大神殿で石化から目覚めた転生デボラさん。
目が覚めるとそこにはアベルと双子以外にビアンカ、ヘンリー、フローラ、アンディと本来この場にいるはずのない人たちがいて……!?
今回の話はかなりご都合主義ですが……まあ今更ですね。
なるほどな、ぐらいに受け止めていただければ。
マスタードラゴンに乗って──いや、乗っている船を運ばれてグランバニアに着いた私たちは一晩体を休めた後に国を挙げての宴を開くことになった。
暗いニュースが続いてからのようやく私を取り戻せたというニュースはグランバニア国民にとって当然喜ばしいもので、誰もが手を組み、肩を組み、酒を飲み交わす良い宴だった。
この宴には当然ヘンリー王子を含めたラインハットの兵たちやフローラとアンディも参加している。なので、10年前よりも賑やかに感じる。
……まあ10年前の宴では私は薬を盛られてどこぞのピーチ姫よろしく攫われていたから参加していないんだけどね。これを言うと絶対アベルが怖い顔をする気がしたので言わないけど。
私もこの空気を楽しんだ。だけどお酒は飲まなかった。果実水で妥協したわ。
なんで酒を飲まないのかって?それは……私の身体のせいというかなんというか。
簡単に言えばこの身体は石化した影響で出産して数日の状態を保っている。つまりまだ母乳が出ているってわけ。
まあ10年経ち母乳を飲ませる相手がいないのでお酒を口にしてもいい気はするのだけど、一応ね?母乳が止まるまではお預けね。
結局、レックスとタバサに直接授乳してあげられたのは
そうして宴を終えた翌朝……グランバニアの会議室に私たちは集まっていた。
この会議は私のためにと10年間に起きたことを各々が報告し合い、擦り合わせをする……という流れになっている。
参加者はアベルにビアンカ、フローラとアンディ、ヘンリー王子にサンチョと石化が解けた日にその場にいた人物ばかりだった。後はオジロン王──今は大臣だったわね──にドリス、仲間モンスター代表なのかピエールの姿も……ってあれ?
ただやはりというかサンチョがどことなくヘンリー王子を避けているような気がするのは……気のせいじゃないわね。まあ仕方ないわよね、パパスの死のキッカケになってしまった人物だし複雑な気持ちを抱えているのは原作で知っているから。
後、レックスとタバサがこの場にいないのは話が長くなるから子供には退屈だろうという判断なのと、別件で何かすることがあるらしい。本当なら離れ離れになっていただけ甘やかしてあげたいんだけどね。でも先に面倒事は片づけなくっちゃね。
……それはそれとして、アベルが時折すごく後悔した顔をしているのと、ビアンカがどことなく申し訳なさそうにしているのはどうしてかしら?
「じゃあ、これから10年前のあの日何があったのかを話していこうと思う。 俺たちもデボラにはいろいろと聞きたいことがあるから、その時は一度話を遮ることになるけど……」
「もちろん構わないわ」
色々と10年間の変化を感じるけど、これも話を聞いていけば分かってくるはず。
「じゃあ早速……あの戴冠式の日から今日まで何があったのか……」
そうしてアベルが語ったのは概ね原作と変わらない展開だった。
宴の席で振舞われた食事や酒に眠り薬が仕込まれ、アベルは忠告を受けていたのにも関わらず、こういう席で断るのは問題になると大臣に言いくるめられて何度か手をつけてしまい、眠りについてしまったと。
これについては私はアベルたちを責める気にはなれないわ。私も眠らされたわけだしね。大臣が上手いこと立ち回ったのか、はたまた原作の修正力という線もあるし。
一番気になっていたレックスとタバサの安否は、私が眠らされた後大臣の手のかかった使用人によって別室に移されていて魔物たちは気づかなかった……ということになったらしい。
詳しく聞けばアベルを亡き者にした後、大臣は次代の王として長年グランバニアを支えてきた自分が今後教育に務めると申し出て私から引きはがすつもりだったみたい。
まあやるだろうなとは思っていたけど、あの大臣ホントろくでもないこと企んでいたわね。
そしてその大臣はというと……
「え?生きているの?」
「はい……以来この10年間城の地下牢に投獄しております。起こした事が事だけに処刑を望む声が多かったのですが……」
「……俺も大臣は許せなかったけど、デボラが命を懸けて助けたのを知ったら、それは間違っているんじゃないかって思って……。本人も北の教会で会った時に激しく後悔していて、罪を償うと謝っていたから最終的な判断はデボラを救出してから下すつもりだったんだけどね」
