そんな彼らが理由も世界も超えて、一ヶ所に集まった!そこから起こるのは夢幻の祭り!
さぁ踊り狂えヒーロー達! 祭りは今始まった!
※この作品は拙作のオリジナルライダー作品の仮面ライダー達が面白おかしくはしゃぐ様子を描いたギャグコメディ作品です。
10月31日。
西洋の祭りの一つである『ハロウィン』が日本にやってきたのは、今は昔の話。
幽霊やお化けなどに仮装した子供たちが親しい人の家へ練り歩き、『トリックオアトリート』という掛け声と共にお菓子をもらう行事だ。
何かとクリスマスやバレンタインのような別の国の祭事でも祝うお祭り好きな日本人にとっては何かと馴染み、今に至るまで受け入れられた。
そんなこんなで、お祭り当日。
これは愛と平和を守る大自然の戦士・仮面ライダー達の何気ない日常の話である。
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「うぉおおおおおお!!」
頼打地区、繁華街。
街の人々によってハロウィンの装いが多く見られるそこで、とある少年が街路を爆走していた。
白に近い白銀の髪を逆立てたその少年――『小桜龍李』はある場所へと向かっている。
嬉しそうな表情でスキップ……否、もはや跳ぶ勢いで向かっている彼は口走る。
「ついに、ついにやってきました! ハロウィーン!」
「この日のために準備を怠らず用意してきました!」
「待っててくださいよ皆さん! オレが、龍李が、行きまぁぁぁぁぁすッッ!!」
まるで燃える炎のように向かう龍李……彼の背には、大きな風呂敷が担がれていた。
一体彼が何をもたらすのか、どんな騒動を巻き起こすのか、その結末はすぐに明らかになる。
同じ頃。
頼打地区にあるとあるスタジオ、そこには既に朝早くから何人もの若者達が集まっていた。
それぞれ見知った仲もいれば見知らぬ人もいる、そんな状況の中で最初に口を開いたのは一人の青年。
「いやはや、俺達仮面ライダーがこうして同じ場所に集まるなんてね」
軽そうなノリでへらりと笑うのは、軟派そうな神秘的な魅力を宿す黒髪の青年。
その青年――『御崎統人』は自分以外の集まったメンバーに笑いかけるが、その言葉に反応したのは一人の少女だった。
「私達、本来なら別々の世界で生きている人間なのですがね。なんで同じ場所に集まってるんでしょ?」
統人が口にした話題に容赦なく突っ込むのは、灰色の髪色の少女。
魅惑的な見た目の彼女――『雛罌粟 烈火』は澄ました顏で自分が思った疑問を他の一同にぶつける。
その隣では二人の男女が烈火の言葉に首を傾げていた。
「確かに、俺達と統人や烈火達の世界って別々だよな? 優奈?」
「うーん、これってもしかして異常事態だったりするのかな、一登君」
中性的な印象を受ける黒髪の少年――『夏川一登』。
愛らしい見た目な栗色の髪色の少女――『飛鳥優奈』。
幼い頃からの仲の良さで一緒に考え込んでいると、意外な所から答えが飛んできた。
「今回、細かい事を気にしたら負けのような気がする。そんな気がする」
ハツラツとした元気そうな雰囲気のガタイの良さが目立つ黒髪の男性――『兵藤 暁』。
見た目に反して、実は元学芸員という知識人的な経歴を持つ彼が告げた答えに一登と優奈が揃って不思議そうに目線を向けて拍子を抜かれる。
そんな暁の隣では二人の女性がお辞儀を挨拶をしていた。
「今回はよろしくお願いしますね。星詠さん」
丁寧な口調で挨拶しているのは、暁の付き添いでやってきた若い女性。
栗色のポニーテールが印象的なその女性――『梅花瀬恋奈』。
美人と言うべき彼女の美貌に恐れ戦くのは一人の少女だった。
「こ、こちらこそお願いします! 瀬恋奈さん!」
少し落ち着きがない様子で挨拶をするのは、藍色の髪色が特徴的な少女――『星詠真依』。
本来なら女にだらしない統人が悪さしないように付き添ってやって来たのだが、そこで出逢った美少女や大人の女性に少し緊張していたのだ。
……もっとも、真依本人の魅力をよく知っている統人にとっては彼女も美少女の類なのは変わりないのだがと言わんばかりで後方でニヤついていた。
「真依ちゃんはもうちょっと自分の魅力をに気づければいいんだけどねぇ」
「アナタというコブツキがいるから気付く必要ないのでは」
