転生しても戦争だった ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~ 作:ガンスリンガー中年
そう、たま~に話題に出てたけど、多分、多くの読者様に忘れられているだろう(笑)、”この世界線”におけるG55とRe2005の最終形態が、遂に姿を現しますよ~。
何気に過去最大文字数かも?
さて、視点は4月初旬のサンクトペテルブルグ……
「開発状況は、まあまあ悪くないってところか?」
「うふふっ♪ 大公様、
1944年4月某日、サンクトペテルブルグ大公領のあらゆる意味で中心地(爆心地?)の
実は本日の昼間、1944年度にサンクトペテルブルグで全力生産が行われる最新鋭機のデモンストレーションが、大々的に行われたのだ。
その機体は2機種あり、
・Ft356”
・Re525”
この名前で直ぐにピンとくる人は少ないだろう。
何しろ、史実には登場しない航空機だ。
だが、実は以前にその伏線はあった。
ヒントはノブゴロド直上防空戦で華々しい活躍を示した”Mc205B”と同時期にイタリア生まれでサンクトペテルブルグに縁が持たれた機体……
そう、このFt356”ツェントール”とRe525”シェッツァ”の原型となったのは、フィアット社のG.55”チェンタウロ”、レッジーナ社のRe.2005”サジタリオ”だ。
さて、どこから話した物かとも思うが……
まずは原型のG.55”チェンタウロ”からサンクトペテルブルグにて大改造ビフォーアフターを遂げてFt356”ツェントール”に至った経緯を語ろうと思う。
まずG55の原設計から史実のG55の強化型と言える試作機”G56”準拠の改設計、つまりDB605からDB603へ搭載エンジンの変更が行われたのはMc205Bがテスト飛行を開始した頃だったと言われている。
DB603はDB605より200kgほども重い、He219や爆撃機などの大型機向けの一回り大きなエンジンであり、その大きさに見合ったDB603Aは2300馬力、MW50(水-メタノール噴射装置)使用時のブーストで2700馬力を発生するモンスターでもある。
ほんの1年くらいまではDB603は需要過多でチョイスするのは難しかったが、現在では同じくハイパワーエンジンのJumo213系の本格的な生産が始まり、Ju187”カノンフォーゲル”に搭載されたE型(離陸1950馬力、MW50使用時2300馬力)に加え、3バルブヘッドだったE型を4バルブ化しブラッシュアップした”F型”の初期生産も始まったこと、またDB603自体の生産も安定してきた事の相互作用で、サンクトペテルブルグ生産機にも回せるようになっていたのだ。
そして、エンジン変更に併せて開発コードは”G56”となった。
また、よりハイパワーなエンジンを搭載すると決定した瞬間から、原型のG55も史実のG56とも全く性質の異なる機体となったのだ。
その後、”質的変化”と共にドイツ式命名基準が新たに採用される事になり原型開発元でもあるフィアットを示す”Ft(Fiにならなかったのは既にFiを使うフィーゼラー社があった為)”とDB603エンジンの末尾の”3”と開発コードG56の”56”を組み合わせて、”Ft356”という正式名称となった。
ペットネームの”ツェントール”は原型のペットネーム”チェンタウロ”のドイツ語読みだ。
さて、このFt356”ツェントール”の性質は、一言で言えば空対空戦闘だけでなくロケット弾などの空対地攻撃までこなす『Fw190の後継となるレシプロ時代の
まず、そのスペックシートを示そう。
Ft356”ツェントール”
・主機:DB603A倒立型液冷V型12気筒エンジン(離陸2300馬力、MW50水-メタノール噴射装置使用時2700馬力)
・最高速度:740㎞/h(戦闘重量、水-メタノール噴射使用時。未使用の場合は705㎞/h)
