セイア「殴り合いだ。歯を食いしばりたまえ、ミカ」   作:Rayu278

4 / 4
ブルーアーカイブイベントストーリー「Serenade Promenade」の内容を含みます。


セイア「殴り合いだ。歯を食いしばりたまえ、ミカ」【エピローグ②】

 あれから、数か月が経った。

 

 怪我の大部分は痕も残らず、ほとんど日常生活に支障のない程度に完治した。

 

 賑やかな窓の外。見慣れた制服と、そのほか多数の見知らぬ人影でごった返すトリニティ・スクエアを見下ろす。

 

 何やらシスターフッドと救護騎士団が揉めていた、という様な話を小耳に挟んだが、

 

 ────トリニティの謝肉祭(カーニバル)は、何事も無く開催された。

 

「────?」

 

 ふと、ベッドの上でスマホが震え、少し遅れて通知音が響く。

 

 モモトーク。メッセージの差出人は、ミカ。

 

『セイアちゃん、今日、体調どう?』

 

 

 


 

 

 

 …そんなに少ないことは無いだろう、と思っていたが…。なるほど、広さと作品数に、人口密度が全く釣り合わない。というかぱっと見、本当に誰もいない。

 

 入り口を入って、右手に見える廊下の、突き当たりの部屋。中央に四角い椅子の置かれた部屋までを見通して、ようやく人影が二つ。

 

 二人で顔を見合わせてから、歩を進めてゆく。

 

 

 

「────あははっ!なに、このロールケーキの絵!」

 

「如何にも、ナギサらしいね」

 

「────!?」

 

 分かりやすく、反射的に翼をはためかせて驚き、ばっと振り返るナギサ。

 

「やっほ~ナギちゃん!セイアちゃんも連れて来ちゃった☆」

 

「ああ、ここは落ち着くね。ナギサにとっては、不本意だろうが……」

 

 外は人だらけ。視察に出たあの日と同程度に体調が良いと言っても、祭りの空気には流石に胃もたれしかねない。

 

 

「ミカさん、セイアさん……」

 

“元気そうだね、二人とも”

 

 そこで、ナギサの隣にいた先生が口を開く。視界の端で、ミカの身体が文字通り弾んだ。ぴょん、という、擬音が聞こえそうな感じに。

 

「せ、先生?」

 

「やあ、先生。謝肉祭を見にくるとは聞いていたが、まさかここで会うとは」

 

「え、そうなの…?私、聞いてないけど!?」

 

 …おや。てっきり、本人から聞いている物かと。

 

「お二人とも、わざわざ来てくださったのですね」

 

「ああ、ミカが提案してくれたんだ。どうせつまらなくて人がいないだろうから行ってあげよう、と言われてね」

 

「そ、そこまで言ってないよ!?」

 

「なるほど…ミカさんはそう思っていたのですね?」

 

 …あぁ。

 

 三人の。ミカとナギサ、先生の会話を聞きながら、感慨に浸る。

 

 いつも通り。いつも通りだ。

 

 掴んだ、日常。何の変哲も無く、他愛ない言葉を交わす、友人としての私達。

 

「────先生に作品の説明をしている途中だったのですが、よろしければ一緒にどうでしょう?」

 

 少しの沈黙を挟んで、ミカがこちらに眩しい笑顔を見せながら。

 

「うんっ!ナギちゃんの説明、楽しみだね☆」

 

 

 何の変哲も無く、代わり映えも無く。退屈で、平坦で、平穏で。

 

 何の心配もいらず、無邪気に、友人との時間を楽しめる。

 

 だからこそ、そんな一日一日が、愛おしい。

 

 

 

「────今日は、特別な日になりそうだ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

セイア「君が望むのなら、殴り合うとしよう、ナギサ」(作者:Rayu278)(原作:ブルーアーカイブ)

「っ……!」▼ 自分から売った喧嘩でありながら、私の握り拳は震えている。その私よりも一回り以上も小さいセイアさんは、何故か覚悟の決まった表情で、真っ直ぐに此方を見据えているというのに。▼ 拳を交えての喧嘩など、生まれてこの方した事が無い。トリニティの生徒たるもの、上品たれ────17年と少し。そんな物とは全く無縁の人生を貫いてきた私の背を、言葉に替え難い恐怖…


総合評価:1052/評価:8.89/完結:3話/更新日時:2025年06月02日(月) 02:05 小説情報

プレ先時空のセリカがやってくるお話(作者:気弱)(原作:ブルーアーカイブ)

行方不明になってしまったセリカを探す対策委員会の耳に入ったのはゲヘナ襲撃の事件が発生する。急いで現場に向かうと、そこには黒いフードを被った人物と膝を着いたボロボロのヒナが…▼対策委員会を見たフードの人物はゆっくりとフードを取るとそこに現れたのは行方不明になっていた頬に傷が出来、片耳は半分無くなり憎しみの目を向ける変わり果てた姿の別世界の黒見セリカだった… ▼…


総合評価:389/評価:8.17/完結:7話/更新日時:2026年03月10日(火) 00:00 小説情報

トリニティの12使徒(作者:椎名丸)(原作:ブルーアーカイブ)

ここだけジェネリックヒナな12人の転生生徒がブチ込まれた青春の物語。▼尚、この脳内掲示板で繋がった魂の姉妹な連中のビジュアルは……▼大きめな羽の生えたティーパーティーモブであるとする。▼三次創作作品を頂いています、深い感謝を。▼ねねとさんより・《三次創作》トリニティの12使徒 番外編▼https://syosetu.org/novel/348669/▼パイマ…


総合評価:40290/評価:9.31/連載:91話/更新日時:2026年08月11日(火) 12:04 小説情報

透き通る世界に拳を一つ(作者:六科)(原作:ブルーアーカイブ)

▼ここは数多の学園が集まる超巨大学園都市『キヴォトス』▼そこにある連邦生徒会長の設立した特務機関。▼連邦捜査部『S.C.H.A.L.E』の先生として働く一人の青年▼マッシュ・バーンデッド、彼は生徒達を守るため今日も▼悪い大人をぶん殴る。▼『大人が子供を蝕む…そんな世界、ぶっ壊すしかないでしょ。グーパンで』▼対策委員会編・完結▼パヴァーヌ編一章・完結▼エデン条…


総合評価:7959/評価:8.96/未完:363話/更新日時:2025年10月23日(木) 06:00 小説情報

限界過疎アクアリウムガールが先生とお喋りするだけ(作者:お前の母ちゃんベアトリーチェ~!)(原作:ブルーアーカイブ)

なお限界(ワンオペ)であり、過疎(在籍人数1人)で、アクアリウム(大赤字経営)な、ガール(敬語ツンデレ生徒会長)であるとします。


総合評価:3135/評価:8.95/完結:7話/更新日時:2025年11月16日(日) 18:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>