一ヶ月くらいずっと彼ヶ津村に囚われたまま出られなくなってました。
(ほの暮しの庭が神ゲー過ぎてハマりにハマってました)
そろそろ落ち着いてきたので続き書きます。
どことも知れぬ寂れた場所を、少女は独り歩いていた。
どこを目指しているわけでもない。
何か目的があるわけでもない。
従うべき魔人には、もはや不要と言われ突き放されてしまった。
何がしたいのか、何をしなければいけなかったのか、今のシロにはもう何もわからなくなっている。
ただ"大切な何か"を忘れてしまっているような気がして、それを探し求めるかのようにふらふらと当てもなくさ迷い歩いていた。
・・・そんな中ふいに、どうしてひとりぼっちなんだろうという思いが過る。
いつも隣にいた、よく撫でてくれていたあの大きな手が無性に懐かしくなって・・・逢いに行きたくなって、シロは転移先の候補一覧を意識裏に出した。
そしてすぐに、その"異変"に気付く。
「・・・え・・・・・?」
―――ブロリーが、いない。
それだけでなく悟空や、ベジータまでも。
世界最強格であった筈の三人の名前が、揃いも揃って全員転移先の候補から消えている。
「どう、して・・・・・」
生きているならば、此の世のどこにいようとシロの転移からは逃げられない。
それが候補から外れているということは、つまり。
"そういうこと"だ。
これは自分の行いが招いたこと。
しかし再び破綻している思考に衝撃までもが重なり、混乱の中で場当たり的な行動しかとれなくなっている今のシロにはわからない。
「・・・いきかえ・・・さなきゃ」
虚ろな目で小さく呟きながら、シロは収納を開き中を漁り始める。
そして"ソレ"を見つけ出すと次々と引っ張り出し地面へ転がした。
以前神殿にてブウが神精樹の実を食べている間、暇を持て余した際に人知れずこっそりと持ち出し仕舞ったままにしていたもの。
そしてブロリーが神殿の倉を荒らしていた最中に見た、空の台座に本来収まっていた筈のもの。
使い残していた最後の手札―――――"黒い星の入った橙色の宝玉"を。
「「・・・お前は、一体何の為に戦う?」」
そして一方、この世界の命運を決める決戦の場にて。
新たな合体戦士となったブロロットは、対峙するブウに向けてひとつの問いを静かに投げ掛けていた。
「「命令を下していたバビディはもういない。お前は何をしようと自由な筈だろう、今になっても尚戦い続ける理由はなんだ?」」
ここに至ってなおも敵のことを気に掛けるのは悟空から継いだ気質か、それとも探りを入れることで別の何かを捉えようとしているのか。
「・・・知れたことを。貴様がそれを訊くのか?」
しかしブウは不敵な笑みを浮かべたまま、何を当然のことをと言い放つ。
「この世に貴様らが、強者がいるとわかっていながらもそれに挑まぬ理由などないだろう!"サイヤ人"!」
戦いを求めるのは魔人として、戦士としての本能だ。
そして同じく戦い続けることが本懐であった筈の"戦闘民族"。今やその頂点ともいえる存在となった男が"それ"を否定するかのような物言いをしていることに、ブロロット自身もブウに言い返されるまで気が付かなかった。
「「・・・・・確かに。悪いな、愚問だったようだ」」
ならばもはや、今更言葉など不要。
戦いへ集中するべく目付きを変えたブロロットは、爆発的な大きさの気を一瞬にして膨らませる。
先刻のゴジータをも遥かに上回るその戦闘力は、ここまで強化を重ねに重ねたブウにも充分に匹敵し得るもの。
震える空気の中、ありありとそれを肌で感じ取ったブウは苦虫を噛み潰したように表情を歪めて吐き捨てた。
「ふん、節操なしに性懲りもなく合体なんぞに頼りおって・・・汚いぞ貴様!」
「「それはお前が言えた口じゃないだろう?」」
ブウのほうこそ、ここまで他者の吸収を幾度も重ねてきたのだ。
完全に自分のことを棚に上げた発言に、半ば呆れたような笑みを溢したブロロットは気を纏わせた拳を容赦なく撃ち込む。
「ぐぅ・・・ッ!?」
ただの打撃ではないと察したブウは咄嗟に防御態勢をとったが、案の定当たり前のようにブロロットの一撃は空間のズレを突破してきた。
並の相手ならば触れることすら許さなかったその優位性も、規格外の強者が相手となるともはや殆ど機能していない。
「「ぉぉぉぉおおおお!!!!」」
かつてのブロリーを思い起こさせるような雄叫びと共に、鮮やかな緑に輝くその気の量も圧もどんどん増していく。
闘い続けるかぎり際限なく気が膨張し戦闘力が上昇していくその特性は、素体となった"彼"から受け継いだものだろう。
「がァ、化け物め・・・ッ!!」
歯噛みするブウへ肉薄し、容赦なく殴り付ける。
受け流せない衝撃にスライムのような粘体を飛び散らせながら、ブウはその軟体により人体の構造を無視した動きで辛うじて致命傷を免れるのが精一杯だ。
