赤龍帝と騎士王の現し身   作:ファブニル

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 ドーモ、ファブニルです。

 今回は一先ずの整理回。この後に控える問題を話す前に色々な事を処理しなくてはなりません。そういったお話になります。

 よろしければ、今回もお気に入り登録や高評価、感想、それと『ここすき』をお願いします。

 それでは第六十四話、どうぞ!


おっぱいドラゴン

 戦闘形態へと移行したヴァーリとロウィーナが『覇龍』と化したイッセーと接敵する。対となる白龍皇の気配を感じ、イッセーも戦闘態勢へ移行する。

 

 

「があああああああッ!」

 

 

 鎧の口にオーラが集約し、接近する二人へ赤い光線を放つ。

 

 

「『星光呑む奈落の孔(ホロウ・オブ・ヴォーティガーン)』!」

 

 

 向かってくる光線を前に、ロウィーナが前方へ黒い渦を作り出す。聖剣の光すら呑み込んだ虚無の力が光線から二人を守る。その隙にヴァーリが接触する。

 

 

「兵藤一誠、君は俺のライバルなんだろ?だったらこんなところで終わられては困るな」

 

 

 懐に入り込み一発!更に『半減』で荒ぶるオーラを抑え込む。

 

 

『Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)Divid(ディバイド)!!!!』

 

 

 白を司る二人がイッセーを抑え込もうとするが、まだまだ時間がかかる。その間にイッセーの生命力が尽きてしまえば……

 

 

「こうしている間にも、イッセーは……」

「何か彼の深層心理を大きく揺さぶる現象が起こればいいのですが…」

「おっぱいでも見せればいいんじゃね?」

 

 

 アーサーの横で美猴は頭をぽりぽりかきながら言った。認めたくないが、イッセーにはそれが一番だと思ってしまう。口には出さないが

 

 

「あの状態で効くのでしょうか……?」

『龍を鎮めるものは色々ありますが、最も平和的で準備もいらないとなると歌が有効ですね。といっても赤龍帝と白龍皇の歌なんてものはありませんが』

「あるわよぉぉぉぉ!」

 

 

 モルガンの言葉を遮って、遠くから白い翼の天使が飛んでくる。それは紫藤イリナだった。

 

 

「はー、着いたー。って、あれが今のイッセー君!?ミカエル様やアザゼル様に聞いてはいたけど、凄いことになっているじゃない!ってアルトリアさんがなんか閉じ込められてる!」

 

 

 なにやら機械を担いできたイリナだったが、大きく驚いたり、はしゃいだりと相変わらず感情の起伏が激しい。

 

 

「イリナ、どうしてここに?」

 

 

 ゼノヴィアが訊くと、イリナは手に持った機械を突き出した。たしかアレは悪魔製の立体映像機器だ。

 

 

「イッセー君が危険な状態になったのは観戦ルームやこのフィールドで戦っていたお偉い方々にも把握れているの。で、このままではいけないと魔王ルシファー様とアザゼル様がイッセー君用の秘密兵器を私に持たせてくれたの!」

 

 

 この場の空気を破壊するほど、テンションが高い。彼女は映像機器さっそく下に置いた。

 

 

「よくはわからないけど、お兄様とアザゼルが用意したのなら、効果が見込めるかもしれない

わね」

 

 

 リアスが機器のボタンを押す。すると空中に大きく映像が映し出される。いきなり現れた立体映像にイッセーもそちらへ顔を向ける。そして、映像からは想像を超えたものが展開された。

 

 

『おっぱいドラゴン!はっじっまっるよー!』 

『『おっぱ〜い!』』

 

 

?????????????????????????????????

 

 な ん だ こ れ

 

 映像の中には禁手の鎧を纏ったイッセーの姿。その周囲で子供たちが大きな声でおっぱいと言った。ダンスを始めるイッセーと子供たち。軽快な音楽も流れ出した。それに伴いイッセーと子供たちもさらに踊り出す。宙に文字タイトルと歌詞が表示された。驚愕の展開に全員の目が飛び出した!

