アビドス3章の事件後、ホシノがヒナの代わりに一日風紀委員長をやるお話。



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盛りすぎました、でも後悔は無い!

もし良ければ高評価と感想をお願いします。

次の小説の励みになりますので!


ホシノの一日ゲヘナの風紀委員長体験

 

先生 "ホシノ、ヒナからホシノへお願いがあるんだ。”

 

アビドスの事件解決からしばらくが経ち、アビドスに活気が戻ってきたと同時に元気いっぱいな素行の悪い生徒たちによる事件が発生している為、その解決のためにいつものアビドス対策委員会と先生による会議が行われ、開幕一番に先生がホシノへ発言した。

 

ホシノ「ヒナちゃんがおじさんに〜?いやーあんな可愛い子からお願いされるなんておじさん、照れちゃうな〜」

 

そう言いつつも内心ではある程度予想が付いていた。何故なら⋯⋯⋯。

 

シロコ「ん?ヒナさんがホシノ先輩に?」

 

先生 "うん、そうなんだ。ヒナがねアビドスから帰ったあと風紀委員の仕事をしていたんだけどその時に見たら疲労困憊で。私が言っても良いって聞かないから提案したんだ”

 

そう言いながら先生は当時のことを話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先生 "ヒナ、このままだと倒れてしまうよ。ヒナが倒れる所、先生は見たくないんだ”

 

ヒナ「でも仕事が溜まってるし⋯⋯⋯。」

 

そう言って視線を横に向ける。そこには絶望したくなるほどの書類の山が一つ、二つ、五つと並んでいる。はっきり言って多すぎるという言葉では足りないくらいの書類の数。それはホシノの一件でヒナがアビドスに向かった事を知った者たちがこれを好機と見て暴れたことに関する溜まった分であった(尚、その者たちは帰ってきたヒナによって "掃除”された)。そしてヒナの目元には化粧では隠し切れないほどの隈があった。それになんだかヒナ自身がシナシナに見えるのは気の所為ではないだろう。

 

ヒナ「で、でも皆が頑張っているのに私が休むわけにはいかないから。」

 

先生が心配しても言うことを聞かずそのまま書類仕事をしようとするヒナを止めようとするも、ヒナの意志は固い。

 

ヒナは本当だって書類なんて放置してだらだらと休みたいに決まっているのに。皆が頑張っているから、私は風紀委員長だからとその小さな背中に背負われたあまりにも大きすぎる責任を全うしようとしている。同じ風紀委員であるアコやイオリ、チナツ、ヒナと仲良くしている友達が休めと言っても聞かないだろう。

 

そう、同じ風紀委員や友達ならば。

 

 

そんなヒナを休ませるとここに来る前に約束したアコ達の為に先生は提案をする。

 

先生 "じゃあこういうのはどうかな?ホシノにヒナの代わりをすればいいじゃないのかな?”

 

ヒナ「ホシノに?」

 

先生 "うん、ホシノならヒナの仕事を代わりに任せられると思うんだ。ホシノが凄いことヒナは知ってるでしょ?”

 

ヒナ「そう、だけど。」

 

ヒナは考える。確かにホシノなら任せられるだろう。自分と同等の強さを持ち、それ以上にホシノの先輩を遺志を引き継ぐ心の強さは自分には無い強さ。それを持っているホシノなら自分よりも優れていると思っている。しかしそれと同時に迷惑は掛けたくないという思いもある。

 

そんな考えを見通しているのか先生はヒナに語りかける。

 

先生 "それにね、これはホシノの為でもあるんだ。ホシノはアビドスで迷惑を掛けてしまった。それを謝罪してアビドスの皆は許してくれたんだけど、ホシノは自分自身の事をまだ許してないと思うんだ。『自分は許されてはいけない』と思ってきたからそう簡単には割り切れないと思う。何か行動で示したいと思っているはず。だから迷惑を掛けてしまった一人であるヒナにお願いされれば代わりをしてくれると思う。ヒナは休みが取れるし、ホシノは恩返しができる。⋯⋯⋯⋯私はね、先生として生徒が自分を許されてはいけないと、そんな悲しいことを思ってしまう子を救いたい。本当は生徒をだしにして提案なんてしたくない。でも私には自分自身の力でホシノを救えない。私には過去を変えることも、他の人の気持ちを理解できない人間だから。”

 

そう言葉を溜めた後、

 

先生 "だからヒナ、ホシノの為と思ってホシノに風紀委員長の代わりをさせて欲しい。”

 

