夜空に輝く星の魔法   作:雪色ココア

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今回もオリジナル回です。非魔法界は色々と描写が難しい…

やっぱり魔理沙とのお話なら永遠の相棒である彼女を出さなければ(使命感)



17.星と紅白の出会い

 親父の会社を出て付近の公園のベンチに座ると同時に私の足は極度の緊張状態から解放され、一気に使い物にならなくなった。

 

「…もう少し、話しときゃ良かったかもな」

 ベンチにへたり込みながら私はそう呟く。

 

 親父の本音…私の本音…色々な言葉が頭の中を独楽みたいにぐるぐる回っていく。

 

「にしても…不器用すぎるな、私も…親父も…」

 私の夢を応援する為に足枷となる会社を外す為に半ば勘当のように私に家を飛び出させた親父に、家出してから親父に迷惑がかからないように一人前になるまで家には帰らないと決意して、6年間も手紙すら出さなかった私、そこに何の違いがあるのだろうか。

 

 とんでもなく愛の伝え方が下手くそなのはきっと親父のせいだ。

 

 そう両手で顔を覆いながら呟く。きっと今の私の顔は真っ赤になっているだろうなと考えながら。

 

「ちょっと良いかしら?」

 不意に聞こえたその声に顔をあげると十八から二十歳くらいの白いフリルのついた日傘を差した女性が私の前に立っていた。

 

「私…ですか?」

 周りに人がいないことを確認してから問う。

 

「えぇ、貴方のことよ。霧雨魔理沙さん」

 どうやら私のことを知っているようだ、顔自体は微笑んでいるが、何か胡散臭いような、形容し難いような不吉さに襲われた。

 

「私達、どこかで会いましたか?」

 少し警戒しながらも表情には出さないように問いかける。

 

「あら失礼、自己紹介が遅れました。私は八雲紫と申しますわ」

 そう言って彼女は紫色のワンピースを揺らしながら優雅な礼をした。

 

「八雲…親父の手紙の代筆の方ですか?」

 ここに来るきっかけになった親父の手紙の最後に代筆者として紫という名前を見た気がする。

 

「えぇ、覚えていてくれたようで嬉しいわ」

 彼女は胡散臭い微笑みを浮かべながら近づいてきた。

 

「そんな魔理沙ちゃんに、一つ、頼みがあるの」

 

「頼み…ですか?」

 少し警戒しながら聞き返す。

 

「えぇ、少し会って欲しい子がいるのよ、貴女にしか頼めないの」

 

「私にしか…?どうしてですか?」

 

「そうねぇ…勘…かしら?」

 彼女は頰に手を当て少し考えた後にそう答える。

 

 正直言って、この上なく怪しい。

 

 ついていったら売られましたとかだったら、本当に洒落にならない。

 

「安心して頂戴、貴女に危害を加える事は一切しないと約束するわ」

 胡散臭い笑みではあるが、その言葉の中には確かな誠意のようなものを私は感じた。

 

「…分かりました、引き受けましょう」

 少なくとも殺されるような事は無いだろうと考え、私は承諾した。

 

「良かったわ、ついてきて頂戴」

 そう言って紫は私の手を引いて駅まで連れていった。

 

 1時間ほど電車で揺られ、着いたのは葛飾区にある神社。

 

 無機物なコンクリートのビルに囲まれていたところに唯一見えた木々の緑色だった。

 

 一人の不思議な巫女装束を着た私と同じくらいの少し背の高い少女が竹箒で石畳を掃いているのが見えた。

 

 少女が紫を目で捉えると少女は腰に手を当てて此方に向かって来た。

 

「紫、その子がアンタの言って会わせたい子?」

 少女は私を見ずに紫の方を向いてそう言った。

 

「えぇ、そうよ」

 紫はそう言ってから、私に自己紹介を促した。

 

「私は魔理沙、霧雨魔理沙だ」

 

「私は霊夢、博麗霊夢よ」

 

 お互いが名乗りと同時に互いの顔を見た時、体に電流のような物が流れたような錯覚を覚えた。

 

 まるで、背中を任せられる長年の相棒に出会ったような、そんな不思議な感覚に陥った。

 

「ねぇ、アンタ。私とどこかで会ったことある?」

 恐らく博麗さんも同じ感覚を味わってようでそう聞いてくる。

 

「いや…私が覚えている限りは無いと思うが…?」

 だからおかしい…この既視感の正体は一体何なんだろうか…?

