再転生した元神は転スラの世界へ   作:さすらいの旅人

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転スラのアニメ見てて思わず更新しました。


人間(リューセー)と魔物(リムル)の旅路④

 三日後。

 

 リムルは魔国連邦(テンペスト)の代表としてブルムンド国王と会談を行い、両国間の条約が締結された。

 

 締結された内容は二つある。

 

 一つ、魔国連邦(テンペスト)とブルムンド王国の相互安全保障。

 

 一つ、魔国連邦(テンペスト)とブルムンド王国の相互通行許可。

 

 先ず相互安全保障については、魔国連邦(テンペスト)側にとって受けられる恩恵のメリットが少ない。

 

 ブルムンド王国は小国で国力が弱く、魔物への対策は自由組合(ギルド)との協力で成り立って何とかなっている。故に互いの国家に危険が迫った場合、可能な限り(・・・・・)協力する事になっても、主に魔国連邦(テンペスト)側の負担が圧し掛かるのが明白だった。

 

 これは当然リムルも理解しているのだが、敢えて受け入れた。相手の信頼を買おうと、簡易宿と武具を整備できる施設を用意すると落とし所を提案したのだ。

 

 次に相互通行許可は、相互安全保障と違って大きな益がある。

 

 魔国連邦(テンペスト)に人間が来て友好的になれば、魔物も人間の町に赴けるようになり、リムルからすれば大きな一歩となるので願ってもないのだ。

 

 その他に、商人が魔国連邦(テンペスト)に入る時の関税が難関だった。互いの利権が絡む内容なので少し揉めていたのだが、これはブルムンド王国側が折れる結果となる。一つ目の相互安全保障でリムルが折れてくれたのであれば、今度は此方が折れる番だと。

 

 これらの内容が纏まった上で、ブルムンド王国と魔国連邦(テンペスト)の条約は正式に締結される。―――と言うのが、表向きの流れだった。

 

 

 

 

 

 

「ちっくしょ~~~! 騙されたぁぁ~~!!」

 

「だから言っただろう。向こうが自分達に有利な状況へ運ぶ交渉をするかもしれないって」

 

 会談を終えた後、部屋に戻ったリムルはガツガツと自棄食いをしていた。多めにある筈の料理がどんどん平らげられても、隆誠は慌てる事無く『収納用異空間』から新たな料理を取り出している。

 

 こうも憤慨しているのは、今回締結された相互安全保障には裏があったのだ。

 

 脅かす存在は何も魔物だけでなく、周辺の他国も含まれているので、魔国連邦(テンペスト)は協力に応じなければならない。例えばブルムンド王国の隣にあるファルムス王国、もしくは覇権主義である東の帝国など。

 

 ブルムンド王国が一番に恐れているのは他国の侵略であり、その備えとしてリムル達を防波堤にしようと、本当の目的を気付かせないよう暈しながら条約締結させる事に成功したと歓喜しているだろう。

 

 因みに隆誠は彼等の魂胆に薄々気付いていたが、助言などは一切していない。今回は一切口出しはしないと事前に言ったので、条約の内容についての確認など一切せず見守るだけのスタンスを終始貫いていた。

 

「それで、この後はどうする? 貴方がこのままやられっぱなしで済ませるとは到底思えないのだが」

 

「……ふぅっ。実はちょっとした意趣返しをしようと思ってな」

 

 リムルはデザートを完食した後、(隆誠が作った)『特製蜂蜜酒』を飲んで漸く落ち着いた。用意したニ~三人分の料理を全部食べ切るのは凄いなと隆誠は内心驚いていたが。

 

「意趣返し、ねぇ。もしや向こうが馬鹿な真似をしないよう威圧でもするのか?」

 

 条約を結んだのを良い事に、相手側に無茶な要求をする権力者(にんげん)がいる事もある。ブルムンド王国は小国と言っても、王族や貴族の中に『相手は魔物だから問題無い』と愚かな考えを持つ者がいるかもしれない。

