左遷提督は今日も元気です   作:僻地勤務の兵士

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第55話 苦境

ドーバー海峡中央

英国艦隊後衛は既に深海艦隊との砲撃戦へ突入していた

ヴァリアントの15インチ砲が火を吹く

轟音と衝撃波が海面を震わせながら砲弾が深海艦隊へ突き刺さる

だが敵も止まらない

異型の艤装の側面

そこに並ぶVLSハッチが一斉に展開した

 

「……っ!」

 

アークロイヤルが目を見開く

次の瞬間、深海棲艦の艤装から無数のミサイルが撃ち上がった

それは白煙を引きながら空へ上昇

そして海面近くまで高度を落とし、超低空侵攻へ移行する

まるで、先程こちらが行った攻撃を返されているようだった

 

『てき たいかんミサイル はっしゃ!!』

 

スカイアイからの叫びが回線へ響いた

その瞬間だった

キティホークから事前共有されていた対策を思い出したのは

 

「照明弾用意!!」

 

ヴァリアントが即座に叫ぶ

 

「了解!!」

 

ジャーヴィスが返事をすると同時にヴァリアントは指示を出した

 

「撃ち上げろ!!」

 

直後、英艦隊各艦から照明弾が次々と空へ撃ち出された

白煙を引きながら上昇したそれは数秒後、海峡上空に巨大な光球をいくつも浮かび上がらせる

昼間にも関わらず、不自然なほど強い光

そして、接近していた深海側ミサイルが反応した

 

「逸れた!!」

 

ジャベリンが叫ぶ

ミサイルの一部が照明弾方向へ軌道を変更する

EMPの影響で不安定化した赤外線シーカー

そこへ強烈な発光源が割り込んだことで、誤認誘導が発生していた

数発が空中で照明弾へ突っ込み爆散

さらに数発が海面へ逸れ、そのまま着水

巨大な水柱が乱立する

だが全て逸らせた訳ではなかった

 

「アーク!右舷!!」

 

アークロイヤルの護衛を務めていたジャベリンが警告を発する

1発の対艦ミサイルが突破してきた

2次大戦時の彼女たちに、ミサイルを迎撃する機能はない

アークロイヤルが即座に回避を試みる

しかし音速に近い速度で迫るミサイルを回避できる訳もなく

次の瞬間、凄まじい爆発と爆炎がアークロイヤルを包み込みその姿を見えなくさせる

衝撃波が海面を叩き、爆散した艤装の破片が周囲で護衛していた艦娘たちの頬や制服を切り裂きながら海面へ散らばっていく

 

「アーク!!」

 

ヴィクトリアスが叫ぶが、その時ジャーヴィスたち駆逐艦が炊いていた煙幕を突き抜けもう1本の対艦ミサイルが自身を目指して突っ込んでくるのを確認した

その瞬間、ヴィクトリアスも爆炎と黒煙、衝撃波に包まれる

そして何かが当たり後方に吹き飛ばされた

衝撃波で軽い脳震盪を起こしたのか、揺れる視界とぼんやりと聞こえる声に目を開けると片腕を艤装ごと吹き飛ばされたシェフィールドが自分に覆いかぶさっていた

 

「っつ!?しっかりして!シェフィールド!!」

 

 

「後方が!」

 

ジャーヴィスは後方の損害の大きさに唖然とした

その時

 

「あぶない!!」

 

同じ駆逐隊に編成されたジェイナスがジャーヴィスを押し倒す

そのお陰で深海棲艦の127mm速射砲の脅威から逃れられた

ジャーヴィスはお礼を言いながら起き上がり砲撃戦を開始するが、自動装填装置を搭載した深海棲艦側の砲撃に、速射性の劣る英艦隊は徐々に後退を余儀なくされていた

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