自由惑星同盟第13艦隊作戦参謀   作:J・バウアー

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✳番外編その1「迎賓館前から中継 宇宙歴801年12月16日」

「銀河帝国とバーラト共和国との間に国交が成立」

宇宙歴801年12月16日は、人類史において最も輝かしい日となりそうです。

現地、惑星フェザーンのブランデンブルク迎賓館前から中継です。

 

はい、現地ブランデンブルク迎賓館前です。

現地時間12:00、現在建設の途上にある獅子の泉において唯一竣工して機能している銀河帝国外務省ブランデンブルク迎賓館大鷲の間において、銀河帝国ヒルデガルド摂政皇太后陛下とバーラト共和国首相との間で、帝共平和友好条約が締結されます。

帝国、共和国双方から千名ほどの参列者が招待されての平和友好条約署名式に、ブランデンブルク迎賓館の周囲には大勢の観衆が集結して、各所から歓喜の声が上がっております。

集まってきた方々から話を聞きたいと思います。

「この署名式について、いかが思われますか?」

「いやあ、これまで共和主義者たちって、体制にケチつけて昔の貴族みたいに安全なところで偉そうなことばかり言うアタマのオカシイ、ロクデナシばかりだと思っていたんだけど、まさか我らがカイザーを守るために指導者自らが銃を握って撃退に貢献したとは、驚きだったよ。そんな彼らと仲良くできるようになって平和になるのは大歓迎だね。こんな瞬間に立ち会えて、ホント幸せだよ。帝国万歳、共和国万歳、平和よ永遠なれ!!」

「ありがとうございます。では、そちらの方にもお伺いします。この署名式をいかがご覧になっていますか?」

「素晴らしいね。まさか、こんな展開になるなんて、ついこの前まで思いもしなかったよ。しかし、ビッテンフェルト元帥も思いきったことをするものだね。まさか、あの黒色槍騎兵軍の強硬派の元帥が、マスコミのインタビューに応じて、共和主義者たちの行動を詳述して評価するなんてね。世の中すごく変わったなって実感するよ。それもこれも獅子帝ラインハルト陛下のおかげだ。ホントに惜しい方を亡くしてしまったよ。きっと陛下は今の世の中を喜んで見て下さっているに決まってるよ!」

「ありがとうございます。このように、ついこの前まで戦いに明け暮れていた共和主義者たちに対しても、比較的友好的な意見が多数を占めているようです。あちこちから、帝国と旧同盟の国歌を歌う声が響き渡り、とても和やかな雰囲気に包まれています。

迎賓館前に設置されている巨大ヴィジョンには、基本条約に署名しているヒルデガルド摂政皇太后陛下と共和国首相が映し出されています。

あ、今、署名が終わり、ヒルデガルド摂政皇太后陛下と共和国首相が立ち上がりました。え、なっ、ウソっ!!摂政皇太后陛下が、共和国首相に手を差し出されました。

握手です!!

共和国首相が差し出された手を握り、両者固く握手をなされています。

こんなことが、これまであったでしょうか?

銀河帝国皇帝は至高の存在なので、歴代皇帝は相手から拝跪を受けても誰かと握手することなんて、今だかつてありませんでした。

ゴールデンバウム王朝始祖であるルドルフよりも強大な権力を握っていた獅子帝ラインハルト陛下の全てを引き継いだと言って差し支えないヒルデガルド摂政皇太后陛下は、ゴールデンバウム王朝歴代皇帝よりも強大なお方であるにも関わらず、その陛下が誰かと対等に握手をするなんて!

これを新時代と呼ばずして、何と呼べばいいのでしょうか?

新時代の到来に、人々は歓呼の声を上げています。

まさに熱狂の渦。

あ、今、花火が打ち上げられました!

日が高いのでよく見えませんが、かなり大きな花火です!!

誰が、打ち上げているのでしょうか

あ、今、情報が入りました。

なんと、憲兵隊本部だそうです!!

そういえば、憲兵隊司令官ケスラー元帥にはご結婚の噂が流れているようですので、その前祝いをしたい部下の方々の思いも含まれているのでしょうか?

露店も立ち並んで、スーパースターのコンサート以上の盛り上りです。

以上、ブランデンブルク迎賓館からでした。

 

ありがとうございました。続いて、惑星ハイネセンのグエンキムホア広場と中継が繋がりました。

 

はい、惑星ハイネセン、グエンキムホア広場です。

こちらも、巨大スクリーン前に巨大な人だかりができています。まさに、熱狂の渦です。深刻な不況とテロの繰り返しによる暗黒の夜が、まさに明けて陽光に包まれようとしているかのようです。こちらでは市民たちが花火を持ち込んで打ち上げていて、この一大イベントを互いに祝いあっています。

参加者たちに話を聞いてみたいと思います。

「この署名式を、いかがお考えですか?」

「アーレ・ハイネセンを始めとした皆さんの苦労が実を結んだ結果だと思います。ヤン・ウェンリーもこれを望んでいました。この場に居合わせることのできた幸運に感謝したいですね」

「ん?ヤン提督のことを、アナタご存じなのですか?そういえば、どこかでお会いしたことがあったような・・・」

「いえ、そのようなことは決して・・・」

「ちょっと!もういいでしょ。みんな待ってるから早く行こ!!」

「待ってよカリン!そんなに急がなくても・・・」

「どうもありがとうございました。では、そこのアナタにもお伺いします。この式典について、いかがお考えですか?」

「トリューニヒトのせいで生活が無茶苦茶になったから、もう辛いのなんのって、たまらなかったからね。今度、外相になったアッテンボローさんって、若くてシュッとしていて、帝国とも仲がいいっていうじゃない。イゼルローン共和政府のお偉いさんだったようだから、とっても期待してるんだよ。おっ、帝国の新しい国務尚書とアッテンボローさん、あんなに仲良さそうにしゃべってる!こりゃあ、期待したいねぇ!」

ありがとうございます。ここでもやはりアッテンボロー外相を支持する声が多数聞こえてきます。来年実施が予定されている総選挙の結果が気になるところです。以上、グエンキムホア広場からでした。

 

ありがとうございました。

それにしても、帝国政府がバーラト共和国の独立を承認するとは、あまりにも意外で、反対も多かったと聞きますが、解説のオスマイヤー教授、いかがですか?

「摂政皇太后陛下は、支配と服従を強要するようなお方ではありません。剛柔兼ね備えた偉大なるラインハルト陛下の柔の部分を支えておられたのが、摂政皇太后陛下でした。私とすれば、この結果は十分に予測できることでしたので、全く意外とは思いません。これまで帝国は他国の存在を想定していなかったので、これからは国際法についての研究が活発になっていくでしょう」

・・・

この番組の視聴率は、過去最高を記録したようです。

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