東方魔導録(休載中)   作:いつも活き活きと

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記憶する者

翔馬が迷いの竹林に屋敷を建ててから何回か世代が変わった頃、後の世で平安と呼ばれる時代となっていた。

 

「………疲れたな、そろそろ休憩するか。」

 

翔馬はたまに屋敷に帰り魔導書の整理や研究をしていた。そして今は都を目指して移動していた。

 

「(確か今は平安京だったはず。つまり…)」

「そろそろ『竹取物語』が始まる。」

 

『竹取物語』、それは有名なかぐや姫が出てくる昔話である。そしてこの世界のかぐや姫とは…当然、

 

「『蓬来山輝夜』。東方キャラと交流できるチャンスだ。」

 

翔馬は輝夜との交流を楽しみにしながら平安京に向かう。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

平安京、それは桓武天皇が律令国家の立て直しのために遷都した都である。

翔馬はあれから3日かけて遂に平安京へと辿り着いた。

 

「感慨深いな、教科書でも有名な平安京に来るなんて。」

 

翔馬は羅城門から京の中に入る。都は活気付いており前世のような死にながら働いているような人は何処にも見当たらない。

 

「こういうのも良いな。昔にしか無いような雰囲気がある。」

 

翔馬が京を眺めていたその時だった!!

 

「キャッ!!」

 

「ハハッ!!間抜けな奴め!!」

 

「誰か!!あの人から書物を取り返してッ!!」

 

なんとひったくりの現場に出くわしてしまう!

 

「(来て早々にこれか……運の無さは相変わらずだ。)」

 

翔馬はため息を付きながら周囲の人間に気づかれないように『砂を操る魔法(ザ・フール)』を使用し、ひったくり犯の足元の砂で足を引っ掛ける!

 

「なッ!?」

 

ひったくり犯はそのまま転び翔馬に上から覆いかぶさられた。

 

「うッ!な、何だお前!!」

 

「お前とは失礼だな。」

 

翔馬はそう言い『ラリホー』を使って眠らせた。

 

「あ、あの!ありがとうございます!!」

 

「ん?ああ、君の書物だったのか。どうぞ。」

 

翔馬は近づいてきた女性にひったくり犯が盗った書物を渡す。

 

「ああ…本当に良かった。」

 

「そんなに貴重なものだったのか?」

 

「そうですね。この本は大陸の本なので簡単に入手出来ないんです。」

 

「それなら取り返せて本当に良かった。」

 

「あの、時間があるならお礼をさせてくれませんか?」

 

「……特に時間が無いわけでもない、お言葉に甘えよう。」

 

そうして翔馬はひったくり犯を役所に届けた後女性が気に入っている甘味処に行った。

 

「そういえばまだ名前を言ってませんでしたね。私は『稗田阿礼』です。」

 

「私の名は『杉本翔馬』、旅をしている者さ。」

「(『稗田』!?まさか………阿求のご先祖様か!?)」

 

翔馬は内心パニック状態だったが不審がられないように自己紹介をすることが出来た。

 

「そうだったんですか。」

 

「君はなにを?」

 

「最近古代の歴史を整理するための勉強をしています。」

 

「(『古代の歴史』……古事記か?)」

「それは大変じゃあないのか?」

 

「そうですね、けどやりがいがあるので苦しくはないですよ!」

 

そして翔馬と阿礼は様々な話をした。そして、

 

「そういえば知っていますか?最近西の屋敷に『美しい姫』がやってきたという話。」

 

「いや、聞いたことがないな。会うことは出来るのか?」

 

「簡単ではありませんね。最近は貴族や帝が出入りするようになったので会うのは難しいですよ。」

 

「そうか………」

 

翔馬は阿礼から『かぐや姫』の情報を聞いた後少ししてから解散した。

 

「(正面から会うことは不可能か。やはり潜入しかないな。)」

 

翔馬はどうやって侵入するかの作戦を考えた。

 

その日の夜、通りは月明かりのみとなり人もいなくなった時間に翔馬は闇に紛れるように移動していた。

 

「……確かここを真っ直ぐだったな。」

 

翔馬は阿礼の言っていた情報を元にかぐや姫の住んでいる屋敷へと向かう。

 

「(………!ここだな。)」

 

そして翔馬は遂に屋敷を発見したが………

 

「(やはり見張りがいるな。それはそうか、彼女に会いに帝や貴族まで来るんだ。警備はしっかりしている。)」

「『鉄を操る魔法(メタリカ)』」

 

翔馬は砂鉄の迷彩で自身の姿を完全に隠し空を飛んで屋敷の中庭に着地した。

 

「よっと……ま、魔法使いの侵入を拒むことは出来ないけど。」

 

そして翔馬が屋敷に目を運ぶとそこには絶世の美女と呼ばれるのにふさわしい少女が縁側に座っていた。

 

「あら?こんな夜更けに誰かしら?」

 

「礼儀知らずな時間にすまない。私は『杉本翔馬』というものだ。」

 

「貴方も求婚しに来たの?」

 

「いや、月の姫君を……」

 

その時ッ!翔馬はあまりにも初歩的なミスをした!!原作知識故知っている情報を言ってしまったのだ!!

 

「貴方……まさか月の都の!?」

 

「いや!ち、違う!!」

「(マズイマズイマズイ!!!完全にやらかした!どうする!?)」

 

「……………おかしいわね。」

 

「な、なにが?」

 

「月の都から来たにしては『穢れ』が多すぎる。あいつらはそれを1番嫌うのに……」

 

「実は……」

「(こうなったら!)」

「私は魔法を使うことが出来るんだ。」

 

「魔法?」

 

「そうだ。魔法は多種多様で私は君に『鑑定する魔法(レイザル)』という魔法を使ったんだ。」

 

「ふーん。なら…私が何の能力を持っているか分かる?」

 

「(それなら……)」

「『永遠と須臾を操る程度の能力』だろ?」

 

「本当らしいわね。私はここに来てから1回も能力を使ってない。それなのに能力を知っているなんて。」

 

「(危なかった……)」

 

「けどまだ信用できないわ。そうねえ………それじゃあ貴方に『難題』を出すわ。」

 

「『難題』………」

 

「そう。少し前に貴族たちが私に求婚してきたんだけどそいつらに出した難題の内の1つ、『蓬莱の玉の枝』を取ってきて。それが出来れば貴方を信用するわ。」

 

「(『蓬莱の玉の枝』………車持皇子が職人に偽物を作らせたものだ。だが、何故それをわざわざ頼みに?)」

「…………分かった。それは何処にあるんだ?」

 

「日本の西端にある島にあるらしいわ。」

 

「(………やるしかないな。)」

「じゃあそれを手に入れたらまた来るとしよう。」

 

「フフフ……精々抗いなさい。」

「(『蓬莱の玉の枝』さえあれば………)」

 

こうして翔馬は輝夜から『難題』を与えられ屋敷から出ていった。

                                To be continued…

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