思ったことが体験できるアトラクションだから、思ったことを体験することになって。
ダンジョンにはお約束のトラップ? を体験することに。
トラップの先で何が起こるのか……、そんなお話。
第29話は、第1幕~第10幕、の10回に分けて公開します。
第1幕:前日
第2幕:当日~アトラクションスタート
第3幕:ライブ~扉の先へ
第4幕:ねばねばトラップ
第5幕:コインランドリーとお風呂屋さん
本作は今野隼史(辺境紳士社交場)・アークライトの『のびのびTRPGザ・ホラー』の二次創作です。
ソロプレイのルール「カードをもとに物語を書く」に従って記した二次創作です。
登場人物の名前は『立場(的なもの)』から決めているので、
『女子高校生 → 学生』、『その友達 → お仲間』、となっています。
先に記しとく設定、
学生(主人公)とお仲間、は女性、
作中の「ダリル」は通貨単位、1ダリル=1円くらい、
と言うことで。
使った(引いた)カード
キャラクター:女子高校生
イントロダクション:VRの筐(はこ)
シーン1:ねばねば
カード1:闇:ネット配信中
シーン2:荒れ果てた公園
カード2:闇:江戸から来た
シーン3:決闘
カード3:闇:恐ろしきは人
シーン4:浄化された魂
カード4:光:カレー好き
シーン5:ショッピングモール
カード5:闇:霊能力者(NPC)
クライマックス:世界の希望
クレジット
ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.
第4幕:ねばねばトラップ
「これは……、行くしかないね」
私と同じ、扉の向こう側を見てたお仲間ちゃんが言いました。
「行くしかないよね」
お仲間ちゃんを見て、お仲間ちゃんが私を見て、目が合って、
うん、
うなずきました。
扉の向こう側に1歩、足を出します。
向こう側を踏んで、何も起こりません。
もう1歩、これで完全に扉を越えました。
やっぱり何も起こりません。
お仲間ちゃんと私、お互いを見て、
「大丈夫みたいだね」
私が言って、
「大丈夫、だね」
お仲間ちゃんが言いました。
「それじゃ行こっか」
また私が言って、
「よし、行こう」
またお仲間ちゃんが言いました。
ふたりで歩き始めます。
広い通路はまっすぐ続いてるみたいです。
でも先は見えなくて、どこまでも続いてるみたいです。
10分くらい歩いて、
「何もないね」
思ったことが声になりました。
「うん、何もない」
お仲間ちゃんから言葉が返ってきました。
「歩くしかないね」
今度はお仲間ちゃんが言って、
「そうだね」
私が返しました。
また10分くらい歩いて、
「本当に何もないね」
また言います。
「何かあったらおもしろいかな?」
お仲間ちゃんはそう言ってから、
「トラップとか、どうかな?」
言葉を加えました。
お仲間ちゃんに返します。
「トラップ……、
やっぱり落ちる系かな?」
「落とし穴とか、おもしろくないかな?」
お仲間ちゃんが言います。
「でも落ちてケガとかはいや、かな」
そんなところ、気になります。
でも言葉にしてすぐに思いつきました。
「下が水とかだったら大丈夫だね」
「うん、大丈夫だね。
でも……、水はシンプルすぎるかな。
もっとこう、何て言うか……、
水みたいだけど水じゃない、みたいな?」
お仲間ちゃんが言って、
「それ、おもしろそう」
私が答えます。
歩きながら答えて次の1歩を出して、
?
床が感じられません。
「え!?」
思った瞬間、体のバランスが崩れて……、
落ちました。
どぷんっ
落ちたけどそんなに高くはなかったみたいで、それに水だったから大丈夫でした。
「学生ちゃん! 大丈夫!?」
上の方からお仲間ちゃんの声。見上げるとお仲間ちゃんが私を見てます。
「うん、大丈夫」
お仲間ちゃんに答えます。
まわりを見て、穴、広さは5m×5mくらいで、高さは……、2mくらいです。
そんなに高くなくて、それに水だったから助かりました。
「落とし穴って言ったのが悪かったね」
お仲間ちゃんが言います。
「でも、水って言ったのは良かったかな」
言葉を返します。
水だったからケガはしなかったけど、体の全部、服の全部がしっかり濡れてます。
「あー、びしょびしょだよ……」
そう言ってから立ち上がろうとして……。
びしょびしょじゃなくって、ねばねばって言うか、どろどろって言うか、ぬるぬるって言うか……、これ、水じゃありません!
「えーっ!? なにこれ!?」
驚くしかありません。
「なに!? どうしたの!? 大丈夫!?」
私の声にお仲間ちゃんから慌てるような心配するような声が返ってきます。
状況を端的に言います。
「うん、大丈夫だけど……、大丈夫じゃない、かな?」
「どう言うこと?」
尋ねられます。
「これ、水みたいだけど、水じゃない」
「水じゃない?」
もう一度尋ねられます。
「水じゃなくて、ねばねばって言うか、どろどろって言うか、ぬるぬるって言うか、とにかく水じゃない」
ねばってして、どろってして、ぬるってして、気持ち悪いです。
「『水みたいだけど水じゃない』って言ったのが悪かったね」
お仲間ちゃんが言って、
「……だね」
同意しました。
「こっちにはしごあるよ」
お仲間ちゃんが指した方、穴の端にはしごがありました。
はしごに向かおうとして、
「あ、ちょっと待って」
そう言われて足を止めました。
「どうしたの?」
お仲間ちゃんに視線を向けるとインフォメーション端末を取り出してます。
インフォメーション端末を私に向けて、
「後ろ、向いてくれるかな」
お仲間ちゃんに言われて後ろを向きます。
「うん、こっち向いて」
言われて元の方を向きます。
「ちょっと違うかな、
1周まわる感じでおねがい」
お仲間ちゃんが言う通りその場でまわります。
「んー、もうちょっとゆっくりが良いかな」
もう1回まわりながら、
「お仲間ちゃん、これって何なの?」
尋ねます。
「いいから、いいから、
もう2回、良いかな?