生徒の事を思う先生らしいヒナが『納得する』提案を言った。 

 

ヒナ「⋯⋯⋯⋯⋯もう、仕方ないわね。」

 

納得させられたヒナは風紀委員長の顔をした。

 

ヒナ「じゃあホシノに風紀委員長を一日代わって欲しいってお願いをするわ。今後ともアビドスと仲良くしたいからゲヘナとアビドスの関係性を悪くしないために皆には風紀委員長体験という形にしましょう。私は風紀委員長としてホシノを推薦すれば『あの風紀委員長が認めた』と考えるから風紀委員の皆に舐められないと思うはずだしホシノには良い経験取るはず。万魔殿(パンデモニウム・ソサエティ)は私が『話し合い』で何とかするから。」

 

そうヒナが風紀委員長として計画をまとめ終えると、

 

ヒナ「ありがとう先生。」

 

そう頬を僅かに、けれど今日初めての笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先生 "⋯⋯⋯⋯と、いうことがあってね。”

 

アビドスの面々「なるほど。」

 

ホシノ「⋯⋯⋯⋯⋯うへー。」

 

ヒナは駅からテラー化した状態であるホシノ*テラーまで、激戦を繰り広げたからである。

 

ヒナの代わりが出来るのは片手で足りるくらいに少ない。ホシノに白羽の矢が立つのは自然の流れだった。

 

ホシノは先生の話を聞いて遂にヒナに恩返しが出来るのだ。

 

内心ではやる気を燃え上がらせていると先生は椅子から立ち上がり⋯⋯⋯⋯、

 

先生 "ホシノ、本当にごめん。”

 

ホシノに深く、深く、謝罪した。

 

ビシッと足を伸ばし、腰を90度曲げ、ストレスの影響なのか心無しか薄い頭を下げた。

 

アビドスの面々「!?!?!?」

 

ホシノ(先生?)

 

何故?頭を下げる?

 

何故?私なんかに謝罪する?

 

分からない。

 

何故?何故?何故?何故?何故?

 

嫌いな大人である黒服のような思考をする程に混乱しているホシノ。

 

セリカ「な、先生!なんで頭下げるの!?」

 

誰よりもセリカは純粋で真っ直ぐである。だから誰もが疑問に思った事を真っ先に口にした。

 

セリカちゃんの言う通りだ。私は先生が頭を下げる程の人間ではない。私は皆に2回も迷惑を掛けた情けない先輩。これからはそんな事はしないけれども、だからといって過去の事が無くなるわけじゃないから。

 

先生 "私はヒナを休ませる為にホシノをだしにするような事をしてしまった。私の力不足で生徒を使うなんてこれは許されない事だ。先生として、大人として非常に情けない。⋯⋯⋯ホシノに改めて謝罪する。⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯本当に、ごめん。”

 

先生の誠意と心からの思い、申し訳ないという気持ちが伝わってくる。

 

生徒を使うというのはこの人にとってはそれほど重要で、だからこそこのアビドスを、私達対策委員会を、そして私を変えてくれたんだろう。

 

生徒を助けたい。

 

それは先生としての義務、大人としての責任。

 

それを抜きにしても。

 

それを本気で思っているから。

 

だから。

 

ホシノ「先生、頭を上げて。おじさんはいつかヒナちゃんにお礼をしなきゃなって思っていたからちょうどいい機会だよ。先生はヒナちゃんの為に頑固なヒナちゃんを休ませたかったんでしょ?むしろ使ってくれてありがとう。おじさんと違ってヒナちゃんはてこでも動かないと思うからさ。だから許すよ先生。そして。」

 

それでも頭を下げる先生の頭を優しく上げて、

 

ホシノ「ありがとう、先生。」

 

心からの感謝を伝えた。

 

先生 "はは、これじゃ先生失格だな”

 

ホシノ「そんな事ないよ〜。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アヤネ「それではこれよりホシノ先輩が風紀委員長体験をしている間の、それに関する会議にしようと思います。」

 

ノノミ「分っかりました〜☆」

 

シロコ「ん、了解した。」

 

ホシノ「おじさんもさんせー。」

 

セリカ「分かったわ!」

 

アヤネ「ホシノ先輩が行く日は今日から数えて5日後です。その日の懸念があるとするならアビドス自治区で起こるトラブルでしょうか。」

 

セリカ「ここで暴れた不良って大抵ホシノ先輩にボコボコにされてるから、いないと分かるや否や集団で問題を起こそうとするかも。」

 

シロコ「ん、ならそいつらは私がホシノ先輩に代わってボコボコにするよ。」

 

ホシノ「うへ〜、いや〜シロコちゃんが頼もしくなっておじさん嬉しいよ〜」

 

アヤネ「たとえシロコ先輩が強くても一人で制圧できるわけではありません。別れてしまうと集団で襲ってきた際に各個撃破されてしまいます。せめてホシノ先輩くらい強くて自由に移動できる様な人がいれば⋯⋯⋯。」

 

ノノミ「そんな人、居たらいいんですけどね〜。」

 

セリカ(あれ、一人あるような?)

