

 

 史実の大日本帝国が敗色濃厚となっていたこの時期(実際に44年7月9日に国防の要であるサイパンが陥落している)、”この世界線”の日本皇国は良くも悪くも平常運転だ。

 

 そして、なんか史実とは真逆というか……『今のところ沈めに来る敵艦も、沈めるべき敵艦も居なくなってしまった』皇国海軍に新型機が配備される運びとなった。

 

 そうギリシャ上空で華々しくデビューし、イタリア上空でもその威光の陰らせ無かった”この世界線”における零式艦上戦闘機の最終形態、いわゆる史実の”金星零戦”の上位互換で性能的には五式戦に近い、零式艦上戦闘機三三(・・)の後継……

 そう、”紫電改”だ。

 

艦上戦闘機”紫電改”

 ・主機:誉一一型(ハ45-11)

 ・最高速度:710㎞/h(戦闘重量、高度8000m、水-メタノール噴射使用時。未使用の場合は同条件で670㎞/h)

 ・限界降下速度:880㎞/h

 ・航続距離:2500㎞以上(500kg増槽×1を胴体下に懸架)

 ・実用上昇限界:高度12000m以上

 ・外装ペイロード:最大1000kg(胴体下500kg+左右主翼各250kg)

 ・武装:九九式改(九九式二号五型)二十粍機関砲(銃口初速750m/s、発射速度750発/分)×4(主翼。1丁あたり装弾数250発)

 ・素材:A7075超々ジュラルミン(サンドブラスト/アルマイト処理。平頭リベット)

 ・プロペラ:4翅式大口径電気安定式ロートル・ジャブロ・プロペラ

 ・装備:MkⅡ改ジャイロコンピューティング照準器、防弾バブルタイプ・キャノピー、表層滑面処理改善層流翼、装甲バスタブ型簡易与圧コックピット、後方警戒レーダー、セルフシーリングライナー付インテグラルタンク、タンク内不活性ガス発生装置、改善水銀スイッチ式電気感圧自動空戦フラップ、電波高度計連動簡易式慣性航法装置、電波誘導装置、Gスーツ&酸素マスク、対空/対地ロケット弾搭載機能、自動燃料切替装置(増槽が装備されていた場合、自動で増槽の燃料を先に使用する)、油圧式主翼折畳装置など

 

 恐らく生産性向上の為だろうが、”誉”エンジンを初め、皇国空軍がイタリア戦でデビューさせた疾風(ハヤテ)と機体の主要コンポーネントがかなり似通っている。

 というか”零戦/隼”世代より部品の共用性や共有制はかなり上昇しているようだ。

 ただ、搭載機銃が”疾風”の二式二十粍機関砲と同じ『SAPHEI弾を標準とする75/75規格の20㎜機関砲』なのだが、海軍らしく九九式二十粍機関砲系列の最新型が選択されていた。

 まあ、薬莢も銃弾も二式と共通なのでスペック的には大きな違いはない。ただこの九九式改、『給弾能力が低くベルトリンク給弾に向かないAPIブローバック作動方式』を採用しているが、油圧アクチュエーター式の給弾補助装置を採用することによりそれを克服し、ベルト給弾を実現しているらしい。

 また、最高速や航続距離、ペイロードなどがやや”疾風”に劣るのは、蒸気カタパルト発艦に対応した頑強な主脚やアレスティング・フックなどの着艦降着装置、主翼の油圧式折畳機構などの『空母艦上機特有の必須装備』により、重量増と機内燃料搭載量の減少が原因であろう。

 だが、史実のF4U”コルセア”後期型やF8F”ベアキャット”とも正面から殴り合えるこの”紫電改”の登場は、皇国海軍にとっては心強いだろう。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 また、”紫電改”と同時に配備が始まったのが、愛知航空機の『レシプロ時代の最高傑作』、そう”流星”だ。

 史実の”流星”は、これまで別々の機体が必要だった雷撃機(攻撃機)と急降下爆撃機を1機で熟し、性能的には空対空戦闘すらも可能だったとされる『もっとも初期のマルチロール航空機』と呼べる機体だった。

 そして、”この世界線”では更に一癖、あるいは一捻りある機体のようであり、

 

艦上汎用攻撃機”流星”

 ・主機:誉一一型(ハ45-11)

