FAIRY EMBLEM   作:jyosui

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万紫千紅発売まで残り約1週間………!!情報やキャラ紹介の度にワクワクが止まりませんねぇ!!
皆さんはどのルートから行くのか決めましたか?自分はカイルートから行こうとしてましたが、ヒーローズの万紫千紅ガチャではセオドラを一番最初に引いたので悩み中です。風花雪月もこうやって選んだのでね………ですがこの選択、風花雪月で思い知りましたがキャラへの愛着の付き方に明確な差が出るので慎重に行きたいですね。

そしてプレイアブルキャラめちゃくちゃ多いですね!?しかも歴代と比べても個性が強そうで、噛むと無限に味が出てきそうな感じで楽しみですね………個人的に今のところの好みはアレキサンドラですが、名前からしてこの子見た目の5倍くらい烈女な予感しますね………なんせアレキサンダーの女性名な上に相棒の天馬の名前がブケファラスの表記揺れ………征服王の香りが(笑)アーラララライ!!
あと、コミカライズの序章読んだ限り、思った以上にセテスの立ち位置大きそうなのがビックリ。エコーズのペガサス三姉妹くらいの位置かなーって思ったら、覚醒のチキくらいの立ち位置ありそうな予感

と、こ、ろ、で、
なのですが………こんだけキャラ出すなら出撃枠もちゃんと確保されてますよね?自分、エンゲージに対する唯一にして最大の不満が出撃枠の少なさだったのでそこは頼みますよ!?と言うのだけ心配です。

では、今日のニンダイ楽しみにしたりポケモンチャンピオンズの新シーズン楽しんだりしながら発売日を待つとします。投稿された時間ではニンダイ見終わった後になりますがさてどんな情報が出てるやら。

ソレルが大剣闘祭の開催を宣言した例のシーンをパロって大乱闘スマッシュブラザーズの開催を宣言したら笑い転げる自信がある(笑)


115章 境界線

「では、死ね。」

 

現れた未来ローグとの戦闘に入ったリューク達。

 

「お前を殺せば全て終わる。」

『………。』

 

未来ローグが真っ先に標的にしたのはリューク。未来のスティングを殺し、奪った白竜の力を使い光速でリュークに迫ろうとした。

 

『蛇よ………』

「!?」

 

しかし未来ローグが光速で動き出そうとした次の瞬間。リュークは未来ローグの眼前にいた。

 

『"神霧の崩拳"!!』

「ガハッ………!?何をした!?」

『………未来の俺を殺したんだろ!?わざわざ説明が必要か!?』

「………そうだったな………未来のお前と同じ目に遭わせてやる!!」

 

未来ローグが反撃でリュークに影と光の刃を繰り出した。しかしその瞬間にはリュークの姿は消え、黄金の砂が舞うばかりであった。

 

「"雷炎竜の………」

「!!」

「撃鉄"!!」

 

その次の瞬間、未来ローグの側面からナツが炎と雷を纏い殴り抜けていた。

 

「ぐ………思い出した、時止めか!!」

『………思い出したところで、対策できるものならやってみろ!!』

 

リュークが"エンゲージ"していたのは時を操る力を持つ紋章士セイズ。まずは紋章士グルヴェイグに切り替え、自身の時を加速させ未来ローグに先んじて攻撃。続けて紋章士クワシルに切り替わるとナツの時を加速させ未来ローグの認識外から追撃を仕掛けた。

 

『………お前の影も光も、こちらの光で打ち消してやる………!!』

「調子に乗るな、"白影竜の咆哮"!!」

『………獣に成り果てた哀れな竜に裁きと救いを与えよ………"神器錬成・封印の魔道"、至高の光、"アーリアル"!!』

 

再び舞った黄金の砂と共に紋章士セイズへと切り替わったリュークは未来ローグの影と光の混ざった咆哮に竜特攻の光魔法、"アーリアル"をぶつけた。

 

『………ここで決めるぞ!!』

 

