まずは華やかなステージ。
ステージが終わったところで『VRアトラクション』終了のはずなんだけど何故か終わらなくて。
学生さんとお仲間さんはVRの中を探検? スタート……、そんなお話。
第29話は、第1幕~第10幕、の10回に分けて公開します。
第1幕:前日
第2幕:当日~アトラクションスタート
第3幕:ライブ~扉の先へ
第4幕:ねばねばトラップ
第5幕:コインランドリーとお風呂屋さん
本作は今野隼史(辺境紳士社交場)・アークライトの『のびのびTRPGザ・ホラー』の二次創作です。
ソロプレイのルール「カードをもとに物語を書く」に従って記した二次創作です。
登場人物の名前は『立場(的なもの)』から決めているので、
『女子高校生 → 学生』、『その友達 → お仲間』、となっています。
先に記しとく設定、
学生(主人公)とお仲間、は女性、
作中の「ダリル」は通貨単位、1ダリル=1円くらい、
と言うことで。
使った(引いた)カード
キャラクター:女子高校生
イントロダクション:VRの筐(はこ)
シーン1:ねばねば
カード1:闇:ネット配信中
シーン2:荒れ果てた公園
カード2:闇:江戸から来た
シーン3:決闘
カード3:闇:恐ろしきは人
シーン4:浄化された魂
カード4:光:カレー好き
シーン5:ショッピングモール
カード5:闇:霊能力者(NPC)
クライマックス:世界の希望
クレジット
ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.
第3幕:ライブ~扉の先へ
「準備が整いましたのでアトラクションを開始します。
みなさま、どうぞお楽しみください」
責任者さんの声が聞こえました。
本当にどんなことになるんだろ?
思ってすぐ、カプセルの扉が両側からスライドして閉まり始めました。
扉が閉まり始めてカプセルの中から見える外が狭くなって、細い光になって、扉が全部閉まって、真っ暗になりました。
真っ暗になったカプセルの中で、
「真っ暗だね」
お仲間ちゃんが言って、
「うん、真っ暗」
私が答えます。
まだ始まらないのかな?
そう思ってすぐです。
私たちの周りが白く輝きました。
光に包まれて、すぐに光は治まりました。
私は薄暗い部屋に立ってました。
これってどう言うことなのかな?
「今の何なの?」
お仲間ちゃんの声の方を見て、お仲間ちゃんが立ってます。
ん? 立ってます?
カプセルの中で座ってたのに……。
つまり、
「アトラクション、もう始まってるみたいだね」
お仲間ちゃんに言います。
「え!? 始まってる!?」
返ってきたお仲間ちゃんの声には驚きが入ってます。
「ほら、カプセルの中に座ってたのに」
お仲間ちゃんは立ってるのを確認して、まわりを見て、
「ほんとだ、これ、始まってるね」
そう返ってきました。
私もまわりを見ます。
部屋はかなり広くて、天井は高くて、体育館くらいはありそうで、でも丸い部屋です。
床は濃いグレーで、壁は明るいグレーで、天井も明るいグレーです。
壁をぐるっと見ると、出入り口っぽいのはありません。
「これじゃぜんぜん楽しくないね」
お仲間ちゃんに言います。
「だね、
……うん、楽しいこと考えたらどうかな?」
お仲間ちゃんから返ってきた言葉。
アトラクションは思ったことが反映されるから……。
上手く行くと思います。
だから、
「それじゃ明るくて楽しいこと!」
私が言って、
「あと、テンション上がること!」
お仲間ちゃんが言いました。
お仲間ちゃんの言葉が終わった瞬間、またまわりが白く光りました。
光は今度もすぐに治まりました。
光が治まって、私はまた座ってました。
でもカプセルのソファじゃないです。
横を見るとお仲間ちゃんがやっぱり座ってます。
「今度はなに?」
お仲間ちゃんの声を聞きながらまわりを確かめます。
まわりは暗くて、しっかりとは見えなくて、でも人の気配がします。
正面には……、ステージがあって、ステージの奥に大きなビジョンがあります。
ビジョンには『3min』とあります。
お仲間ちゃんもまわりを見て、
「ステージ? ショーか何かかな?」
把握しようとしてます。
「うん、『明るくて楽しくてテンション上がること』だね」
「そうだよね、そんな感じになるね」
お仲間ちゃんの言葉の間にビジョンは『2min』になってます。
「あと2分?」
尋ねられて、
「だね」
答えます。
「よし」
お仲間ちゃんが言ってふたりでビジョンを見て待ちます。
『60』になりました。
そこからは『59』になって『58』になって、数字が減るたびにまわりの熱気が上がるように感じます。
『30』をすぎて『20』をすぎて、客席からカウントダウンの声が上がります。
「「「10、9、8、7、6」」」
「「「5!」」」
「「「4!」」」
「「「3!」」」
「「「2!」」」
「「「1!」」」
ゼロ、でステージに光があふれ出しました。
客席から大きな歓声が上がります。
同時に音楽が始まります。
よーく知ってる曲です。
「え!? これって!?」
お仲間ちゃんは困惑してます。
でもすぐに、
「あのアニメ、だよね!」
「うん! 絶対ね!」
言葉を交わします。
私たちの間では超大人気のあのアニメのOP主題歌です。
もうすぐ前奏が終わり、のところでメインの5人がステージに出てきました。
また大きな歓声が上がります。
前奏が終わって、ボーカルが入って、会場のテンションが一気に上がります。
たくさんの歓声が上がって、たくさんの色が客席で揺れます。
ペンライトが輝いてます。
?
