正義の味方”には程遠く、もはや目指したいとも思っておらん。資格もない
俺はその逆、邪悪を滅ぼす死の光に───“悪の敵”に成りたいのだ!

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正義の味方になりたかった!

 正義の味方をかっこいいと思った。

 何もおかしなことではない。幼心に悪を挫き弱きを助けるテレビの向こうのヒーロー達。

 

 翌日の学校終わりに、得意気に自分こそが後継、弟子、分身、本物と名乗る子供達のただの一人。

 たまに『僕はそれよりもう一人のヒーローがいい』と正体不明の強いヒーロー役をやりたがる友人もいたが。

 

 何処にでもいるただの人間でしかなく。そもそも正義の味方になるということは悪の存在を求める事。

 故に正義の味方に()()()()()()だけで彼は満足した。

 

 その満足いく基準が常軌を逸していることを遂ぞ彼は気付くことはなかったが。

 

 空手、柔道、ボクシング、剣道はもちろん、学べる限りの古武術、対銃訓練。

 憧れに近づく事への妥協は一切なく、事実彼ならば銃で武装した人間相手にも勝ってみせるだろう。何故か知らんが鍛えていることをバレないようにコソコソしている親友よりも鍛錬に打ち込みながら同等という無才、凡才以下の劣等でありながら彼は己を鍛え続けた。

 

 しかして人は時にあっさり死ぬ。

 

 ほぼ全裸でトラックに向かい突撃し、車事故にしては珍しく車側に過失がないと判断される奇妙な死に様を世に刻んだ親友の葬式からそう経っていないある日、世界は滅びた。

 

 異形異様の怪物の群。現代兵器ですら足止めしかできない強靭な肉体を持つ既存の生物学、物理学を超越した魔なる獣共。

 

 命乞いは虚しく牙に割かれ、子を少しでも遠くへと突き飛ばした腕は爪に裂かれ、恋人を抱き締めた肉体は諸共踏み潰された。

 

 決意、信念、愛、友情、恋。全て等しく塵屑の如く蹂躙された。彼はただただ最期まで戦い続けた。

 

 目を狙い口内を貫き関節を刺し…………たった一人で力なき者を救う為に抗い、最後には多くの血を流し息絶えた。

 

 死して尚その眼に宿る光は消えず、知性なき獣共も死した躯を食らうこともなく怯え竦んだ。ほんの数分、港への到達を遅らせた。ほんの数分寿命が伸びた者達は、しかし後にアルカディアにて命を落とす。

 

 何を残すことも何もなすこともなく一人の少年はその命を終えた……………筈だった。

 

 

 

 

 悪魔の気まぐれか神の慈悲か、少年は再び生を受けた。

 幼子が容易く命を落とすスラムである事を思えば悪魔の仕業かもしれない。

 

 明るく笑う幼馴染の少女が酒に酔った暴漢に理不尽に殺された。

 面倒見のいい娼婦が、貴族の上客が出来たと喜んだ翌日、ゴミ溜めの中に捨てられていた。

 俺を頼れと豪快に笑う青年が貴族の馬車に轢かれそうな子供を()()()()により殺された。

 兄貴と慕ってくる孤児達が薄汚い獣欲に蹂躙されドブ川に落とされた。

 性別の垣根を越えて友となった女が悪魔に憑かれ醜く腐り果て命を絶った。

 孤児達を導こうとした神父が何者かに殺され新しい神父がやってきた。

 

 その神父に誘われるまま炊き出しを子供達と共に受け取りに行けば、その日の夜、全身から血が噴き出す。魔力がどうだ、ラウンズがうんたら、聞き逃がしてはならぬ言葉は己と子供達の絶叫に掻き消され静かになってくれば成果がどうの空席がこうのと聞くに値しない降らぬ欲望を延々と語られる。

 

 叫び声は随分減った。叫びすぎのどを枯らしただけならまだいい。声帯が避け声を失った者もまだ未来はある。死した者には何もない。これから生きる未来を奪われ血の涙を流し動かぬ躯。

 

 気にするでもなくこちらを観察し時折絶叫を止めた子供を連れて行く神父とその仲間。

 ボギッと3にも届かぬ幼子の背骨が踏み砕かれ、転びかけたことに腹を立てた大人に壁まで蹴り飛ばされた。

 

 巫山戯るなよ。なんだこれは?