勝負は互角、しかし紋章士セイズの力で今度は未来ローグの時が止まった。それを確認しリュークはナツとルーシィに号令をかけた。

 

「よっしゃあ、一気にぶっ飛ばしてやる!!」

『あたしも続………待って!!』

『「!?」』

 

ルーシィの静止の声の数秒後、未来ローグの時間が動き出した。そしてそれと同時に黒と白の閃光が縦横無尽に、まるで織物のように未来ローグの周りを奔った。

 

「"白影竜の(あしぎぬ)"!!………何っ!?」

「『"雷炎………』」

 

時を止めた内に接近戦を仕掛けると読んだ未来ローグは自分の周囲を攻撃。しかし彼の読みは外れ、リューク達3人は範囲外で構えていた。

 

「『覇神断竜閃"!!』」

「ぐは………!?」

 

未来ローグの攻撃を無事回避したナツとルーシィの反撃。ナツの"雷炎竜の咆哮"を、紋章士アルムと"エンゲージ"しているルーシィの"ファルシオン"に纏わせたエンゲージ技"月光・覇神断竜閃"は未来ローグに直撃し土煙をあげた。

 

『………やって、ないだろうな。』

「ああ。だけどルーシィ、助かった。」

『アルムの"ミラの歯車"で見えたの、間に合ってよかったわ。』

 

未来ローグの"白影竜の絁"を回避できた理由。それはルーシィが紋章士アルムのスキル"ミラの歯車"で至近距離まで突っ込んだ自分達が一網打尽にされる未来が見えたからであった。

 

『それよりリューク、大丈夫?』

『何が?』

『………何でも無いなら、いいけど。』

『………そんな事より。こちらの手の内がバレてるな。』

 

ナツとルーシィの攻撃を受けた未来ローグは小さくないダメージを与えられていたが、まだまだ余裕が見えた。

 

「ここまでできるとは予想以上だ………だが、お前達の能力は未来で見ている。俺にお前のお得意な奇策など通じないと思え。」

『………そいつはどうかな。』

 

リュークは一歩前に出てから"竜石"を手にした。

 

『………手札が分かっていても、切り方次第でいくらでも"初見"は作れる………光嗣げ(ひきつげ)、継承の紋章士(エムブレム)。セリス、リンとセイズを"継承"だ!!』

 

紋章士セリスに切り替えたリュークは紋章士リンと紋章士セイズの一部スキルと武器を"継承"。リンのエンゲージ武器の刀"マーニ・カティ"を手にすると素早く斬り込んだ。

 

「ふん。その程度の速さ、俺には追いつけまい!!」

『………!!』

 

拳に影と光を纏わせ突撃して来た未来ローグ。光速で突っ込む未来ローグの速さはリュークのそれを越えた。

 

『………っ!!』

「そのまま死ぬがいい!!」

『………そうは、行くか!!』

 

傷を負ったリュークに対する未来ローグの追撃。だがそれはリュークが即座に生み出した"残像"を捉えたに過ぎず本人は無事だった。

 

『(………大事なのは致命傷を受けない事、そして………!!)』

「分身を作ったところで無駄だ。"白影竜の絁"!!」

『(………一回でも多く、刀を振るう回数を重ねる事!!)』

 

八方から迫る黒白の閃光を刀で受け切るリューク。しかし未来ローグの追撃で"残像"の分身は次々と消え残るはリューク本体のみだった。

 

「わざわざ死にに突っ込むとは!!」

『………どうだかな!!』

 

しかし今度はリュークが未来ローグの光速に対応ししっかりと受け切った。

 

「加速………!?」

『………"流星"!!』

 

紋章士セイズの時間操作に加え、紋章士リンの"速さの吸収"で斬り込む毎に加速。風と黄金の砂を纏わせながら未来ローグの光速に対抗していた。

 

『(ここで………斬り込む!!)』

 

そして、隙を見つけたリュークは黄金の砂を纏うと自身の時間を加速させ攻撃を仕掛けた。

 