 ・最高速度:610㎞/h(非懸架時、高度8000m、水-メタノール噴射使用時。未使用の場合は同条件で570㎞/h)

 ・限界降下速度:850㎞/h

 ・航続距離:2000㎞以上(250kg増槽×2を左右主翼に懸架時)

 ・実用上昇限界:高度10000m以上

 ・外装ペイロード:最大2000kg(胴体下1000kg+左右主翼各500kg)

 ・武装:九九式改(九九式二号五型)二十粍機関砲(銃口初速750m/s、発射速度750発/分)×2(主翼。1丁あたり装弾数300発)

 ・素材:A7075超々ジュラルミン(サンドブラスト/アルマイト処理。平頭リベット)

 ・プロペラ:4翅式大口径電気安定式ロートル・ジャブロ・プロペラ

 ・乗員:操縦士、航法電探士の2名

 ・装備:ジャイロコンピューティング射爆照準器、防弾バブルタイプ・キャノピー、表層滑面処理改善層流翼、装甲バスタブ型簡易与圧コックピット、後方警戒レーダー、セルフシーリングライナー付インテグラルタンク、タンク内不活性ガス発生装置、ダイブブレーキ兼用改良型スプリットフラップ、ハンドレページ・スラット、電波高度計連動慣性航法装置、電波誘導装置、Gスーツ&酸素マスク、対空/対地ロケット弾搭載機能、自動燃料切替装置(増槽が装備されていた場合、自動で増槽の燃料を先に使用する)、油圧式主翼折畳装置、一八式改型電探対空/対水上電波探信儀の標準搭載、”イ号一型甲”空対艦誘導弾運用能力、ケ号熱赤外線追尾爆弾運用能力など

 

 特筆すべきは、初歩的ながら一八式改型電探対空/対水上電波探信儀、つまりPPIスコープ方式の機上レーダーを標準搭載し、ある程度の自機での索敵が可能だったこと、そして、日本皇国海軍艦上機として始めて空対艦誘導弾や熱赤外線追尾爆弾の運用能力を獲得した事だろう。

 ただ、後部座席搭乗員が慣性航法装置による航法士と電波探信儀(レーダー)を用いる電探士を兼任し、尚且つ”イ号一型甲”空対艦誘導弾の誘導方法が無線式の”MCLOS(マクロス:Manual Command to Line Of Sight=手動指令照準線一致誘導方式)”である為、使用時は後部座席員がそのコントロールを行わねばならず、その多忙さゆえに後部座席機銃は操作する余裕がなく非実用的とされオミットされているのも史実との大きな違いだろう。

 ”この世界線”の”流星”にも航空魚雷運用能力はあるが、それは”おまけ”のような扱いであり、空対艦主兵装は空対艦誘導弾や熱赤外線追尾爆弾が設定されている、「戦後に繋がるエポックメーキングな機体」であった。

 

 

 

 これに一足先にイタリア上空でデビューを果たした艦上偵察機”彩雲”を加えた三機種こそが、『大戦後半を彩る皇国海軍の主力艦上機トリオ』となるのだ。

 だが、残念な事に……このトリオが活躍する場は、米海軍と正面からぶつかることでもない限り少ないと予想される。

 というのも、紫電改、流星、彩雲がその真価を発揮するシチュエーションというのは、「空母機動部隊同士の艦隊航空戦」だ。

 いや、正確には特に「誘導弾や追尾爆弾の運用を前提に設計された”流星”は、圧倒的な物量をぶつけてくるであろう米海軍艦隊との決戦」への切り札として開発されたのだが……

 現状の『政治的には対立状態だが、貿易に関してはそれと真逆の日米関係』を見る限り、そういう状況は少なくとも第二次世界大戦中は難しそうだ。

 そもそも『対日関係が貿易できないほど悪化』すれば、せっかく棚ぼたで香港や広州湾を手に入れた意味がなくなってしまう。

 何しろ、米国鉱業資本の圧倒的な貿易黒字トップは「雑多様々な中国産鉱石の対日輸出」だ。

 それも当然で、色々と含有してるのは知ってるが用途の良く分からない故に価値がつけられないモナズ石(いしころ)に金を出すのは世界でも日本くらいだろう。

 ちなみに最近、日本皇国は在中米国鉱業資本に香港や広州湾を起点に中国南部(広東省や福建省)に進出するなら、中国南部に分布するとされる「イオン吸着粘土鉱床」を見つけてくれるように依頼してるらしい。