 何故、何時奪われるともしれぬ明日を夢見て懸命に生きる者達が踏み躙られ、踏み躙る者達が笑っている?

 

 理不尽だ。不条理だ。許せない。ああ、そうだ、ずっと許せなかったのだ。

 

 自分より成功したという理由だけで旧知の友を殺した父も、その父に逆らわず共に逃げ従うだけ従い殺すための男を誘い込み自分は悪くないと宣い続ける母も、そんな彼等に奪われて行く誰かを救うことが出来ない弱い自分も。

 

 内から溢れる力に細胞が破壊され腐肉と成り果てた足で立ち上がる。

 男達が興味深げに見る者と嘲笑う者に分かれる。ただ立っただけの身体は容易く蹴り飛ばされた。

 

 ゲラゲラと笑い声が響く中、グニャリと子供だった肉塊が背中で潰れた事に気付いた。

 霞んだ視界の端で新たな子供が連れ去られていくのが見えた。殴り殺した。

 

 何を、と叫ぶ。何故、と叫ぶ。生け捕りにしろと、叫ぶ。

 吠えるな、塵共。ただただ死に晒せよ。

 

 

 暴れ回る力は魔力と言うらしい。こちらを指さしそう叫ぶ神父の頭を叩き潰す。

 

 肉体の強化、傷の治癒に使うらしい。魔力を纏い剣を持つ男の腹を貫き背骨を握り砕く。

 

 使い方などまるで解らない。そもそも少年に魔力を使う才能など微塵もない。知ったことかよ、だからなんだ。

 

 知識もない。才能もない。されどそれは大人しく死ぬ理由になどならない。正義の味方に憧れた。彼等は悪を討ち、多くの誰かを守るから。

 

 ここで倒れればまだ生きている子供達が死ぬ。

 ここで死ねば同じように死んだ子供達を埋葬すること出来ない。

 ここで死ねば、この悪は再び無垢善良な命を食い物にする。

 

「そうはさせん。お前達の目的など知ったことかよ。その過程がこの光景であると言うのなら、()()()()()()()()()()()()

 

 暴れ回る魔力の制御を行う。才能などではなく、ただただ強靭な意志が暴走を抑え込む。

 

「数多の命を弄ぶその所業。今度は貴様等が命を持って償うがいい」

 

 

 

 

 力が要る。

 この様な理不尽がまかり通る世を帰るためには人を支配する立場にならなくてはならない。

 一番手っ取り早いのは国に仕えること。

 

 武神祭の優勝者が国にスカウトされたことがあると聞いたことがある。優勝し騎士団に入った。

 

 

 騎士としての役目をこなしながらも鍛錬に勤しむ。

 功績を経て駆け上がり、ダクアイカン家を筆頭とした犯罪に関わる貴族共を粛清した。

 

 稼げなくなった、と騒ぐ人攫い、奴隷商、薬の売人、暴力の輩、その全てを粛清した。

 

 賄賂を拒み、誘惑を跳ね除け、常に正しくあり続けるその姿に多くの民が安堵し多くの騎士がそのあり方に魅せられた。

 

 王国に巣食う悪を滅ぼし組織に与する全てを滅ぼし、悪魔憑きの治療法とディアボロス教団に対する実態を公表。王国にて邪魔できる者は最早いない。嘘だ、偽りを述べる異端者だと吠える聖教を完全無視。

 

 攻め込むベガルタの七武剣を斬り伏せた。

 声高々と最強を語る祖国の裏切り者を斬り捨てた。

 罪なき女を殺そうとした、嘗ての栄光に縋る老騎士を斬り殺した。

 千年生きる教団の最強の一角の1人、剣技を極めし古狼と斬り結び、勝利した。

 

 血筋は卑賤。

 才能は劣等。

 産まれは貧窮。

 

 それらを跳ね除け進む姿に聖女すらも魅了され何時しかその背に続く者達は国中に溢れた。

 

 盗賊、詐欺師、悪徳商人に腐敗貴族。数の力で対抗しようとした者達は数とこの性能を備えた者達により尽く討ち滅ぼされた。

 

 

 

 

「未だ陰の実力者、か。お互い死んでも治らんな…………だがミノル。いやさシド………そこをどけ(邪魔だ)。お前のお遊びに付き合う義理など、最早俺には存在しない」

 