「"白影竜の絁"。」

『………!!ぐはっ!?』

 

しかし結果は、ローグの黒白の閃光がリュークに大ダメージを与えたのだった。

 

「言ったはずだ、お前の能力は未来で見ていると。」

『………!!』

「"エクリプス"の前で俺の行く手を阻もうとした未来のお前も、同じ手を使っていた………その黄金の砂が舞うタイミングが、お前の仕掛けるタイミングだった。」

『……………』

「"調子が悪い"ようだな、その程度の速度なら時間操作が解除された後でも対応できる………"運命"は変わらない、過去だろうと未来だろうと、お前は俺に勝てない。」

 

ここでリュークが血反吐を吐きながらもニタリと笑った。

 

「何がおかしい?」

『………"運命"などと、"死人の言い訳"に縋り勝ち誇るお前の姿が、あまりにも滑稽でな………こんな、しょうもない思考停止野郎に負けた未来の俺が、情けなくて笑えて来る!!』

 

すると再度リュークの周囲に黄金の砂が舞った。

 

「また時間操作か。自分が動くか、味方を動かすか、どちらにせよタネが分かればこの俺の敵ではない!!お前達の動きを見切った上で殺してやろう!!」

 

次の瞬間、刃が肉を貫く嫌な音が周囲に響いた。

 

「………は?」

『………何を、見切れるって?』

 

だが腹を貫かれていたのは、未来ローグの方だった。腹を貫いていた、鈍い白銀に光る剣が引き抜かれると未来ローグは血を吐きながらよろめいた。

 

「ガハッ………!?」

『………"神竜王の逆鱗"!!』

 

ガラ空きになった未来ローグに、すかさずリュークは追撃の乱打を繰り出してから渾身のストレートで殴り抜き、壁に叩き付けた。

 

『………策を1つ見破ったくらいで、出し抜いた気でいるとは笑止千万!!千年後に出直しな、小僧!!』

 

リュークの策自体は新しいものではない。時間操作の範囲が異なるセイズ、グルヴェイグ、クワシルの内、使ったのは友軍を加速させるクワシルの能力。先程ナツやルーシィを加速させるのに使っているものだ。では何故未来ローグを翻弄する奇策となったのか、それはリュークが加速させた友軍である。

 

『………しかし大変だった。知性も理性もブッ飛ぶ、煮え滾るような怒りを抑えるのも………こちらの考えを誰にも悟らせないようにするのも。』

「………よく言うわね。」

 

未来ローグの腹を貫いた友軍はふらつきながらも左手に白銀の片手剣を持ちながら立っていた。

 

「息を止めていたのも、動かないように我慢してたのも………生き返って早々無茶を頼まれたのも、全部あたしよ?」

『………それもそうだね。その上、最低限しか伝えられなかったのに、十二分に応えてくれて助かった。』

「当たり前でしょ………何年、"神竜王様(あんた)の右腕"をやったと思ってるのよ。」

 

だがそれはナツやルーシィでも、ポラリスでも、ウェンディ、ハッピー、シャルル、リリーのいずれでも無い。

 

「でも感謝するわ………こいつに、一矢報いる機会をくれたんだから。」

 

その人物は未来ローグはおろか、味方すらも。参戦どころか、"動く"ことすら予想外の人物だった。

 

「………何をした。お前はこの手で、確かに殺したハズだ………何故生きている!?」

「そうね………"神様の思し召し"、なんてどうかしら?」

 

その人物………未来ローグに殺された筈の未来ルーシィは、引き攣り気味の不敵な微笑をしながら片手剣を構えた。

 

『……………』

「おいルーシィ、これは、どういう………」

『………分からない。』

 

ルーシィのその言葉が持つ意味は2つ、"方法"と"動機"である。

 

『ポラリスの前であまり言いたくないけど………未来のあたしは確実に死んでいた。なのに今、ああして動いている………でも、"死者を操る行為"はリュークにはできない。じゃあ、あれは………?』

 