若干惚気気味な統人へ向けて、ジト目で突っ込む烈火。
そんな彼らが自由気ままにやりとりをやっていると、そこへ爆走してくる誰かがやってくる。
こちらへと向かってきた彼は開口一番大声であいさつを告げた。
「こーんーにーちーわー!」
「わわっ、龍李君!?」
真依が驚いた通り、やってきたのは皆を集めた張本人である龍李その人。
彼は集まった一同の前に躍り出ると、息を切らしながら言葉を紡いでいった。
「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ……皆さん、本日はお集まりいただきげぼっ、本当にありがとうございますですごばっ」
「ちょっ、ちょっと大丈夫か龍李!? まさか走ってきたのか!?」
「はい!オレはまだ今で言う中学生なんで、バイクの免許ないから親からもらった足でやってきました!」
咳き込む龍李に対して暁が駆け寄って支えると、彼が自分自身の脚でやって来た事に驚く。
昨今はただでさえ本家本元のバイクアクションが活躍していないというのに、まさか徒歩でやってくるとは思ってもみなかった。
龍李以外の他のライダー達は、各々のライダーマシンでやって来たというのに。(なお専用のライダーマシンを持っていない仮面ライダーフレア/雛罌粟烈火はベンタラ経由で公園へやってきた)
ようやく龍李の乱れていた息が整うと、一同に話しかけてくる。
「今回皆さんを呼んだのは他でもありません。ハロウィーンパーティをしようかと思いましてお声かけしました!」
「ハロウィン? ああ、そういえば今日はハロウィンでしたね」
龍李の口にしたハロウィンという言葉に関して瀬恋奈が反応する。
そこから差し詰め仮装パーティーがしたいのだなと悟った一同は、龍李が担いでいる大きな風呂敷が仮装の衣装だと嫌でも分かる。
若干疲れている龍李から風呂敷を受け取ると、解いて中身を見てみた所そこにはいくつもの衣装が納められていた。
一体何処からこんなものを集めてきたのか……、と一登が少し驚いていると、その隣では女性陣が盛り上がっていた。
「わぁぁぁぁ、この服可愛い!」
「あっ、これいいかも! ねぇねぇ、統人どう思う?」
「ふむ、私はこれを選びましょう」
優奈、真依、烈火と三人の少女達はそれぞれ気に入った仮装服を手にしてはしゃいでいた。
一見ローテンション気味な烈火でさえ乗り気な様子を見ていると、どうやら龍李が選んで持ってきた服装はそれほど女子に受けているものなんだろう。
……でもまあ優奈が楽しんでいるのならそれでもいいか、と一登は思った。
「優奈、楽しんでるなぁ」
「――アナタも楽しむんですよ一登さぁんッ!!」
「ぐぉっ!?」
部外者だと思っていた一登の肩を掴むのはようやく復帰した龍李。
まるで逃がさないという意志でがっしりと掴み、変な声を出す一登を一切離さない。
中学生ながら拳法使いながらの鍛えられた龍李は身体と握力に一登は逃げる余裕もなかった。
やがて龍李が一登を羽交い絞めしながら引きずられていく光景が横に広がる中、暁は自分の衣装を選んでいる統人に訊ねる。
「あれ、統人君。そういや少ないような気がするけど」
「気付いたかい?ネビュラス組がいないってことだね」
暁の疑問を肯定するように統人が指摘したのは、この場に来ていないネビュラス組……シデン、ユース、ティアの三人の事だ。
人の良さの塊のような龍李の誘いを断ったのか彼らの姿がない所を見ると、彼らの都合が悪かったようだ。
面倒事に巻き込まれないように頑張ったシデン本人が強かなのか、と勝手に思いながら統人と暁は自分が着れそうな仮装衣装を探すのであった。
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一方、その頃。
頼打地区のとある公園、多くの出店が賑わうそこでは二人の若い男女が今日のハロウィンを楽しんでいた。
「ねえねえ、ユース! 似合うかな! この衣装!」
そこにいるのはパンプキンの意匠が入ったオレンジ色の肩出しドレスを纏っている少女。
いつもの長い銀髪は巻き髪にしており、赤く輝く瞳の目元には小綺麗な星型のメイクが施されていた。
異星からの亡命してきた姫君・『ティア』は嬉しそうな笑顔を浮かべて目の前の相手へ話しかけていた。
「ああ、よく似合っているよ。ティア」