 武神祭の参加。好きにすればいい、参加は自由だ。

 だがそれを期にこちらを暗殺しようとするのは認めないし、()()()()()という理由で暗殺者を逃がそうとする男など、当たり前だが受け入れられるわけがない。

 

「陰の中の真実から目を背けるな」

「今回ばかりはありもしない。今を生きず、己の殻に閉じこもり、世界を見ないお前こそ、目を覚ませよ親友。あの時の公園の続きは、最早俺には出来はしない」

「………………君が大人になっちゃったから?」

「いいや。俺と未だ、あの時と変わらず子供のままだ。お前と遊べぬのはひとえに、俺達の道が違ったがゆえに…」

 

 

 

 

 「もう子供じゃない」と、離れていく。

 「影野君主人公じゃないくせに負けないとか言うからやだ」と背を向ける。

 付き合ってくれたのはたった一人。ごっこ遊びも、格闘技も、ピアノも、ドイツ語も………ただ友に請われた、それだけを理由に手伝ってくれた。

 

 夢の為に捨てられるものは全て捨てると決めたミノルにとって捨てる意味のない親友だった。

 

「どうしても駄目?」

「ああ、駄目だ」

「君が正義の味方だから?」

「……いいや否。“正義の味方”には程遠く、もはや目指したいとも思っておらん。資格もない、俺はその逆、邪悪を滅ぼす死の光に───“悪の敵”に成りたいのだ!」

 

 

 

 

 

 そうとも、正義の味方に憧れていたわけじゃなかった。ただ悪が打ち倒されるその姿にこそ希望を感じた。

 

 凄惨な子供自体が故に…………()()()()。どのように産まれようと、どのように生きようと、変えられぬ彼の在り方(さが)故に。

 

「ごっこ遊びは終わりだ。元より陰の実力者など、主人公(英雄)に越えられるかラスボス(魔王)に負け実力を示す、勝利を繰り返した後に敗北が決まった存在だ」

「否定はしないよ。だけどね、英雄(きみ)が乗り越えない限り、僕は時に壁として現れ続けられる。終わらないさ……ようやく見つけたんだ、主人公(きみ)を…………」

「ならば来るがいい。ごっこ遊びは終幕、勝つのは俺だ」

「あの時の続きを続けよう。勝つのは僕だ」

 

 この後めちゃくちゃ英雄譚(サーガ)した。

 

 

続かない

 


 

 

ヒカリ(東堂光)

ミドガルの英雄。悪を許さず腐敗貴族を粛清し、教団に与した魔剣士達を断裁し、巣食う教団員を裁断した。

その本質は悪を許容できない破綻者であり、産まれや育ちは成る程そう歪むのも納得するものだが一切関係ない。他人の在り方など彼に気付きは与えても、本質を一切歪める事などない。

教団の実験で悪魔憑きになりかけたがこれは膨大な魔力を得たのではなく、魔剣士の血を一切引かぬ彼にはそこそこの魔力ですら毒だっただけ。

才能、劣等。

血筋、何もない。

しかして彼は気合と根性と信念で英雄へと至った。

 

 

シャドウ(影野実) 

唯一無二の理解者にして友に実は結構執着してる。

現在は『普段は酒場のマスターをしている実は超強い実力者』として手に職をつけた。

その実態はシャドウの実力を認めた英雄が自分が道を間違えた時に止められる存在として生かしておいた。

本人は全く気づかず『さすが親友、わかってるな〜』と思ってる。

 

 

シャドウガーデン

惚れた男を男に寝取られた。シャドウにとっては仲間とかじゃなくたまに演技に付き合うってくれる知合い程度だからね。英雄の存在によりミドガルは教団が近付けず悪魔憑きは保護されるので初期メンバー以外のミドガル生まれの悪魔憑きはいなくなってる。

 

 

アイリス

目が焼かれた。

 

 

アレクシア

目が焼かれた。

 

 

聖女

脳がこんがり焼かれた。

 

 

シェリー

お母さんと仲良く暮らしてる。

 

 

ルスラン・ゼノン・夜の十三剣

死んだ

 

 

クリスティーナ・ホープ

閣下の歩む道こそ希望に溢れた王道でございます

 

 

ディアボロス教団

シャドウとヒカリによりほぼ壊滅状態。ぴえん

 

 

叛逆遊戯

そう、英雄が魔剣(おれ)を生み出した!


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