 在中米国鉱業資本は、『ジャパニーズは石ころだけじゃなくて今度は土にも金を出すのか?』とたいそう驚いていたが、探索と開発の見返りにモナズ石だけじゃなくゼノタイムやガドリン石、フェルグソン石(これらはテルビウムやジスプロシウム、セリウム、ランタン、ネオジム、イットリウム、ベリリウムを含有)を新たに買取枠に含めることを報酬としたのだ。

 

 実は米国鉱業資本も日本が購買欲を見せる石ころに「希土類元素(レアな鉱物)」が含まれること自体は知っていたのだ。

 ただ、その利用価値が分からない。例えば、ネオジムとイットリウムの真価はレーザーの開発が本格化しないと分からない(例:Nb-YAGレーザー)ままだ。

 なので価値がつかない・つけられない以上、「わざわざ金をかけて含有物の抽出法や精錬法を研究する」こと自体はまだ下火だ。

 また、日本からの説明も独特(・・)で、「希少な上にその性質もよくわかっていない、故に誰も使ってないレアな鉱物だからこそ、まだ”何物でもない”それらを何らかの形で使えれるようになれば国益に繋がるだろ?」というのだ。

 米国資本は、それを「日本はとりあえず抽出を試みているが、使用用途はまだ決まってない」と認識していた。

 あながち間違いでもない。

 なぜなら、とんでもない量のレアアースを皇国は抱え込むが、「それを活かしきる技術」はどれだけ”転生系科学者”が居ても未だに開発途上・実験途上だ。

 

 

 

 

【挿絵表示】

「フフ。実に重畳だねえ。この様子なら、20年もすれば”電子の盾(イージス)”も作れそうだ」

 

 どこぞのアマテ……もとい。某陛下がそう、本当に”この世”にあるのか曖昧な、年がら年中桜が咲き誇る、”常世桜荘園(とこよざくらのしょうえん)”にて、そう雅に微笑むのだった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 こうして日々、日本皇国は中国大陸産のレアアース鉱石をありえないほど溜め込むことになるのだが……

 ちなみにこの1944年、史実と同じくブレトンウッズに米国とその友好国(?)を集めて米ドルは「混迷する世界情勢を鑑みて金融の安定化を図らなければならない」という大義名分で「(GOLD)1オンス=35ドル固定のドル・金本位制」と「アメリカ主導の国際通貨基金協定と国際復興開発銀行協定」、いわゆる”ブレトンウッズ協定”を導入していた。

 まあ、有事の際に各国の通貨価値が落ちて相対的に金が高騰するのは、どこの世界でも同じらしい。

 特にまだ”国際基軸通貨(ハードカレンシー)”という概念が定着していないこのご時世なら尚更だろう。

 

 だが、この”米ドル金本位制”の導入が日米貿易、特に日本からの輸入代金支払いを大いに円滑化させたのは実に皮肉であった。

 というのも、”この世界線”では、日本皇国は英米をはじめ他国と”不平等通商条約”を締結していない。

 なので国家の金保有量が史実の大日本帝国に比べても遥かに多く、これまで「米ドルにいちど換金しなければならなかった支払い」が、「金塊で直接支払えるようになった」のだ。

 

 これは鉱業系だけでなく、日本と貿易・交易関係を持つ米国資本全てを大いに喜ばせた。

 確かに米ドルは固定相場の金本位制になったが、他国通貨は相変わらず金に関しては変動相場で、しかも日々値上がりしてるのだ。

 つまり、日本から支払われた金は、日々国際的な資産価値を上げてるのに等しい。

 

 そして、同時に米国資本の”悪い癖”が出た。

 日本との貿易を『20世紀の新たなゴールドラッシュ』と認識し、「売れる物はなんでも日本に売ろう」という潮流が、資本層にルーズベルトや赤色政府機関の威光と意向をを無視して生まれた。

 世の中には、金より高価な金属があることも知ってはいたが、一攫千金やアメリカンドリームが大好きな米国人にとって”GOLDの輝き”というのはその象徴であり、そこまで魅力的な物であった。

