「狛治さん。私の声が聞こえますか? 狛治さん。」
俺は床の間で目を開く。どうやら朝が来たようだ。小鳥のさえずりが聞こえる。横たわる俺だったが、傍で添い寝する愛する妻と、三人の子供たちの体温が心地良く俺は微笑を浮かべて呟く。
「おはよう恋雪。大丈夫だ。ちゃんと聞こえてるよ。」
「よ、良かった・・・! お誕生日おめでとうございますっ! ついに二十五歳ですね? お身体の具合はどうですか?」
「ああ。現状問題はないな。とりあえず痣が呪いの類でなくて本当に良かった。やはり生まれつき身体が丈夫な者は二十五程度では死なんらしい。」
俺は上体を起こす。すると恋雪も合わせて起き上がり俺の身体にしがみつく。
「恋雪?」
「本当に・・・本当に良かったです・・・!! 狛治さんが生きててくれて・・・!! 私昨日の夜は全く寝れませんでした・・・!! 不安で・・・不安で・・・!!」
恋雪は泣いているようだった。無理もないか。痣者は例外なく二十五を迎えるまでに寿命で死ぬ。そう産屋敷家で代々伝わっているのだから。
恋雪には不安な思いをさせただろう。だがもうこれで安心だ。やはり俺の人並み外れて辛抱が利く身体は痣程度では死なんようだ。丈夫に産んでくれた親には感謝する他ない。
「恋雪。余り泣き続けていると子どもたちが心配するだろう? ほら、三人とも起きてしまったぞ?」
俺は恋雪の涙を拭ってそう促す。
恋雪が周囲を振り返ると、不思議そうに我が子たちが俺達を見つめていた。
「お母さん? 大丈夫?」
「かなしい?」
「あー、うー・・・」
四歳長女の螢子、二歳次女の
恋雪はかぶりを振った後、笑みを浮かべて我が子たちに応えた。
「大丈夫よ? ありがとう。
お母さんとっても嬉しくて泣いてたの。お父さんが長生きしてくれそうで。」
「お父さんもう身体大丈夫なの!?」
「ながいき?」
「あー、うー?」
三人とも目を丸くし各々可愛げな声を上げる。俺も恋雪もその様子についつい笑みを溢してしまう。俺たちは我が子三人を抱き上げる。
「そうだぞ? お父さんはもっと長生きするぞ? お前たちが大きくなるまでずっと傍に居てやるからな?」
それから暫くの間、俺たち家族は全員で仲良く穏やかに過ごした。
気が付けば産屋敷当主の
「ああ、いいよ。そんなに畏まらないでおくれ。それで狛治。早速だけど身体の調子はどうだい?」
織哉様はそう片手で制したのちに聞いてくる。俺は頭を上げ正直に自身の容体について話す。
「はい。現状脈も安定していますし呼吸に乱れもありません。今後については経過観察する他ないですが、恐らく大事には至らないかと。」
「そうか。なら良かった。私も狛治ならきっと大丈夫な気がしてたよ。ただ苦しくなったり異変を感じた時は抱え込まず言うんだよ? 役に立てるかわからないがその時は産屋敷家専属の医者も呼ぼう。」
「身に余る待遇、恐れ入ります。もしもの時は即座に報告しますのでよろしくお願い致します。」
俺の返答に織哉様も安心したのか胸を撫で降ろしていた。やがて傍付きの者に指示を出し退出するよう促す。
「よし。じゃあ今日は祝勝会を開こう。今夜は屋敷の者にうんと豪勢な馳走を用意させるから楽しみにしてておくれ。」
「いや・・・流石にそこまでしてもらわなくても・・・」
「お父さん! 私美味しいご飯一杯食べたい!!」
「わたしもー!」
「あー、うー!」
「狛治さん。お館様のご厚意を無下にするものではありませんよ? 今後はお仕事もしてもらいますし英気を養うためにも甘んじて受け入れてくださいね?」
「う・・・まさか家族ぐるみで言い包められるとは・・・」
俺がタジタジで慌てふためいていると、周囲全員が笑い声をあげる。とてもじゃないが断れる空気ではなくなってしまった。
「では・・・僭越ながら・・・かたじけなく・・・」
「アハハ! 流石の狛治も家族の前じゃ折れるみたいだね! ようし、鬼殺隊全体にも文を出そう。きっと左近次や長寿郎を筆頭に皆喜んでくれると思うから。」