・限界降下速度:880㎞/h
・航続距離:1850㎞以上(機内燃料のみ)
・実用上昇限界:高度12000m以上
・外装ペイロード:1200kg(両翼下。左右各600kg)
・武装:Mk108C/30㎜機関砲×4(主翼。各150発。1門辺り毎分600発、砲口初速600m/s)
・プロペラ:VDM電気安定式大口径4翅
・装備:Ez44ジャイロ・コンピューティング射爆兼用照準器、防弾バブルタイプ・キャノピー、バスタブ型コックピット周辺軽装甲、層流翼、簡易式与圧コックピット、後方警戒レーダー、セルフシーリングライナー付インテグラルタンク(胴体、主翼)、胴体下NACAタイプエアインテーク、電波高度計連動簡易式慣性航法装置、発展型ヒンメルベッド連動電波誘導装置、自動スラット、自動燃料切替装置(増槽が装備されていた場合、自動で増槽の燃料を先に使用する)、各種空対空/空対地レールレスロケット弾運用能力など
まず圧倒的なのは固定武装の強力さだろう。
特筆すべきは、実は43年後半より地味にサンクトペテルブルグでも生産が始まった”Mk108/30㎜機関砲”だ。
原型のMk108/30㎜機関砲は、部品の80%がプレス加工製造で、作動方式にAPIブローバック(ベッカーアクション)を採用することにより機構により最小限に抑えられているという元々、設計段階から「生産性の高い機関砲」だった。
しかし欠点もあり、まず作動方式の関係でMG151のようなプロペラ同調発砲ができず、これも作動方式の関係で原型は毎分650発の発射レートとトレードオフする形で軽量な短砲身を選択せざるえなかったせいで砲口初速は540m/sと遅く、薄殻榴弾を使うせいもあり威力はあっても貫通力と弾道直進性に難があった。
そこを少し手直したのが例のごとくクルスであり、既にサンクトペテルブルグでは技術として根付いた技術、単肉自己緊縮式(オートフレッタージ法)とライフリングの硬化クロームメッキ処理などを併用することで、原型の1.5倍の砲身長を持つ”軽量長砲身”の開発し採用。
また、同時に30㎜×90RBは原型と同じだが、同じ薄殻弾殻でも中心部にサンクトペテルブルグに現物も製造設備も残っているソ連の対装甲用14.5㎜徹甲弾を
また、重金属弾芯により、重心の安定化などの恩恵もあり、これらの改良は貫通力と弾道直進性・弾道安定性を大きく改善している。
またMk108は給弾力が低いAPIブローバックとベルト給弾を組み合わせた事により給弾不良率がショートリコイル方式のMG151などよりも高いとされていたが、今や『三羽烏に並ぶ魔王の腹心の一人』と周囲に認識されている皇国軍大佐でもある小野寺誠在サンクトペテルブルグ領事武官のコネで、同じAPIブローバック方式なのに何事もなかったようにベルト給弾を実現している九九式改二十粍機関砲を取り寄せ、その重要コンポーネントである”油圧アクチュエーター式の給弾補助装置”のパテントを小野寺を窓口に皇国海軍より購入した。
以上のような「いつものようなクルス式小規模改設計(笑)」により、「発射速度が1割低下し数kg重くなったが、代わりに威力・射程・命中精度が向上したサンクトペテルブルグ型Mk108」が誕生したのだ。
ただ、流石にこれだけ弄ると名称を”Mk108”のままにしておくと周囲が混乱するという理由で、”Mk108C”という新たな名称が加えられた。
このCの由来は諸説あるがいつの間にか”
それはさておき、30㎜機関砲×4というのはレシプロ戦闘機としては、最強クラスの重武装ではないだろうか?
これに”見越し照準”ができるドイツ式のジャイロ・コンピューティング・ガンサイトのEZ44が組み合わされる。
前モデルのEZ42からの大きな改良点は、ロケット弾モードとそれを用いた簡易的な空対地(射爆)モードが追加された事だろうか?
