殺伐硬派な叙事詩ファンタジーの世界でハーレムスローライフ 作:所羅門ヒトリモン
冬になると、俺は超能力に目覚めた。
「なんだ、これ……」
「わ、わぁ〜、すっごくおおきい……」
「太くて、硬そう……」
「こっちのは、まるで白いブドウみたいですね!」
朝、ベッドで身を起こした際の出来事である。
三人の異種族美少女と
俺は睡眠から目覚めると、決まって〝緑〟に囲まれていた。
ベッドを中心に放射状に植物が広がり、寝室のなかが軽い植物園のような在り様に変わっている。
ツタや根っこ。
どう見ても植物らしきものが、たった一晩の内に天井まで伸びて成長しているのだ。
そして、それらは天井から奇妙な『果実』を垂らす。
ひとつは、なんというかミル貝。
大きさは五十センチくらいで、男性からすると、初めて見たはずなのに初対面の気がしない。
そんな感慨を、不可避にもたらす白色のバナナにも似た珍妙な果実。
もうひとつは、なんというか月桃の花。
こちらも大きさは、五十センチと大きい。
色も白色で、艶やか且つ潤いがありそうなのは、前者と同じ。
しかしながら、先端は薄らした桜色で、カタチは巨峰のようなまんまる。
どことなくだが、まるで女性の胸部を連想させる非常に興味深い果実だった。
どちらももぎり取ると、不思議なことにツタや根っこは霞のように消えて、ただ果実だけが手元に残る。
「これは、まさか……!」
「知っているのかアマル」
「はい、ベンジャミンさん。これはきっと、
「アムブロシア?」
アマルによると、どうやらそれは『神話の実』。
南方大陸の神話に登場する、神々の聖餐の一種。
俗に黄金のリンゴ、不老不死の銀の実、仙郷の桃などとも呼ばれる、〝食べれば不老長寿になる果実〟と思われるらしかった。
「神話に曰く、女神ウルティは神々の聖餐を厳重に管理するため、〝聖なる果樹園〟の守り人だったとも云います」
「見た感じ、完全にチンコとオッパイなんですが」
「たしかにそう見えますね。ですが、女神ウルティは貞淑と結婚、恋愛を司ります。神聖娼婦はヒエロ・ガモス。聖婚を成す存在ですから、多少性的な印象を覚えるとしても不自然ではないでしょう」
そうなのだろうか。
そんなんでいいのだろうか。
専門家が言っているので、俺はとりあえず神妙な面持ちで頷くコトしかできなかったものの、現実のシュールさ加減に困惑は捨てきれなかった。
五十センチ大のオッパイ(フルーツ)はともかく、五十センチ大のチンコ(フルーツ)は眉間にシワが寄ってしまう。
手で持って、ずっしりと重たいなど、できれば一生知らなくていい感触だったかもしれない。
とはいえ神話の実、アムブロシア。
俺の超能力はコレである。
透明人間になれたり、瞬間移動できたり、そういうモノを密かに期待していたんだが、まさかの植物系スーパーパワー。
食べると、どうなるんだろう?
当然、好奇心はくすぐられたから、ひとまず食べてみようという話にはなった。
最初の毒味役は、もちろん俺だ。
「 実 食 !」
「どうですか? 何かカラダに、変化などはあるでしょうか?」
「……んー。今のところは、これといって特に……味はめちゃくちゃ美味しいですけど」
甘く、ねっとりとした豊潤な果汁が、口の中で溢れる。
果肉は乳白色で、不思議なほどまろやか。
ひとまず、ミル貝ではなく月桃形の方を先に食してみたが、柔らかくてぷりぷりもしており、本当におっぱいを味わっているみたいだった。
おっぱいを口に含んだ際に、こんな味がしたら最高だなぁ……と、なんだかそういう味がする。
近しいもので例を挙げるなら、アレだ。
おっぱいミルクアイス。
味はかなり似ているかもしれない。
「なるほど」
アマルは興味津々な様子で、一心不乱にメモとスケッチを行っていた。
しかし、こんなモノを食べたところで、本当に不老長寿になれるのだろうか?
寝て起きたら食料が手に入る。
そう考えると、たしかに凄い能力だとは言わざるを得ない。
けれど、まるまる一個をきちんと完食した後でも、特段これといった肉体の変化は感じられなかった。
「ご主人様、では次は、こちらもお召し上がりになられてみては……?」
「なんか、とぉっても、美味しそうです……」
「はい! はい! よろしかったら、ジルが食べてみたいです!」
「んー……まあ、興味があるなら」
「すみません。わたくしもひとつ、良いでしょうか?」
「アマルまで? 構いませんが、後でお腹を壊しても、俺は責任取れませんよ」
なんて言っているあいだに、四人はそれぞれ果実へと手を伸ばす。
五十センチほどの白ミル貝。
女性が「わぁ」と感嘆した顔で触っていると、そういうコトを想像してしまう。
無表情を貫き平静を装いながら、しっかり直視させてもらった。
まず、最初に勇気を出したのは双子の妹、メルティオラだった。
「あむっ……ン、スゴい、おっきい……」
果実の先端部分を口にくわえ、大きすぎるモノをおっかなびっくり舐めながらモグモグ。
サイズに瞠目しながら、それでもやはり味は美味しいのか、次第に病み憑きになった様子で喉を鳴らしていく。
唇から零れる乳白色の果汁が、顎を伝い首筋を流れ、鎖骨の窪みに溜まったのち、峡谷のように深い谷間へ。
(エッロ……)
視線が吸い込まれるが、そんな俺の目の前で、今度は姉のミルキオラが果実を食す。
しかし、ミルキオラの選んだ果実は果汁が豊富だったのか、歯を突き立てた瞬間にドピュッ! と中身が溢れ、顔面へかかった。
「きゃっ! ……もぉ〜! あ、でもホントだ。これ、すっごく甘い……」
唇の端に垂れた乳白色を、ミルキオラは舌を伸ばしてペロリと舐めとった。
果汁は胸元にまで飛んでいて、召使い用の上衣がぴったり肌に張り付いているが、それがまた凄まじくエロかった。
褐色の肌に白は映える。
一方で、ジルはミルキオラと違い器用だった。
「ン、ちゅっ、ジュルル! ン〜〜♪」
溢れ出る果汁を、一滴も零さない。
手で握り、押し出し、中身をゴックン、ゴックンと嚥下しながら、最後まで吸い出し綺麗に飲み切る。
よほど美味しかったのだろう。
黄色い猫目が自然と細められ、顔は恍惚に染まっていた。
その後は、まさに無我夢中といった様子で、果実を何度も口の中に含む。
アイスキャンディーの棒を、アイスが無くなった後でも舐め続けてしまうかのように、名残惜しげに。
では、アマルはどうだろうか?
