鹿上誠はどうしようもないクズだ。
更生の余地のない悪党である訳ではない。他者の涙に愉悦を抱く外道な訳でもない。
常識はある。社会性もある。感性も常人のそれと大差なく、どこにでもいる普通の人間だ。
倫理の気高さを知っている。道徳の素晴らしさを知っている。人を思う気持ちの尊さを、知っている。
正しさに惹かれ、悪しきを忌避する。
ただ、ただ普通の人間でありながら、日常の崩壊とともに鹿上誠は道を違えた。

利賀市を震撼させている婦女暴行事件の犯人。
それが、今の誠の姿。
悪しきに落ち、けれども正しさに羨望する。
故にクズなのだ。
大切なものの為に悪事に手を染め、それを割り切ることもできずに苦悩する。
だからクズなのだ。

これは、人を思うが故に人を裏切った男の話。
つまりは、ただのクズの末路を綴った物語
  第零章 禍神()
  第一章 聖女
X(Twitter)  ▲ページの一番上に飛ぶ