 

?「ん、そんな人はここに居るよノノミ。」

 

その言葉を聞いて対策委員会の皆は声のする方を探す。

 

が、見当たらない。

 

?「ん、ここ。」

 

コンコン、と窓が叩いている音が響く。

 

まさかと一斉に窓に視線を向けるとそこにいたのは。

 

 

 

 

 

 

シロコ*テラー「ん、ドッキリ大成功。」

 

窓の縁を掴んで窓から覗くもう一人のシロコだった。

 

アヤネ「ええ!いつからそこに!?少し待っててください!今開けますから!」

 

アヤネが窓を開けると同時にシロコ*テラーはよっと、と言いながら窓から対策委員会の部室に入る。

 

ホシノと先生「 "えぇ”」

 

シロコ「なんで窓から?」

 

シロコ*テラー「?その方が驚くかと思って。」

 

セリカ「ちょっとシロコ先輩!驚かせるためにそんな事しないで!ちゃんと玄関口から入りなさいよ!」

 

正論すぎる。

 

シロコ*テラー「ん。」

 

ションビリするシロコ*テラー。

 

シロコ「んwww。」

 

笑うシロコ。

 

シロコ*テラー「ん。」

 

シロコ「ん。」

 

そして武器をお互いに構え⋯⋯⋯⋯。

 

先生 "シロコ、驚かせたいからといってそんな事しちゃ駄目だよ。シロコも武器を下げて。”

 

シロコ「「ん、ごめんなさい。」」

 

セリカ「やっぱりシロコ先輩はシロコ先輩だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな事をありつつ会議は終了した。

 

会議の結果、対策委員会は二手に分かれて行動することになり、もう一人のシロコちゃんはアビドス自治区を自由に移動できる(文字通り)ことから基本的に自由行動をし、応援が必要な時はそこに駆け付けると言うことになった。先生から一人で大丈夫?と心配されてたけどもう一人のシロコちゃんはよわシロコより強いから大丈夫と言っていた(シロコちゃんと喧嘩しそうになったけれど)。

 

会議の事を振り返りつつ思う事は皆から一人で大丈夫?という心配の声だった。

 

⋯⋯⋯そりゃぁあんな事があったから心配にはなるのは分かるけど少しは信用して欲しいなと思う。けれどもそう思っても一人で行かせたのはあの事件を乗り越え、大切な事を間違えたりしないという信頼もあるから。

 

だから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホシノ「気合を入れなきゃだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風紀委員長体験の日

 

アコ「ではこれより一日風紀委員長をする事になった小鳥遊ホシノさんから挨拶を行います。⋯⋯⋯ホシノ委員長、ご挨拶を。」

 

ゲヘナ風紀委員会本部の広場にて集められた風紀委員の面々。角があったり尻尾があったりとゲヘナ生徒の特徴を持つ個性豊かな風紀委員が台に乗ったホシノに目線を向ける。

 

ホシノ(圧巻だなー)

 

綺麗に列に並び、ビシッと背筋を伸ばす風紀委員達。上から見るとより皆が日々訓練を真面目に行っているのがよく分かる。

 

横にいるアコちゃん(なんで横乳が出てるの?と思いつつ)からの言葉で今も見ている子達に声を掛ける。

 

ホシノ「一日だけど風紀委員長を体験することになった小鳥遊ホシノだよ〜。皆よろしくね〜。⋯⋯⋯ヒナちゃんがここ最近忙しいのは私が原因だよ。先生から聞いたよ。ヒナちゃんが辛い思いをさせたのは私だ。だから今日だけだとしてもヒナちゃんが背負っている風紀委員長の肩書を背負ってゲヘナの為に働くよ。皆は私を使って自分のすべき事を果たして。そして私を助けて欲しい。私は一人で全部出来る訳じゃない、皆を頼る事になるから。」

 

自分の思いを皆に伝える。視線を向けているのは分かるが帽子を深く被っているからどんな目をしながら見ているのか分からないけれど。

 

でも、それでも。

 

ホシノ「皆、頑張ろう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホシノ「きっつい、書類に溺れそ〜!動いてないのにつらいよ〜。」

 

アコ「ホシノ委員長、文句を言っても仕方ありません。手を動かさないと更に辛くなりますよ。」

 

ホシノ「うへ〜〜!!」

 

なにこれ。

 

なにこれなにこれなにこれ!!

