三日後。
リムルは
締結された内容は二つある。
一つ、
一つ、
先ず相互安全保障については、
ブルムンド王国は小国で国力が弱く、魔物への対策は
これは当然リムルも理解しているのだが、敢えて受け入れた。相手の信頼を買おうと、簡易宿と武具を整備できる施設を用意すると落とし所を提案したのだ。
次に相互通行許可は、相互安全保障と違って大きな益がある。
その他に、商人が
これらの内容が纏まった上で、ブルムンド王国と
「ちっくしょ~~~! 騙されたぁぁ~~!!」
「だから言っただろう。向こうが自分達に有利な状況へ運ぶ交渉をするかもしれないって」
会談を終えた後、部屋に戻ったリムルはガツガツと自棄食いをしていた。多めにある筈の料理がどんどん平らげられても、隆誠は慌てる事無く『収納用異空間』から新たな料理を取り出している。
こうも憤慨しているのは、今回締結された相互安全保障には裏があったのだ。
脅かす存在は何も魔物だけでなく、周辺の他国も含まれているので、
ブルムンド王国が一番に恐れているのは他国の侵略であり、その備えとしてリムル達を防波堤にしようと、本当の目的を気付かせないよう暈しながら条約締結させる事に成功したと歓喜しているだろう。
因みに隆誠は彼等の魂胆に薄々気付いていたが、助言などは一切していない。今回は一切口出しはしないと事前に言ったので、条約の内容についての確認など一切せず見守るだけのスタンスを終始貫いていた。
「それで、この後はどうする? 貴方がこのままやられっぱなしで済ませるとは到底思えないのだが」
「……ふぅっ。実はちょっとした意趣返しをしようと思ってな」
リムルはデザートを完食した後、(隆誠が作った)『特製蜂蜜酒』を飲んで漸く落ち着いた。用意したニ~三人分の料理を全部食べ切るのは凄いなと隆誠は内心驚いていたが。
「意趣返し、ねぇ。もしや向こうが馬鹿な真似をしないよう威圧でもするのか?」
条約を結んだのを良い事に、相手側に無茶な要求をする
「いやいや、そんな事しないって! 騙されたとは言っても、別にそこまで怒ってないから!」
「それは失礼した」
リムルが騙された事に負の感情を抱いていない事に、隆誠は内心安堵した。
目の前にいるスライムがその気になれば、ブルムンド王国を簡単に滅ぼす事が出来る力を持っている。そうならないよう少しばかり少しばかり警戒していたが、どうやら杞憂に過ぎなかったようだ。
「では一体何をする気なんだ?」
「ふっふっふ。実はコレを使おうと思ってな」
そう言ってリムルが懐からある物を出しながら、得意気な表情で意趣返しの内容を話した後――
(何かそれはそれで不味いような気がする)
ある意味、威圧よりも被害を甚大なものにするのではないかと懸念を抱く隆誠だった。
☆
翌日。
リムルが考えた意趣返し――
何故ジーギスも一緒なのかと疑問に思われるだろうが、失った片足を『
間近で見ていたベルヤードとフューズは当然驚愕し、ジーギスも同様の反応を示しながらも自力で歩けることになった事で大いに喜んでいた。
これによってリムルが目的の一つとしていた
「軽い意趣返しのつもりだったけど、思ったより深刻な空気になってたな」
「それはそうだろう」
昨日と違ってゆっくりと隆誠の手料理を食べているリムルだが、フューズ達の反応を見た事でやらかしてしまったと少しばかり後悔していた。
「まぁ、結果的に良かったかもしれないな。今後ブルムンドが
「だがリムル、今後はもうあんな事するなよ」
「わ、分かってるって」
前々からカイジンやべスターより指摘されていたリムルだが、フューズ達の反応を見た事で、『
相手が小国のブルムンドだから良かったものの、これがもし次に行く大国と名高いイングラシア王国に同じ事をしたら、向こうは絶対良からぬ事を企てていただろう。
リムルも流石にそれは分かっているようで、販路を確保したいからと言って、不用意に『
「なら良い。それはそうと、明日にイングラシア王国へ行くのか?」
「ああ。もう此処の用事は済んだからな」
「そうか。貴方と一緒にいられるのは残り僅か、か」
「おいおい、そんな事を言わないでくれよ」
隆誠が元の世界へ戻る為に別行動を取ろうとする事を知っているリムルだが、それが近づいてきたと分かった瞬間に寂しい気持ちになってしまうのであった。
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