瞬く間に話は進み、その日は正午から夕刻まで産屋敷邸で大層派手なお祭り騒ぎが開かれた。流石に鬼が闊歩する時間帯になる前に皆切り上げてくれたが、少々皆羽目を外し過ぎではないかと俺は思った。
とは言え、皆が俺の存命にここまで喜んでくれたのは正直嬉しい限りだった。今後はあらん限り、鬼殺隊の為に陰ながら力になろうと俺は誓うのだった。
そして夜となり、屋敷には俺達家族と現役引退含めた柱達だけが残った。
その中心では織哉様が笑みを浮かべたまま正座をしている。やがて織哉様は今後の話を切り出した。
「では明日より狛治には正式に岩の呼吸の育手になってもらう。ただ一般の育手とは違い、見込みのある出自の者だけに選別して育成をしてもらうことにする。
振り返ってみればこの四年程の間、十二鬼月の出現報告はピタリと止んだ。おかげで柱の数も順調に増え、今ではその人数も六名にまで及んだ。
しかし今後奴らがずっと大人しくしている保証はない。よって以後柱合会議の度に現役の子達には狛治から手解きを受けてもらう。
彼との稽古の経験が、いつか来るべき新たな上弦鬼との戦いで活きてくることだろう。狛治、君には期待しているよ?」
「・・・御意・・・」
俺は渋々頭を下げ了承する。岩の呼吸の育手をやるのはいいのだが、まさか本当に俺を柱達の稽古に駆り出すとは。
正直今の俺は現役を引退した身だ。間違いなく今の左近次殿や長寿郎の方が強いだろう。それに心なしか俺と面識がない柱の後輩達から不満げな視線を感じる。
「少々宜しいでしょうか?」
「なんだい? 風太郎?」
すると現役風柱の一人が挙手をしすぐさま立ち上がる。
「確かにかの有名な狛治殿はかつては上弦の壱と互角以上に渡り合った猛者と聞き及んでいます。しかし前線を退き戦いから四年も離れた方に我等の相手が務まりましょうか? 私はお館様の采配に承服しかねる。」
「ふっ。」
「・・・何が可笑しいのですか? 左近次殿。」
すると天狗面からふいに笑い声が零れ、現風柱の男は睨み返す。すると左近次殿は益々肩を震わせて笑い始める。
「ふふふっ・・・済まない・・・まさか最年少とは言え柱にまで昇り詰めた男からそのような妄言を聞かされようとは・・・思わず笑いを堪えきれなかったものよ・・・許せ。」
「私を馬鹿にしているのですか? 京都見回り組で数々の死線を潜り抜け、その後鬼殺隊に入り柱にまでなったこの私を・・・!!」
「だがそんなお前が所属していた見回り組の
「戯言を・・・呼吸も日輪刀もなく鬼に勝てぬのは道理でしょう?」
「だが狛治殿は鬼殺隊に入る前から拳一つで呼吸も使わず血鬼術を発現した鬼を返り討ちにしている。まあそれを常人と比べるのは少々酷な話だが・・・」
「っ! しかしいくら昔強かったからと言って! 今更現役を退いた者に柱が教えを乞うなどと・・・!!」
すると織哉様は人差し指を静かに自身の唇の前で立てる。その仕草を見て風柱の男は言い淀み圧し黙る。
「まあ聞かされた話だけじゃ納得できない子もいるだろうね? 狛治。早速だけど庭に出て君の実力を見せてあげなさい。」
「え? 今からですか? 外は夜ですよ? 万が一打ち合いの気配を鬼に気取られたらどうするんですか?」
「え? 狛治ならそんな間もなく終わらせられるだろう? 大丈夫。君にならできるよ。」
「ええぇ・・・」
織哉様は悪戯な笑みを浮かべて俺を庭先で風柱の相手を務めるよう促してくる。正直勘弁してほしい。
「まあ・・・織哉様がそう言われるなら・・・」
「いいだろう・・・!! 表に出てその腕っぷしを私に見せてみろ!! 言っておくが容赦はしないぞ!!」
そうして不本意ながら枯山水の庭に俺と風柱の男が移動する。男は木刀を持ち俺に対し正眼の構えを取った。
「おい。貴様、得物を持たぬとは何事か! 早く木刀を持ってこい!!」