 

書類で出来たサンクトゥムタワーが一つ二つ、十。薄い紙でもその一枚一枚を大量に重ねるとここまでの山が出来るんだ。知りたくなかった。

 

ホシノ(痛い。書類の書き過ぎで手が痛む。これいつになったら終わるんだろう?)

 

地獄とはこういう事を言うのだろう。

 

やってもやっても終わらないデスマーチ。

 

片付けたかと思えばそれ以上の書類を持って来る。

 

まさに生き地獄。

 

イオリ「弱音吐くの分かるよ。でも仕方無い。これでも先日までヒナ委員長が頑張って処理してくれたんだ。その頑張りを無駄にはしたくない。」

 

チナツ「まだお昼までにあと1時間もあります。お茶を出しますのでそれまで頑張りましょう。」

 

アコ「これだけでもマシな方です。これに問題児達の対処もしなければいけないのですから。」

 

ホシノ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。」

 

ホシノ(ヒナちゃん、君は私の方が凄いと言うけどそんな事ないよ。ヒナちゃんの方が何倍も凄いよ。)

 

これにゲヘナ生徒間の問題も、美食の冒涜だと言って飲食店を爆発されるような事も、温泉がある訳が無い道路の真ん中で発破ー!するような事も、Unwelcome Schoolを流しながらアル社長を馬鹿にする連中を爆破させるアウトローが起こすような事も起きていないのだ。

 

つまりこの状況はアコの言う通り『マシ』な方ということ。

 

ホシノ(一体いつになったら⋯⋯⋯⋯。)

 

ホシノが弱音を心の中で吐きそうになると⋯⋯⋯⋯⋯。

 

ドタドタドタドタッ!! バタン!!

 

風紀委員A「た、大変です!美食が、美食の連中がまた飲食店を爆破しました!!」

 

アコ「またですか!今度はなんですか!?」

 

風紀委員A「目撃者の情報曰く『料理も対応も素晴らしいが内装の雰囲気が料理と全く合っていない』と言って爆破させた、とのことです!」

 

ホシノ「⋯⋯⋯⋯⋯。」

 

アコ「はぁ!?そんな事どうでも良いでしょう!?なんでそうなるんですか!?」

 

ドタドタドタドタッ!! バタン!!

 

風紀委員B「行政官!緊急事態です!温泉の連中がゲヘナの憩(いこ)いの場である、ゲヘナ公園を発破しようとしていると情報部から連絡が!」

 

ドタドタドタドタッ!! バタン!!

 

風紀委員C「ヒナ⋯⋯⋯ホシノ委員長!アゲアゲヘルメット団、キチキチヘルメット団、イケイケヘルメット団が同盟を組みゲヘナの生徒と争い始めました!被害は甚大!支給応援を!!」

 

ホシノ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。」

 

言葉にならないとはこのことか。

 

本当に、知りたくなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アコ「次はそこを右へ曲がり500メートル進んだら目的地であるゲヘナ公園となります。さっき送った敵の戦闘データを活用してください。」

 

ホシノ「ありがとうアコちゃん。おじさん、気合い入れて行くよー。」

 

アコ「あの最初から思っていたんですが、⋯⋯⋯⋯おじさんとは?」

 

ホシノ「おじさんはおじさんだよ〜。それ以上でも無いよ。」

 

アコ「⋯⋯⋯⋯⋯そうですか。」

 

アコちゃんと会話しながら温泉開発部が向かっているゲヘナ公園に向かう。アコちゃんの送られた情報曰く。

 

温泉開発部は元々少数で活動する部活だったそうだ。だか部長が変わってから状況は一片。部長、鬼怒川カスミのカリスマと交渉力、戦場を見極める目や判断力によって規模は拡大。部員からの支持が熱い。また部長が投獄されようとも四肢が施錠されようともいつの間にか脱走してるというのも厄介な所だという。

 

そして温泉開発部部長は空崎ヒナにトラウマを持っているという。

 

ホシノ(情報通りなら厄介だな〜、カスミちゃん。先手を打って真っ先に倒さないと後々面倒になりそう。)

 

カスミちゃんは頭が切れるだろうな。ブツブツと温泉開発部の愚痴が通信越しに聞こえるから。

 