手に何かの感触があります。手を見るとペンライトを握ってます。
隣を見るとお仲間ちゃんもペンライトに気がついたみたいです。
お仲間ちゃんを見てた視線がお仲間ちゃんの視線と合いました。
「「うん!」」
お互いに大きくうなずきます。
後はもちろん決まってます。
ペンライトを持つ手を振ります!
主題歌だけでテンションが跳ね上がります!
主題歌が終わってテンションが落ち着こうとして……、
落ち着きませんでした!
主人公のキャラソンです!
またテンションが上がります!
ステージに飲み込まれます!
主人公のキャラソンが終わって、すぐに次、ライバルのキャラソンです!
もちろんテンションが上がって、テンションの上限いっぱいです!
5人のキャラソンが続いて、テンションは下がりません!
そんなのだったから5人の曲が終わったところで頭の中が真っ白になりました。
上がってたテンションがいくらか落ち着きました。
でもステージは続きます。
今度はいくらか落ち着いた曲が続きます。
だからいくらか落ち着いたテンションでステージに意識を集中させます。
でも、もちろん落ち着いたままなんてことはなくって。
『5人集合』の曲が始まりました!
アップテンポで気持ちが持ち上げられます!
ペンライトを持つ手に力が入ります!
そこから何曲かの後、ED主題歌が始まりました。
これがラストかな?
そう思いながらペンライトを振って、曲が終わりました。
いっぱい楽しんだのに、残念とか、さみしいとか、思います。
でもまだ終わりじゃありませんでした。
アンコールです!
会場にアンコールを期待する声援があふれます!
もちろん5人がステージに現れてラストの曲が始まります!
客席から次々に歓声が上がります!
いろんな光が客席で揺れて、私もペンライトを揺らします!
曲が終わって、最後にとてつもなく大きな歓声が上がって、ライブが終わりました。
ステージが静かになって、客席も静かになります。
照明が消えて真っ暗になりました。
真っ暗になって、でもすぐに明るくなりました。
明るくはなったけど……、薄暗いです。
グレーの丸い部屋に立ってました。
すぐそばにお仲間ちゃんが立ってます。
「あれっ?
今のって……」
何が起こったの? そんな感じです。
「すごかったね!
最っ高のライブだよ!」
私が言って、
「え!? やっぱり!?
これがVR!?
これってすごいよ!」
お仲間ちゃんが力の入った声で言いました。
最高のライブを体感して、アトラクション、どれくらい時間経ったのかな?
腕時計に目をやると始まってから1時間と少しが経ってました。
「あれ?」
どう言うことかな?
「どうしたの?」
尋ねられて、
「もう1時間すぎてる」
そう答えました。
お仲間ちゃんも腕時計を見ます。
「本当だ、すぎてる。
?
通知、気づかなかったのかな?」
言いながらお仲間ちゃんはインフォメーション端末を取り出します。
「?