これで最後」
「本当に何なの?」
言いながらまわります。
まわり終わって、
「よし、OK!」
お仲間ちゃんが言いました。
「もう良いよね?」
尋ねます。
「うん、ばっちりだよ」
何がばっちりか分からないけど、もう良いみたいだからはしごに向かいます。
手も足ももちろんしっかりねばねばだから、滑らないように気をつけてはしごを登ります。
いちばん上まで登って元の高さに戻りました。
穴の際に立ってるお仲間ちゃんに近づきます。
「うわー、本当にねばねばだね」
そう言われて、
「うん、ねばねばで気持ち悪い」
お仲間ちゃんに答えます。
「でも、大当たりだね」
「大当たり?」
何が大当たりなんだろ? 分かりません。
そんな私にお仲間ちゃんがインフォメーション端末の表示を向けてくれました。
表示を見ると動画再生モードになってます。
すぐに再生が始まりました。
穴の底のねばねばの中にねばねばの私がいます。
『後ろ、向いてくれるかな』
お仲間ちゃんの声です。
私が後ろを向きます。
『うん、こっち向いて』
元の方を向きます。
『ちょっと違うかな、
1周まわる感じでおねがい』
私がまわります。
『んー、もうちょっとゆっくりが良いかな』
もう1回、私がまわります。
『お仲間ちゃん、これって何なの?』
『いいから、いいから、
もう2回、良いかな?
これで最後』
『本当に何なの?』
私が2回まわって、
『よし、OK!』
お仲間ちゃんの声がして再生が終わりました。
「どうかな?」
尋ねられます。
「どうかな、って何が?」
分からないから私も尋ねます。
「うん、これ、ネネットに投稿したらウケるよ」
ネネットに投稿? ウケる?
「ウケるって?」
やっぱり分かりません。
「だって、女子一般校生のねばねば動画だよ。
絶対にウケる」
お仲間ちゃんは嬉しそうで自信もあるみたいです。
なるほど、どう言うことか分かってきました。
「誰にウケるの?」
確認します。
「もちろんねばねばの女子一般校生が好きな人!
間違いなくウケるね」
お仲間ちゃんはやっぱり自信があるみたいです。
でも私はもちろんそう言うウケ方はしたくないです。
お仲間ちゃんはねばねばの穴のすぐそばに立っていて、背中を穴に向けてます。
私はお仲間ちゃんと向かい合ってます。
だから両腕を上げて、
「お仲間ちゃん、ごめんね」
言いながらお仲間ちゃんの両方の肩を、とんっ、と押しました。
お仲間ちゃんはバランスを崩して背中に倒れます。
「え!?」
そう驚きながら穴に落ちました。
どぷんっ
鈍い水音がしました。
穴の中を見ます。
「うわー、なにこれ、本当にねばねばだよ」
立ち上がりながらお仲間ちゃんが言います。
私は何も答えずにインフォメーション端末を取り出します。
インフォメーション端末を動画撮影モードにしてお仲間ちゃんに向けます。
「お仲間ちゃん、良いよね?」
「ん?」
お仲間ちゃんが私を見てくれます。
もちろんインフォメーション端末に気づいてくれて、
「2回まわって」
「うん」
ねばねばになったお仲間ちゃんがゆっくりとまわります。
「OK」
私はインフォメーション端末を降ろして、お仲間ちゃんははしごに向かいます。
はしごを登ってお仲間ちゃんはすぐに戻ってきました。
「学生ちゃん、ひどいよ。
あー、気持ち悪いー」
やっぱり何も答えずにインフォメーション端末を動画再生モードにします。
インフォメーション端末の表示をお仲間ちゃんに向けて見てもらいます。
再生が始まります。
『お仲間ちゃん、良いよね?』
『ん?』
『2回まわって』
『うん』
お仲間ちゃんが2回まわって、
『OK』
再生が終わりました。
「これも一緒に投稿だね。
絶対にウケる!」
お仲間ちゃんに笑顔を向けます。
「私はほら、撮るのは好きだけど撮られるのは苦手だから……。
……ネネットはなかったこと、だね」
分かってもらえました。
続
ダンジョンには落とし穴が良く似合う。
と言うことで、落とし穴に落ちて下には「ねばねばの何か」です。
撮った動画は「ねばねばの女子一般校生が好きな人」にウケるらしいですが、どのような隙間産業なのかと(以下略。
次回は『幻想!テーマパーク! 第5幕』です。
では、今後ともご贔屓のほどよろしくお願い致します。