その答えに気づいたのは、リュークがへし折った杖の破片を手にしたポラリスだった。

 

「………まさか、父さん。」

『何か分かったの!?』

「………"オームの杖"。」

「何だそりゃ?鳥の名前か?」

『それはオウムよ。でも、"オームの杖"って、確か………!!』

「何だよルーシィ、そんなヤバいものなのか?」

『………ヤバいどころじゃないわ。"オームの杖"はマルスの世界に伝わる伝説の杖。その杖を振るえば、戦いで散った命を蘇らせる………まさに、"死者蘇生"そのものよ………!!』

 

死んだ命は二度と戻らない。それが自然の、生物の絶対不可逆の摂理。しかし"オームの杖"は、厳しい制約があるとは言え、その摂理を真っ向から逆らう"死者蘇生"という名の"奇跡"である。

 

「"死者蘇生"だと!?そんなもの、できるはずが………!!」

『………忘れたか。俺は神竜王………これでも"神"を名乗ってるんだ、"奇跡"の一つ二つ、起こせるに決まってんだろ。』

「……………。」

『………未来からわざわざ来てもらって可哀想だが………怒らせる相手を間違えたな。不運だと諦めて………くたばれ。』

 

最後にドスの効いた低声で吐き捨てると、リューク以外の時間が止まった。

 

『……………。』

 

呼吸を整えたリューク。

 

『………"最後の聖戦"。』

 

続けて紋章士セリスのエンゲージ技を繰り出したリューク。紋章士セイズの魔法"終端グルヴェイグ"と紋章士リンの弓"ミュルグレ"を乱れ撃ちすると闇色の炎と風を纏った矢が未来ローグを取り囲むように殺到。更に紋章士セリスのエンゲージ武器"ティルフィング"に持ち替えると何度も斬りつけた。

 

『………そして時は動き出す。』

 

そして時が動き出したその瞬間。魔法と矢の雨と斬撃が同時に未来ローグを襲った。

 

「がはあああっ………!!」

『………いい加減、しぶとい(しつこい)!!ここで、トドメだ!!』

「………!!」

 

トドメを刺さんと"ティルフィング"を掲げてから振り下ろしたリューク。だが未来ローグはすんでのところで影に潜り、姿を消したのだった。

 

「………チッ。必ず仕留める。」

 

戦いに一段落ついた事でリュークは舌打ちしながら"エンゲージ"を解いた。すると一行の注目は蘇った未来ルーシィに移った。

 

「母さん………」

「ポラリス………無事で良かった。」

「母さん!!」

 

実の母親とついに出会え、感極まったポラリスは泣きながらも両手を広げて走り出した。

 

「………え?」

 

しかし、ポラリスの抱擁は叶わなかった。彼女の目の前で未来ルーシィは倒れたのだ。

 

「母さん?」

「………ごめん、ね。」

「母さん!?しっかりして、母さん!!」

 

力無く倒れた未来ルーシィ。カラン、と音を立てて落ちた白銀の剣。未来ルーシィを抱き寄せ悲痛な声で呼びかけるポラリス。

 

「ウェンディ!!」

「はい、すぐに!!」

「リュークも………リューク?」

 

同じく"エンゲージ"を解除したルーシィがリュークに呼びかけながら振り返った。するとリュークは膝をつき、血反吐を吐いていた。

 

「ちょっとリューク!?あんたまでどうしたのよ!?しっかりしなさい!!」

「ゲホッ………うるさい、耳元で、騒がないでくれ………少し大人しくしてれば、大丈夫だ。」

「信じられる訳無いでしょこんな状態で!!やっぱり気の所為じゃ無かった………今度は何を隠してたのよ!?」

 

すると、力の籠もってない声で未来ルーシィが話し始めた。

 

「………ごめんね、リューク………最期まで、迷惑、かけちゃった………」

「ゲホッ………俺が好きでやった事だ、謝られる筋合いは、無い。」

「それでも、よ………あんたの命削っちゃって、これだもの………」

「ちょっと待って。未来のあたし、それって、どういう事よ?」

 

