桜を得た太陽のサイヤ人   作:森雄

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怒りの化身 超サイヤ人現る

 元気玉の準備を行っている父さんの邪魔をさせないと、フリーザとグレイシアを一人で相手にしている俺はGEAR1(ファースト)の奇想天外な超能力を駆使して時間を稼いでいるけど、実力差がある二人を相手にするのはキツいな……。

 そう思っていると……

 

『悟旦!俺とベジータをお前の隣に転移させろ!』

 

 ピッコロさんからの念話が聞えたから俺は地に移動してわざと大地を隆起させてフリーザ達に攻撃した。二人は余裕綽々と岩の攻撃を避けるか、岩を壊した。

 壊された瓦礫を利用して二人の近くの瓦礫をフリーザ達に引き寄せた。

 

 瓦礫はまるで磁石のように二人に向かって行く。

 

 二人が向かってくる瓦礫を相手にしている中、瓦礫の一部に手刀を行なった。

 しかし、瓦礫が壊れる事はなく、黒い輪が瓦礫を縛り付けた。

 それを見たフリーザとグレイシアは俺が何を考えているのかすぐさま理解した。

 

「(先程の転移を使って、私達をあの瓦礫と入れ替えようとしてますね)」

 

 そう思っているフリーザ達の近くの瓦礫二個をピッコロさんとベジータと位置転換させた。

 突如として現れた二人に驚くフリーザ達にピッコロさん達は自分達の切札といえる気功波を放った。

 

 “魔貫光殺砲„

 

 “ギャリック砲„

 

 螺旋状に一直線に伸び続ける殺傷性の高い気功波──────“魔貫光殺砲„──────と"かめはめ波"と似た紫色の気功波──────“ギャリック砲„──────がフリーザとグレイシアを襲う。二人が回避や片手で払おうとする行動に移ろうとしたときに用意していた瓦礫を縛る黒い輪をフリーザとグレイシアの元に転移させた。

 

「「っ!?」」

 

 両腕と尻尾を縛られたフリーザとグレイシアは一瞬の隙を作ってしまった。

 

 隙を突いて二人の周囲に水柱を幾つか上げた。

 そして、水柱の液面部分をミラーボールの様に幾つもの鏡面に変えて、ピッコロさん達の気功波を合わせ鏡の様に増やした。

 

 その数は軽く二桁を超えており、二人が回避できる隙間を埋め尽くした。

 

「なにっ……!?」

「くっ……!?」

 

 二種類の気功波がフリーザ達に衝突してその場に爆発を起こす。

 爆発で生じた煙のせいで見えないが、気が減っていない事から何かをしたのは明らかだ。

 

 思った通り、煙が晴れるとそこには半透明な薄緑色の球体状バリアがフリーザとグレイシアを護っていた。

 

「バリアで防ぎやがったのか……!!」

「クソッたれ!あれで傷も与えられないとは……」

 

 ダメージを与えられなかった。それなら……

 

 俺はある策を思いついて二人を俺の近くに転移させた。

 

「!?悟旦……何のつもりだ?」

「ピッコロさん、ベジータ。父さんの"元気玉"の完成を手伝うから、アイツらの相手を任せても大丈夫ですか?」

「ふんっ!フリーザは俺様が倒す。貴様等は邪魔だ」

「ベジータ。デンデの力で更に強くなったようだが、フリーザ達に勝てるほどではないだろ」

「何だとっ!!」

 

 ピッコロさんとベジータが言い争っている間に二人の背中に手を置いた。

 

 “覇気与衣(はっけようい)”

 

 二人に俺のGEAR1(ファースト)を衣として付与すると同時に覇気を少しの間だけ扱えるように与えた。

 

 10~15倍の強化と反動を持つ“覇王拳”GEAR1(ファースト)を与えられたことで二人に大きな負担が襲う。

 

 呻声が二人から出ているが、今の二人ならGEAR1(ファースト)に耐えられるだろ。

 

「二人とも後はお願いします!」

 

 そう言って俺は父さんが作りだしている"元気玉"の応援に行った。

 

「逃がしませんよ!!」

 

 フリーザが俺に気功波を放ってくるが“覇王拳”を纏ったピッコロさんが弾いてくれた。

 

「悟旦達は殺らせんぞ!!」

「貴様の相手は俺だ。フリーザ!」

 

 ピッコロさんとベジータがフリーザ達に襲い掛かっていった。

 

 二人が相手をしてくれている間に俺は父さんの元へとやってきた。

 

「父さん、俺も手伝う!」

 

 父さんにそう言うと俺は水柱を幾つも出しては水滴を“元気玉„近くに浮かせて水鏡に変えた。

 