とりあえず改心はしたってことかしら?でもこの感じだと一生牢の中ね。命があるだけよかったと思って欲しいわ。
「いや、あやつを増長させてしまったのは元はと言えば全てワシのせいじゃ。ワシがもっと王として相応しい人間であったなら、こんなことにはならなかったじゃろう」
「父様、そんなこと言っても無駄よ。既に済んだことだし、仮に父様に王としての威厳があってもアレは絶対裏でコソコソやってたに違いないわ。
魔物と組んで騙されて、デボラさんに助けられて
おお……ドリスは辛辣ね。いいぞもっとやりなさい。
まあこの辺りは立ち位置の違いよね。オジロンは頼れる家臣として見ていたけど、ドリスからは自分も
「元大臣の処遇はまた後で話し合いましょう。 それで、私がデモンズタワーから投げ捨ててキメラのつばさで逃がした後、北の教会でアベルと元大臣は会ったってことね」
「そうだね。さっきも言った通り、大臣の部屋に隠してあった道具で飛んだ場所に血の気の失せた大臣がいて、俺を見るなり土下座しだして……色々と白状したんだ。
その後は一度グランバニアに戻って大臣を牢に押し込んで急いでその北の塔……デモンズタワーに向かったんだ。それで頂上に近づくにつれて大きな音がして……頂上の部屋に辿り着いたらデボラが……ゲマに……石に変えられていて……」
「おいアベル、大丈夫か?」
「…………大丈夫だよヘンリー。 これは俺の問題だから」
……ああ、丁度私が石に変えられていたところだったってわけね。アベルの様子から見るに相当なトラウマになってしまったみたいね……。これも私がゲマに負けたせいね。
正直、ゲマは強かったわ。私が知る原作以上に。あんな熱線を使うなんて知らなかったし、ルーラで私の渾身の一撃を躱されるとは思いもしなかったわ。
「ゲマもデボラとの戦いの傷があって最初は優勢に戦えていたんだけど……追い詰められたゲマはデボラを人質に──」
「え」
「石になったデボラの首に死神のかまを当てて……動けばデボラは破壊されて死に、魂が地獄を彷徨うことになるって……脅されて……」
……うん、やっぱりパパスと同じ選択を迫られたわけね。そりゃあトラウマになるわよ。
ほら、聞いてるヘンリーも顔色が悪くなっているし。思い出しちゃったのね。
「それで痛めつけられた僕を庇ってプックルが倒れて、
「はぁ!?ピエールが死んだの!?」
嘘でしょ!?じゃあそこにいる
「それなんだけど……」
「アベル殿、その話は私からさせてください。 ……その間に少し心を休めてください」
そう言って話を引き継いだのはピエール?だった。
「お久しぶりですデボラ殿。 先程死んだと言われたピエールです」
「……生きてる、のよね?」
「はい。この場合、死んだのは……私の
そう言うピエールの全身をよく観察すると……騎乗しているスライムの色がちが──ああッ!!
「もしかして、今乗っているのはメタリンってこと?」
「その通りです。あの日、アベル殿と私、プックルとメタリンでデモンズタワーに挑み……
……へぇー、なにそれ知らない。スライムナイトってそういう設定だったの?
でもよかったわ。こうして生きて再会出来て。
再会出来なかった
「……しかし、それは些か遅かったのです。 私がメタルライダーになるまでに、ゲマはアベル殿を『このまま殺しては勿体ない』と言い、デボラ殿と同じように石に変え……そのままデボラ殿だけを連れてどこかへと去っていったのです」
「私だけを?両方置き去りにせずに?」
この辺りは変わっているようね。置き去りにされた後、どこぞの兄弟にアベルは売り払われて、私はどこかへ──という展開だったと思うのだけど。
「…………その辺り、デボラ殿にはお聞きしたいことがあるのですが、一旦置いておきましょう。
それから目覚めた私はプックルを回復し、
あっ!売られなかったのね!!良かった!!
意識のあるまま見知らぬ他人の子の成長を見せつけられて、目の前で攫われるなんて残酷な仕打ちを受けるアベルはいなかったのね!!
デモンズタワー突入パーティはアベル、プックル、ピエール、メタリンでした。
アベルがデボラ救出を急いだので全体的に素早さが高いメンバーが選ばれている……つもりです。
実は最初からこのスライムナイト→メタルライダーの配合(?)ネタは書きたかったのでようやく消化出来ました。
え?ドラクエ5でメタルライダーは仲間にならない?バトルロードにはいるからいいんだよ!!(暴論)
まあ、これも二次創作の醍醐味ということで何卒……。
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