モンスターハンターかと思ったらHUNTER×HUNTERだった… 作:レイトントン
吹き抜ける風。
暗黒大陸に上陸した俺は、視界に映るのが見たこともない景色であるにも拘らず、妙な懐かしさを感じていた。
帰ってきたのはいつぶりだろうか。軽く60年は経っているだろう。バルファルクと一緒に飛び出したのが最後だったか。
いやー、あの時は焦ったね。まだ空も飛べない時だし、落ちたら死ぬと思ったもんだ。
本来であれば人類の暗黒大陸への渡航には、門番と呼ばれる魔獣族と、彼らの召喚する案内人という亜人種が必要だというが、暗黒大陸出身である俺がいるため、問題は全くなかった。
「ここが暗黒大陸……!」
船から降りたハンターたちも、暗黒大陸の雰囲気に慄き、ごくりと喉を鳴らす。
「気を付けろよ。この大陸のモンスターは同じモンスターでも人類領域にいるヤツらとはレベルが違う」
いわばG級のモンスターたちといったところだ。今のメンバーの戦力ではかなり不安だが、そこはモンハンらしく装備を整えることで対応していきたいところ。
「大切なのはチームを組むことだ。四人一組のチームを作って狩猟を行うこと。俺がモンスターを狩って、加工屋が防具と武器を作る。それを皆が身に付けて、四人一組で更に狩りをする。これを繰り返して暗黒大陸を攻略する」
「そして、ネテロを探す……そういうことだな」
ベンの言葉に頷く。
早速、ハンターたちに指示して四人組を作らせる。ゴン、キルア、クラピー、レオリオ。クロロ、マチ、フィンクス、フェイタン。ウボォーギン、ノブナガ、シャルナーク、コルトピ……そんな具合でチームが組まれていく。
俺のチームは……
「うわ、なんか濃いのが集まったなぁ……」
「モンスターのハントには興味ないけど、キミと同じチームなら退屈しないと思ってね♥」
「会長のサポートをするのも副会長の役割ですからね」
「変態どもには付き合ってらんねーが……ユータてめー、黒龍と一緒に戦うって話忘れてやがったな?」
「ごめんて……黒龍の襲撃もいきなりだったんだよぉ」
「ま、しょうがねえか。が、今回はちゃんと組んでもらうぜ」
俺、ヒソカ、パリストン、ジン。
戦力的には最高峰だし、俺らが主導でモンスターを狩っていかないとな。
「しかし、暗黒大陸のモンスターは今までと桁違いの強さなんですよね。他の方はともかく、ボクの実力では不安が残りますね」
「お前なら別に大丈夫だと思うけど……一応、全員にバフかけとくか」
俺はモンスターBOXから狩猟笛を取り出す。イヴェルカーナ素材の狩猟笛だ。
ベンにコレを作ってくれ、と頼んだ時は変な人を見る目で見られたな……冷静に考えると楽器を狩猟に使うって意味分からんよな……
「バフ? ってなんだい♣︎」
「ゲーム用語だな。攻撃力や防御力を上昇させたりと有利な効果を生み出すことだ」
「へぇ……ユータはそんなこともできるんだね♠︎」
「ボクも初耳ですね。そんな能力も持っていたんですか?」
「まーよ。聴いてみてくれよ」
狩猟笛を演奏して、三人に防御力アップ、攻撃力アップのバフをかける。
「おお」
「確かに……オーラだけでなく肉体にも、更に力が籠っているのを感じます」
「こんな便利な技があったのかよ」
クラピーの仲間に、センリツという音楽により味方をサポートする放出系能力者がいるらしい。
俺も放出系だし、狩猟笛のバフを再現してみた。まだまだ手探りなところも多いが、ひとまずこれで簡単には死なないくらいにはなってるだろ。
そして、それぞれがベンの作った防具を着込んでいく。暗黒大陸産の素材は残っているものが少なく、ヒソカたち三人の分を作るので手一杯だったが、ひとまずは十分だ。
これからどんどんモンスターを狩猟し、素材を剥ぎ取り、装備を製造していく。
うん、うん。めちゃめちゃモンハンっぽくなってきたな。
やっぱ、四人でやるモンハンが滅茶苦茶面白いんだから。
「んじゃ、モンスターを探すか」
俺が円で探すと、オーラを察知して逃げられる可能性があるからな。四人でモンスターの痕跡を探しながら、上から探すために小高い丘に向かう。
「……ユータさん」
「なに?」
「暗黒大陸にネテロがいなかったらどうするつもりですか?」
やっぱパリストンにはバレてるよなぁ……その場のノリで「ネテロは暗黒大陸にいる!」とハッタリをかましたこと。
「まぁ、暗黒大陸が広すぎて見つからなかったとか、言い訳は色々できるでしょ……」
「まあ、ボクもネテロは暗黒大陸にいると思ってますがね」
「おまえが言うなら合ってるだろ、多分……ジンはどうだ? ネテロは暗黒大陸にいると思うか?」
