現代ホラーの中で順当にハクスラしてたらいつの間にか都市伝説化していた。   作:細々した胡麻

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こんな館に住んでられるか!ポップコーン食べに行ってくる!

 

 こんばんはぁ!いつの間にか斧男って名前が定着してた斧男です。面倒くさいのでこの名前で良いや!!この館に迷い込んだ時に持ってた通学鞄から学生証引っ張り出せば良いけどクソめんどくさいし!

 

 言っちゃなんだけど、俺もう健康で文化的な最低限度の生活から逸脱したからね!日本国憲法に真っ向から反逆しちゃったから!

 

 ……さてと、昨日ドアの怪物からレアアイテムのドアベルをはぎ取れたので正味もうこの館に用はありません!つー訳で俺はもうこの館を出ます!

 

 今はその為の準備として鯖缶を適当な布袋に纏めているところです!正直最近はあまりお腹も空かなくなってきたんで要らないかなぁ……と思いつつ持っていく。いいか!?人間の三大欲求はもっとも身近な三大娯楽でもある!覚えとけぇ!!!

 

 っと……そんなこんなでしばらく準備をしてると、風音が廊下に入ってくる……だれかドアを開けたな?今度はなんだ?誰だ?

 

 俺は毎度の如くやかましい怪物を手斧でぶった切りながら歩く……すると、リビングに人影が見えた……あの銀髪は……?

 

 

 

「来ちゃいました。師匠。」

「えぇ……」

 

 えぇ……えぇ……この子この前の友達みんな食われた子じゃん。なんで来たの……?確かにまた来るって言ってたけどあんなんリップサービスだろ普通。来たくないだろこんな所……なんで来ちゃったんだろう……

 つぅかもう夜中!なんで来たのこの子!?親御さんは何してるの!?教育教育教育教育教育教育教育教育教育死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑!!!

 

「……俺これから出かけるんだが。」

 

「では丁度良いですね。早速怪物を狩りに行きましょう。」

「待て……何故決めつける?」

「違うんですか?」

「いや、そう……だが……なんでお前も同行する気満々なんだ。」

「まずは師匠の戦い方を見てみたいのです。」

 

 のです。じゃねぇよ、女の子がこんな時間から何してるんだよ!深夜何時だ今!?そもそもついてこられても迷惑だわ!そもそも得物も何も持ってないだろ!?

 

「……キチンと師匠に渡された手斧持ってきました。」

 

 なぁんで持ち歩いてんだよ!?俺が言うのもあれだけど完全に銃刀法違反だろうが!?法律くらい守ろうぜ!?……と、兎に角……ここはよい大人……あれ?俺今幾つだっけ?……まぁいいか!(精神年齢的な)大人として非行を正さなきゃ!!

 

「帰れ、やりたきゃ一人で勝手にやれ。」

「嫌です。」

「帰れったら。」

「否が応でもついていきます。」

「親が心配するぞ。」

「大丈夫です。」

 

 大丈夫ではなくねぇか!?なんなのこの子、なんで一歩も引かねぇんだよ。なんでこんなに毅然としているんだよ!!

 はぁ……このままだと夜が明ける。しょうがねぇ、ここで問答してる暇もなし、早く行こう。

 

「……もう勝手にしろ。」

「はい、そうします……それで、何処に行くんですか?」

「新しい寝床に行く。」

 

 もうこの館に用は無いのでね、新しい隠れ家に行こうと思います。えっ?宛はあるのかって?