目の前ではしゃいでいるティアの容姿を褒めるのは、フランケンシュタインの怪物を思わせる衣装を纏う少年。
頭には貫通したボルトのデザインのカチューチャをつけ、いつもの端正な顔には継ぎ接ぎの肌をイメージしたメイクが描かれていた。
異星からやってきた英雄・『ユース』は優しそうな笑みを浮かべている。
「しかしハロウィンといったか。こういった祭事は地球でもあるんだな」
「ええ、なんでもこの日は親しい家の方に向かってお菓子をもらうか悪戯をするって行事らしいです」
「じゃあ誰かからお菓子をもらいにいくか」
ユースはティアと共に何処かの知り合いの家へとやってきて、お菓子をもらおうとする。
無論この日のためにハロウィンのことはある程度調べていたため、親しい人物達の家は存じている。
そこからお菓子をもらいにいこうか、とユースは知り合いを探そうと周囲を探ろうとする……が、そこへ自分の裾を誰かが引っ張っる。
一体何なのか、と思いながら振り向くと……。
「トリックオアトリート!」
そこには、満面の笑みで笑うティアの姿があった。
彼女の花の咲いたような笑みに若干心がトクンと高鳴らせていると、ある事に気づく。
そう、『トリックオアトリート(お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ)』というフレーズを言われたのである。
いきなりの出来事にユースは戸惑う。
「えっ、オレですか?」
「そうですよ。ユースだって私の親しい人物なんですから!」
「で、ですがオレはお菓子なんて……」
「持ってないのですか?じゃあ……悪戯、いいですよね?」
ユースと言い合いになりながら、両手を広げて迫ってくるティア。
いつもの彼女らしからぬ悪戯めいたあざとそうな笑顔を向けて、ユースへとジリジリ距離を詰めてくる。
何らかの危機感を感じたユースは後退り、そして……勢いよく逃げだした。
人間離れした健脚によるユースの逃げる姿にティアは驚きながらも、自らも走り出す。
「待ってユース、悪戯受けてください!」
「さすがの貴方の命令でも聞けないものがあります!!」
逃げるユースと、追いかけるティア。
まるで追いかけっこをするカップルのような光景を二人が繰り広げている……その様子を近くの出店から覗く二つの影があった。
「ねぇ、ミスターレオンハルト」
知的な印象を受けるボサボサな黒髪の青年――『シデン・エンジョウ』。
「んだよ、シデン坊」
屈強な肉体を持つ黒い短髪の男性――『レオンハルト』。
それぞれシデンがティラノザウルス、レオンハルトがトリケラトプスの着ぐるみというシュールな見た目で出店で買ってきた料理をかっ食らっているとシデンがレオンハルトへ質問を投げかけていた。
「元々ハロウィンって子供を連れ去ろうとしているお化けから身を守るために子供達がお化けや幽霊といった人ならざるものに仮装する物事から始まったと言われているんですよね」
「ああ、そうだな」
「オーグマンズである彼らってお化けか子供達か、どっちに入るんでしょうね」
「……どっちもじゃねえか? 元から分からないようにするためなら、お化けだろうと子供だろうとお菓子ぐらいは恵んでやらねえとな」
「それもそうか」
「「アッハッハッハ」」
互いに笑いあいながらシデンとレオンハルトは焼き鳥と焼きとうもろこしをかっ食らう。
すぐ傍ではユースとティアの追いかけっこの光景を繰り広げており、その様子を微笑ましく見ているのであった。
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場面は戻り、頼打地区内のスタジオ。
龍李が持ってきた仮装服を全員身に纏い、準備が整った。
骸骨姿の龍李が何処からか持参してきたマイク片手に幕開けの宣言をした。
「さぁ、お待たせしました皆様! ハロウィンを楽しむ準備はできているでしょうか!」
声高らかに叫ぶ龍李が一歩下がると、彼が立っていた場所に現れたのは二人の男女。
吸血鬼をイメージしたような真紅のマントと漆黒の燕尾服を身に纏っている統人。ニヤリと不敵に笑う口元には鋭い牙が生えていた。
「此度は貴方の血をいただこう……さぁ、お手をどうぞ」
吸血鬼の金字塔・ドラキュラの統人にエスコートされててきたのは、仮装をした真依。