 変えられた水鏡が“元気玉„を複数個顕現した。複製した“元気玉„を父さんが準備しているオリジナルと統合して、その規模や破壊力を上乗せしていき、フリーザ達を仕留めるだけのエネルギー量を蓄積する時間を短縮させる。

 

 次々に水鏡で“元気玉„を複製して統合させて規模を段々と増やしていく。

 既に地球の時の規模を越え、当時の約5倍以上に増えている。

 

「悟旦!フリーザ達を倒すんにはもう少し必要だ」

「わかった!」

 

 しかし、フリーザとグレイシアを倒すには約5倍ではまだ足りない。

 

 更に水鏡を増やして、“元気玉„の完成を急いだ。

 

 ──────────────────────────────

 

 “元気玉„の完成を急ぐ悟空と悟旦。

 

 そんな二人の邪魔をさせまいと闘うベジータとピッコロ。

 フリーザとグレイシア相手に死闘を繰り広げる二人は“覇気与衣”によって得た10~15倍の強化を用いてフリーザ達相手に時間を稼いでいた。

 

 GEAR1(ファースト)を付与されたベジータは超能力や覇気の扱い方に四苦八苦していたが、フリーザ達相手にそんな扱えもしない力を使うのは自滅でしかない。

 

 彼は単純に身体強化のみを使いフリーザ相手に殴る蹴るの猛攻を行なうが、今のベジータはデンデに二度目の治療を受けて更に強くなった。

 その実力は今の悟空と同等。そこに10~15倍に強化する“覇王拳”GEAR1(ファースト)を“覇気与衣”で与えられてもフリーザ相手には届かない。

 30倍“界王拳”を使った悟空の一撃で、漸くダメージを少なからず与えられているという程の実力差があるというのに、その半分以下の強化でフリーザ相手に届かない。

 

 フリーザからすれば、いたぶる対象が自分から表に出ただけのことだ。

 

 しかし、それでもベジータは闘う。

 

 明確な差を身を以て味わい知った絶望感を、彼は誰よりも強く理解している。

 それでも闘うのは、ベジータも感じているのだ。悟空の“元気玉„しかないのだと。勝ちがないのだと。ただの時間稼ぎに過ぎずとも……自分に屈辱を与えたサイヤ人(カカロット)に協力してでも、フリーザ達に勝たなければならないのだと。

 

 サイヤ人としての誇りが、ベジータ個人の意志が、敵を葬るために乾坤一擲の戦いに身を投じた。

 

 

 GEAR1(ファースト)を付与されたピッコロは覇気の扱い方はわからなかったが、超能力に関しては似た力を使える為、超能力の種類が増えた事と身体強化された事から積極的に行使した。

 

 ナメック人特有の頭部の触角から電撃を放った事があるピッコロにとっては悟旦が作りだした超能力と身体強化をもたらすGEAR1(ファースト)と相性が良かった。

 故に、彼は頭部の触角から電撃以外の超能力を発揮してグレイシアと攻防を繰り広げていた。

 

 しかし、サイヤ人としての強化を持たないピッコロはグレイシアとの戦闘力差がベジータよりも激しい。

 10~15倍強化してもグレイシア相手には届かない。

 

 それでもピッコロも乾坤一擲で時間を稼いでいる。

 

 二人の共通することはただ一つ。

 

 “元気玉„の完成のための時間稼ぎ。

 その為に、二人はどれ程のダメージを負おうともフリーザとグレイシアの相手を務めていた。

 

 しかし、ベジータとピッコロのダメージが満身創痍の状態となり、立ち上がることも出来ない状態にまで追い詰められた。

 

「がっ……」

「はぁ……はぁ……」

 

 地に倒れ伏すベジータとピッコロに対してフリーザとグレイシアが二人を見下ろす。

 

「どれだけ小細工を使おうが、貴様等がこのフリーザ様に勝つことなど無理なんだよ!」

 

 フリーザは傲慢な態度で勝ち誇る言葉が告げられる。

 しかし、二人は身体を震わせながらも立ち上がろうと、身体に力を入れているが、殆ど立ち上がれないほどにダメージを受けてしまっていた。

 

 そんな二人にトドメを刺そうと指先に気を集中して気功波を放とうとする二人に別の場所から気功波が襲う。

 小さな気功波を受けて意識をそちらへと向けた。

 そこにはクリリンと悟飯が残り少ない気功波を放った姿があった。

 

「アイツら……残り少ない気で無理しやがって……」

「……ふふふ……まったく人をイライラさせるのがうまいやつらだ。もうここまでだ!この星諸共、貴様等をゴミにしてやる──────っ!!」

 