 

 

『おっぱいドラゴンの歌』

 

作詞:アザ☆ゼル

作曲:サーゼクス・ルシファー

ダンス振り付け:セラフォルー・レヴィアたん

 

 

「「「「『………』」」」」

 

 

 流れ出す歌詞。子供らしいポップな曲調に反してやたらとおっぱいと言っている。全員があっけに取られていた。どう反応していいか分からないのだ。そういえば、テレビ局でイッセーだけが途中で別の撮影に呼ばれたことを話していた。アレはその時に撮ったもの、それも子供用の歌番組だったようだ。その名も「おっぱいドラゴンの歌」!

 わざわざイッセーを禁手状態にさせて撮影をスタートし、子供達と踊らせている。モチーフは兎も角、演出などは真っ当に教育向け子供番組らしいものだ。というか、作詞、作曲、振付担当が仮にも冥界の首脳陣とは、あの人達はそろいもそろって……

 

 

「…うぅ、おっぱい…」

「「「ッ!?」」」

 

 

 イッセーが頭を抱え、まともな言語を発した!「おっぱい」だが!やはりまともじゃないかもしれない……

 

 

「反応したわ!」

 

 

 リアスが歓喜の涙を流す。それでいいのですか、リアス。

 

 

「…そんな、この歌に反応するなんて」

 

 

 小猫は猫耳をしおらせて絶句していた。

 

 

「紫藤さん、もう一度流してちょうだい!」

「ヨロコンデー!」

 

 

 リアスの言葉に応え、再び映像機器の再生ボタンが押された。また歌詞が進むと、

 

 

「うぅ、おっぱい…」

 

 

 再びイッセーが頭を抱えながら苦しみだした。次第に身体も小さく、人間に近い状態へ戻っていく!

 

 

「…ず、ず、ずむずむ…いやーん…ポチッと」

 

 

 イッセーの指が何かを求めて押す仕草をしている!その指からすでに鋭い爪も消失していた。

 

 

「これならいけるか―」

『Divid(ディバイド)!!』

 

 

 鳴り響く白龍皇の音声。同時にイッセーの力が大分減少したかのように思えた。歌で意識を取り戻しつつあるからか、先ほどより効果が出たようだ。

 

 

「いまよ、リアス!あなたの乳首が求められているわ!」

「ええっ!?」

 

 

 朱乃の言葉に目が飛び出るほど驚くリアス!朱乃は構わず続ける。

 

 

「イッセー君は貴方の乳首を押して禁手に至った。なら、逆のことも出来るはず。さっきまでは危険な雰囲気が漂っていて近寄れなかったけれど、歌で正気を取り戻しつつある今のイッセー君なら話は別だわ!」

「で、でも私の乳首でイッセーの『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』は解除できるのかしら…」

「できるわ!私では無理…。ふふふ、やっぱり、こういう役目は貴方の方がお似合いなのね…それがちょっと悔しいわ」

 

 

 朱乃は悲哀に満ちた瞳を浮かべているが、言っていることはなんとも言えないものだった。気持ちはわかる。アルトリアもまたこの状況が悔しくもあった。騎士王の末裔である自分ではなく、リアスの方が適任と言われることが。閉じ込められ、何もできない自分が。

 

 

「わかったわ」

 

 

 リアスがイッセーの方へ足を進める。その歩みに一切のよどみは無かった。本当にやる気なのか……歌が何度もループするなか、リアスはイッセーと距離を詰め、ついに眼前に立った。

 

 

「お、俺の…お、おっぱい…」

 

 

 イッセーは求めるものを発見し、震える指をリアスの胸へ。その光景の中、歌は何度目かのサビに突入していた。

 

 

「んぅん♡」

 

 

 リアスの艶かしい喘ぎ声と共に歌が終わった。次の瞬間、イッセーの鎧が解除され、『覇龍』から解放された。

 

 

「なんだったんだ今のは……」

「…リアス・グレモリーの胸は兵藤一誠の制御スイッチか何かなのか?」

 

 

 あきれ顔でその光景を見るロウィーナと、顔をしかめながら真面目に悩むヴァーリ。アーサー達もまた何とも言えない表情を浮かべる中、美猴のみは腹を抱えて笑い転げていた。

 神をも滅ぼす、ブリテン島の守護龍の姿か?これが………

 

 

 

◆

 

 

 イッセーが人間に戻り、もう問題ないとしてアルトリアも解放された。皆が、元に戻ったイッセーの元に集まっている。

 

 

「………うーん、あれ?何がどうなってんだ?」

 

 

 地面に倒れていたイッセーが目を覚ました。すかさずリアスと朱乃、小猫が抱き着く。

 