アコ「それにしても速いですね。ヒナ委員長に並びそうなくらいです。」

 

(ヒナは発車したばかりとはいえ余裕で電車に追い付くくらいのスピードを持ちます。)

 

ホシノ「いや〜それ程でも〜。」

 

そう言いながらグングンとスピードを上げる。

 

目的地まで200メートル、150メートル、100メートルと近づいて行くにつれて土木工事の様な音や掛け声、そして⋯⋯⋯⋯。

 

カスミ「ハーハッハッハッハ!!!温泉があるから我々がいる!いや、温泉が無くとも我々がいる!さぁ温泉開発の始めようではないか!ハーハッハッハッハ!!」

 

メグ「よーし!どんどん掘っていこう!」

 

そこに見たのは高笑いしながら爆弾を仕掛ける白衣を着た生徒と、木々を、草むらを、とにかくあらゆるものを火炎放射器片手に作業服を着た生徒とその部下らしき生徒が撤去していた。

 

なにこれ〜???

 

何回、何回言葉を失わせたら気が済むのだろう?

 

ホシノ「アコちゃん、もしかしなくてもあの子達が温泉開発部?」

 

アコ「ええ、その通りです。白衣を来たのは部長鬼怒川カスミ、火炎放射器を持っているのは作業班長の下倉メグです。既に風紀委員達が包囲しつつあります。狙撃手も配置に付き、ホシノ委員長より先に付いた部隊はいくつか。後はホシノ委員長の指示でいつでも砲撃できます。」

 

ホシノ「風紀委員の子達は皆優秀だね〜。そういえばイオリちゃんとチナツちゃんは?」

 

アコ「2人は美食の相手です。ホシノ委員長のお陰で道中の問題児達は捕まえられたので半分は美食の方に向かっています。⋯⋯⋯⋯⋯あの人達は逃げ足が速いのでこうしておかないと1人は必ず逃げられてしまうんですよ。」

 

ホシノ「そっか〜。なら。」

 

一度深呼吸をする。感覚が研ぎ澄まされる。

 

ホシノ「よし、行こう。」

 

瞬間、ホシノは温泉開発をしようとする集団に飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風紀委員リーダー「ホシノ委員長に続けー!」

 

その号令と共に温泉開発部との戦いが始まった。

 

ホシノが飛び出し手に持った手榴弾を数個、ちょうど爆破するタイミングで投げる。

 

混乱している温泉開発部部員(以後温泉部員と呼称)に目の前に着地した瞬間、瞬間移動と見間違うほどのスピードで相手の視線を外しその腹に愛銃:Eye of Horus  の銃床を叩き付ける。流れるように左手に持ったハンドガンで止めを刺した後、左にいた温泉部員に連射。その温泉部員はガッツで耐えるもホシノはハンドガンの連射で倒れるとは思っていないため容赦なく神秘で強化されたショットガンによる銃撃を行う。銃身で発生した力を利用して温泉部員のいる集まっている方に扇状型に広がる散弾を何発も放つ。

 

別の所で手榴弾の爆発が木霊しホシノの近くにいた温泉部員、約10人を10秒も掛けずに制圧した。

 

 

 

カスミ(あれ、ヤバくないか?これは即座に撤退かな?)

 

カスミはトラウマである風紀委員長が休みであると知っていた。

 

たとえ情報操作でゲヘナの生徒達に知られていなかったとしても必ず漏れてしまうものだ。

 

それを見逃すようなヘマはカスミはしない。

 

カスミ(この日を待っていたのにまさか風紀委員長レベルの強さを持っているとは思わなかったな。⋯⋯⋯⋯いや、代われる程の人物なのだ。風紀委員長並、とまではいかないけれども準ずるくらいの強さは持っているということくらい予想が付くというのに。もしや浮かれてたか?)

 

そう思考を加速している間にもトラックやショベルカーをバリケードにする指示や、士気を上げるべく手に持っているレッド・レクターを空に発砲する。それによって士気が僅かに上がるもそれ以上にホシノが次々と制圧されていく。

 

以前に思っていた自分の言葉を撤回したい。

 

風紀委員長に準ずるのではく、風紀委員長並だ。

 

カスミ「メグ!撤退だ!撤退の指示を伝えろ!」

 

メグ「オッケー!分かった部長!」

 

風紀委員達の相手をしているメグに通信で撤退を伝える。

 

はっきり言って勝ち目は無い。

 

逃げるのは恥ではない。

 

愚かに負け戦を続け、みっともなく捕まるのが恥なのだ。

 