ルーシィの問いかけに、未来ルーシィは掠れ気味の声で答えた。

 

「いくら神竜王でも、死者蘇生なんて"奇跡"を起こすには相応の"代償"と"条件"があるのよ………」

「"代償"と"条件"………」

「……………。」

「"代償"は、膨大な魔力………そして、自らの寿命。」

「寿命ですって!?」

「………大した年数じゃない。」

「ウソはつかないで………1000年は、あんたにとっても大きいハズ。」

「1000、年………?」

「いくら長寿と言っても、そんなに命を削ったら………」

「………その状態で、未来ローグと張り合っていたのか。」

「……………」

 

現在リュークは千歳間近で、見た目の年齢は20歳くらい。つまり魔力に加えてそれだけの命を注ぎ込んでやっと使えるようになるのが"オームの杖"なので、未来ルーシィの言う通り、「大した年数」とは間違っても言えないレベルなのである。

 

「………説教は後ね。そして、"条件"は?」

「………絶対条件として、"戦いで失った命である"事。そして、追加条件は、"死んで間が無い"事と、"死体のパーツが揃っている事"………そこから遠ざかる程に、成功率が下がるの。」

 

するとルーシィは外套を左手でどかした。

 

「ルーシィ、お前………」

「右手が………!!」

「………ちょっと、ドジっちゃってね。片腕も、ギルドの紋章も、星霊の鍵も、紋章士の指輪も………全部失っちゃったの。」

「………あのメモ帳の筆跡が違ったのって、そういう………」

「見つけて、くれてたんだ。」

 

未来での戦いの最中、未来ルーシィは右腕を失っていた。その時に星霊の鍵も紋章士の指輪も失っており、それが紋章士による探知ができなかった理由であり、見つけたメモ帳の筆跡が違った理由である。

 

「………その代わりが、その"まがいもの"の剣か。」

「………やっぱり、気づいちゃうか。この剣が………リュークの牙を削ってできたものだって。」

「リュークの牙!?」

「………やっぱり、"ファルシオン"の、真似事か………」

 

マルス達の"ファルシオン"は古の神竜王ナーガの牙から造られた、竜殺しの聖剣。それをなぞるかのように、リュークの牙を削って造られたのが、未来ルーシィの持っていた剣であった。

 

「アルムのおかげで左で戦えたし、この剣も結構竜に効いたのよ?でも………ごめん、勝てなかった………それが、昨日の話。」

 

片腕が無い上に、死んでから一日が経ってしまった未来ルーシィ。それ故に、"オームの杖"の効力も薄まっており、未来ルーシィの最期も間近だった。

 

「だから………ありがとう、ウェンディ。」

「………ごめん、なさい。」

 

それを理解していたルーシィは、治癒魔法を試みるウェンディの手をどかした。それが無駄になる事を知っていたから。

 

「………でもリューク、これを知らなかった訳じゃ無いでしょ………?」

「………そりゃあ、ね。」

「………釣り合って、無いわよ………あたしの、数分の為に、1000年を削るなんて………」

「………確かに、全く釣り合ってないな。」

 

だが言葉と裏腹に、リュークは口の中に溜まった血反吐を吐き捨てると笑った。

 

「皆がいなくなってからの、淋しい時間が減るんだ。こんなの代償になりやしない。」

「………そう。聞いたあたしが、バカみたいね。」

 

苦笑いを浮かべた未来ルーシィは、残った力で僅かに身体を起こした。するとポラリスに支えて貰いながら言葉を振り絞った。

 

「一万のドラゴンが現れたその瞬間、あたし達は再度王国軍に捕まっていたから、何が起きたのかは分からないけど………あいつは、"エクリプス"を悪用して、その一万のドラゴンを従える気よ。」

「従える!?ドラゴンを従えるなんて………!!」

「"操竜魔法"………ドラゴンを操る術を、あいつは持っている………その力であいつは人間を裏切り、竜を従え王に"なろうと"した………」

「………"なろうと"?」

 