 

「部長?朱乃さん?」

「良かった、本当に良かった……」

「イッセーくん……」

「イッセー先輩……」

 

 

 目覚めたばかりで状況が理解できていないのか、周りを見渡す。そして、ゼノヴィアに抱かれたアーシアが目に留まった。

 

 

「アーシア、アーシア!?」

「ヴァーリ達が助けてくれたんだ」

 

 

 祐斗がヴァーリ達を示す。先ほどまで複雑な顔をしていたヴァーリ達だが、既に平静を取り戻し、静かな笑みを浮かべている。いや、あれは苦笑か?が、そんなことは関係ない。

 

 

「アーシア!アーシア!」

 

 

 イッセーが呼びかけると、アーシアの瞼が静かに開いていく。

 

 

「…あれ?…イッセーさん?」

「アーシア!良かった目が」ドン!

 

 

 目を覚ましたアーシアだったが、突如ゼノヴィアに弾き飛ばされる!

 

 

「アーシア!」

 

 

 アーシアに抱きつくゼノヴィア。最早人目にはばからずに号泣している。

 

 

「ゼ、ゼノヴィアさん。どうしたんですか?く、苦しいです…」

「アーシア!アーシアアーシアアーシア!私とお前は友達だ!ずっと友達だ!だから、もう私を置いていかないでくれ!」

 

 

 アーシアは泣いているゼノヴィアの頭をやさしく撫でる。

 

 

「…はい、ずっとお友達です」

「よかったわぁ」

 

 

 横でイリナもうんうんと頷きながら泣いていた。これで本当にアーシアの問題は全て解決か。アルトリアはその光景に安心していた。

 

 

「ようやく起きたか、兵藤一誠」 

「ああ。なんだが、世話になっちまったようだな」

「ま、たまにはいいだろう。それよりもそろそろだ。空を見てみろ」

 

 

 ヴァーリが空を見上げ言う。突然のことに皆訝し気に思い、何もないフィールドの空を見上げる。すると。

 

 

 バチッ!バチッ!

 

 

 空間に巨大な穴が開いていく。そして、そこから何かが姿を現した。

 

 

「あれは」

 

 

 穴から出現したものを見て、アルトリアは眼を見開いた。イッセーは驚いて口が開きっぱなしになり、リアスや他の眷属も同様だった。ヴァーリは口元をゆるくにやけさせながら言う。

 

 

「よく見ておけ兵藤一誠。あれが俺が見たかったものだ」

 

 

 空中をとてつもなく巨大な生物、真紅のドラゴンが雄大に泳いでいく。大きい、タンニーンよりも大きいドラゴンだ!ゆうに百メートルは超えている!ヴァーリは目を細めながら続ける。

 

 

「『赤い龍』と呼ばれるドラゴンは二種類いる。一つは君に宿るウェールズの古のドラゴン、アーサー王に力を与えたウェルシュ・ドラゴン。赤龍帝だ。ヴォーティガーンに力を与えた白龍皇と同じブリテン島の伝承由来の存在だ。だが、もう一体だけ『赤い龍』がいる。それが、『黙示録』に記されし、赤いドラゴンだ」

「『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』グレートレッド。『真龍』、『D×D(ドラゴン・オブ・ドラゴン)』とも称される偉大なるドラゴンだ。自ら次元の狭間に住み、永遠にそこを飛び続けている。今回、俺たちはあれを確認するためここへ来た。レーティングゲームのフィールドは次元の狭間の一角に結界を張ってその中で展開している。今回、オーフィスの本当の目的もあれを確認することだ。シャルバ達の作戦は俺達にとって、どうでもいいことだった」

 

 

 ヴァーリ達が次元の狭間で探していたモノ、それがあのドラゴンか。

 

 

「でも、どうしてこんなところを飛んでいるんだ?」

 

 

 イッセーの質問にヴァーリは空を見上げたまま答える。

 

 

「さあね。いろいろ説はあるが…。あれがオーフィスの目的であり、俺が倒したい目標だ」

 

 

 あれが目標。あれは勝てるものなのか?エクスカリバーを限界まで解放しても勝てるか怪しい……。その時、ヴァーリは今まで見たことない真っ直ぐな瞳で言った。

 

 

