RTA再開します。
そうですね、前回はかなり脱線した感はありましたが。
『九頭竜八一オールハーレム』はブレません。
この年代だと、『供御飯万智先生』と、『月夜見坂燎先生』を強化する必要があります。
イカ先生は、勝手に強化されるから……。
軟化した於鬼頭先生は離婚するか問題が発生しますが、どういう力学が発生するのか『祭神雷』として女流プロでデビューするのは確定しています。
何回やっても、どれだけ於鬼頭先生とイカ先生を親密にしても起こります。芸名として『祭神雷』でデビューするルートまで完備されているので、ぐうの音も出ませんね。
於鬼頭雷で登録すると、トッププロ於鬼頭先生の血縁モロバレを本人が拒否した、という名目はあるからでしょうか。
於鬼頭先生がイカ先生を可愛がる以上、そちらのケアは心配ない。
……無いのですが、このゲームに重度のイカ先生ファンがいるのか。
九頭竜八一先生と一局指すだけでイカ先生のフラグが立ちます。
詳細は省きますが、イカ先生は結構……積極的に八一先生を狙いに行く印象です(NHK杯並感)
この三人で一番乙女なのが月夜見坂先生ですね。私の性癖イメージに合っています。
供御飯万智先生? うん。
閑話休題。
供御飯先生と月夜見坂先生を強化する理由は、『ラスボス先生(空銀子)に立ち向かう存在』を作り出す事です。
原作だとラスボス先生に圧倒されて早々に九頭竜先生への直接的アプローチを諦めますが、そんなことをしてもらっては困る(傲慢)。
最後の最後の最後まで、彼女たちは(実質的な)九頭竜八一の防波堤になっていただけなければならない。
そこで、犠牲になるのは釈迦堂先生と花立先生になります。
特に花立先生は確実に犠牲になっていただきます。例の誓いをラスボス先生が言い出さないためにも。
釈迦堂先生を潰すのは、結構な割合でラスボス先生のパワーアップイベントに携わるからです。推し活って怖いなあ。
あ、それと。
『九頭竜八一先生』の大幅強化も必要になります。
雛鶴あい先生が竜王戦の最終局面で疲労困憊の九頭竜先生に水を差し出し、弟子入りする過程は絶対となります。
しかし、竜王位防衛戦(VSメイジン)でラスボス先生と清滝桂香先生への念が強化されるのは流石にまずい。
驚くべきことに、このゲームでは『桂香先生ルート』が存在します。
空銀子先生のフラグを叩き折る作業をし続けると、桂香先生が29歳の誕生日を迎えると強制的に『桂香先生ルート』に入ります。もはや呪いでは?
他の特殊エンドだと、生石先生の好感度が最大値かつ『振り飛車利用率が七割を超える』という激辛条件での『飛鳥エンド』
メイジンの友好度最大かつ趣味をチェスにした場合の『シャルロットエンド』
などが存在します。非常に難しい条件なので、RTAでなくても達成するだけで動画投稿に耐えるでしょう。
そんなことを言っているうちに、一人目のターゲット。
月夜見坂燎先生の所に着きました。
――小説パート――
師匠には感謝している。
だが、『トッププロ』を寄越せとは一言も言っていない。
月光一光プロは、穏やかな表情で師匠に一升瓶の日本酒を手渡している。
「これで一光君の料理があれば」と更に集る雰囲気を見せる師匠にはため息が出るが、「もちろん、存分に腕ふるわせてもらいますわ」と返す一光プロも分からねえ。
まあ、良い。
オレが強くなれるなら、過程なんぞくそくらえだ。
その日は一局も指さずに、早々に晩餐会となった。
フグの刺身なんて初めて食ったが、確かに美味い。師匠は上機嫌で箸を進めて、日本酒を飲んでご満悦だ。
一光プロは、とにかく話が上手かったし、『盤上以外の話』を聞きたがる人だった。
だから、ふと訊いてしまった。「女流は男のプロに勝てるのか?」と。
師匠はギョッとしていたが、一光プロは面白いものを見た視線を私に向けた。
「それは、盤上で結論が出るんやない? 少なくとも、釈迦堂里奈先生はそういう人だと思うけど?」
真理だと思った。
一光プロの指導は、奇妙ではあった。
序盤の体形的な話をしながら、しかも指しながら説明する。「舐めているのか?」と最初は腹が立ったが、指し進めると「ああ、この程度は“前提知識でしかない”のだと」思った。
そして、将棋以外の話をしまくるのも、相変わらずだった。
一日で、最大でも三局しかしない。それは出し惜しみではないと思った。序盤の圧縮教育を身に着けるまでの学習時間として、雑談は確かに有効な過程だ。
時折、一光プロはオレを調理場に立たせた。
「柄じゃない」と断ったが、「好きな男ができたときに、柄じゃないは通用せえへんで」と調理過程から食材の選び方まで教えてくる。「将棋と同じや。手間暇かける分だけ、旨くなるんや」と言われれば是非もない。
将棋のアドバイザーなのか、料理のアドバイザーなのか、よく分からない。
師匠はただ座って美食に耽溺する構えのようだ。
ただ、その中でオレは将棋と料理にある種の類似点を見出すことができた。
基本的に不可逆である事、『リカバリーする手段が用意されていること』。そして。
『将棋も料理も無限の可能性がある事』だ。
だから、万智。諦めようぜ?
