免罪体質者がPSYCHO-PASSの世界を行く   作:アルトリア・ブラック(Main)

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この小説を書きながら私は常に思う、彼女を白澤雪絵をどうしたいのか、一つのエンディングは用意しているけど、それはあくまで一つだから他に良い選択はあるか今もなお考え続け、結果的に終わらなくなる-…

一つ言えるのは、エンディングに必ず行くこと、そして、もしもこの世界に生きて居たら、シビュラシステムの世界を私は受け入れられるのか否かの答えを出すこと

考え続けてしまい、深みが無くなってしまってもエンディングには行きたい


第6話『正気と狂気の狭間で』

ー???ー

 

特に縛られてもいないから逃げようはあるのだが、場所が分からない内に逃げるのは得策ではない。

 

目の前を歩く八神は教師の格好とは違い、白に統一された服を着ていた。どう見ても胡散臭い

 

(…あの二人の監視官を殺した時も八神の犯罪係数は低かった…ていうことは免罪体質…かな)

 

八神は自分が勧めた有害図書の中でも読めば犯罪回数が確実に上昇する本『残酷依存症』を始めた『依存症シリーズ』を勧めた後に『他人事』『隣の家の少女』を勧めたが、色相が曇ることなどなかった。

 

「着きましたここです」

 

そう言って扉を開けた先には…

 

「教祖様!おかえりなさいませ!」

 

「教祖様!」

 

大ホールから聞こえてくる人々の声、すべての人々が白を身に纏う中、壇上にあるものに眉を顰める

 

「まったく、後片付けはきちんとするんですよ」

 

そう言って振り返りニコリと笑いながら、マイクを握り、尊大に

 

「えー、みなさん!今日はスペシャルゲストに来て頂きました!元心理カウンセラーでありとあらゆる潜在犯の色相をクリアにして来たシビュラの申し子・白澤雪絵さんです!」

 

そう紹介されたと同時につんざくような歓声。

 

八神和彦はニコリと笑いながらこちらを見て来る。

 

その笑顔はほんとうに怖気が走った。

 

「…シビュラの申し子…?」

 

「えぇ、貴女はシビュラでしょう?」

 

マイクを外しそう話して来る、いまだに拍手して来る彼らは雑音でしかない。

 

「遥か昔、私は父にあるテストを受けさせられました。とはいえ、そのテストを受けたら公安局に自動通知が行くようなテストですが、オフラインで受けさせられ、父はこう私に言いました『お前はシビュラの申し子になる可能性がある。だから、一生ここで過ごしてくれ、お前は私の子供でいて欲しい』と」

 

「…」

 

そのオフラインでなければ公安局に通知が行くような検査と聞いて、シビュラシステムの脳髄プールが思い浮かぶ

 

「何が何だか分かりませんでしたが、父が私を愛してくれていたのは重々伝わりましたからね、大人しくしてました」

 

「…この惨状が?」

 

舞台の上にイエス・キリストの磔のようにされている信者達

 

全員、苦悶の表情ではなく、喜びに満ち溢れたような死に方をしていた。

 

「あははは、これは彼らがしたことで死は救いだって勝手にやったことです」

 

「だから宗教は嫌いなんだ、意思を放り投げて本能で動くから」

 

「違いありませんね、それと、貴女は覚えていませんか?彼らのこと」

 

「…?」

 

信者達の顔を見るがよく分からなかった。

 

首を傾げると八神は笑いながら

 

「貴女がかつて救った人々ですよ、その観点から見れば私より貴女の方が教祖ですけど」

 

八神は一度信者達に向き直り

 

「みなさん!今日は一度お開きにしましょう!シビュラの申し子である雪絵さんには明日からお願いしますので!!」

 

そう言われ拍手喝采の中に人々の喜びの声が聞こえて来る。

 

「…あなたは、何のためにこんなことをしてるの?とても教祖のような人々を導きたいなんて思ってもなさそうだけど」

 

八神和彦の性格とはまるで噛み合わない、教祖なんてしているのは単に小説の中の登場人物を演じているようだった。

 

「そうですねぇ、単に親から引き継いだ事業だからっていうのもありますし…うーん、よくわかんないです」

 

屈託ない笑顔で虚無のようなことを言われる。

 

「ハァ?」

 

「まぁ、一つ言えるのは実験ですね、どんなことをどれくらいしたら私の色相が悪化するのか、現段階では人を殺しても色相は悪化しませんでしたが、一番最高係数を叩き出したのは…」

 

すると、後ろから一人の少女がやって来る

 

「おわった…の?」

 

13歳くらいだというのにたどたどしい言葉を話しながらやって来る少女は八神の前まで近寄って来る

 

「終わりましたよ、あ、紹介します。この子は私の係数を最高値まで出してくれた、私の妹です」

 

そう言った時、少女は八神を見て

 

「お父さんでしょ」

 

「そうでした。妹であり娘です」

 

そう言われ、強烈な悍ましさを感じる

 

「実の母親を輪姦するのは流石に堪えました。何しろ、あんな笑顔で受け入れてくれるんですから」

 

そんな悍ましい話を少女の前で淡々と話す八神に吐き気を催した

 

こんな奴と同類なんて死ぬ程認めたくない

 

 

 

 

 

一方、公安局は行方不明になった雪絵と八神和彦の捜索のために周辺地域を探っていると、獣道を進んだ先に森の中に隠れるようにして立っている建物を発見する。

 

「こんな建物、あったんだな」

 