「俺が最も戦いたい相手だ。『真なる赤龍神帝』を倒し、俺は『真なる白龍神皇』になりたい。赤の最上位がいるのに、白だけ一歩前止まりでは格好がつかないだろう?だから、俺はそれになる」

 

 

 それがヴァーリの目指す夢か。

 

 

「貴方も同じ目的なのですか、ロウィーナ・ヴォーティガーン」

「私の運命はヴァーリと共にある、ヴァーリが望むなら喜んで共に戦おう。私もグレートレッドとの戦いには興味がある。が、それをヴァーリは望まないだろうな」

 

 

 何というか、相変わらずというべきだ。ヴァーリへの想いと戦いへの興味、それが彼女の心を占めている。

 

 

「グレートレッド、久しい」

 

 

 !いつの間にか、すぐ近くに黒髪ゴスロリの少女が立っていた。いや、ゴスロリか?胸周りがはだけて、左右の胸は×印の黒いテープで隠されているだけだ!?

 

 

「だ、誰だ?あんな娘なんて、さっきまでいなかっただろ」

 

 

 ヴァーリがそれを確認して苦笑する。

 

 

「あれが『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』オーフィス。『禍の団(カオス・ブリゲード)』のボスでもある」

 

 

 あれが『禍の団』の首領か!?ファッションセンスは眼を疑うが、一見するとただの少女にしか見えない。ここまで自然に感じるのは完璧にオーラを制御しているという事か。

 少女、オーフィスはグレートレッドに指鉄砲を構え、バンっと撃ちだす格好をした。

 

 

「我は、いつか必ず静寂を手にする」

 

 

ヒュン!バサッ。ドスンッ!

 

 

 今度は風切り音と羽ばたき、そして重い物が着地する音。これは分かるアザゼルとタンニーン、そして哪吒太子だ。

 

 

「先生!タンニーンのおっさん!それと、」

「お疲れ様です、哪吒太子殿」

「壮健 なにより」

「おー、イッセー。元に戻ったようだな。俺もどうなるか怖かったが、イッセーならあの歌や女の胸で『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』から戻るかもと思っていた。乳をつついて禁手に至った大馬鹿野郎だからな。あの歌の作詞をしたかいがあったぜ」

 

 

 やはり狙ってあの作品を作ったのか。悪ふざけが過ぎる。

 

 

「ちなみにサーゼクスからオファーが来たんだからな?で、セラフォルーもノリノリで作曲とダンスの振り付けしやがったし」

 

 

 やはりノリノリだったか。仮にも悪魔界と堕天使界の記念すべき合作第一号がこれとは。タンニーンが豪快に笑う。

 

 

「ハハハハ、さすがは乳の好きな赤龍帝だ!さて、オーフィスを追ってきたらとんでもないものが出ているな」

 

 

 アザゼルとタンニーンも空を飛ぶグレートレッドに視線を向ける。

 

 

「懐かしい、グレートレッドか」

「タンニーンは戦ったことあるのか?」

 

 

 アザゼルの問いにタンニーンは首を横に振る。

 

 

「いや、俺なぞ歯牙にもかけてくれなかったさ」

「そうか。どうだ、哪吒太子殿?」

「不可能 格が違う」

 

 

 元龍王のタンニーンでも相手にならなかった。須弥山の切札である哪吒太子も匙を投げる。最強と呼ばれるオーフィスも他者の力を借りなければ勝てない。それほどまでに強いのか。

 

 

「久しぶりだな、アザゼル」

 

 

 ヴァーリがアザゼルに話しかける。

 

 

「クルゼレイ・アスモデウスは倒したのか?」

「ああ、旧アスモデウスはサーゼクスが片付けた。…まとめていた奴らが取られれば配下も逃げ出す。どうやら、シャルバ・ベルゼブブのほうもイッセーが片付けたみたいだしな」

「お兄様は?」

 

 

 リアス先輩が先生に訊く。

 

 

「結界が崩壊したからな、各方へ指示を出すために観戦ルームに戻ったよ」

 

 

 アザゼルがオーフィスに言う。

 

 

「オーフィス。各地で暴れ回った旧魔王派の連中は退却及び降伏した。事実上、まとめていた末裔どもを失った旧魔王派は壊滅状態だ」

「そう。それもまたひとつの結末」

 

 