 

「宛はあるんですか?」

 

 ナイスタイミングで聞いてくるなこの子……まぁいいや、次の周回場所もとい、次の住処は決まってる。

 

「地下下水道に行く。」

「下水道?」

 

 怪物は密閉された人の少ない空間によく出る……そういう意味では、下水道はゲーム本編でもよい湧きスポットだった。

 問題は本来終盤に行くダンジョンなので、敵が相応に強いと言う点だ。

 

 ゲームなら何度でもリトライ(やり直し)が利くから良かったが…………リアルだとそうはいかない。強くなるまでの時間が欲しかった。

 

 ……今の俺は怪物の返り血を多量に浴びた影響かなんかで、完全に再生者、不死身になってる。厳密には何らかの原因じゃ死ぬのかもしれないが、今のところ死んでないから分からん。

 

 そして、十分上に強化した手斧、そして雑魚の怪物を寄せ付けず、レアな怪物を引き付けるドアベル。完全に周回の場は整った!今こそ本格的な周回を始めようか!!

 

 ……えっ?その先?考えないようにしてる!!!!

 

「下水道なら良い狩場になるからな。」

「道は分かるのですか?」

「良く知ってる。人目につかない行き方もな……ついてくるのか?」

「はい。私も、貴方のようになりたいので。」

 

 絶対やめたほうがいいと思うんだけどなぁ……友達怪物に皆殺しにされて前世の記憶思い出して即怪物狩りのハクスラに洒落込む男だよ?……考えてみれば割と似てる?まぁいいや。それじゃ、一つ伝えとこうかな。

 

「……構いやしないが。俺はお前を助けないぞ?」

「……?」

「近くにいたり、手が届いて俺に危害が及ばない状況なら助けてやる。だがどこか別の場所だったり、俺が本当に死ぬ様な場面なら、俺は助けにはいかないからな?覚えとけ。」

「……?……はい。」

 

 ……なんでちょっと理解してなさそうな顔なの!?えっ、どっちこれ!?結構分かりやすく言ったんだけど!?ヤバそうでも俺が助けてられる保証がないって話なんだけど!?えっ何この子強ぁ……無表情なの含めて怖いわぁ……

 

「それと師匠、師匠は食べ物は必要ですか?」

「……なんだヤブから棒に。必要ではあるが……」

「保存食を鞄に入れてあります。缶詰の焼き鳥や鯖など……安いものですが、よかったら差し上げます。」

「…………ありがとう。」

 

 鯖缶か!!よっしゃ安心しろぉなるべく全力で守ってやるからなぁァァァァァ?…………あっ、そうだ。一つ言い忘れてた。

 

「……付いてくるなら後で裏庭に行っとけ。この前喰われたお前の友達。下半身だけだが埋めておいた。お参り位はしておけ。」

「っ!……はい、そうします。」

 

 因みに裏には他にもこの館で怪物に喰われた人の遺体(とも言えるか微妙な形になったやつも混ざってる)を埋めてる塚がある。ここを離れるからにはもう使わないが…………俺はもう飽きるまでお参りしたからな。もういいや。

 

 はぁ……にしても、確かにこのマオって女の子は覚悟ガンギマリで良い目をしてるけどなぁ……言うても今まで全く怪物狩った事ない高校生だろ?……正直連れて行きたくねぇな。今から行く所割と怪物ポップするからなぁ………ぶっつけ本番で何処までやれっか……

 

――――――――――

 ポップコーンはいかが?

 30分後………

 

「みぎゃぁ  ぁ   ぁ     」

「終わりました。」

 

 この子天才だわ。

 

 いやぁ……この子天才だわ!!!(二回目)

 

 今は例の下水道に向かって人けのない路地裏を中心に用水路に向かってるところです。そこから下水道のある方へと向かえます。

 

 なんだけど……そこまでの路地裏も結構治安が悪い(オカルト的な意味で)正直そこそこつよい奴らもいたんだけど……この女の子……マオちゃんだっけ。

ポップコーンはいかが?

