勝負の舞台
賭郎が管理する地下賭場、その最深部。円形の卓と、その中央に据えられた透明な立方体。立方体の内部には、黒白赤の三色で塗り分けられた三十六枚の小牌が浮かぶように整列している。観客席は暗く、卓上だけが病的に白い光を受けていた。
ゲームのルール――「虚実回廊(きょじつかいろう)」
各プレイヤーは、毎巡一枚ずつ「宣言牌」を伏せて出し、同時に一つだけ発話できる。
宣言牌には三種類ある。
黒牌――「真」
白牌――「偽」
赤牌――「罠」
発話は、盤面情報、自分の意図、相手の意図、あるいは次の行動予告でもよい。ただし、各巡に一度だけ「検証」が行える。検証とは、任意の一人の直前の発話について「真か偽か」を指定して突く行為である。
検証が当たれば相手に一点の傷。外れれば自分に一点の傷。
ただし、相手がその巡に赤牌を出していた場合、検証の成否に関係なく、検証した側に追加で一点の傷が入る。
傷は三点で敗北。
さらに厄介なのは、発話そのものに関する制約だ。
「真」を出した巡は、その発話は客観的に真実でなければならない。
「偽」を出した巡は、その発話は客観的に偽でなければならない。
「罠」を出した巡は、真偽どちらでもよいが、その発話を聞いた相手が“検証したくなるよう設計されている”ことが、ラウンド終了時に審判の裁定対象になる。成立していなければ、赤牌を出した側が一点の傷を負う。
つまり、ただ嘘を吐くだけでも、ただ本当のことを言うだけでも勝てない。相手に「今、刺せる」と思わせ、それ自体を利用する多層構造のゲームだ。
賭郎が管理する地下賭場、その最深部。円形の卓と、その中央に据えられた透明な立方体。立方体の内部には、黒白赤の三色で塗り分けられた三十六枚の小牌が浮かぶように整列している。観客席は暗く、卓上だけが病的に白い光を受けていた。
ゲームのルール――「虚実回廊(きょじつかいろう)」
各プレイヤーは、毎巡一枚ずつ「宣言牌」を伏せて出し、同時に一つだけ発話できる。
宣言牌には三種類ある。
黒牌――「真」
白牌――「偽」
赤牌――「罠」
発話は、盤面情報、自分の意図、相手の意図、あるいは次の行動予告でもよい。ただし、各巡に一度だけ「検証」が行える。検証とは、任意の一人の直前の発話について「真か偽か」を指定して突く行為である。
検証が当たれば相手に一点の傷。外れれば自分に一点の傷。
ただし、相手がその巡に赤牌を出していた場合、検証の成否に関係なく、検証した側に追加で一点の傷が入る。
傷は三点で敗北。
さらに厄介なのは、発話そのものに関する制約だ。
「真」を出した巡は、その発話は客観的に真実でなければならない。
「偽」を出した巡は、その発話は客観的に偽でなければならない。
「罠」を出した巡は、真偽どちらでもよいが、その発話を聞いた相手が“検証したくなるよう設計されている”ことが、ラウンド終了時に審判の裁定対象になる。成立していなければ、赤牌を出した側が一点の傷を負う。
つまり、ただ嘘を吐くだけでも、ただ本当のことを言うだけでも勝てない。相手に「今、刺せる」と思わせ、それ自体を利用する多層構造のゲームだ。
| 白い卓、黒い笑み | |
| 初手の温度 | |
| 傷の意味 | |
| 追い詰められる側の顔 | |
| 白の検証 | |
| 延長戦 | |
| 空の手番 | |
| 貘の手番 | |
| 置かれる定義 | |
| 残った二人 | |
| 最終話 空白と嘘喰い |