来てないね。
学生ちゃんは?」
私もインフォメーション端末を出します。
表示を見て、
「私も来てない」
そう言います。
「どう言うこと?」
お仲間ちゃんが疑問を口にします。
「どう言うことかな……」
つぶやいてからひとつ思い浮かびました。
「アトラクションの中だと1時間すぎてるけど、本当はまだ1時間すぎてないとか、かな?」
思ったことを言葉にしました。
「うん、それってあり得るね。
だったらまだ楽しめるってことか……」
私の言葉にお仲間ちゃんが言います。
「でも、まずここから出ないとダメだね」
お仲間ちゃんが部屋をぐるりと見て、私もぐるりと見ます。
薄暗い丸い部屋の壁、ドアとか扉とか、そんなのは何もありません。
……困ります。
「出口がない……。
これってやっぱり『出口』って思ったら良いかな?」
お仲間ちゃんが言って、
「その通りだよ!
思った通りになるんだから」
私はもちろん賛成です。
「よし、それじゃ『出口』って考えよう」
「うん」
うなずいてから、
「じゃ、行くね」
お仲間ちゃんとタイミングを合わせて『出口』って考えました。
「どうかな?」
私が言って、
「どうだろ?」
お仲間ちゃんが言います。
声を交わしてすぐです。壁の全部が白く光りました。
光はすぐに落ち着いて、消えました。
光が消えた後の壁にはたくさんの『出口』っぽいのがありました。
ドア、扉、シャッター、いろんな種類の、
大きいの、中くらいの、小さいの、いろんな大きさのがあります。
「上手くいったね」
「うん、上手くいった」
お仲間ちゃんの言葉に答えます。
「でも、どれが良いかな?」
たくさんありすぎて疑問が湧きます。
「これだけあると悩むね」
言いながらお仲間ちゃんは壁に近づきます。
私も近づきます。
壁のすぐそばに立って、
「とりあえず1周してみる?」
提案します。
「それ良いね」
お仲間ちゃんはOKで、だから壁に沿って歩き始めました。
壁に沿って歩いて、本当にいろんなドアとかがあります。
小さいのだと、かがまないと通れそうにないドア。大きいのだと、天井の近くまであるシャッター。
そうして見て行くと、とっても大きな、巨大な扉がありました。
高さは天井まで、幅は自動車が5台くらいならんでもきっと余裕です。
そんなのもあって、ほかにもいろいろあって、壁を1周しました。
「どれが良いかな?」
お仲間ちゃんに尋ねて、
「せっかくだからいちばん大きなのはどうかな?」
そう返ってきました。
お仲間ちゃんの視線が『自動車が5台』の扉に向きます。私の視線も向きます。
「私は……、賛成」
「よし、決まり」
私が言ってお仲間ちゃんが言って、ふたりで大きな扉に近づきます。
改めて見ると本当に大きな、巨大な扉です。
扉の全部を見て、この扉は真ん中から左右に開くみたいです。
でも、どうやって開けるのか……。
扉に沿って歩きます。
歩いて扉の端になって壁になります。
お仲間ちゃんが立ち止まりました。私も立ち止まります。
「これ、だよね」
お仲間ちゃんの視線の先にボタンがふたつあります。
ひとつには『開』とあって、もうひとつには『閉』とあります。
「絶対これだね」
これしかないと思います。だから同意します。
「それじゃ、押してみよう」
「うん」
私の返事の後お仲間ちゃんが『開』を押しました。
ガコン
扉が鈍い音をたてました。
重たい音をさせながら扉が真ん中で分かれて左右に動き始めます。
扉はゆっくりと動いて、ゴゴゴゴ、とやっぱり低い重たい音がします。
両側に開ききって、また、ガコン、と鈍い音がして扉が止まりました。
開いた扉の向こう側はやっぱり薄暗くて、床も壁も天井もグレー、この部屋と同じです。
幅は扉と同じで自動車5台分よりも広いです。
天井は部屋と同じ高さで十分すぎる高さです。
奥行きは……、ずっと先に続いてて通路? になってるみたいです。
「これは……、行くしかないね」
私と同じ、扉の向こう側を見てたお仲間ちゃんが言いました。
「行くしかないよね」
お仲間ちゃんを見て、お仲間ちゃんが私を見て、目が合って、
うん、
うなずきました。
続
ようやくVRが始まりました。
ライブステージをバーチャル体験した学生さんとお仲間さん。
この先はVRの中を探検します。
探検の先に何があるのか? そもそもゴールはあるのか?
次回は『幻想!テーマパーク! 第4幕』です。
では、今後ともご贔屓のほどよろしくお願い致します。