幸い大半の温泉部員の健闘によってホシノとホシノを援護している風紀委員達がいる戦場では時間は稼いでくれている。

 

風紀委員リーダーのいる所は押されてはいるものの撤退するには充分だ。

 

懸念は砲撃の方だが隠し道を使えばいいし他の皆は散り散りになって逃げれば一人でも多く逃げれる可能性が高い。

 

そう考えながら撤退の準備をしていると横から爆破され穴を開けられた。

 

その穴から出てきたのは⋯⋯⋯⋯。

 

イオリ「待たせたな!ホシノ委員長!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホシノは焦っていた。奇襲する際にカスミの近くにいた温泉部員が邪魔だから仕方無く制圧したというのに、カスミは即座にホシノと距離を取りホシノが銃を向ける前に大勢の護衛を付けたのだ。突破するにしてもカスミの指示によって温泉部員による足止めを喰らい、今や他の風紀委員の子達を守るべくIRON HORUSを展開していた。

 

ホシノは盾を構えながら射撃をするも温泉部員のタフネスさに耐えられていた。たとえ倒したとしてもすぐに穴を埋められる。

 

ホシノ(しくじったな〜。このままじゃ逃げられる。)

 

持久戦においては温泉開発部の方が上。

 

砲撃は逃げるのを阻止するために、そして混戦のためここでは使えない。

 

 

ホシノの誤算はカスミが予想以上に切れ者であったこと。

 

ヒナから託された大切な人達を守る為に防御に回る。

 

攻撃に転ずればカスミ達を瞬く間に制圧できるというのに。

 

仲間と一緒に戦う。

 

大切な物を守りたいなら遠くへ追いやるのではなく一緒に向き合う。

 

アビドスでの事件で気付いた大切な事が今になってホシノを苦しめる。風紀委員を守るという選択をした時点で負けは決定されていた。

 

ホシノ(逃げられちゃう。)

 

このままじゃヒナちゃんの仕事を、責任を、果たすことが出来無い。

 

次。

 

次にすれば良い。

 

そう頭では言っている。

 

 

 

だか、駄目だ。

 

その『次』がいつになるか分からない。

 

明日か?明後日か?一週間後?一ヶ月後?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

または、二度と無い?

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はヒナちゃんの為に、恩返しをする為に来たのに?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嫌だ。約束を果たせないまま終わるなんて。

 

 

 

 

 

 

だが現実は非情。既にカスミ達は撤退の準備を進めている。数分もすればその逃げ足で逃げ去るだろう。次捕まえられるのかは分からない。

 

 

 

 

 

 

 

こんな時、ヒナちゃんなら、先生なら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドカン!!!

 

 

 

 

 

 

ホシノ「なに!?(新手か?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イオリ「待たせたな!ホシノ委員長!」

 

温泉開発部の前線に穴を開きそこから出てきたのはイオリ率いる風紀委員達だった。

 

ホシノ「な、なんでここに?美食の方は?」

 

イオリ「美食の連中は牢にぶち込んでおいた。」

 

説明している最中も温泉開発部を狙撃銃(クラックショット)で正確無比の狙撃によって仕留めていく。

 

チナツ「万魔殿の戦車長が何故か我々の援護をしてくださってそれで早く片付いたんです。」

 

イオリ「いつも風紀委員会に面倒事を押し付けるっていうのにな。どういう風の吹き回しなんだろ?」

 

チナツ「おそらくホシノ委員長が関係しているのではないかと。」

 

イオリ「あー成る程ね。」

 

チナツちゃんは怪我人を手当しながら答える。

 

きっと苦労しているんだろうと生徒会長が応援を寄越してくれたんだろうな。

 

ホシノ(後でお礼言わなきゃ。)

 

守りに入った時点で負けは決定されていた。

 

だか、それは一人で全てを背負おうとしたからだ。

 

一人だから手から溢れる。

 

一人だから広がる戦況を、アビドスを、ゲヘナを見極める事ができない。

 

そう『一人』では負けるのだ。

 

一人なら皆に頼ればいい。

 

皆に頼り、頼られる関係だからこそ。

 

勝利を掴めるのだ。

 

ホシノ「皆、他の温泉開発部は任せたよ。私はカスミちゃんを倒すから、お願い!」

 

イオリ達「了解!」

 

以前であれば一人で突っ走しっていただろうなと思いながら皆に背中を預けるのだった。

 

ホシノ「カスミちゃん、逃さないよ。」

 