 

「霊夢」

 

「えっ?」

 

「私のことは霊夢って呼びなさい」

 どこかぶっきらぼうな口調で博麗さん、いや霊夢はそう言った。

 

「そうか…なら、私のことは魔理沙って呼んでくれ、よろしく霊夢」

 霊夢…霊夢か、妙にしっくり来るな。

 

「えぇ、よろしく魔理沙」

 

 お互いの会話が詰まったところに紫が胡散臭い笑みを浮かべながら来た。

 

「珍しいわね、あの霊夢が相手を下の名前で呼ぶなんて」

 珍しいとは口にしているもののその目はどこかこの結果を知っていたようなそんな目をしていた、私の勘違いなら良いのだが…

 

「うっさいわね、そう呼ばなきゃいけない、そんな気がしただけよ」

 霊夢は少し顔を赤くしながらそう言った。

 

 彼女と話していると何故か懐かしいようなそんな気持ちになる、どうしてだろう…?

 

 そうして私は自分のホテルのチェックインの時間になるまでの約1時間ばかり話してこの神社を去った。

 

——そんな二人を神社の屋根の()から見ていた紫は

「ふふっ…やっぱりこの二人はいつの時代(世界)でも生涯の相棒なのね」

 その小さな呟きはだれにも聞こえること無く、虚空と混ざり合う。

 

 行きと同じ1時間をかけて羽田の近くの予約しておいたホテルに到着した。

 

「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」

 ホテルのフロントデスクに歩いて行くと濃紺のスーツのフロントマンが

お辞儀をしながら丁寧な口調で出迎える。

 

「予約していた霧雨です」

 

「霧雨様ですね、少々お待ち下さいませ」

 そう言ってフロントマンは慣れた手つきで名簿帳を確認して。

 

「お手数おかけしますが、此方にご記名をお願い致します」

 差し出されたボールペンで自分の名前を書き終え、それを手渡す。

 

「今回は一名様、1泊2日の滞在でございますね。本日は5階のシングル、禁煙のお部屋をご用意しております。夕食は7階のレストランで17時半から21時までの間となっております、また朝食は2階のレストランにて、朝6時半から10時までの間でございます」

 フロントは案内用紙を渡しながら要点を話していく。

 

「こちらが、お部屋のキーでございます」

 私は真鍮製の部屋番号の書かれたキーホルダーの付いた鍵を受け取る。

 

「エレベーターは右手にございます、ごゆっくりお過ごしくださいませ」

 

 私は鍵をポケットに入れてエレベーターに乗る。

 

 壁に書かれた部屋番号を辿り自分の部屋に到着する。

 

 部屋に入ると同時に疲労がぐっと押し寄せて来た、一刻も早く体を休めたかった私はそのままベッドに倒れ込む。

 

 余った時間は観光しようなんて甘い考えだった、想像以上に色々な事が起こりすぎて頭が痛い、その中でも頭の中を駆け巡るのは霊夢のことについてだった。

 

「…どっかで会ったのか?それを思い出せないだけ…じゃないよな…?」

 思わず口から溢れたその言葉を頭の中で考える、

 

 霊夢とは初対面じゃないと仮定する、一体どこで会う?私と同じような東洋系の顔立ちなんてイギリスではそうそう見るとは思えないんだが…?

 

「…何でこんなにもアイツのことで頭がいっぱいになるんだろうな」

 まだ会って1時間程度しか話したことはなかったはずだ。

 

 何で…こんなに私は霊夢に関心を寄せるんだろうか…

 

 そんなことを考えながら私は腕時計を見て17時であることを確認する。

 

 もう、今日はこのまま夕食と風呂だけ入ったら寝よう、明日の飛行機は8時出発だ、考えすぎて夜更かしなんて洒落にならない。

 

 結局私は大浴場で体を温めてから夕食をとってそのままベッドにダイブすることにした。

 

「次はもう少し長く滞在して東京だけでも観光するか…」

 柔らかいベッドに包まれながら微睡の中で私は今回の日本滞在の反省点を呟いた。




必然的にリアルな描写が多く求められるのがとっても辛いですね…

作中に出てきた博麗神社の元ネタ
 葛飾区にある熊野神社と呼ばれる神社で唯一東方プロジェクトとコラボしている神社、本作とは直接的な関係はありませんが原作の一つ『東方地霊殿』とは密接な関係にあるようです。東京で東方にゆかりのある聖地として本作に出しました。

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