リリィちゃんをFate/Zeroに突っ込んだ安易な奴   作:鎖佐

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次の投稿は龍之介撃破してからにしようとしたけど、しんどい…
各陣営が原作乖離し始めるからマジでしんどい…

要するにね、高評価とかお気に入りとか…

そういうのどうでもいいから誰かリリィちゃん二次書いてよ…
供給が欲しいよ…


12

×××

 

 聖杯戦争は、ついに終結した。

 

 格式ある魔術の当主に魔術師狩りの暗殺者、果ては快楽殺人鬼までもが集まったこの聖杯戦争。その勝者は、恐らく最弱の参加者、間桐雁夜。

 

 イレギュラー的な召喚であったセイヴァーは、しかし最高の働きでもって名だたる英霊達を倒してのけ、ならばとターゲットにされた間桐雁夜も身を削りながら如何にか生き長らえることが出来た。

 

『行こう。桜ちゃん』

 

 場所は間桐の蟲蔵。目を覆い耳を塞ぎ、鼻も摘ままなければ正気を失ってしまうような地獄の顕現。しかし今は随分と静かだった。目を覆いたくなる異形共はまだあるが、しかしそれらが一匹たりとも動いていないのなら、幾分ましと言えるだろうか?だが、やはり臭いのでさっさと立ち去るに限る場所ではある。

 

『雁夜、おじさん?』

 

 これからその蟲蔵に身を沈めようとしていた桜は、しかし急に動きを止めた蟲共に理解が追い付かないようだ。

 

「おじさんが参加していた、仕事っていうのはね。聖杯戦争って言うんだ。そこで、リリィの助けもあって景品を貰うことが出来たんだ。だから、桜ちゃんはもう、魔術師にならなくていいんだよ」

 

 そう、聖杯戦争に勝利した。万能の願望器の使用権を得たのだ。

 『間桐臓硯の死』を願い、ついに間桐家は間桐臓硯の宿業から脱却した。

 

 だから、もう桜は間桐を名乗る必要が無くなった。葵さんの所に帰る準備が、ようやく整ったのだ。

 

 

 

 

あの日の公園、月の綺麗な夜。11時を過ぎる深夜であったのに、彼女達は待っていた。

 

『桜‼』

 

 遠坂凛。髪色が変わり、表情からも只ならぬことがあったのだと分かる桜を、一目散に抱きしめた。

 間桐家では絶対にない普通の姉妹愛。引き裂かれて良いはずのない絆の形が、ようやく戻る。

 

『雁夜君。本当にありがとう』

 

 禅譲…いや、遠坂葵。間桐雁夜は知らない『母』という存在になった人。

 そして、時臣を失い、これから二人を守っていく人だ。

 時臣は結局、雁夜には殺せなかった。逃げ回るだけで手いっぱいだったところを、横槍が入って殺されたのが顛末だった。本当はこの手で、なんて考えていたが、もう終わったことだ。

 

 それでもバツが悪いのは確かで、頭を掻きながら目を逸らす。綺麗な月が視線の置き場に丁度良かった。

 

『…なんだか、雁夜君と初めて会った夜を思い出すね』

 

 思いもよらないセリフに、驚いて視線を向けた。まさかこのタイミングでそんな昔の話をされるとは思っていなかった。

 

『どこの、なんのパーティだったっけ?豪華な料理に、大人達がスーツとドレスで参加するような本格的なパーティで、シンデレラの舞踏会にでも来たんじゃないかって思うくらい煌びやかなパーティだったのに…。チラッと窓を覗いたら、月を見上げてる年下の男の子が居たの』

 

 間桐も禅譲も名家としてはそれなりの格だ。社交界もそれなりに参加した。だが間桐雁夜はそういう豪奢な催しが性に合わない質だ。だから、その日も適当に、最低限の挨拶回りだけ終えたらバックレたのだ。

 そこで、彼女と出会った。その時の思い出は、今も色褪せずに残っている。

 

『……あの時、私、なんて言って雁夜君に話しかけたんだっけ?』

 

『……昔の事ですから、忘れてしまいましたよ』

 

『そっかあ……昔の事だもんね』

 

 

 

 

『だったら、今、もう一度、言っていい?』

 

×××

 

 

 

 

「妄想にしたってもっとマシなやつがあるだろ。夢とすら、言えねえよ」

 

