ここ数ヵ月の出来事で分かりましたが、未来の子供達の出会いを成立させる「キッカケ」としての役目を与えようと世界は「糸色景」に対して過干渉になってしまっていますね。
「(困りました。どう見ても烏天狗です)」
TVアニメ四期の「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する烏天狗は他のシリーズと違い、極めて厳格な統制に則った妖怪警察であり、こうして私の事を見ているということは、『地獄の鍵』の次代を見極めるためですね。
────長女か、次女か。
彼らは選ぶ事を望んでいます。
「(本心を言えばどちらにも継いで欲しくありません。ですが、隔世遺伝のように『地獄の鍵』は移り、私の血筋を廻っていくでしょう)」
可能性だけを言えば娘達の孫や曾孫へと移すことは能動的に可能ではあります。しかし、『八つ』の奥義を纏めて宿す私の身体を考えると、負担は分けるべきです。
しとりに『四つ』────。
ひとえに『三つ』────。
奥義を分けて伝える。
未来のゲゲゲの鬼太郎は『地獄の業火』を受け取り、やがて『地獄の鋼』を子供達の誰かから授かることになります。
「糸色殿、後継はどちらに?」
「二人ともです。この御力は余りにも極大ゆえに強すぎて、奥義を分けねば継ぐ事は難しいです。ですが、私の子供は悪道や非道に走ることはありません。どうか、これからも子供達を見守っていただけますか?」
「承知した。皆々、聞いたな」
「閻魔大王様に報告し、奥義の封印を分ける。糸色殿、十年に及ぶ『封印の器』の役目を全うしていただき、真に忝なく思います」
「フフ、この御力のおかげで貴方達とも出会えましたので悪いことばかりではありませんでしたよ」
そう言って先頭に立つ烏天狗の方に「フエルミラー」で増やした湯呑みにお茶を注ぎ、「全員分のお茶菓子を用意できず、申し訳ありません」とまた増やしたお饅頭を差し出します。
「かたじけない」
そう言って花見のように庭先に座ってお饅頭の山を取り合う烏天狗の方々を眺めつつ、こっそりと私の傍に寄ってきたひとえの頭を優しく撫でてあげます。
「(こんな大所帯は初めてなのでビックリしていますね。フフ、可愛いです、ソーキュートですよ。ひとえは、とってもキュートです)…フフ、驚いちゃいましたか?」
「ぁぃ」
「あらあら、まあまあ」
ぎゅうっと私のお腹に抱きついて、烏天狗の方々を警戒するひとえの頭を優しく撫でてあげ、ハグするように真っ正面から抱きついてきたひとえを抱き締めて、怖くないことを伝えてあげます。
そういうときもありますよね。