そして、これだけの重武装を装備しながら、大容量二段二速スーパーチャージャーをフルカン繋手ではなくサンクトペテルブルグ製トルクコンバーターを介して無段変速化した過給機を搭載したDB603と、プロペラ同調射撃を諦めたからこそ採用できた最新で効率の良い大口径四翅VDM電気安定式プロペラによりその性能は全く破綻していないのだ。
MW50水-メタノール噴射装置を用いた場合の最高速は、戦闘重量でも740㎞/hに達する。
重量があるので運動性は(特に日英基準だと)そこまで高くはないが、「強引に風を切って飛ぶ」この手の欧州重戦闘機では問題ない水準だろう。
というか重戦闘機に自動空戦フラップ搭載して軽戦闘機並みの運動性叩き出したり、双発戦闘機なのに単発戦闘機水準の運動性を発揮する日本皇国航空機が、英国除くヨーロッパ基準では変態すぎるのだ。
むしろ、「史実のTa152H並みの最高速とMe262並みの重武装を両立」させた事を特筆すべきだろう。
☆☆☆
一方、Re525”シェッツァ”は実に数奇な運命を歩んだ機体と言えた。
まず名称はFt356と同じく、主機のDB605末尾の”5”と、ドイツが3桁の数字で航空機型番を表す要綱があるので原型の2005から0を除いて”25”となった。
ペットネームの”シェッツァ”は、ドイツ語で”
数奇というのはこのRe525、かなり早い段階から”艦上戦闘機”として再設計されたのだ。
お忘れの方もいるだろうが、”この世界線”のドイツは既に装甲正規空母グラーフ・ツェッペリン級のた1番艦ネームシップ”グラーフ・ツェッペリン”、2番艦”アドミラル・シュトラッセ”、3番艦”ドクトル・エッケナー”を早い段階で就役させており、サンクトペテルブルグがまだレニングラードだった頃からタリン沖海戦から活躍し、その有効性が認められた故に4番艦”アーツト・ヘンライン”の追加建造まで認められたほどだ。
しかし、その”タリン沖海戦”の頃から艦上機のアップデートはされていなかったのだ。
その頃、艦上戦闘機はハインケル社がHe100を艦上戦闘機化した”He100M”、同じくユンカース社のJu87Dの艦上機版”Ju87M”艦上爆撃機を搭載していたが、如何せん古さが目立ってきたのだ。
艦上爆撃機は流石にJu187を艦上機化するのは手間がかかり過ぎるのでJu87DをJu87Mへと改造した時と同じメソッドでJu87E(Ju87シリーズの最終型)を艦上機化した”Ju87M2”でお茶を濁したが、そうであるが故に艦上戦闘機だけは良い機体をドイツ海軍は欲したのだ。
ならばイタリア生まれの”5”シリーズの一つを艦上戦闘機として再設計するプランが出るのはむしろ当然だった。
その中でも原設計に余裕があり、故に自由度が高かった”Re2005”に白羽の矢が立ったのだ。
また、Re2005が”5”シリーズの中で最も小型だったことも艦上機とする上で評価された。
また、原型の段階で全金属製のスプリットフラップと静的にバランスが取れたエルロンという高揚力装置を持ち、イタリア機としては珍しく操作系に油圧操縦装置やセルフシーリングタンクなどの近代的な装備が最初から組み込まれた設計が為されていたのも都合が良かった。
そのような”5”シリーズの中で最も近代的な設計があったからこそ、艦上機化に全力を傾注できたとも
Re525”シェッツァ”
・DB605A倒立型液冷V型12気筒エンジン(発艦1850馬力、水-メタノール噴射使用時2150馬力)
・最高速度:695㎞/h(戦闘重量、水-メタノール噴射使用時。未使用の場合は650㎞/h)
・限界降下速度:850㎞/h
・航続距離:1600㎞以上(増槽装備時)
・実用上昇限界:高度12000m以上
・外装ペイロード:500kg(両翼下。例:250kg増槽×2)
・武装:MG151/20㎜機関砲×4(機首:プロペラ同調×2、主翼:プロペラ同調×2。1丁あたり250発)