 星を壊そうと気を指先に集めてナメック星へと落とそうとする。

 しかし、そんなフリーザの隣へと突然と現れた者がいた。

 

 悟旦だ。

 

 ──────────────────────────────

 

 俺はフリーザの隣にGEAR2(セカンド)状態になって強力な蹴りを腹部に蹴りつけた。

 

「ごほっ……!」

 

 強力な蹴りを無防備に受けたフリーザが蹲ると頭を掴んでグレイシアへと投げ付けた。グレイシアは反応が遅れてフリーザと衝突してしまう。

 そんな二人を先程使っていた黒い輪で縛りつけた。

 

 俺が時間を稼いだことで、

 

「父さん!」

「できたぞ!」

 

 “元気玉„が完成した。

 

 重力操作でフリーザ達をその場に四方八方から100倍の重力で押さえ込んだ。

 

「今だ!」

「「やれ──────っ!!」」

「はぁああああ!!」

 

 父さんが掲げていた両手を振り下ろした。

 

 つられるように完成した“元気玉„がフリーザ達へと落ちていく。

 

「し、しまった──────っ!!?」

「この……」

 

 グレイシアが重力操作を解除する。同時に二人は自身を縛る輪を壊して、襲い来る“元気玉„を受け止めて抗おうとする。

 

「伏せろ──────っ!!!」

 

 ピッコロさんがそう告げたことで父さん達は地に伏せる。

 しかし、グレイシアは何度も位置転換を受けた経験から同じ事をしようと画策していたが、その前に俺がフリーザとグレイシアの背後に回り、覇気で出来た狗で噛み付いた。

 

 “覇狗奪(はくだつ)”

 

 覇気だけで出来た狗に噛み付かれた二人から気と覇気を奪い始める。

 噛み付きが止まらない限り奪う技に“覇王手„の維持が出来なくなったグレイシアは、強制的に“覇王手„を解除された。

 しかし、俺にもデメリットがある。

 

 気と覇気を奪う“覇狗奪„は俺の許容量を超えたら必然的に奪った気と覇気がフリーザ達に戻る。

 そうならない為に気功波を二人の背中に打ち込んだ。

 

「ぐぅお……っ!?」

「くぁあっ……!?」

 

 フリーザとグレイシアは背中に強力な攻撃を受けながらも耐える。

 ダメージを与えながら俺はちょっとずつフリーザ達から距離を取っていく。

 そして、父さん達の近くへと降り立つとGEAR1(ファースト)になってフリーザ達の近くに大きな水滴を幾つか作りだした。

 

 その水滴を水鏡に変えて“元気玉”を更に二つ増やしてフリーザ達にぶつけた。

 

「こ……ここ……こっ……こんな……」

「あああぁぁぁぁ──────っ!!!!!」

 

 言葉にならない悲鳴を溢しながらフリーザ達を呑み込んでいき、海の底へと落ちていき、爆発が生じた。

 

 ──────────────────────────────

 

 爆発が生じ、悟空達がいる場所だけが大きな陥没をしていた。

 

 そんな陥没した大会と陸地の近くの岩場に降り立ったクリリン、悟飯、デンデ。

 

「よ、よう無事だったか……」

「は……はい……」

「クリリンさんも……大丈夫ですか……」

 

 三人はフリーザ達と闘っていた悟空達の気が感じないことに悟飯達は最悪な予測を立ててしまう。

 しかし、そんな中にある岩場へと立ち上がってきたのは緑色の球体だった。

 

 その中にはボロボロになりながらも無事である悟空、悟旦、ピッコロ。そして、ベジータだった。

 

「悟空だっ……!!」

「お兄ちゃんとピッコロさんも!!」

「生きてるっ!!!」

 

 三人は陸地へと上がり球体が解除されると四人とも陸地へと倒れた。

 

 やってきた三人と勝利を勝ち取り、生きている事に喜んでいるとデンデが悟空達に一人一人と両手を掲げた。

 

 するとデンデから放たれた摩訶不思議な力で悟空達のダメージが癒やされた。

 

「すっげぇえっ!!」

「ナメック星人ってこんな事も出来るんだ……じゃあ、ピッコロさんも?」

「いえ、ピッコロさんは戦闘タイプのナメック星人ですので……」

 

 四人の治療を終えたデンデがピッコロを見つめた。

 

「ピッコロさん。貴方はネイルさんと……」

 

 デンデの発言にピッコロは肯定の笑みを浮かべた。

 デンデはとても喜んでいた。

 