「済まない。言ってなかったな。俺は侍じゃない。刀を持たない。しかし心に太刀を持っている。使うのは己の拳のみだ。このままやろう。」
「なっ!?」
「それでは、審判は私水柱、鱗滝左近次が受けもつ。でははじめ。」
風柱の男は戸惑っていたが、左近次殿の心底どうでもいいような声音を聞いて木刀を握り直す。やがて木刀を上段に構え、即座に間合いを詰め俺に対し打ち込んできた。だが・・・
「ごっ!!??」
「勝負あり。」
俺は鈴割りの要領で打ち込まれる直前に奴の顎を軽く手の甲で打つ。それだけで男は失神し動かなくなった。俺は余りのあっけなさに目を丸くする。
「織哉様・・・今の現役柱はこれ程までに脆弱なのですか?」
「うん。十二鬼月との実戦経験が一度もないからね。」
想定以上の腑抜け振りに俺は思わずため息が零れる。まさかこの程度の実力で俺に稽古を受けるのを渋っていたのか。織哉様がこのような茶番をけしかけた理由がわかる気がする。
「さて。私の可愛い子どもだち。今日はみんな屋敷で休みなさい。日が昇ったら狛治が一日かけて打ち込み稽古をしてくれる。有難く受けるんだよ?」
「「「・・・ぎょ・・・御意・・・!」」」
俺が顔を知らぬ現役柱達は恐れおののきそのまま頭を下げていた。
その後ろで左近次殿、長寿郎、慈悟郎殿、さやか殿、さなえ殿がその様子を静かに眺めて居た。
しかし各々鼻で笑ったり、眉を寄せたり、笑いを堪えていたり、呆れたり、冷たい目線を送ったりと様々な反応をしていた。
俺はどうしようもない虚無感を抱えながら、かつての同僚たちに歩み寄った。
「左近次殿、長寿郎。この四年間の心中お察しする。」
「なあに。明日から狛治殿が灸を据えてくれるのだ。私たちの負担も減ろう。」
「狛治殿!! よろしくお願いします!! あいつら全然俺たちの言うこと聞かなくて!! 明日はみっちりお願いします!!!」
俺は苦笑いを浮かべそのまま屋敷へと戻った。そして家族との時間を過ごし、就寝し、翌日は一日かけて新米柱達の稽古に精を出すのだった。
そうして夕刻現役柱達は任務があるからとそのまますごすご帰っていった。屋敷に残された俺はかつての同僚たちと車座で客間にて談話をする。
「十二鬼月がでなくなったのはいいが、そのせいで柱がここまで弱体化するとは。実質左近次殿と長寿郎ぐらいか。仮に上弦が出現してまともに切り結べそうなのは。」
俺はそう呟く。
「やはり実戦に勝る鍛錬はないということだろう。私も上弦の壱と戦えたことは値千金の経験だった。これからも引き続き鍛錬に励むとしよう。」
左近次殿もそう頷く。
「狛治殿!! 久々に手合わせしましたがやはりお強いですね!! 結局一本も取れませんでした!! 柱として不甲斐ない!!!」
次いで長寿郎がそう快活に言うが、俺は僅かに眉を寄せる。
「長寿郎。お前最近鍛錬サボってないか? 四年前と比べてそんなに腕上がってないぞ?」
「うっ!! そ、それは・・・!!」
すると俺の指摘を見かねたさやか殿が不意に弁明する。
「まあまあ狛治さん。長寿郎君の事を余り厳しく言わないであげて下さいね? 彼もこの四年間本当に家族との時間を大事にしてくれて、貴方が思う以上に良き夫良き父親となったのですよ?」
「そうか。さやか殿がそこまで言うなら発言を撤回しよう。良い男に成長したものだ。褒めてやる長寿郎。」
「あ、ありがとうございます!!」
俺は視線をさやか殿に移す。
「ところでさやか殿。槇寿郎は今いくつに?」
「はい。もう三つに成りました。いつも私にべったりで本当に可愛らしい子ですよ?」
「そうか。それは良かった。俺も三人の子ども達が遊びをせがむのが可愛くてな。さやか殿も二十五目前になっても決して諦めぬように。我が子が大きくなるまで死んでたまるかと決意に燃えれば存外生きられるものだからな?」
「はい・・・!! 私も狛治さんを見習って長生きしてみます・・・!! きっと大丈夫ですよね? だって私、生まれつき筋肉も多くて頑丈さが取り柄なので・・・」