わずかな期待とともに視線を送ると……
「このままだと大きすぎますね。わたくしはナイフで、カットして食べます」
「オイ嘘だろやめろ!」
「!? え、べ、ベンジャミンさん、すみません。わたくし、何かマズかったでしょうか?」
「──あ、いえ。すみません、私の方がなんでもありません。どうぞそのまま、気にせず」
「は、はぁ……」
思わず叫んでしまったコトで、アマルをだいぶビックリさせてしまったものの、
刃を差し込まれ、身肉を切り落とされる我が半身。
(いや半身じゃないが)
美少女三人の食べっぷりに、思わずそういうコトを想像していたので、脳が錯覚している。
高まりかけていた静かな興奮に、冷や水をかけられた気分だった。
ともあれ、
「別に、どうってコトないですよね? オマエたちも、そうだろう?」
俺は自分の身に何も変化が無いコトから、四人も同様だろうと質問した。
瞬間、
「うっ、これは……?」
「ハァ、ハァ……」
「カラダが、アツい……」
「ァ、ご主人、様……!」
「な──どうしたんだ、いったい……?」
女性陣全員が、突然、上気した頬になって呼吸が乱れ始め、ねっとりした視線で俺を見つめてきた。
そればかりか、部屋の中が次第にムワムワした熱気に包まれていく。
いや、違う。
「体温が、上がって……?」
「べ、ベンジャミンさん」
「アマル。これは、もしかして……」
「どうやら、
「「どういう、コトですか……?」」
「んにゃあ……ジル、カラダがぽかぽかして来ちゃいました〜」
「──媚薬。しかも、神々の!」
アマルが大声を発し、どさりと凭れかかって来る。
「あっ! ズルいですよ〜、アマル様! ベンジャミン様は、ジルたちのご主人様なんですから〜!」
「こ、こらっ、ジル! そんなふうに、ベタベタしちゃダメっ」
「お、お姉ちゃん。でも私も、もう我慢できない!」
「アッ、メルティまで……!」
見目麗しい女性たちが、切なげに身悶えしながら、しなだれかかってくる。
俺の興奮は復活した。
なんだか頭がクラクラする。
ただ分かったのは、股間に感じる常ならざる怒張。
(アムブロシア……不老長寿って、そういう意味だったのかよ──!)
要は精力剤じゃねぇか。
正気が消えて理性が吹き飛ぶ。
「ヤるぞ」
「「「「っ、ゴクリ」」」」
……その後は、何日ぶっ通しでセックスしただろう?
俺たちは今年の冬、めちゃくちゃに交じり合い続けた。
黄金を稼いでおいたおかげで、食い扶持には何も困らなかったし、朝起きればアムブロシアが生っているので、疲れも知らなかった。
やる気、元気、精気、根気。
あらゆるモノを回復させ、スタミナまで持続させる神の果物。
アマルは後にこう語る。
〝女神ウルティの祝福は、男女間の愛を爆発させ、夫婦の子作りを応援する──まさに繁栄と豊穣をもたらす祝福だったのですね〟
つまり、そういうことだ。
春、俺が四人を……いや、それ以上の人数を養うため、更なる仕事をこなすようになったのは、言うまでもない。
宿場町デザダルの傭兵、ベンジャミン。
気心知れた仲間たちは、以降、俺を『絶倫』と呼び敬意を表した。
西方大陸の南東部では、もしかすると何処かで、吟遊詩人もが歌っているかもしれない。
恥ずかしいから、もし耳にしたら気にせず素通りしてくれると助かる。
間違っても、コインは払わないでくれよ?
「それじゃあ、また」
完結にします!
ご拝読ありがとうございました!
元々短編予定だったのと、ベンジャミンの人生で書きたいコトは、だいたい書けたので……
嬉しいコメント、感想、評価ありがとうございました!
以下は宣伝です。
●同じ世界観(ノリは違います。ただしより濃密です)
ヰ世界の歌 夜明け前のダークエルフ 王道硬派な大河ファンタジーの世界で一歩から始める人外愛譚
●スターシステム(黄金周り)
【完結】邪神系TS人外黄金美女が古代神話世界でエルフ帝国を築くまで