「あのジジイがどこで修業してようが知ったこっちゃねーが、まあココの可能性は高いだろ。……メビウス湖の対岸に上陸している可能性もあることは否めないが」
それが怖いところだよな……一口に暗黒大陸と言っても、広すぎてネテロを探すなんて、砂漠で砂の一粒を探すような所業だ。
なんか探知系の能力開発すっかな……千里眼の薬と絡めて開発すれば行けそうな気はする。
「そういやジン、結局ゴンとはどうだったのよ」
「ああ……」
うわ、聞かれたくなさそー。
「めちゃくちゃあたふたしていたらしいですよ。ゴンくんに尊敬の眼差しを向けられて気まずくなったり。まあ、父親としては最低の部類なのでそれも納得ですが」
「モンスターより先にテメーをハントしてやろうか?」
ジンとパリストンは仲が良いのか悪いのか、睨み合ったり口論を初めてしまう。
一方、話を聞いたヒソカは口角を吊り上げる。
「へぇ……ゴンの父親かぁ。彼も美味そうだ……♥」
「ヒソカ、今はモンスターのハントが先だからな。闘るなら落ち着いてからで頼むぜ」
「分かってるよ♥ ああでも、興奮してきた。モンスター相手じゃ鎮まらないかも……♣︎」
ヤベェ。多分またヒソカ勃ってるだろコレ……
ヒソカはモンスターに興味はないと言うが、対人戦だけじゃなくモンスターハントだって楽しいもんだ。特殊性癖に目覚めてもらうとしよう。
「でもまあ、パリストンの言うことも一理あるよな。聞いてくれよ、ジンってばゴンが複数人で会いにきたら恥ずかしいっつって……」
「いつまでそのネタ擦るンだよ! そういうテメーこそ、いい加減あのダウナーな受付嬢を嫁にしてやれよ甲斐性なしが!」
ヴッ!
痛いとこ突くじゃねーか……
寿命問題とか流星教問題とか、諸々考えて一緒になるのはムズカシーと思ってたんだけど……
でも、ニトロ米をまた収穫できれば寿命問題は解決か……?
おねーさんがそんな寿命を望むかは聞いてみないと分からないけど。
「……そーだな、そうすっかあ」
「!?」
「おー、背中押しますねぇジンさん」
「ユータがそうする以上、アナタもちゃんとゴンの父親らしく振る舞わないとね♠︎ 吐いた唾は飲めないよ♣︎」
「テメーらなぁ……!」
ジン、親子関係周りのことにはつくづく弱いな……それ以外のことにはつよつよなだけに、ちょっと面白い。
「暗黒大陸になんか良い感じの石とかあるかなあ。婚約指輪用にさ」
「なんか、水に浸すと発電する石があるらしいですよ。無尽石って言うらしいですけど」
「あー、なんか聞いたな。でも実用的な機能付きの婚約指輪ってどうよ?」
「単純に見た目が綺麗な宝石の方が良いと思うな♦︎」
「だよなぁ……まあ宝石なら、鉱床を探せば見つかるだろ。ピッケルグレート用意しとくか……」
神おまよりは見つけやすいだろ……
そんな感じで雑談しつつも、周囲への警戒は怠らない。
「おっ……?」
小高い丘を登り切り、平野を観察する俺は、見たこともないモンスターたちがいることに気付く。
甲高い鳴き声をあげながら、その身に雷を纏う四本角。金に煌めく体を持った、飛竜種らしきモンスターだ。煌雷竜、とひとまず名付けておく。
また、そいつと相対するのは、翼が鎖のように伸びる、白い鱗と体毛が特徴的な、これまた恐らくは飛竜種。
こちらは名付けるなら、鎖刃竜というところか。
モンスターたちは互いを敵視し、争っている。
「皆、見てみろ」
「わお♠︎」
「ありゃ強いな……火竜なんかと同じ飛竜種のモンスターみたいだが」
「アレを狩りに行くんですか、ユータさん?」
パリストンの質問に、俺は思わず笑みを溢しながら答える。
「当然」
見たこともないモンスター。しかも恐らく、アレはモンスターハンター世界のモンスターだろう。骨格からの推察でしかないが。
ともかく、未知なるモンスターを狩猟できる喜びに打ち震えながら、俺は三人に促す。
「ヒソカ、ジン、パリストン。暗黒大陸に上陸して初めてのハントだ。気合い入れろよ」
俺の言葉に、三人は頷いた。
よし。ここからが新たなスタートだ。
ネテロも見つけるし、ハンターたちも育てるし、ミラボレアスに次ぐライバルも探すし、やることは多い。
だが、まずは目の前のモンスターを狩るところから始めるとしよう。
俺はモンスターハンターだからな。
「さあ。一狩り行こうぜ!」
これで本作は完結となります。
ユータ過去編は話がシリアスになりすぎるので、本編に入れませんでした。やるなら番外編で、気が向いたらって感じですかね。
読者の皆さんの閲覧、お気に入り、感想、評価、ここすき、しおり、誤字報告、推薦等々に非常に励まされました、ありがとうございました!
お陰で約2ヶ月半の連載期間、めちゃくちゃ楽しかったです。
じゃあ皆、ワイルズでまた会おうぜ!