「さやか!! 大丈夫だ!!! 君なら我が子の為ならきっと生き抜ける!! 俺も傍で支え続けるからな? 約束だ!!!」
「ありがとう・・・長寿郎君・・・なら私もっと子どもが欲しいわ・・・狛治さんと恋雪ちゃんの二人みたいに沢山・・・だから今夜も・・・ね///?」
「なっ!? さやか!! みんなの前で一体何を・・・///!?」
俺はただ励ますだけのつもりだったのだが、気が付けばさやか殿と長寿郎の間で熱烈なやり取りが開始される。それを見て不意にさなえ殿が溜息をつく。
「いいな・・・さやか姉さん・・・長寿郎兄さんに一杯相手してもらえて・・・私だって早く赤ちゃん欲しいのに・・・」
その独白に慈悟郎殿がすぐさま反応する。
「おおう!? さなえ殿よ!! 祝言を挙げたばかりだというのに旦那の寛寿郎とはうまく行っていないのか!? ならここは一つ! 熱々のさやか殿を見習って早速今夜さなえ殿の方から・・・」
「殺しますよ桑島さん?」
「桑島さんだけには・・・言われたくない・・・」
「おおう!? お二人とも俺にだけ少々当たりが強すぎるのでは!?」
慈悟郎殿の余計なお節介に対し、即座に女性陣から苦言が呈される。
「桑島・・・そのような下世話な真似を年下の
「おおう!? 鱗滝よ!! 貴様だって俺と同じ独り身であろうが!! 貴様人のこと言えるのか!?」
「たわけ者が・・・私は孤児たちの世話で忙しいのだ・・・お前のような遊び人と一緒にするでない・・・」
「何を!?」
「まあまあ・・・」
すぐさま左近次殿がいつものように毒を吐き、慈悟郎殿が立ち上がると同時に長寿郎が宥める。もはや様式美そのものだ。
俺を中心に皆で世間話に花が咲く。恋雪達との時間も大切だが、かつての同僚、言うならば戦友たちとこう語らうのも代えがたい貴重な時間だった。
やがて話も落ち着き、皆それぞれの屋敷へと帰っていった。そして俺は愛する家族の下へと戻り再び談笑を開始する。
「あ! 狛治さんおかえりなさい! 皆さんとは一杯お話できましたか?」
「ああ。とても楽しかった。また語らいたいものだ。俺のいない間子どもたちの面倒を見てくれてありがとうな、恋雪。」
「えへへ・・・狛治さんが楽しんできてくれたなら良かったですっ! ほらお父さんが帰ってきましたよ? 眠るまでは一緒に遊んでもらいましょうね?」
「お父さん!」
「おとーさん!」
「おとーたん・・・」
「「凍治っ!!??」」
姉たちのノリでサラリと一番下の凍治が喋るので、俺と恋雪は驚き慌てふためく。正直今日一番の衝撃だった。
「「い、いつの間に・・・」」
「あー、うー。」
「「あれ!? またいつもの喃語に戻った!?」」
俺と恋雪は息ぴったりに声を上げる。そして互いのその様子がおかしく思わず笑ってしまった。
「ふふふっ。やはり我が子の成長は嬉しいものですね?」
「ああ。全くその通りだ。」
俺はそう呟き子ども達と戯れる。やがて夜も更け、子ども達を寝かしつける。親子川の字で並んで眠り、恋雪と一緒に我が子達の寝顔を眺める。
「ねえ・・・狛治さん?」
「ん・・・なんだ恋雪?」
ふと恋雪が俺に声を掛けるので俺は反応する。恋雪はとても嬉しそうに笑っていた。
「私・・・狛治さんと
恋雪は目を潤ませ、俺の手を握る。俺も目尻に涙を溜めて恋雪の手を握り返す。
「ああ。俺も恋雪と同じ気持ちだ。あの日、恋雪の気持ちを初めて知れたあの時、俺は罪人の入れ墨が入っている自分の未来なんて想像すらできていなかった。ましてや誰かがそんな自分を好いてくれる未来なんて猶更・・・」
「狛治さん・・・」
俺は目を閉じ涙を溢す。収集もつかない程のこれからの人生への期待に胸が一杯になってそれから・・・
「恋雪。俺は生涯ずっと君の傍にいる。どんなことがあろうとも君との幸せを守り通して見せる。約束する。」
