シュラハトくん見逃して 作:私貴方私(Y-ou@so-soなフリー)
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「おっと、怖がらせて申し訳ないね。PDF出力で見てもいいよ」
「まあ、ぼくのオススメは夜間モードで見ることだけどね。文字サイズとかはデフォルト設定がいいよ」
「あと、『あとがき』や『まえがき』にもおもしろい話があるから面倒くさがらずに見るといいよ」
「じゃあ、シュラハトくんによろしくね」
『物語を現実にする魔法(フィアランティア)』
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シュラハトの思惑、勇者の決断
【プロローグ】おわり
シュラハトの思惑、勇者の決断
【プロローグ】おわり
シュラハトの思惑、勇者の決断
人を喰らう魔の王がおりました。
勇ましい者達はこれに挑み
多くの物語がこの地に産まれました』
この世界には魔王がいる。健全な男子が考えることなんて単純だ。
『魔王を倒して、みんなからチヤホヤされたい 』
俺もそんな子供の1人だった。
幸い有名な騎士の家系だ。
誰もその夢を否定することはない。
幼馴染と騎士の真似事をして遊び、趣味で魔導書を買い漁った。
棒振りの才能はあまりなかったため、興味の尽きない『魔法』にかじりついた。
ただ、あくまで目指す先はカッコいい『騎士様』。
武器を扱えないと話にならない。
時はあっと言う間に過ぎる。
成人した俺は、『騎士見習い』として戦場へ出るようになった。
便利な魔法をたくさん覚えていた俺は、鎧をピカピカに磨いたり、武具の修復ができたため、戦場ではとても重宝された。
お礼として、『先輩騎士達』は様々な武器の扱い方を教えてくれた。
才能に恵まれない俺は、もちろんどれも二流止まり。
一流の騎士が剣を『
だが、俺には『魔法』がある。
『剣の60』と『槍の60』と『弓の60』を合わせ、そこに『魔法の90』を加えると、戦力としては十分だった。
もちろん単純な足し算とはならない。
いちいち武器を切り替えるデメリットはある。
しかし、魔法で武器を作れば手ぶらで戦場を歩ける。
装備重量を無視できるメリットの恩恵は明白だった。
鉄の塊である盾や剣は、携行して動き回るには重くて場所を取るのだ。
先輩達からは、『得物は戦場のドレスコードだ』と怒られたりもした。
しかし、それも昔の話だ。
それは俺が一人前になったからではない。
先輩達は
何も不思議なことではない。
ここは死が身近にある世界。
魔物との戦いで、騎士が華々しく散るなんて言うのはありふれた話だ。
みんな俺に何かを託して逝った。
先輩も、見習い時代の同期も、初めての部下も、みんな、みんな…。
みんなの分も、襲いくる強大な魔物達から故郷を守り、俺は憧れの『騎士』になった。
戦乱の時代、戦果を上げる機会などいくらでもあった。
そしてついに『北側諸国最強の騎士』まで登り詰めた。
今なら魔王だろうが何だろうが倒せるはずだ。
正直浮かれていた。
だから、その結末も実にありふれたものだった。
耳障りな女の声が聞こえる。
この身体はそれに抗うことができない。
カチャリ カチャリ
一歩進むごとに、空虚な鎧が軋む。
そこに人の温もりは感じられないだろう。
『断頭台のアウラ』
現在のご主人様だ。
『北側諸国三大騎士』という称号も今では何の価値もない。
既に名誉も誇りも
そう、まさかこの世界が『葬送のフリーレン』だと気づいた時には、既に全てが詰んだあとだった。
星も見えない暗闇の森。
不自然に静まり返ったその場所に、蠢く影が一人の男を囲んでいる。
『
「お前には、ここで死んでもらう必要がある」
「そうだな。手土産はありがたくいただくとしよう」
雲の隙間から一筋の月光が差し込む。
彼の手に握られた二振りの剣が、それを分かつ。
次の瞬間。
辺りは真昼のように明るくなった。
森の木々は次々と『黄金の柱』に変わり、舞い上がった瓦礫の破片は『輝く黄金の嵐』となって彼を襲う。
森を薙ぎ払い、神話の時代にうたわれた『巨人』や『竜』が顕現する。
宙に浮かぶ眼前を覆う程の『巨巌』。
轟音と共に大地を抉る『稲妻』。
空から雨霰の如く怒涛の質量が降り注ぐ。