「ナメック星も酷いことになってしまった……だが、これで最長老さまや死んでいった皆も安らかに眠ることが出来るだろうな……」

「はい……」

 

 ピッコロとデンデがそう感慨深しく呟いていると悟旦が話しかけた。

 

「そういうや、君は?」

「あっ。初めまして……ボクはデンデっていいます」

 

 デンデは悟飯とクリリンに助けられた経緯を伝えた。

 

「そうなのか。悟飯と仲良くなってくれてありがとな。悟飯の奴、人間の友達いねぇから」

「酷いよお兄ちゃん!友達がいないのはお兄ちゃんもじゃん!!」

「あれ?」

 

 首を傾げながらも悟飯の反論に惚ける悟旦。

 そんな兄弟にベジータ以外が笑った。

 

「デンデはこれからどうするんだ?」

「ボクは……」

 

 決めきれていないデンデに悟旦が持ちかけた。

 

「なんなら一緒に地球にこない?ピッコロさんも喜ぶし……」

「……」

 

 デンデがピッコロを見つめるとピッコロが頷いた。

 デンデは意を決して返答をしようと悟旦に顔を向けた時だった。

 

 突如としてデンデの表情が悪くなった。

 

「あっ……ああっ……」

 

 恐怖の存在を見ている様な表情を浮かべるデンデ。そんな彼が見ているものが気になったのかクリリンが視線を向けた。

 彼も同じ様に顔色を悪くした様に青ざめていき、怯えた声でその存在の名を告げた。

 

「フリーザとグレイシアだ──────っ!!!!!」

「なっ……!?」

「なに……!?」

 

 フリーザとグレイシアから気功波が放たれた。

 フリーザの気功波はベジータの心臓を貫き、グレイシアの気功波はデンデを焼き殺した。

 

「がはっ……!?」

「デンデ……!!?」

「ベジータっ!?」

 

 悟旦が急いでベジータ達を癒やそうと行動に移ろうとする。

 しかし、グレイシアが更に気功波を放った。

 

「悟旦──────っ!!?」

 

 弟子を護ろうとピッコロが身体を使って悟旦を押しのけて庇った。

 放たれた気功波がピッコロの右胸を貫いた。

 

「ピ……ピッコロさん──────っ!!!」

 

 倒れたピッコロを見てフリーザ達に怒りの視線を向ける悟空と悟旦。

 

「さ……流石の俺も今のは死ぬかと思った……」

「無理してバリアを張って生き残れましたわ……」

 

 二人は死にかけたことを呟く。そんな二人をデンデのお陰で全快した悟空と悟旦が闘おうと構える。

 

 悟空が悟飯達を宇宙船で逃がそうとするがその前にフリーザがクリリンを超能力で持ち上げた。

 

「貴様らを許すと思うのか?一匹のこらず生かしては帰さんぞ……ダメージをくらっても貴様らごとき片付けるのはわけはないぞ!!!」

「うっうああ──────っ!!!」

「クリリ──────ン!!」

「やめろフリーザ──────っ!!!!」

 

 停止の声を無視して手を握り拳にしたフリーザの所作と同期するようにクリリンの身体に異変が生じた。

 

「悟空──────っ!!!!」

 

 ドー……ン

 

 クリリンの身体が粉微塵に爆発した。

 

「お次はガキの方かな?」

 

 ニヤニヤと笑うフリーザとグレイシアと違い、ガクガクと怒りが立ち上がる悟空と悟旦。

 

「ゆ……ゆ……ゆるさんぞ……」

「よくも……よくも……」

 

 二人の堪忍袋の緒が完全に切れた。

 二人に大きな異変が起き始めた。

 

 二人の気が異常なほどに上昇していく。すると空から突然落雷が生じ、大地や空気が揺れるような地面を抉れるかのように石が浮かび始める。

 

 二人の咆哮と共に、二人の髪が逆立つと同時に、髪色が金色となり、瞳が碧眼となる。

 

「「あああああ……ダァァアアア!!!」」

 

 怒りの咆哮と共に噴きだした金色のオーラを纏う孫親子。

 

「カ……カカロット……!?」

「お、お父さん……お、お兄ちゃん?」

 

 心臓を貫かれてもまだ生きているベジータと無事な悟飯が二人の変化に驚き、フリーザとグレイシアは戸惑いを隠せなかった。

 あまりの事に状況の理解ができないフリーザとグレイシアを含めた者達。

 悟空と悟旦はフリーザ兄妹を睨み付けた。

 

 だが、同じサイヤ人の血が流れているベジータと悟飯は本能で理解した。

 

 二人の姿こそ、“超(スーパー)サイヤ人”なのだと……

 

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