 特に稼ぎ頭だった中国へ進出してる米国鉱業資本は強烈で、中国国民党の尻を鞭で叩き、あるいは膨大な軍事支援という飴をちらつかせて、まさに飴と鞭で中国東南沿岸部を中心に”新たな開拓領域(ニューフロンティア)”を広げて行くことになる。

 こんな状態で「日本との戦争」なんて無理もいいところだろう。

 

 

 

 そして、他の正規空母の持つ国家……具体的に英独だが、英国は同盟国で独との戦争再開可能性は、ドイツの望みが”汎マルク経済圏(レーヴェンスラウム)”の実現である限りはほぼ0だろう。

 

 そして、特に”流星”は「隔世の空対艦攻撃能力」こそが売りの機体なので、”この世界線”のギリシャ奪還戦やイタリア攻略戦でよくあったような空対地攻撃では、「確かに高性能だしペイロードもデカいが、それだけの機体」というポジションに収まってしまう。

 いや、例えそうであったとしても、同盟国の英国はともかく、残りの独米ソと第二次世界大戦中に大規模軍事衝突する可能性はいずれも低く、「根本的に国家思想がかみ合わず、経済的交流が希薄」なソ連が消去法で一番交戦確率が高そうだが、今はドイツと全力で殴り合ってる最中なので、正直、日本と遊んでいる暇は当分は無いだろう。

 

 そして、ジェット艦上機へのパラダイムシフトはもう目前へと迫っていた。

 そもそも、大鳳型や改大鳳型が装甲甲板を採用したのは、表向きは「防御力の強化」だが、実はジェット時代に対応するためという話がある。

 そう、”戦後”という時代に向けて、皇国海軍もまた歩み出していた。

 

 

 

 ただちょっと面白い話を……

 実は、皇国海軍における”最後のレシプロ主力機”は、実は”紫電改”や”流星”ではない。

 皇国レシプロ艦上戦闘機の完成形、誉改(誉二十一型)を主機として採用し、水平最高速が750㎞/hを超えるという”陣風”、そして同じ誉改を用いて、太平洋戦争どころかベトナムの空をも爆装して飛んだ史実の名機”AD-1ファミリー(スカイレイダー)”と正面から殴り合える”流星改”が登場する予定だ。

 というのも、常に塩害と正面から向き合わなくてはならず、墜落すれば高確率で下は海という洋上作戦が主体という性質上、空軍以上に航続距離と信頼性を重んじる海軍にとり、燃費とエンジン信頼性が低い黎明期のジェット機は、「艦隊防空専用」と認識されていたからだ。

 

 しかし、”紫電改”、”流星”、”陣風”、”流星改”……それらは確かに”時代の仇花”だったのだ。

 なぜなら戦後の爆発的なジェット機技術の加速を続け、ほんの数年で『十分に艦上機として実用レベル』まで達するのだから。

 それは、金属製の甲板を持たない、非装甲空母時代の終焉と同義と言ってよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳で、皇国がレアアース鉱石を米国鉱業資本を通じて中国大陸からかき集めさせてる黒幕は”陛下”でした(挨拶

そりゃあ、あれだけ出鱈目で無茶苦茶な量を集められるよw
そして、「史実と別の方向性で不遇になりそうな」気配のする”紫電改”に”流星”……
登場時期を考えれば間違いなく世界トップレベルの機体だし、史実の大日本帝国とは比べ物にならないくらい財力も工業力もある皇国だけに生産は順調っぽいんですが……肝心の「戦う相手がもういない」かもしれない罠w

ある意味、史実の「遅すぎた名機」や「戦争に間に合わなかった名機」の歴史再現?
その後継でもある”陣風”や”流星改”もそれなりに生産されたのに「(前任に比べてさらに活躍の場が無かった為に)幻の名機」扱いされそうな予感……

実際、44年や45年に皇国と空母機動部隊決戦やってくれそうな勢力が今のところ不在というw
それに44年の戦争の趨勢次第では、日本そっちのけで米ソが迷走するかもしれないんだよなぁ~。
果たして対艦主兵装を魚雷から空対艦誘導弾や追尾爆弾に切り替えた”流星”に活躍の場はあるのか?

さて、次回は欧州の方に視点を移すかな?

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次回もどうかよろしくお願いいたします。


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