彼女は紺色を主体とした派手な露出をしたチャイナドレスを纏っており、胸元は大きく開いており、スカートのスリットからは艶めかしい足が覗いていた。頭部には御札が貼られており、それが中国の死人の怪異・キョンシーだと示していた。
「なんでドラキュラなのよ。西洋じゃないのよ」
異種族な仮装の並びに導かれながら、真依は頭部のお札をめくりながらドラキュラ姿の統人を訝しんでいた。
「そこは中華系の何かに揃えたかったのかい?」
「まあね、折角のハロウィンの仮装なんだし揃えたいじゃん」
「わかるけどねぇ、その気持ちも……まあむくれないで」
「ひゃっ!?」
統人はむくれている様子の真依の耳元で囁き、彼女を驚かせる。
キョンシーの服装によって露になっているその首元へそっと唇を添える。変にむず痒い感触が真依の肌に伝わり、甲高い悲鳴を上げてしまう。
そんな彼らを他所に、龍李は気にせず次の一組を紹介しはじめた。
「次の人達、どうぞ!」
龍李のその言葉と共に出てきたのは、先程の統人と真依とは異なる雰囲気の二人の男女。
ファンタジー作品に出てくる騎士の様にも戦士のようにも見えるブレストアーマーに軽装の装備を身に纏ったような仮装。
どこぞの『勇者』の姿となった暁は片手にロングブレード型のアイテムを容易く振り回し、綺麗な剣筋をお見せした。
「いやぁ、こうして武器振るう事って中々ないんだよなぁ」
「そうなんですか?」
「だって基本、素手と古代生物の力でやってる感じなんで……って」
ロングソードの模型を振り回しながら振り向くと、そこには魔法使いじみた格好をした女性。
体を覆うほどの黒とオレンジのローブ、頭には目深に被ったとんがり帽子、おまけに両手には先が曲がった杖が握られていた。
こちらもファンタジー作品に登場しそうな『魔法使い』に扮した瀬恋奈が自慢気な笑みを向けていた。
「えへへ、どうですか? これなら一緒に戦えますってね!」
「瀬恋奈さん……」
「ん、なんですか?」
「新米魔女っ子先生みたいでかわいいですね」
「ひゃへっ!?」
「んん……???」
暁が素直な感想を述べたその瞬間、瀬恋奈からボフンと湯気のようなものが上がった気がした。顔を真っ赤にして動揺する様子を浮かべている。だが当の本人の暁は自分が呟いた言葉に彼女がときめいているとは思ってもみていない。
そんなこんなで初々しい反応を浮かべる2人を上手くさばきつつ、もはや司会と化した龍李は最後の一組の紹介する。
「さぁ、三組目の方々はこちらです!」
龍李の言葉と共に姿を現したのは、二人の若い男女。
片や悪魔をイメージした漆黒の衣装を身に纏っている少年こと一登。
片や人魚をイメージしたロングドレスを身に纏った少女こと優奈。
一登が優奈をお姫様抱っこしながら現れ、互いに嬉しそうな笑顔を浮かべている。
「フフッ、しっかり捕まってるか? 優奈?」
「うん、大丈夫だよ一登君。それより私重くない?」
「大丈夫だよ重くないし。それに俺、こう見えて鍛えてますから」
「それならいっか。じゃあ一登君にしっかり掴まっておくね、ぎゅうー!」
優奈は両腕を一登の首へと回し、頭に抱き着く形でしっかりと掴まる。
そこで彼女の柔かい感触……特に豊かな胸部の感触が布越しで一登の頬に当たり、若干顏を赤くする。
「うぉっ……柔らか苦しい」
「えっ、大丈夫? 降りようか」
「ううん、このままで……むにゅっ」
「きゃっ、ちょっと驚かさないでよー」
胸元の感触を堪能しつつある一登と、無防備な事を知ってか知らずか笑いながらしっかり捕まる優奈。
仮面ライダーきってのカップルといわれそうな二人の仲良しな光景……その様子に、一人の人物が口を挟んだ。
「そのままホテルへ向かって、二人だけの夜のトリック&トリートを味わってくださいませ」
そう言う嫌味節を告げたのは、猫を思わせる猫耳と尻尾をつけた烈火その人。
スタイルの良さを強調した赤紫のミニスカワンピースに身に纏う彼女は何とも言えないような感情を含んだジト目を男女三組一同……特に一登と優奈に向けていた。
10月31日。
今日はハロウィン……人もそうでないものも、お菓子をもらって楽しむ日でもある。
これは、仮面ライダー達の日常の一幕である。
「さぁ、皆さん! ご唱和くださいあの言葉!」
「「「トリックオアトリート!」」」