 オーフィスはまるで驚く様子もなかった。ひとつの派閥が消えても興味を占めさない。そういったことに関心が薄いのか。それを聞き、アザゼルは半眼で肩をすくめた。

 

 

「お前らの中であとヴァーリ達以外に大きな勢力は人間の英雄や勇者の末裔、神器所有者で集まった『英雄派』だけか」

 

 

 英雄派?勇者や英雄の末裔で構成されているというのは何処か親近感を感じるが、『禍の団』にはまだまだ勢力が残っているようだ。

 

 

「さーて、オーフィスは。やるか?」

 

 

 アザゼルが光の槍の矛先をオーフィスに向ける。戦闘再開か?だが敵の首領相手に勝てるのか?が、オーフィスは踵を返す。

 

 

「我は帰る」

 

 

 グレートレッド以外に関心がないのか、そのまま帰ろうとする。が、他がそれで納得するわけもなく、タンニーンが翼を広げて呼び止める。

 

 

「待て!オーフィス!」

 

 

 だが、オーフィスは不気味な笑みを浮かべるだけだった。

 

 

「タンニーン。龍王が再び集まりつつある。楽しくなるぞ」

 

 

 ヒュッ!

 

 

 一瞬、空気が振動する。と、いつの間にかオーフィスは消え去っていた。何だ今の技は?魔法か?権能か?

 

 

「兵藤一誠。俺を倒したいか?」

 

 

 唐突にヴァーリがイッセーに訊く。

 

 

「…倒したいさ。けど、俺が超えたいものはお前だけじゃない。アルトリアも超えたいし、同じ眷属の木場も超えたいし、ダチの匙も超えたい。俺には超えたいものがたくさんあるんだよ」

「俺もだよ。俺も君以外に倒したいものがいる。おかしいな。現赤龍帝と現白龍皇は宿命の対決よりも大切な目的と目標が存在している。きっと、今回の俺と君はおかしな赤白のドラゴンなのだろう。そういうのもたまにはいいはずだ。だが、いずれは」

 

 

 イッセーは拳をヴァーリに向けた。

 

 

「ああ、決着をつけようぜ。部長や朱乃さんのおっぱいを半分にされたら事だからな」

「やっぱり、君は面白い。強くなれよ兵藤一誠」

 

 

 突き出した拳に、ヴァーリもまた拳を合わせる。体制側とテロリスト、立場は違うが二人良いライバルとなるだろう。果たして、自分はロウィーナとこういう関係になるのだろうか……

 

 

「さて。俺たちも退散したいところだが、何やら聞きたいことがあるみたいだな。アルトリア・ペンドラゴン」

 

 

 そういってヴァーリがアルトリアに向き直る。やはり彼は気づいていたか。

 

 

「えぇ、あなた達には聞きたいことが山ほどあります。何故私を閉じ込めてまでイッセーに近づけさせなかったのか。何故私はあのイッセーを前に不思議な感情が沸き上がったのか。私は何者なのか………」

「そうだな。ロウィーナ、どう思う?」

 

 

 ヴァーリはロウィーナに話を振った。彼女はアーサーやルフェイにも視線を送る。二人とも静かに頷いた。

 

 

「そうだな。赤龍帝を前にそこまでの衝動が起きたとなるともう誤魔化す事も出来ないな」

「そうですね……分かりました、お話ししましょう」

「その話、俺たちも聞かせてもらえないか?」

 

 

 アザゼルがそう言う。グレモリー眷属たちもうなずく。

 

 

「アルトリアは私たちにとっても大切な仲間。知る権利くらいはあると思うのだけど」

「構いません。秘されるよりはある程度の範囲で共有された方が良いでしょう」

「助かる。それじゃあ一時的だが、お前たちの身柄を預からせてもらう。扱いとしてはテロリストを捕らえたって事になるが、まぁ客人としてしっかりと持て成させてもらうぜ」

 

 

 アザゼルの言葉を聞き、アーサー、ルフェイとモルガンが此方側へ歩みを進める。その間にヴァーリとロウィーナは転移魔法陣を発動させていた。

 

 

「後から迎えに行く」

「テロリストの身柄を預かるというのに、随分と呑気なものだな?」

「もし捕らえられたなら奪い返しに行くまでだ、タンニーン殿。それに取り返されると分かっているものに力を割くほど、アザゼルは愚かじゃない」

 

 