リュークの疑問に答えたのはポラリス。

 

「あたし達の世界を支配している王の名前はアクノロギア。あいつには………滅竜魔法も、紋章士も、及ばなかった。恐らく………あいつの"操竜魔法"も。」

「だから、"エクリプス"を使って過去を変える事にしたんだけど………あいつにバレて、悪用しようと邪魔をしてきたの。」

「………成程。」

 

リュークは少しだけ目を閉じ思案顔になってから目を開けた。

 

「確認だ。"エクリプス"は紋章士で閉じれるか?」

「………開けられたから、そのはず。星霊の方がいいって未来のあんたは言ってたけど、その時点であたしは鍵を失くしてたから………」

「………なら大丈夫だな。」

 

リュークが軽く頷くと、未来ルーシィは弱々しく微笑んだ。

 

「………なんで、言い切れるのよ。」

「話を聞いた限り、未来の俺達は何も知らないままドラゴンの襲撃を受け、壊滅した。でも今回は君やポラリスの話がある。なら対策も挽回も間に合う………ナツ!!」

「おう!!」

「先に上がって戦闘準備だ!!竜が来るなら、君達滅竜魔導士の出番だ!!」

「任せろ!!」

「ウェンディもナツと一緒に行って!!ハッピーとシャルルは2人の援護を!!」

「はい!!」

「あいさー!!」

「分かったわ!!」

「フェルトとリリーはギルドの皆と合流して、状況の共有!!俺達もすぐに向かう!!」

「ホーッ!!」

「承知した!!」

 

リュークの指示で一行は一斉に動き出した。すると、その場に残ったのはリューク、ルーシィ、ポラリス、未来ルーシィのみ。

 

「………やっぱり、頼もしいわね………迷いが無くて、あんたがいるなら、大丈夫って思える。紋章士の仲間も、こんな事思ったのかしら………」

「………褒めても、何も出ない………いや、出せないぞ。」

「………そう、ね。………悔しいな。」

 

未来ルーシィの身体から力がだんだんと抜けていくのと反比例して、彼女の瞳から涙が溢れた。

 

「………もっと。最後まで、リュークや、ポラリスや、ナツ、ハッピー、グレイ、エルザ、ウェンディ、シャルル、フェルト………皆と、一緒に戦いたかった。一緒に冒険をしたかった、な………!!」

「「………。」」

「母さん………!!」

「………ごめんね、ポラリス。生まれた時から、苦しい思いをさせて、重荷を背負わせて………辛く、悲しい思い出しか………」

「そんな事無い!!」

「!?」

「どんなに苦しくても、父さんと母さんはあたしの前では笑ってくれてた!!絶望の未来の中で少しでも希望を抱けるようにって、幸せに暮らせるようにって、あたしを守って、戦って………そして何よりも、愛してくれてた!!それが辛く悲しい思い出なもんか!!」

「ポラリス………」

「あたしは父さんと母さんの娘で幸運で、誇らしくて、本当に良かったって思ってる。だからあたしは………父さんや母さんの意志に反するかもしれないけど、戦う道を選んだ。だから………辛く悲しい思い出しか、なんて言わないでよ。」

「………そうね、ごめんなさい。」

 

すると未来ルーシィは弱々しくもしっかりとポラリスを抱擁した。

 

「ありがとう、ポラリス。あたし達の娘に生まれてくれて、ありがとう………おかげで、あたし達は明日を、未来を望み続けられた。」

「母さん………!!」

「………ポラリス、あたしの剣を取って。」

「?うん………」

 

未来ルーシィの剣を取って渡したポラリス。すると未来ルーシィは最後の力を振り絞るように、ギュッと剣を抱き締めた。

 

「………何をするつもりだ。」

「………もう、限界なの。手足の感覚も無くなり始めてるし、少し冷えて来た………だから、残りカスしか無くても………ゼロになる前に、全部を籠めるの。」

「「………!!」」

「リューク、そしてあたし………ポラリスを、あたし達の娘を、お願いできる………?」

「無論だ。絶対に、守って見せる。」

「任せて。彼女はもう、あたし達の娘でもあるんだから。」

「………ありがとう。」

 