『
何かが砕ける音が聞こえ、魔法はほどけて宙へ解けていく。
空が海に変わり、大地が空に変わり、森は魔物に変わる。
神話のような魔法の濁流が眼前に迫る中、その人間は手に持った光を薙いだ。
辺りが七色に瞬き、全てがただの妄想だったかように、再び暗い夜の森が視界に広がる。
そこに
『人類最強』とうたわれる、無類の強さを誇る人間だ。
1年という短期間で戦線を塗り替え、たった1人で魔王軍を壊滅させたバケモノ級の英雄。
『全知のシュラハト』。
彼の表情が変わったところを見たのは、後にも先にもこの時だけだった。
ただそこには、旧来の親友を出迎えるような
背後からカタカタと音が聞こえる。
何も乗っていない天秤が揺れる。
七崩賢は既に半壊。1名は戦意喪失。
そう、相手は『人類最強』。
普段は強者であり、奪う側である魔族の長達。
それが今、群れることでようやく戦闘として
情けない。
何故私はあちら側にいないのか。
人類の為に磨いた武技の数々は、今やその目的を果たすこと叶わず。
今すぐ自害してしまいたいが、それすら叶わない。
せめて戦闘に参加せず死にたい。
勇者様の邪魔にだけはなりたくない。
しかし、その願いも叶いそうにない。
すでに私が自由に動かせるものは何一つなく、その支配権は背後で何もできず震えている『断頭台』の手の中にあるのだから。
戦況は人類が優勢。
訂正、勇者様が優勢。
私以外の不死仲間は瞬く間に壊滅。
七崩賢も2名消滅済み。
残りもダメージが深刻だ。
『人類最強』とは言え、勇者様が強過ぎる。
私は心の中で勇者を讃える讃美歌を唱える。
不死仲間達も成仏しながら、勇者様を応援していることだろう。
私も早くその仲間に入れてほしい。
私は『断頭台』の肉壁として扱き使われつつ、勇者様へ相棒のハルバードを振り下ろす。
人を守る為に磨いた私の技が、人に牙を剥いている。
それでも勇者様はまるで
その変態的な軌道は、魔族の魔法も私の斬撃も掠り一つしない。
ここまで来ると、私も少し楽しくなってきてしまった。
『人類最強』に私の技術がどこまで届くのか試してみたい。
魔族にかけられた『身体強化の魔法』から膂力を捻り出す。
突き、払い、斬り、そして殴る。
もはや身体の一部と言っていい相棒を流れるように振るう。
それでも勇者様は片手間で私の技をいなす。
一瞬。
七崩賢の放った魔法の光が辺り一面を真っ白にする。
勇者様の目線が下る。
私はその隙を見逃さなかった。
手元に微かな
ん?
勢い余って立派なお髭を半分切り飛してしまったようだ。
私の武技も捨てたものではないらしい。
「ん!?」
しかし、満足して隙をさらした私へ、勇者様の強烈なカウンターが入る。
「マズい、ブラフッ!?」反射的に身体が後退する。
勢いあまって、ハルバードの柄頭が後ろで怯えている『断頭台』の額を強打する。
ゴッ! うンン!?
すごい声が聞こえた気がするが、それを気にする余裕はない。
ドワーフの名工が作ったフルプレートメイル。
その中で最も装甲が厚いはずの胸部へ勇者様の剣が入り込む。
それは水面を薙ぐように、何の抵抗もなく装甲を通り抜けていく。
そして、その刃が私の身体を突き抜け、背後に『
驚きで硬直した私の身体。
そこへさらに一歩、距離が詰められる。
兜に吐息がかかるほど、密着した距離。
聞こえた囁き声に私は目を見開く。
その瞬間、強烈な衝撃が身体を突き抜けていき、私は吹き飛ばされた。
宙を舞うピンクの球体。
咄嗟に掴み取った『天秤』。
今まで感じていた身体を縛るナニカがほどける感覚。
「ッカハッ!?」
勇者様による凄まじい一撃で吹き飛んだ私は、急激な脱力に抗う間もなく意識を手放した。
「ほぉ、その選択をしたか。ならこちらもこの選択を通してもらおう」
鮮血が舞った。
「以上が、私と勇者様の出会いだ」
「そうか、なら僕達と一緒に魔王を倒そう」
「んん?」
宿屋で仲良くなった青髪のイケメンに暇つぶしの昔話をしたら、何故か勧誘されたんですが…。
√s
■ 実績解除
* 【NEW】シュラハトと南の勇者に存在を許容される
* 【NEW】七崩賢は半数生存
* 【NEW】ヒンメルパーティーへ加入
【注意】
本作では『まえがき』と『あとがき』にもストーリーが含まれるため、表示することを推奨します。