セイア「殴り合いだ。歯を食いしばりたまえ、ミカ」   作:Rayu278

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ブルーアーカイブイベントストーリー「Serenade Promenade」の内容を含みます。


セイア「殴り合いだ。歯を食いしばりたまえ、ミカ」【エピローグ②】

 あれから、数か月が経った。

 

 怪我の大部分は痕も残らず、ほとんど日常生活に支障のない程度に完治した。

 

 賑やかな窓の外。見慣れた制服と、そのほか多数の見知らぬ人影でごった返すトリニティ・スクエアを見下ろす。

 

 何やらシスターフッドと救護騎士団が揉めていた、という様な話を小耳に挟んだが、

 

 ────トリニティの謝肉祭(カーニバル)は、何事も無く開催された。

 

「────?」

 

 ふと、ベッドの上でスマホが震え、少し遅れて通知音が響く。

 

 モモトーク。メッセージの差出人は、ミカ。

 

『セイアちゃん、今日、体調どう?』

 

 

 


 

 

 

 …そんなに少ないことは無いだろう、と思っていたが…。なるほど、広さと作品数に、人口密度が全く釣り合わない。というかぱっと見、本当に誰もいない。

 

 入り口を入って、右手に見える廊下の、突き当たりの部屋。中央に四角い椅子の置かれた部屋までを見通して、ようやく人影が二つ。

 

 二人で顔を見合わせてから、歩を進めてゆく。

 

 

 

「────あははっ!なに、このロールケーキの絵!」

 

「如何にも、ナギサらしいね」

 

「────!?」

 

 分かりやすく、反射的に翼をはためかせて驚き、ばっと振り返るナギサ。

 

「やっほ~ナギちゃん!セイアちゃんも連れて来ちゃった☆」

 

「ああ、ここは落ち着くね。ナギサにとっては、不本意だろうが……」

 

 外は人だらけ。視察に出たあの日と同程度に体調が良いと言っても、祭りの空気には流石に胃もたれしかねない。

 

 

「ミカさん、セイアさん……」

 

“元気そうだね、二人とも”

 

 そこで、ナギサの隣にいた先生が口を開く。視界の端で、ミカの身体が文字通り弾んだ。ぴょん、という、擬音が聞こえそうな感じに。

 

「せ、先生?」

 

「やあ、先生。謝肉祭を見にくるとは聞いていたが、まさかここで会うとは」

 

「え、そうなの…?私、聞いてないけど!?」

 

 …おや。てっきり、本人から聞いている物かと。

 

「お二人とも、わざわざ来てくださったのですね」

 

「ああ、ミカが提案してくれたんだ。どうせつまらなくて人がいないだろうから行ってあげよう、と言われてね」

 

「そ、そこまで言ってないよ!?」

 

「なるほど…ミカさんはそう思っていたのですね?」

 

 …あぁ。

 

 三人の。ミカとナギサ、先生の会話を聞きながら、感慨に浸る。

 

 いつも通り。いつも通りだ。

 

 掴んだ、日常。何の変哲も無く、他愛ない言葉を交わす、友人としての私達。

 

「────先生に作品の説明をしている途中だったのですが、よろしければ一緒にどうでしょう?」

 

 少しの沈黙を挟んで、ミカがこちらに眩しい笑顔を見せながら。

 

「うんっ!ナギちゃんの説明、楽しみだね☆」

 

 

 何の変哲も無く、代わり映えも無く。退屈で、平坦で、平穏で。

 

 何の心配もいらず、無邪気に、友人との時間を楽しめる。

 

 だからこそ、そんな一日一日が、愛おしい。

 

 

 

「────今日は、特別な日になりそうだ」

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