炯の言葉に唐之杜が現れ

 

『シビュラシステムの統治下から逃げた人は大概、廃棄区画に行くし、大体は人の手が加わったところに逃げるのが人間の本能なんだけど…時々いるのかしらね、こういう何もない山奥に逃げてサバイバルしたがる人』

 

サバイバルしてまでシステムから逃げたい人など、普通ならいない。

 

逃げるとしても、廃棄区画に行き怯えて生活するか、あるいは外国に逃げるパターンが多い。

 

最も、システムの生活に慣れればそれ以外の生活は考えられない。

 

出発するヘリの近くで灼が局長と話していた

 

 

『白澤雪絵を見つけ次第、公安局に連行するように』

 

「そして、シビュラシステムに取り込むんですか」

 

そう聞くと局長は『当然だろう』と返してくる

 

『彼女の行動は全て狂気となった。彼女のセラピーを受けた人間のほとんどがサイコパスがクリアな状態で犯罪を犯し始めた。彼女に悪意があるか否かは論点ではない。彼女の行動全てがシビュラシステムを不安定にさせる要因になりつつある。かつての槙島聖護のように』

 

「待ってください。まだ雪絵先生が一連の事件の犯人だと決まったわけじゃない」

 

彼女は、人を操って犯罪を犯させるなんて面倒なことはしないと言っていた。

 

そして、シビュラシステムに嫌悪を示しつつ、この世界で生きることを良しとした

 

そんな彼女が他人を動かして犯罪を起こすなんて思えなかった。

 

『君も知っているだろうが、免罪体質者は犯罪係数が測定出来ない。彼女が犯人であってもなくても、彼女の行動は最悪なものになりつつある。真犯人がいるのならばそれは彼女に近しいものだろうな』

 

「…近しいもの…?」

 

『だが、それはあくまで彼女の模倣に過ぎず、悪意的なものだろうが、我々が最優先事項にしているのは白澤雪絵の保護及びシステムに組み込むこと、間違っても海外逃亡されたらたまったものではない。君も、彼女には生きて居てほしいだろう?』

 

両手を組み首を傾げるシビュラ

 

「…はい」

 

『ならば、彼女を保護し公安局に案内するように』

 

そう言って通話が切れる

 

「灼、ヘリの用意ができたぞ」

 

「うん!今行く!」

 

炯の声が聞こえて来る

 

ヘリへ乗り込み、後部座席に乗り更生施設から提出された動画を再生する。

 

 

 

 

『貴方の犯罪係数は悪化傾向にあります。でも、それはあくまで貴方が今風邪をひいてしまっているから、深呼吸をして落ち着いて話しましょう』

 

動画の中での雪絵はまるで別人だった。

 

いつもの気だるい感じでもなければ事件を捜査している時のような嬉々とした表情はしていなかった。

 

『どうして、この世界にストレスなんてあると思うか分かりますか?貴方は、ストレスを無くしたいと思いますか?』

 

"無くしたい、ストレスなんてあるから潜在犯になってしまった"

 

男の声が聞こえて来る

 

『そうですね、この世界はストレスを抱えすぎると潜在犯なんて犯罪者を呼ぶような扱いになる。酷いですよね』

 

そう微笑む彼女に誰だろうと灼はふと思っていた。

 

灼の知っている白澤雪絵は狂気じみていて、知識を求めることを愛している一人の先生だった。

 

自分の知らないことを沢山知っていて、たくさんの文学を愛していて、たくさんの犯罪者達を見てきた一人の女性

 

間違っても彼女はこの世界で居場所がないと嘆いて自殺するようなタイプではなく、この世界を受け入れつつも狂気や発狂・恐怖の世界や悦びや幸福な文学の海に身を任せていた。

 

『数世紀前では潜在犯なんて単語は存在していませんでした。ストレスだってある程度身に宿れば前に進める料理だった。でもこの世界でストレスはどんな病気よりもウィルスよりも最悪な災害になった。サイコハザードなんて言葉があるのもこの世界でならではなんです。そして、それらに怯え薬を多用するなんて異常な世界です。そんな世界で貴方は人間として生きようとしている。私は、そんな貴方の生き方を肯定しています』

 

"どうして?"

 

その言葉に、彼女は屈託のない少女のように笑い

 

『外で暮らしている人間はみな、自明な行動しか取っていない。考えて苦しんで生きていない。システムを受け入れシステムの決定を正しいとしか感じていない。そんな世界は狂ってる。でも私はこの世界を受け入れています。まだこの世界には救いがある、あなた達のような人間に会えるから』

 

そう言って微笑む彼女を見て手が震える

 

無意識な悪意、意識のない悪

 

その可能性が見えてきて

 

「建物が見えてきました」

 

「よし、降りれる場所があったら降りてくれ」

 

「はい!」

 

その声に顔を挙げ動画を消す

 

 




最後の文章書いて頭痛くなった…


【八神和彦のモデル】
童磨・鬼滅の刃の上弦の弐で鬼。教祖要素は彼から

浜真千代・『殺人依存症』などを含めた依存症シリーズの登場人物


【主人公のモデル】
『カウンセラーとしての一面』

槙島聖護・PSYCHO-PASS始まりのラスボス。誰も彼を越える事は出来ない

寄河景・『恋に至る病』のヒロイン

『???としての一面』

ジョン・ポール・・・『虐殺器官』の登場人物

御冷ミァハ・・・『ハーモニー』の登場人物


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