 この子、身と俺の渡した手斧一つで出てくる怪物皆ブチ殺してます。

 

 すごいね!才能って恐ろしいね!?俺初めての頃こんな感じじゃなかったよ!もっとビクビクしながら後ろから近づいて不意打ちでぶち殺してたよ!流石にこれは本当に褒めちゃうわ。

 

「……やるな。」

「ありがとう御座います。師匠。」

「だが、どうせならもっと引き寄せてから斬れ。リーチを見誤った空振りが目立つ。」

「……!はい!!」

 

 いやぁ……先生ってこんな気持ちなのかな。大人しそうな見た目の割に結構しっかり話も聞いて返事もしてくれるし、教え甲斐があるよ……………………いや、師匠じゃないけどな。マジで違うから。少し見込みあるからアドバイスくらいはしてやろうって親切心だから。うん。

 

「師匠、剥ぎ取りますか?」

「お前が狩ったんだからお前が剥ぎ取れ。俺は良い……」

「……やってみます。」

「そのゴブリン型なら胴体を掻っ捌け。一つだけ赤色に変化した骨があったらそれを取って手斧に巻き付けろ。威力が上がる。」

「はい!」

ポップコーンはいかが?

 いやぁ……なんか懐かしいな。鏖殺にハマってた頃専用ボイチャサーバーで初心者の子と巡ってたの思い出す。色々と教えてたなぁ、効率のよいやり方とか強化の方法とか……

 

 ……思い返せばあの頃の俺ってほぼ指示厨だったのでは?……なんか、世界線を越えてあの頃プレイしてたネッ友に謝罪したくなってきたな。もう叶わないけど。

 

「師匠、どうですか?」

 

 するとマオは赤い骨を手斧の取っ手に巻きつけた姿を見せてくる……うん。つかドロップしたのね……その赤い骨そこそこレアドロなんだけど……うん、なんかジェラシー……これが物欲センサーかッッ!!!

 

「……もすこしキツく巻いておけ。」

「はい!」

 

 悔しいので難癖つけます!……実際巻き方が甘いのは本当だから……戦闘中にそう言うの外れると面倒だよぉ?……そのうち手斧と同化して気にならなくなるけど。怖いよね、本来ただの手斧のはずなのに怪物の素材とくっつけてるだけで段々と同化していくんだぜ?ホラーだよもう。ホラーだったわ。

 

「しかし、意外と出てくるな。」

「はい、意外と息切れします。」

ポップコーンはいかが?

 まぁさっきのゴブリンみたいなやつだったり、普通に動いて襲って来るタイプの怪物ならまだ良い。近づいてくるなんて殺してくださいって言ってるようなもんだ。躊躇なく殺れる。

 

 けど、数が多くなると面倒だけどな。俺なら連続再生して泥沼戦に持ち込んでかてるがマオはそうは行かないだろーな。俺だってやりたくない。

 

 今から下水道に向かうのも、それを何とかできるアイテムを集めるためだ……範囲攻撃のできる武器。鏖殺のゲーム内でもそう言うのはある。当てはめるなら魔法とか魔術その様な物だ。

 

 まぁぶっちゃけ普通に殴ってきてくれるんならやりやすい方だ。逆に殴り返して殺せるから。問題なのはそれができないヤツだ……怪物って言っても多種多様でな?偶に訳わからんヤツが出てくる。

ポップコーンはいかが?

「ポップコーンはいかが?」

「っ!?師匠今喋りましたか?」

「俺だと思うか?」

 

 あちゃ……ポップしてたか。まぁ、いいや。想定の範囲内だ。

 

「ポップコーンはいかが?」

「師匠?」

「ポップコーンはいかが?」

「反応するなよ。面倒になる。」

「ポップコーンはいかが?」

「……これは……」

「ポップコーンはいかが?」

ポップコーンはいかが?

 うるせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!

 会話のテンポが途切れるんだよ!耳元で直接話してきたような声しやがって!!少しは黙れねぇのか!?……なんとなく察せると思うが、この声は怪物の一種だ。

 

 怪物は分かりやすく敵意剥き出して人を食おうと襲う奴ばかりじゃねぇ。こう言う精神攻撃を仕掛けてくる奴もいる。こういう奴らは大抵反応すると食ってくるんだ。

ポップコーンはいかが?