NHK将棋トーナメントの前で『女流棋士飯』とか言う料理番組に出演していることはよ?
「『攻める大天使』のチャーハンだッ!」
「ここまで、香油と醤の香味が攻めかかってくる!」
「これは男性棋士チームは厳しいのではないでしょうか」
「しかし動じない! 女流棋士が動ならば、男性棋士は静ッ!」
「生石先生は、銭湯経営者ですからねえ……熱耐性があるんでしょう」
「生石充ッ! 熱耐性ッ!」
「護摩行は効きますよ?」
年始の将棋番組で、『女流棋士VS男性棋士、料理対決』なる謎の企画が行われた。
番組内視聴率が最大になった瞬間であった。
「残り二十分! 最後の選手が出てくるぞ!」
「……来たッ! 月光一光ッ!」
「ラストスパートで、どこまで追い込めるか。見ものですね」
「そして……雛鶴あい! ガチ勝負にかかってきた!」
「現役のプロの中で最強の料理の終盤力です。実家があの温泉宿ですからねえ」
「この中で唯一のプロですッ! 英才教育で培われたプロの技をここで出しても良いのでしょうかッ!」
「あー放送席、放送席」
「どうぞ」
「雛鶴あい選手のお母様からです。『あい、素人相手に負けたら出禁です』とのこと」
「激辛流は、親から子へと継承されていくのかッ!」
なお、勝負そのものは女流棋士が僅差で勝利を捥ぎ取った。
雛鶴あいは、酒など知らない。男性審査員が概ね支持したのは男性棋士の作った『濃いめ』の味付けの料理であった。
なお、雛鶴あいが二十歳を超えたときから出禁を食らう事になる。強すぎたからだ。
あいの実家の旅館は、毎年タイトル戦の指定宿となる。
『世界一の美食の宿』という謳い文句は、確かに嘘ではないからだ。
なお、年末将棋特番で、『女流棋士VS男性棋士』の料理対決は鉄板企画になった。
駅伝を見ている人間も、この時間帯では料理対決を選択するのだ。美食はかくも業が深い。
そして、『雛鶴あい』の旅館への予約が二年以上先まで埋まっていることに絶望するまでが既定路線であった。
供御飯万智にとって、一光プロは謎の存在ではあった。
師匠の加悦奥に聞いても、「悪い人ではないが……正直、底が見えん人だ」との答え。
指してみて、なるほど。『分からん人』という表現は的確だと思った。
『人の考えを推察する能力がずば抜けて高い人』という印象だ。
そうそうに、対局は終了した。目の前の一光プロにとって自分の将棋はどうでも良い、と言われた気がした。
「自分、己自身が面白くない思っとるやろ?」
心臓を短刀でグサリとされた気分になった。
「手が伸びん。それはええねん。だけどな、勇気出さんと、欲しいもんも手から零れ落ちるで」
返す言葉が、無かった。
「まずは、『人を喜ばせる喜び』からや」
出汁の取り方から、味の複合性を学んだ。
先生? 将棋のプロでしょう?
なんでプロ顔負けのお出汁を取れるん?