遅かれ早かれ、このままではいずれ押し負けるのは時間の問題である。
―――そんな時、急に空が一面の暗雲に包まれた。
「「・・・・・?これは、」」
時刻に関係なく世界中の空が暗くなるこの現象は、神龍を呼び出したときのものに酷似している。
・・・しかしデンデが死亡してしまっている今、ドラゴンボールもまた石と化したままの筈だ。
ブロロットが不可解なそれに一瞬気を取られた隙を突き、それらの背景事情など知ったことではないブウが反撃を試みる。
これ以上窮地に追いやられる前にと、ブウは先の戦いでゴジータを分離させたタピオンの剣を再びその手にとった。
しかしそれが命中するよりも早く、ブロロットは迅速に刃の腹を打ち横手から剣ごと弾き飛ばす。
「「悪いがそいつは"カカロット"が既に一度見ている。同じ手が何度も通用すると思うな!」」
「ぐ、ぬぬ・・・・・!!」
実際これほどまでブロロットが有利に戦えているのは、融合した悟空を通じて先刻のゴジータの記憶と経験を半分受け継いでいることが大きい。
空間婉曲を突破するために常に気で打撃の威力を底上げしていることもそうであるし、"剣"への警戒も恐らく初見であったならばゴジータの二の轍を踏んでいたことだろう。
これ以上不測の事態が重なる前にと、早々に決着をつけるべくブロロットは掌の中へと凝縮させた気の塊をブウへと投げ放った。
「ダメなの・・・!?どうして・・・・・」
少女は困惑した声をあげていた。
その目の前にはいつも呼び出していた神龍よりもひと回り以上も大きく深紅の体を持つ巨大な龍―――究極神龍が、懇願するシロを蒼く光る瞳で見降ろしている。
『今生き返らせることのできる者の中に"ブロリー"という名のものはいない。よってその願いを叶えることは不可能だ』
「・・・死んで・・・ないって、こと・・・・・?」
今シロの前に7つ揃って転がっているのは、通常と違い赤い星ではなく黒い星が封入された"究極ドラゴンボール"。
本来であれば神殿の奥深くで封じられており、もっと後の時代で初めて外へ持ち出される筈だったものだ。
先代の神がピッコロ大魔王と分離するより前の強大な力で創ったとされるソレは、リスクの大きい代わりに通常のドラゴンボールよりも遥かに大きい力を持つ。
作成者の生まれ変わりであるピッコロすらも忘れかけていたであろうこの切り札の存在を知る者は、世界の外からやってきたシロ以外には恐らくこの世に誰一人として存在しないだろう。
シロは"ブロリーを蘇らせたい"という願いを叶えようと、先んじて確保していた究極ドラゴンボールを使い究極神龍を呼び出した。
しかし、結果叶わず返ってきたのが先ほどの台詞である。
その後それならばと代わりにいくつか願い事を伝えてみたが、悟空やベジータを生き返らせることもブロリーを呼び出すこともシロがブロリーの元へ行くこともその悉くが叶わなかった。
死んだわけではないらしい・・・が、しかし逢うことも叶わない。
どういうことだろうと困惑するも、今のシロの落ちた思考力では何が起きているのか正確に推察することは困難だった。
特にポタラを自分が保有したままであったこと、そしてブロリーはそもそも他者とフュージョンすることが出来ないという前提に囚われたままであったため"融合による消失"という可能性を無意識に排除していたせいだろう。
「そっか・・・でも、生きてるんだ・・・・・よかったぁ・・・・・」
その場にぺたりと座り込んだシロは、何もわからないながらもその事実だけは認識し安堵の息を吐いた。
『・・・他の願いは無いのか?』
「あ・・・えっと、どうしよう・・・・・」
そのまま暫くの間を置いたあと。
重々しい声が急かすように響き、再び視線を上げる。
―――ブロリーのことをどうにも出来ないとわかった以上、今のシロには他の望みなど何ひとつ無かった。
しかし折角呼び出した神龍へ、せめて他の願いを何か伝えなければ。
「・・・そうだ。それじゃあ・・・、」
ふわふわとした頭で考えているうちに"あること"を思い出し、シロは究極神龍へ向けて『ずっと先送りにしたまま忘れていた願い』をひとつ口にする。
―――――そしてそれとほぼ同時刻。
いよいよ追い詰められたブウの目前で、最後のトドメを撃ち込もうとしていたその刹那に突如ブロロットの身体が一瞬輝いた直後。
「「何だ・・・ッ!!?」」
消えた光と共に、ブロリーと悟空―――ポタラで合体する前の二人へとその身は分かたれてしまった。
よくベジットがベジータ寄り、ゴジータが悟空寄りと言われるように
ブロリーと悟空の合体もカロリーは悟空寄り、ブロロットはブロリー寄りになったりするんじゃないかなあと思ったりしています。