「ポップコーンはいかが?」

「師匠……なんかポップコーンはいかが?」

 

 ほんと直ぐに頭に響くようにねじ込んできやがるな。声色がマオの声になりやがった。鬱陶しい。頭に響くわ。

ポップコーンはいかが?

「ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?

 

 しばらく暗い路地裏を進む……すると、一つの筐体を見つける。いやぁ懐かしいな、鏖殺でも見たしこの世界でも偶に見たし前の世界でも見たな。

 

「ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?

 

 筐体でさ、ハンドルをぐるぐる回してポップコーン作るやつ!こいつがこの通路で出てくる『ポップコーンの怪物』です。見た目はキッズコーナーにあるポップコーンハンドル回して作るやつだな。懐かしいわぁ……

ポップコーンはいかが?

 ポップコーンはいかが?

 ポップコーンはいかが?

 まぁこんな感じで脳内に直接声を掛けて反応した所を食いに来るんですよね。本体の近くに来たからかすげぇ頭に響く。

ポップコーンはいかが?

「ポップコーンはいかが?」

「ポップコーンはいかが?」

ポップコーンはいかが?

 ヤバいなマオと自分の声が完全にポップコーン勧めてくる声になってきた。俺もマオも別の言葉喋ってるはずなのにポップコーン勧めてくる声になってんの鬱陶しいな。

ポップコーンはいかが?

 やっぱ近寄るとこうなるのか……ゲーム内でもポップコーンいかがってうるさかったからな。一行動ごとに「はい いいえ」の選択肢出てくるのマジでウザかった。

ポップコーンはいかが?

 ポップコーンはいかが?

 ポップコーンはいかが?

 あぁ早く壊さねぇとな。ポップコーンはいかが?

 なんとかしねぇとな。ポップコーンはいかが?

ポップコーンはいかが?

 ヤバいなぁマジで思考にまで介入してくるわ……ポップコーンはいかが?

ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?

 ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?

 頭に響くわ……ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?

 うるせぇな……ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?

ポップコーンはいかが?

 ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?ポップコーンはいかが?

 

うるせぇわボケェェェェェェェェ!!!!!!手斧カブト割りィィィィィ!!!!

「ポップコーンはいkkkkkkk      」

ポップコーン

 はぁ……はぁ……う、うるさかった……

 

 本体の筐体に思いっきり手斧をぶち込んでやれば、ようやく静かになってくる。こういう脳内に直接語りかけてくるやつは肉体性能関係なしに頭おかしくなりそーだわ、さっさと死ね!!たくさん死ね!!たいした素材も落とさねぇポップコーン野郎が!!

 

「んっ?あれ……声が……」

「ちっ。手間取らせやがって……」

 

 マオの声も普通に聞こえるようになった。俺の声も正常だ、ポップコーンの押し売りの声も消えた……はぁ……ぶっちゃけこの路地裏入った時から煩かったんだよな。サブリミナル的に頭の中でポップコーン叫んでたから……

 

「はぁ……行くぞ……」

「……師匠よく、平気でしたね?」

「習慣で怪物見つけると身体が勝手に動くからな。俺も煩かった。お前こそよく平気だったな?」

「まぁ……反応するなと言われたので舌噛んで耐えてました。」

 

 えぇ……よくそれで耐えれたな。こいつやっぱ才能あるわ……なんか、案外この先連れてっても大丈夫な気がしてきた。

 いやぁ、怖い怖い。最近の若い子って内に何秘めてるか分かんないから。

 

「んじゃ、次行くか。」

「素材は剥ぎ取らなくても良いんですか?」

「こいつ大したもの落とさないからな。」

 

 こんな奴を剥ぎ取るよりも、さっかと下水道に行くぞぉ!!範囲攻撃がオレを呼んでいるぅぅぅ!!!

 

 

 

 




ポップコーンはいかが?
ポップコーンの怪物:ポップコーンはいかが?と勧めてくる怪物。反応すると食われる。サブリミナル的に語り掛けるので注意しよう。ポップコーンはいかが?
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