 ヴァーリの言葉にアザゼルは肩をすくめるだけだ。そして2人は魔法陣と共に消えていった。

 

 

「えーっと、取り敢えず帰ろうか。アーシア」

「は、ハイ!」

 

 

◆

 

 

 

 その後、無事現世に帰還する事が出来た一同が、直ぐにアルトリアについての話を聞く事は出来なかった。まず、帰還直後イッセーが突如として昏倒。皆がアタフタしたが、すぐにシトリー系の病院へ搬送。診断の結果、『覇龍』による身体への甚大な負担が原因という事が分かった。

 『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』、それは封印系神滅具に搭載された奥の手中の奥の手。神器に封印された存在の力を、強引に開放して強化する文字通りの禁じ手。発動させれば一時的に神をも上回る力を発揮させられるが、代償に生命力や寿命を大きく削ってしまう上、発動中は暴走し理性を失う。

 

 

『今回は、あのアーシア・アルジェントという小娘を失ったと思いこんだ相棒の悲しみと怒りが最大まで高まった結果開放されたようだ』

 

 

 とはドライグの言である。といってもイッセーはあまり覚えていないようであったが。

 その後イッセーは検査入院する事になったが、その間にも世間は目まぐるしく変わっていく。

 

 まず『禍の団』の旧魔王派は今回の件で求心力を失い、ほぼ瓦解したようだ。旧魔王の血筋であるヴァーリはその辺りに興味がないようで、旧魔王派の上に立つことを拒んだらしい。旧魔王派はほぼ終わったとサーゼクスは言う。残党の悪魔は降伏した者も居れば、闇に身を潜めた者もいるようだ。

 

 ディオドラの件で、アスタロト家は信用を一切失った。次期当主が『禍の団』に力を借りていた罪は重く、現当主は解任。他にも被害者である生き残った眷属たちのメンタルケアなどにかかる費用の全額負担、そしてアスタロト家はしばらくの間、魔王輩出の権利を失った。血縁であるアジュカも今回の件で責任を問われた。がアジュカ自身も『禍の団』の襲撃に居合わせた事、サーゼクス含む魔王三名の擁護もあり、非難の声はしだいに収まっているという。

 

 

『いま、現ベルゼブブであるアジュカが外れるのは悪魔側としても痛い。術式プログラムに秀でた男だ。レーティングゲームの基礎理論を構築したのも彼だ。何よりもあれだけの人材を探そうにも他にいないのだよ』

 

 

 と、サーゼクスは嘆息しながら言っていた。悪魔業界の人材不足は深刻なようだ。いや、彼レベルとなるとそれこそ世界中で探さなければならないか。

 

 ディオドラの眷属であった女性達だったが、現在はアスタロト家預かりとして医術に秀でたシトリー家を始めとした各機関によるメンタルケアを行っている。シスターや女戦士であった彼女たちだが、苛烈な調教の結果精神に大なり小なりの変調をきたしているらしい。現時点では一般的な精神治療に留まっているが、今後本格的に心を治すことになるそうだ。

 課題であった『悪魔の駒』の除去についてだが、少なくとも皆が好意的に受け取っているとのことだ。いつになるかは分からないが、彼女たちのような犠牲者を救うことが出来るようになれば喜ばしい。

 

 更に話はあの場に現れたオーフィスの件まで及んだ。オーフィスの目的がグレートレッドを追い出し、次元の狭間に帰る事と分かった以上、『禍の団』に代わって此方でその目的を成就させられないかという意見が出た。

 だがそれは難しい。現在グレートレッドが統べているからこそ、各世界の間にある次元の狭間は均衡を保っているという見解が大勢を占めている。もし、オーフィスの願いが成就してしまうとその均衡が崩れ、各世界に甚大な影響が出る可能性があるのだ。よってオーフィス周りは現状を見守る程度に収まった。

 

 

 そしてイッセーが退院したのち、兵藤邸にオカルト研究部部員、顧問のアザゼル、通信越しだが魔王サーゼクス・ルシファー、そしてアーサー・ペンドラゴン、ルフェイ・ペンドラゴン、モルガン・ル・フェイが集まった。

 

 

「では、お話ししましょう。我らペンドラゴン家の業、千数百年にも及ぶ妄執の歴史、その全てを」




おっぱいドラゴンの歌、歌詞を入れたかったぁ……番号さえ登録されていれば……
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