 聖杯戦争の行く末、結末を想像し、笑いが込み上げる。

 これは、青写真ですらない、唯の妄想だ。

 こんな未来は、ありえない。

 

 

 

 

 

教会への報告は恙なく終わった。むしろ拍子抜けするほどにあっさりとしたものだった。

 

セイバー陣営のアイリスフィールからは、

「ビル倒壊の犯人をセイバー陣営からの攻撃であると決め打っての攻撃だった。誤解は解けたため再戦の恐れはない」と純度100%の嘘を。

 

セイヴァー陣営の間桐雁夜からは、

「俺達は純粋にアインツベルンとキャスター討伐の同盟を組もうと考えただけだ。遠坂のアサシン討伐の様子を考えて、問答無用で攻撃される可能性があったからな。話の通じそうなアインツベルンを選んだってだけだ」と結果的にそうなっただけの辻褄合わせを。

 

こんな屁理屈、2秒考えればいくらでも突っ込みどころがある。しかし、教会側はあえて何も言わなかった。

恐らく、今回の事態は些事でしかなく、さっさとキャスターを討伐して欲しいのだろう。

今はそんな、結構気合を入れて乗り込んだ教会の帰りである。

 

「セイヴァー、どうした。冬木の教会なんて、見る物なんか何も無いぞ」

「…うん、そうみたい」

 

その一言には落胆と失望が込められていたように感じる。そういえば黒騎士は彼女を白巫女と呼んでいた

『巫女』つまり、彼女はかつて信心深い聖職者だったのだろうか。…何というか聖歌隊にでも入ってそうな印象だ。とは言えもう心残りは無いらしく、雁夜を追い抜いて停車しているベンツへと走っていく。

 

「そりゃあ金には困ってないだろうけど…初めて見たな」

 

 メルセデスベンツ・300Sクーペ…まあ王道の高級車だ。冬木教会の駐車場にドリフト駐車を決めた時はどんな奴かと思ったものだが、まさかそこからアイリスフィールが現れるとは…正直他人のフリをしたかった。

 勿論そんな抵抗は一切無意味であるし、これから彼女の運転するその車に乗り込む必要があるのだが。

 

「さて、面倒な仕事も終わったところで、さっそく押さえていた予備の拠点に案内するわ。手入れのされてない状態の廃屋同然の建物だけど、結界だけは張っておいたから、それなりに安全な筈よ」

 

「すみません。徹夜明けで大変なのに、運転まで任せてしまって」

 

「良いのよ。これでもアインツベルンの自信作、たかが一徹くらいで根を上げるようなやわな作りじゃないわよ」

 

昨日作ったアインツベルンに対する絶大な貸し、アドバンテージは一晩の内に消失した。

 

 

 

 

 

アインツベルンと同盟を結び、最低限の意見交換をし、ようやく間桐邸に到着したそのタイミング、家の固定電話が鳴り始めた。

 

 恐らくは間桐臓硯への電話だろうと予想するが、かと言って出ない訳にもいかないだろう。もうすぐ0時を過ぎるという深夜、はっきり言って非常識とも言える時間帯に掛かって来た電話、緊急事態である可能性が高い。下手をすると自分自身も損害を被るかもしれない。

 非常に疲れた体であるが気合で受話器を取る。

 

「はい、間桐です」

「雁夜君!?ごめんなさい‼凛が、凛が冬木に行ったみたいなの‼」

 

 間桐雁夜の長い夜は、まだ終わらない。

 

 

道路交通法に全力で中指を立てながら、しかし魔術の応用により誰の関心も引く事無く疾走した高級車はやがて年期を感じさせる武家屋敷の前で停車する。道中の急加速、急ハンドルが嘘のようなスムーズな停車だった。

 

「はいこれ、この屋敷の合鍵。この鍵自体が結界の鍵でもあるから、無くさないようにね」

 

「はい、勿論です。ありがとうございます」

 

「それじゃ、入りましょうか」

 

古びた観音開きの門が音を立てながら開く。庭は雑草が茂り、屋根の瓦は所々剝がれている。

 とは言え、割れた窓は見当たらない為、もしかしたら建物の最低限の修復まで昨晩の内にやってくれているのかもしれない。

 

「さて、一応切嗣はアッチの本屋敷で待っているけど、やっぱり先に会っていくわよね?」

 

「すみませんが、凛ちゃんの方を優先させてもらいます」

 