「……旨い。ようやったな」
師匠の加悦奥先生にすまし汁を出したときに、報われた気がした。
……ところで一光プロはほとんど私に将棋の指南をしなかったが、それはええんやろうか。
「東西女流対局! 本業の将棋でもライバルだ! 月夜見坂燎VS供御飯万智ッ!」
「西先行は味の濃さの問題ですね。東先行はフェアじゃないという判断でしょう」
「夜叉神天衣と雛鶴あいは何故東西の総大将にならないのでしょうか」
「雛鶴先生が出禁ですからねえ……ライバル対決と言う意味では、正直見たかったところではありますが」
「東の総大将では、空銀子先生を出せばいいと思いますが?」
「それは、全女流棋士……特に釈迦堂里奈先生が大反対していまして。ちなみに、空先生の弟弟子である竜王が『首を絞めてでも止める』と言い張った経緯があるそうです」
「メシマズ女性プロですか……正直興味がありますね」
「竜王曰く、『食器用洗剤で米を洗うような腕前だそうです』」
「やめておきましょう。命は大事にしないと」
「一光プロVS雛鶴あい先生なら、東西対決にはなりますが……」
「一光プロは、連合軍を作れませんからねえ……結局『男性棋士VS女流棋士』になると思います」
「夜叉神天衣先生も、供御飯万智先生も、どうしてか一光プロとは組みたくないみたいですからね」
「山刀伐尽先生を筆頭に、料理をできる男性棋士は一光プロの敵になりたがりますから」
「勝負師ですねえ……」
「来ましたッ! ドリームマッチだッ!」
「『雛鶴あい先生VS月光一光先生』……将棋番組でこの瞬間が最高視聴率みたいですね」
「年始特番だからいいでしょう! 世界最高の料理人の一人だ! 『雛鶴あい五段ッ!』タイトル奪取が適えば八段になるだろう、女性棋界の星だッ!」
「ちなみに、彼女の実家はミシュランの星を貰っていますから、星でかけたダジャレですね」
「そして対するは、『月光一光九段ッ!』彼が出す料理もまた、ミシュランの星を獲得しているッ! 実力伯仲と言って良いでしょう!」
「そもそも、星を貰っているのは清滝鋼介先生が経営する将棋道場なのですがね?」
「この二人で将棋対局すれば、もっと手間がかからなかったのでは?」
「審査員の一人はこの人! 月光聖市会長だ! 月光一光を見出し、『美食の天才棋士』の名を欲しいままにした男ッ!」
「二度と『美食の天才棋士』と呼ばないでくれないか」
「なお、会長はかの小説家鬼沢先生との共著で『美味しいか、美味しくないか』というエッセーを執筆しています!」
「……やられた。おのれ一光」
結果的に、一光は雛鶴に敗北した。所詮は素人料理であったが、清滝道場には将棋ファン以外が殺到することとなった。雛鶴あいの旅館は、更なる予約でギッチギチとなった。
九頭竜八一にとって、月光一光とは……。
『一言では言い表すことのできない不思議な人』であった。
自分よりも遥かに背の高いその人は、師匠と同じ『プロの棋士』であった。
では、将棋の話……とはならないのが、その人が纏う雰囲気だった。
師匠の清滝先生は、「これを食え」と苦手な食材を差し出す。
うげっ、となるが、「苦手を克服するため」と言われれば拒否などできない。
涙と共に嚥下すれば、一光先生は「ようやったな」と頭を撫でてから、「すんません、調理場借りますわ」と席を立つ。
そうして数分、食欲を誘う香りが漂ってくる。
「苦手はな、料理できるんや」と、僕が苦手な食材を調理するのだ。
「一光、お前は甘いな」と師匠が苦言を呈する。
「飯なんて食えてなんぼやろ」と一光が返す。
だけど、一光は甘くはない。対局すれば、師匠の方が丁寧だ。一光の将棋に安全地帯は無かった。『外道』な手筋でも平然と使ってくるし、筋を外したときのリカバリーがとんでもなく上手い。
「敗戦のノートくらい残せバカタレ」僕は歯を食いしばった。それが正論であるがゆえに。
「何を手を抜いとる。自分の考え方を残さなきゃ意味ないやろ?」棋譜記録だけでは満足しないのが一光だ。
敗北、敗北、敗北、敗北、敗北、敗北。
「腰の重い、深い手を指すようになったな」
師匠は、ある日そう言った。
「お前は天才や。だがな、天才でもやって行けんのがこの世界や」
夜空に浮かぶ星々を観測するような、もしくはそれを通して自身を観止めるように師匠は語った。僕は一言も発さなかった。師匠の言葉を聞き逃したくなかった。
「お前の叔父……月光聖市先生は、天才や。天才やった……。そして、その弟子の一光君は、天才ではない、だが、貪欲さと言う意味では天才よりも怖い」
そこまで言って、師匠は僕の顔を正面から見つめた。
「八一、降りてもええで」
「降りるわけないじゃないですか。師匠」
僕は師匠を真正面から見返した。
81マスに魅入られた男の視線を、同じ、同志として。
数秒なのか、数分なのか、数時間だったのか。
やがて、師匠は視線を外した。
新四段……プロのヒヨコは、最初に原稿を書く。
その所信表明とも言える文章の最後には、こう綴られていた。
『恩返しを、師匠と、彼に』と。
月光聖市はちょっとクシャッとした。
「天才九頭竜八一は、僕には恩返ししてくれないのか」
一門への恩返し宣言でハブられて不機嫌になった伝説の会長が、そこには居た。
ラスボス(空銀子)先生が来る。