・装備:Ez42ジャイロ・コンピューティング照準器、防弾バブルタイプ・キャノピー、バスタブ型コックピット周辺軽装甲、層流翼、簡易式与圧コックピット、後方警戒レーダー、セルフシーリングライナー付インテグラルタンク(胴体、主翼)、胴体下NACAタイプエアインテーク、電波高度計連動簡易式慣性航法装置、ドイツ海軍式電波誘導装置、自動スラット、スプリットフラップ+エルロン、”電気回路式プロペラ発砲同調装置(Mc205Bと同用品)”、自動燃料切替装置(増槽が装備されていた場合、自動で増槽の燃料を先に使用する)、手動式翼端折り畳み機構など
もうちょっと深掘りすると、ドイツは一時期メッサーシュミット社がHe100Mの後釜を狙うべく”Me155”なる艦上戦闘機の開発を行っていたが、例の”メッサーシュミット・スキャンダル”で全てご破算になった。
その後、クルスの危惧の通り、”Me155”の開発権は飛行艇と
元々原設計が芳しくないMe155に変態企業のブローム・ウント・フォス社という組み合わせに、海軍の元締めであるレーダー元帥も国防相のブロンベルクもついでに空軍省技術総監のミルヒまでも、開発コードが”Bv155”となった機体にとても嫌な予感を感じたらしい。
一説には、この時点で「なんか次期艦上戦闘機の行く末がやべぇ」と思いたったらしく、イタリア生まれで当時は未完だった”5”シリーズの開発をサンクトペテルブルグで継続するとなった途端に”Re2005M”という今にしてみればやっつけもいいところの開発仮コードまで与えられ、「書類上はBv155が開発失敗した場合の”保険”」だが、実際には「次期ドイツ海軍主力艦上戦闘機の”
そこに「He280を契機に戦闘機開発部門がジェット機に主軸を移行」したハインケル社の元”He100M”開発チームが合流し、また先行開発が進んでいたMc205Bも大いに参考になった。
例えば、MG151/20㎜機銃を機首機銃と主翼内側のプロペラ回転半径内に集束搭載し、同調射撃させるという部分はまさにMc205Bから受け継いだ部分だ。
また、コンパクトな機体設計というのはどうしても空母の内容積キャパシティーで制限される艦上機においては大きなメリットであった。
実際、同時期に就役した”この世界線”の皇国海軍の”紫電改”と比べてみよう。
・紫電改:全長9.5m、全幅12m、空虚重量3t
・Re525 :全長8.8m、全幅11m、空虚重量2.8t
と一回り小さい。その為、紫電改が主翼の半ばから折り畳む為に本格的な油圧開閉装置を採用しているのに対し、Re525は史実の零戦二一型のように翼端50㎝を折り畳む簡易的な手動式折り畳み機構で十分とされたらしい。
これは軽量化にも貢献してると言えるだろう。
少なくとも史実と性能差のない米海軍の”F6Fヘルキャット”や”F4U”と比べても航続力と防御力以外では凡そ勝っているスペックと言っていいだろう。
また、その航続力もJu87M2とのコンビネーションを考えれば妥当なところだ。
こうして、ドイツ海軍航空隊にも近代化の潮流が出来たのだった。
蛇足ながら……案の定、”Bv155”はモックアップ段階で没案となり、予定調和のように開発中止になったのはご愛嬌。
☆☆☆
とまあ、”イタリア生まれでサンクトペテルブルグ育ち”な最新鋭機×2の話はここまでで良いとして……
なんでクルスの執務室にホーエンツォレルン家の
という訳で、G55”チェンタウロ”を原型としてG56を経て「Fw190の後継となる重戦」という進化を遂げたFt356”ツェントール”に、Re2005を原型としながら予定調和でポシャった(笑)Bv155の代わりにドイツ海軍主力艦上戦闘機の座を射止めたRe525”シェッツァ”の華やかなデビューです♪
いや~、ようやくイタリア機×3の伏線が全て回収できて良かったw
それにしても30㎜機関砲×4というレシプロ戦闘機としては空前の重武装を備え、大パワーの
実際、開発こそサンクトペテルブルグ主導でしたが、生産自体は例の”
まあ、44年の激戦を生き抜くにはこのくらいの機体は必要ではないかな~と。
さて、次回は現状のクルスとクリスのエピソードかな?
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次回もどうかよろしくお願いいたします。