この世界は人が生きるにはあまりに過酷だ。
前世の記憶があるからこそ、余計にそう感じてしまう。
この世界の人類は魔物と呼ばれる脅威に常に晒されてきた。
普通の獣ぐらいのサイズからそれこそ数十メートル以上のものまで、恐竜やドラゴンのようなものに魚のバケモノ、いわば怪獣みたいなものだ。
小さな集落が突然消えたりはもちろん、街一つがある日突然壊滅するなんてのもある。
それでも人は生きようとする。
戦い、抗う。
俺は魔物と戦う戦士の一族として生を受け、訓練を重ねて……ある日、前世の記憶を取り戻した。
石材への細工を繰り返し、手に入れられる限りの最高の素材を使って記憶の中のそれを可能な限り再現する。
魔力を使って作るのは巨体、基本的なエネルギー配分は力が3、スピードが3、光が4、フルパワーで動けば……3分が限界だろう。
まるでそうなるかのように、決められた運命かの様に記憶の中の光へと近付いていく。
ティガ、ウルトラマンティガ。
俺の思い出せる限り初めにあった希望の名前。
しかしまだその理想には遠い、魔力での再現でしかないソレをまだ俺はウルトラマンとは呼べない。
だが、魔物は待ってなどくれない。
俺達の一族の住まう村をまるで狙ったかのように2体の巨大な魔物が襲った。
当然ただでやられてやるわけはない、魔法で、受け継いできた戦術で、立ち向かう、それでも人は簡単に死ぬ。
そもそも力が、個としての差が大きすぎる。
だから不完全であっても俺は一人でも多くの人の命を救うべく、スパークレンスを掲げた。
赤と紫のカラーリングがあるべき場所はまだ灰色、ただ銀と金の輝きはある。
ならば十分だ、ゴルザとメルバではないが二足歩行の飛獣と直立した岩の様な陸獣、突然現れた巨体に驚いた隙を突き、飛び蹴りで飛獣の翼をへし折り、転ばせる。
やはり魔力で作っただけ重みがまだ足りていない。
陸獣の実体をもった巨体に掴みかかるが逆に振り回される、しかし生物である以上、口や目といった部分は弱点となる筈だ。
強靭な外皮に覆われていない左目に指を突き立てる、魔力の塊であるが故に出来る無茶、動かす為の感覚共有が痛みを告げるが止まる訳にはいかない。
そのまま未完成の魔力光弾を流し込み陸獣の息の根を止めようとするが飛獣に邪魔をされて弾き飛ばされる。
まだ一分も経っていないのにエネルギー残量を示すカラータイマーが点滅する。
ここは勝負に出るしか無い、残ったエネルギー全てで2体纏めて倒す。
魔力を圧縮し、両腕に込める。
突進してきた陸獣の頭、そして飛獣の胸を光線が貫く。
貫通力を求めたからかゼペリオンというよりはスペシウムの構えだな、だなんて場違いに呑気なことを考えながら放ったそれは2体の魔物の体内にあった魔力と反応して爆発を起こした。
まだ望む理想には遠い、けれども。
かつて貰った光が、この世界を照らすものとなるという確信を得るには十分だった。