カスミ「!?(な、何だこの威圧感!まるで風紀委員長じゃないか!)」

 

ホシノはIRON HORUSを仕舞い左手にハンドガンを持つ。

 

ここから始まるは一方的な蹂躙劇である。

 

カスミ「メグ!」

 

メグ「!分かった!」

 

名前を呼ばれ自分のすべき事を直感で理解した。

 

今攻撃に転じたホシノを相手取れるのはメグのみ。今も尚暴れて温泉部員を制圧しているホシノを抑えるべく火炎放射器:メグマパワー!を放つ。

 

ホシノ「!」

 

広範囲に広がった灼熱の炎はもしかしたら後方にいる風紀委員達に届くかもしれないと盾を展開し赤いバリアを貼る。

 

ゴオオオォォォォォォ!!!

 

ホシノ「火力高いね〜(澄まし顔)。」

 

メグ「君凄いね!」

 

当たり前のように汗をかくだけで無傷で済ませ後ろにいる風紀委員達も守るホシノと規格外の耐久力に舌を巻くメグ。

 

(ホシノは色彩ビナーのアツィルトの光を食らっても後ろにいる後輩たちも無傷で守りつつ自分も余裕で無傷というイカれた耐久力を持ちます。)

 

ホシノ「今度はおじさんの番だよ〜。」

 

盾を構えながら炎を遮りメグに向かって突撃する。

 

ドゴォン!と人がぶつかった音とは思えない程の爆音が鳴る。

 

これによりメグは10メートル以上吹っ飛び気絶する、まではいかなくても体勢を整える頃にはカスミを捕らえるには充分な時間を稼げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ということにはならなかった。

 

メグ「はは!本当に凄いよ君!押し相撲みたい!」

 

ホシノ「な!」

 

ホシノの盾とメグの怪力が激突し力比べの形となった。

 

メグは衝撃に備えるのではなく受け止め、ホシノの力を利用して投げ飛ばそうとしたのだ。

 

しかし、ホシノの力が思ったより強かった為にこのような形になったとメグは考える。

 

この形になったのはいくつかの要因がある。

 

まずホシノのコンディションは万全では無いということ。

 

ホシノは朝から手が痛む程の書類作業を3時間以上行い、ここに来るまでに問題を起こすヘルメット団や不良生徒、ゲヘナの生徒達を片っ端から制圧したことによる体力の消耗。

 

いくら超人的な身体能力を持っていたとしても連続的な戦闘は体に大きな負担が生じる。

 

次に温泉開発部との戦闘。

 

風紀委員達を守る為に防御に回った為、被弾は風紀委員達よりも多かった事。

 

これにより更に体力は削られた。

 

最後にメグの底力。

 

メグは小さな温泉であれば一人で掘れる程の力を持つ。これまでの温泉開発によって積み重ねた肉体によってゲヘナの中でも力は高い方であろう。

 

これらの要因によって、ホシノとメグの力勝負となった。

 

だが、

 

ホシノ(ごめんね〜、メグちゃん。)

 

ホシノは力勝負に付き合うつもりは無い。

 

だが目の前にいるメグという存在が力だけなら並ぶと判断した。

 

故に容赦はしない。

 

ホシノはグッと盾にさらに力を込める。メグは対抗しようと更に力を掛けホシノ以上の力をもってを吹き飛びそうとする。

 

前に。

 

ホシノは一気に『後退する』。メグは力が前方に集中した為、たたら足を踏むことになり僅かに体勢が崩れる。

 

ホシノは最高火力が出る距離まで後退し、愛銃とハンドガンに神秘を多く込める。

 

ドドッドンッ!

 

最初にショットガンによる連続射撃。しかしこれはメグをその場に縫い付ける為。

 

ダンダンダンダン!

 

ショットガンを仕舞いハンドガンで防御を崩す。その崩したハンドガンの威力は神秘によって着弾した瞬間に小さな爆発を引き起こすほど。

 

キュイン⋯⋯⋯⋯ドカーン!!!

 

自分の周りに煙幕を張り相手と周りに何をしているのか分からないようにする。煙幕は僅かな時間しか張れない。その一瞬を使ってショットガンに弾と神秘を込める。神速のリロードを行い、最大出力に達した事を伝える音が鳴ると同時に"腕が引くほど”の衝撃を放つ最大火力を誇る銃撃を放つ。

 

紅い軌跡を描いたその弾丸はメグに着弾と同時に大きな爆発が発生し⋯⋯⋯⋯⋯。

 

メグ「もう無理〜。」

 

メグは倒れた。

 

カスミ「メグ!」

 

メグが倒れたことによる戦線の崩壊。カスミの動揺も相まって崩壊はさらに加速する。

 

ホシノ「逃げるなら撃つ。投降するなら撃たないよ。」

 

カスミ(嘘だ!)