そう囁き、俺は恋雪の額に唇を落とした。恋雪は嬉しそうに目を閉じ、そのまま俺たちは抱き合ったまま眠りに落ちた。
そうして俺は恋雪が晩年を迎え、生涯の幕を下ろすその瞬間まで、何度心臓が止まり掛けようとも、辛抱し生き続けた。
こうして俺は、最愛の人を生涯守り通し、その長い人生を終えたのだった。始まりの呼吸の剣士、継国縁壱殿に負けず劣らずの多大なる功績を残して。
それから時代は流れ、明治大正へと移り変わり、最終的に鬼の首領は歴代最強の柱達に討伐されることとなる。
鬼を滅するまでのそのあらましの記録は、やがて伝記として代々産屋敷で管理されることになるのだが、その資料に外伝記として一つの記録も付け加えられることとなった。
その書物の題は『狛治外伝』。
それには、ある男が最愛の人を生涯守り通し、至高の領域へと至って上弦最強の男に届き得るまで力を求めた物語であると記されている。
完
以上で『狛治外伝 ~誰が為に振るわれる拳~』完結となります。ご愛読ありがとうございました。
無事完結できたのも、ひとえに多くの読者様に支えられたが故です。この場をお借りして御礼申し上げます。
〇ストーリーについて
読者の皆様は既に予想付いていると思いますが、本作は猗窩座再来編を映画館で観た後『せめてifストーリーでも良いから狛治と恋雪ちゃんの救済モノが読みたい』というありきたりな理由で書き始めた二次小説となっています。最初ハーメルンでもそれに該当する作品を探したのですが、満足できなかったのか『もう自分で書くしかない』と思い立ち衝動的にスタートしたのが本作執筆の経緯です。とは言えどうせ書くならガチ目なストーリーモノを書きたかったので、結果時系列改変で鱗滝さん&桑島さん世代に無理矢理変更して草創期の上弦鬼達とマジバトルする話で構想を練ることになりました。そうしたらあれよあれよと狛治の戦闘スタイルが頭に浮かび上がり、最終的に本作のバリエーションに落ち着いた次第です。加えて上弦鬼と戦いを重ねる度に少しずつ狛治が強くなる展開の方が少年漫画っぽいかなと思い、『玉壺戦:終式』『半天狗戦:滅式』『阿修羅鬼戦:透き通る世界』『童磨戦:赫刀』『黒死牟戦:痣』と順番にお披露目式をする感じでストーリー展開させることになりました。個人的にはジャンプ作品っぽく仕上げられたんじゃないかなって思ってます。特に痣のエピソードは最終章にこそふさわしいと執筆当初から考えていました。何せ痣の発現とは即ち短命を決定づけられるものなので、狛治が最愛の人を生涯守り通すという誓いを果たす上で最も大きな壁であったからです。そして痣の克服についてですが、他作品で考察されるような最もらしい理由ではなく『狛治だからこそ成し遂げられる』と思ってもらえるようなエピソードに是が非でも仕上げたいと当初より考えていました。そこで閃いたのが、原作でも狛治が自身のアイデンティティのように独白している『俺の身体は人並み外れて辛抱が利く』の要素です。縁壱とは別ベクトルで突出した彼だけの強みこそ痣克服のエピソードにふさわしいと思い、本作のような内容となりました。
〇恋愛要素について
加えて恋雪ちゃんとの愛を深め合う描写もなるべく多めに入れたいと思っていました。狛恋救済モノを書く以上、二人の恋愛描写は必須だと思っていたからです。お互いに出自を理由に将来に希望を持てなかった男女が出会うことで、生きる意味、生まれて来た意味を見出してお互い支え合い力強く生きていく。そんな素晴らしい物語こそ狛恋救済であると思いながら本作では二人の恋愛描写を暇さえあれば入れてた気がします。オリジナル展開に入り始めてから恋雪ちゃんが狛治に猛烈アプローチしてて違和感を感じた方もいたかもしれませんが、本作のアグレッシブな恋雪ちゃんこそ筆者の解釈に基づく恋雪ちゃんです。だって考えてみて下さい。