ぎこちなく微笑んだ未来ルーシィ。すると魔力の光が彼女の手から剣へと移り、剣は光り輝いた。その魔力光に籠められたのは、未来ルーシィに残っていた魔力、そして生命力の全て。

 

「未来を………守って………」

 

その全てを注ぎ切った未来ルーシィは瞳を閉じ、その場に倒れた。そしてそのすぐ後に抱き締めていた剣がカシャン、と音を立てて未来ルーシィの手から転げ落ち、沈黙がその場を支配した。

 

「………ありがとう、未来のあたし。」

 

涙を流しながら、ポツリと呟くルーシィ。

 

「………見ていて、母さん。あたし、頑張るから………!!」

 

唇を噛み、涙を堪えながら言葉を振り絞るポラリス。

 

「……………。」

 

リュークは未来ルーシィの剣を………未来の自分の牙で造られた剣を抜剣した。白銀の片手剣の刃を触り、素材や籠もった魔力を確かめたリュークは刻まれた銘に気づき確認した。

 

「"ハルジオン"………そう名付けたか。」

 

"ハルジオン"の剣を鞘に再び納め、腰に差すとリュークは立ち上がった。

 

「………2人共、行ける?」

「……………うん。」

「………待ってて、母さん。未来は、必ず変えてみせるから。」

「よし………それじゃあ、行こうか。絶望の未来を………そして絶望を悪用しようとするアイツを止める為に。」

「「うん!!」」

 

他の一行から少し遅れてリューク、ルーシィ、ポラリスは走り出した。これから待ち受ける絶望の始まりを、そしてそれを悪用しようとする未来ローグの企みを止める為の戦いに向かう為に。

 

 

続く




・"オームの杖"
はい、ここで出しました"オームの杖"。ロストした味方を復活させると言う、「失った仲間は二度と戻らない、手強いシミュレーション」を根底から覆す杖。

で、す、が!!

ホイホイ使えたら面白みもへったくれも無くなるので制約をつけました。
◯必須条件
・大量の魔力を消費して"神器錬成"
・魔力に加え自分の寿命も大きく削る(完全に蘇らせる為には対象の寿命の10倍が必要。人間百年と計算すると1000年分の寿命を削る必要がある)
・戦いで命を落とした者にしか通用しない
◯追加条件(この条件から遠ざかる程成功率や生き返らせれる年数が大幅に減少する)
・死亡してからの時間経過が少ない
・死体が五体満足である

と言う訳で、使用者の寿命を削って対象を蘇生する魔法にしました。因みにリュークは約1000歳で人間換算20歳くらいにしてますので、リュークが"オームの杖"を使えるのはあと2か3回くらいです。
そして未来ルーシィは追加条件のどちらも満たしていないので僅かしか蘇生できませんでした。

・ハルジオン(剣C、射程1)
幸運+10
竜族、邪竜族に有効(ダメージ1.5倍)

片腕を失い、星霊も紋章士も使えなくなった未来ルーシィが武器にしていた片手剣。神竜王ナーガの牙から造られた"ファルシオン"のように、リュークの牙を素材にして造られた片手剣。
"ハルジオン"以外にもリュークの牙から造った武器はいくつかあるらしいが、詳細は不明。

ハルジオンと言う名前は、リュークとルーシィの出会った港町から取っているのもありますが、花言葉の"追想の愛"も少しかけてたり
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上司が猫耳軍師な件について(作者:はごろもんフース)(原作:恋姫†無双)

上司が猫耳の男嫌いな人になりました。毎回毎回仕事の度に罵倒されます。これってパワハラですよね? え? そんな制度ない……? ▼


総合評価:18360/評価:8.42/連載:20話/更新日時:2026年06月22日(月) 20:05 小説情報


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