 

「いやいや、そんな事しないって! 騙されたとは言っても、別にそこまで怒ってないから!」

 

「それは失礼した」

 

 リムルが騙された事に負の感情を抱いていない事に、隆誠は内心安堵した。

 

 目の前にいるスライムがその気になれば、ブルムンド王国を簡単に滅ぼす事が出来る力を持っている。そうならないよう少しばかり少しばかり警戒していたが、どうやら杞憂に過ぎなかったようだ。

 

「では一体何をする気なんだ?」

 

「ふっふっふ。実はコレを使おうと思ってな」

 

 そう言ってリムルが懐からある物を出しながら、得意気な表情で意趣返しの内容を話した後――

 

(何かそれはそれで不味いような気がする)

 

 ある意味、威圧よりも被害を甚大なものにするのではないかと懸念を抱く隆誠だった。

 

 

 

☆

 

 

 

 翌日。

 

 リムルが考えた意趣返し――回復薬(ポーション)の販路確保による実演販売を行った結果、ブルムンドは魔国連邦(テンペスト)の大きな秘密を抱えることになる。

 

 魔国連邦(テンペスト)の特産品『完全回復薬(フルポーション)』の性能を見せようと、会談前に協議をしたベルヤード男爵の館へ訪れた。その際にフューズと、先日リムルの相手をした試験官のジーギスも連れて。

 

 何故ジーギスも一緒なのかと疑問に思われるだろうが、失った片足を『完全回復薬(フルポーション)』で再生させる実演をしてもらう為なのだ。使用した結果、先程まで付けていた義足が外れて、本物の片足がみるみる内に復元する事に成功。

 

 間近で見ていたベルヤードとフューズは当然驚愕し、ジーギスも同様の反応を示しながらも自力で歩けることになった事で大いに喜んでいた。

 

 これによってリムルが目的の一つとしていた上位回復薬(ハイポーション)を定期的に降ろす事が決まり、ブルムンドは魔国連邦(テンペスト)との繋がりを大事にしようと改めて決意したのは言うまでもない。

 

 

 

 

「軽い意趣返しのつもりだったけど、思ったより深刻な空気になってたな」

 

「それはそうだろう」

 

 昨日と違ってゆっくりと隆誠の手料理を食べているリムルだが、フューズ達の反応を見た事でやらかしてしまったと少しばかり後悔していた。

 

「まぁ、結果的に良かったかもしれないな。今後ブルムンドが魔国連邦(テンペスト)を蔑ろにする態度は取らない筈だ」

 

 上位回復薬(ハイポーション)を販売すれば大きな利益を得られるので、その波に乗っかっている際、もし繋がりが断たれたら当然損失も大きくなる。故にブルムンドは魔国連邦(テンペスト)に頭が上がらなくなってしまい、是が非でも関係を維持しようとするのが目に見えてる。

 

「だがリムル、今後はもうあんな事するなよ」

 

「わ、分かってるって」

 

 前々からカイジンやべスターより指摘されていたリムルだが、フューズ達の反応を見た事で、『完全回復薬(フルポーション)』が如何にとんでもない性能であるかを漸く理解した。

 

 相手が小国のブルムンドだから良かったものの、これがもし次に行く大国と名高いイングラシア王国に同じ事をしたら、向こうは絶対良からぬ事を企てていただろう。

 

 リムルも流石にそれは分かっているようで、販路を確保したいからと言って、不用意に『完全回復薬(フルポーション)』を披露しないと決めている。

 

「なら良い。それはそうと、明日にイングラシア王国へ行くのか?」

 

「ああ。もう此処の用事は済んだからな」

 

「そうか。貴方と一緒にいられるのは残り僅か、か」

 

「おいおい、そんな事を言わないでくれよ」

 

 隆誠が元の世界へ戻る為に別行動を取ろうとする事を知っているリムルだが、それが近づいてきたと分かった瞬間に寂しい気持ちになってしまうのであった。




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