病弱な身体で生まれて将来を諦めかけていたところ、ある日献身的に介護で支えてくれる顔良し性格良しの好青年が現れたんですよ? そんなの好きになるに決まってます。吾峠呼世晴先生だって巻末ページで『結婚するしかない』って言ってます。もう正にその通りなんですよ(オタクの早口)。十代女子がそんな大恋愛して結婚したらもうやることは一つしかありませんよね? そう。その成れの果てが本作の恋雪ちゃんなのです(言い方)。とまあおふざけ全開でしたが、筆者は二人の救済モノが思う存分書けて大満足です。自給自足とも言うべき執筆でしたが、狛恋救済モノを渇望していた同志の皆様に少しでもお裾分けが出来てれば幸いです。
〇執筆期間の振り返りについて
ふと執筆期間を振り返ってみれば7カ月間あっという間でした。2か月位はぶっ通しで毎日投稿して、それ以降はコツコツ投稿してきましたが、実は童磨再来編の途中から休日出勤が頻発し始めて一度エタることを覚悟した経緯があります。しかしそれでもモチベが維持できたのは、ひとえに読者の皆様から感想もらえるのが嬉しくて仕方がなかったのが理由です。正直こんなに感想貰えるなんて思いもしませんでした。一部心無いコメントを残す人もいましたが、多くの方が何度も楽し気に感想コメントを残して下さってそれに本当に支えられて来ました。正直本作はUA数の割には相当感想頂けたかなと思っております。それだけ本作品は愛されていたのだと実感しております。できることならそのお気持ちに応える為に後日談や番外編も書いてみたいとも思うのですが、残念ながら筆者の性格的に一度完結するとモチベが消えてしまう傾向があるので投稿はだいぶ後になってしまうかもしれません。次回作や先に完結した他作品の番外編が投稿出来たらまた戻ってくると思うので期待ちょいでお待ち頂けると幸いです。
〇次回作について
筆者の次回作についてですが、一個前に完結した鬼滅の刃二次小説『鬼滅の毒使い』の第二部を先に書いてからにしようと思っているで、少々先伸ばしになるかもしれません。丁度4月より吾峠呼世晴先生の推薦図書であるマリッジトキシンがアニメ化するのと、筆者が婚活始め出したので先にそっちを書きたいのが理由です(汗)。あっちは鬼滅とマリッジトキシンのクロスオーバーなので、他作品が絡むのに抵抗がない人は興味があれば覗いてみてください。そっちの二次小説がひと段落したら、プライベートに支障がない範囲で炭治郎としのぶさんのカップリングものを書きたいと思ってます。年下長男と年上次女なんて、筆者の性癖にどストライク過ぎて書かないではいられないのが理由です(え)。ただ炭治郎にお姉さん系ヒロインは全員相性良いと思ってしまうので、蜜璃ちゃん、カナエさん、珠世さんもストライクゾーンに入ってしまうのが正直悩ましいところ。加えて筆者はハーレムものが苦手なので全ヒロインを一作品に出そうと思ったらそれこそオムニバス形式にする以外ないかと頭を悩ませているのが現状です。そもそもリアルで筆者が仮に結婚とかして二次小説書いてる暇があるのかは謎ですし、加えてパートナーにやめるよう言われるかもしれないし、そもそもリアルが手一杯で書かなくなるかもで正直先のことがわからないんですよね。なので更新止まったらお察しでお願いします。なるべく事前に告知はしようとは思いますが果たして・・・
〇告知について
それと本作最終話に合わせて筆者の処女作『輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話』の番外編最終話を同時に投稿しております。内容は『炭治郎とカナヲの温泉旅』です。炭カナという王道カップルに関心がある方は宜しければ読んで見てください。ただ恋愛描写を煮詰めているような話なのでそういうのが苦手な方は控えた方がいいかもしれません。判断は読者の方に委ねます。
とまあ長々と書きましたがそんな感じです。機会があればまたどこかでお会いしましょう。それでは。