「謝らないで、それが正しいのよ。ほらこっちよ」

 

 本屋敷への道を外れて向かった先は、土と鉄門で出来た土蔵。あまり詳しいことは知らないが、魔術師の工房と言うのは地下などの方が都合が良いらしいため、その代替と言うわけだろう。

 

「本当はこんなところに押し込めるようなことはしたくないんだけど…」

 

 音を立てながら開いた土蔵の中は、思いのほか明るかった。

 まあそれは当然、目の前の魔法陣が光り輝いているのもあるが、普通にランプをいくつも付けているからだ。

 

「雁夜君、とアイリスフィールさん…」

 

「アイリでいいですよ、葵さん。凛ちゃんの様子は、変わり在りませんか?」

 

「はい…」

 

 消沈した様子の葵さんは、脇に置かれたパイプ椅子には座らず、地べたに座りこんで凛を覗き込む。しかし、そこには凛を拘束する結界が施されており、触れることは叶わない。

 

 キャスターによる魂喰いのターゲットにされた遠坂凛を昨晩、リリィが間一髪見つけ出して救助してくれた。だが、凛にはまだ後遺症とも言える傷が残っている。そして、治療にはかなり長い時間が掛かることが確定していた。

 

「…さすがに殆ど手付かずだから、埃っぽいわね。申し訳ないのだけど、事が落ち着いたら掃除を手伝って頂けるかしら?」

 

「ええ、勿論です。本当に、お世話になってばかりで…」

 

「気にしないで、と言うのも難しいでしょうけど、今は落ち着いて、出来る事をしましょう。少なくとも、キャスター討伐まで、私達は敵対する理由が無いし、この件を貸しだとも思わない。今は、それで納得して頂戴」

 

「はい…」

 

 遠坂葵の胸中を推し量ることは難しい。桜を養子に出した今、一人娘となってしまった凛がこのようなことになったのだ。大人として、親として、責任は当然遠坂葵に帰結する。

 

 この件に関して、間桐雁夜ですら遠坂葵を擁護することは、出来ない。

 だが、殊更責め立てるような立場に自分は居ない事も当然理解している。今はすべきことをする。

 

「…警備に関してはアインツベルンとセイバーに任せて、信じて、良いんですね?」

 

「ええ、任せて頂戴。魔術的な防衛機構は勿論、セイバーも基本は此処に待機してもらう事にしているわ。襲撃が有ったら連絡が直ぐに行くようにするから、心配しないで」

 

「お願いします」

 

 間桐雁夜は深く頭を下げる。無論アイリスフィールの生国ドイツにお辞儀の文化は無いが、日本の文化として知ってはいる。でも、だからこそその態度は頂けない。

 

「ええ、貴方から受けた恩、間違いなく返させて貰うわ」

 

 アイリスフィールの返事は肯定、そして差し出された右手。

 ドイツにおける信頼の証、それこそが握手である。

 

「…ええ、期待しています」

 

 そもそもの話、子供の為に形振り構わない間桐雁夜の姿をアイリスフィールが悪く思う訳も無い。案外相性のいい二人は、今正式に同盟相手として握手を交わした。

 

 

 

 

 

「おのれ…」

 

 全身の魔術回路の9割が損傷、使用不可能となったケイネス・エルメロイ・アーチボルト。

 しかし、残り10%程が奇跡的に残っている。

 

「おのれ…‼」

 

 ただし、それらは衛宮切嗣の魔術礼装の影響を受けなかったのではない。全ての魔術回路はあの鉛玉に込められた仕掛けにより、一度全て切断され、修復されたことになった。

 

「おのれ‼」

 

 出鱈目に繋ぎ変えられた魔術回路は最早使い物にならない。動脈と静脈を繋ぎ変えて生きていける人間が居ないのと同じことだ。

 

「おのれ‼」

 

 だが、たまたま偶然正しい位置に修復された魔術回路が16程あった。これだけあれば十分だ。ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが再起するには十分すぎる。

 

「オマエだけは必ず殺してやる‼キャスタアアアア‼」

 

 令呪を、サーヴァントを、魔術回路を、魔術刻印を…

 何よりも、婚約者ソラウを失った負け犬が、地べたを這いずりながら、吠えた。

 




続編が世界観を同じくする別主人公だった…
リリィちゃんの続きが見たかった…

いや、世界観が一緒だし、きっと痕跡は見つけられたりするに違いない…
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