 

ホシノは口ではそう言っているが目がマジだ。

 

逃げても撃たれる。反抗しても撃たれる。

 

逃げようと背を向けても捕まる。

 

ならどうするか?

 

カスミ(一か八かだ!)

 

捕まるくらいなら最後まで抵抗する。逃げられないなら自分のしたい事をやる。

 

それがゲヘナだ。

 

⋯⋯⋯⋯この決断は主にメグが目の前でやられてしまった事が大きな要因であることをカスミは知らない。

 

カスミ「さぁプレゼントだ!受け取れ!」

 

ドゴゴゴゴゴ!と地中から出てきたのは温泉開発部が主に源泉を掘る時に使う掘削ドリルである。

 

その掘削ドリルが出てきた勢いに乗ってホシノに向かって来る。

 

ホシノにとっては避けるのは簡単だ。何なら避けると同時にカスミを撃ち抜く魅せプレイだって出来る。

 

ホシノ(真正面から打ち砕く。)

 

だがここは相手の心を挫く為に敢えて避けないという選択をする。

 

一向に動かないホシノに疑問を感じるもこれしか手は無いために頼む!少しはダメージ食らってくれ!と祈るカスミ。

 

掘削ドリルが迫ってくるが冷静に状況を分析しつつ盾を展開する。

 

後方に風紀委員達がいるのか?角度は大丈夫か?力の入れ方は?計算通りにできるのか?

 

今も迫っている掘削ドリルを横に置きつつ思考を加速させる。

 

接触まであと少し。

 

ホシノ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯今。」

 

ガッギギギギギギギギン!!ドゴォン!!!

 

カスミ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯へ?」

 

イオリ「⋯⋯⋯⋯ねぇチナツ。今の見た?」

 

チナツ「⋯⋯⋯⋯ええ、見ました。信じ難いものを見ましたね。」

 

イオリ「⋯⋯⋯⋯⋯ホシノ委員長、ドリルを弾き飛ばしたんだけど。」

 

ホシノ「いや〜初めてだよ。ドリルを弾いたの。砲弾は何回かあるんだけどな〜。」

 

カスミ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。」

 

ホシノはカスミの目の前で掘削ドリルを弾き飛ばし、その時の力を利用して掘削ドリルを破壊した。

 

それはホシノの日々の特訓の果てに手に入れた膂力、どんな時も冷静に分析できることで可能となる判断力、あらゆる攻撃にも怯まない体幹、緻密な計算を即座に行える頭脳、そしてアビドスや後輩たちを守る為に数多の敵と戦い続けた事による培われた経験。

 

ホシノの軌跡が高速で回転する掘削ドリルを弾き飛ばすという選択肢を取ることを可能にした。

 

その技はまさに神業。

 

今も言葉を失っているカスミに銃を向ける。

 

鋭い眼光と共に。

 

カスミ「⋯⋯⋯⋯⋯ひぃ、ひぃ、ひぃぇぇぇぇぇ!」

 

神業を目の当たりにし心が粉砕したカスミは新たなトラウマを植え付けられた。

 

そんな泣かなくても⋯⋯⋯、と少しセンチな気持ちになりながら温泉開発部達を制圧した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アコ「お疲れ様でした、小鳥遊ホシノさん。風紀委員を代表しお礼を言います。」

 

ホシノ「いや〜、お礼を言うほどじゃないよ〜アコちゃん。」

 

アコ「いえいえ、貴女のお陰で今日を乗り越えられました。長時間の書類作業に問題児達の鎮圧、更には温泉開発部のことまで。本当にありがとうございます。ヒナ委員長がお休みの中で私達はまだまだと実感させられました。」

 

イオリ「今度模擬戦に付き合ってくれないか?もっと強くなりたくてさ。」

 

チナツ「風紀委員会にいつでも遊びに来てください。お待ちしています。」

 

ホシノ「うん、分かった。皆また会おうね。」

 

風紀委員達「「「ホシノさん!今日はありがとうございました!」」」

 

アビドス行きの電車の前で風紀委員達がホシノに感謝の言葉を伝える。

 

頼りになりました、機会がありましたら一緒にまたパトロールしましょう、お疲れ様でしたー!など。

 

本当に、沢山の声を聞きながら電車に乗った。

 

 

 

 

 

 

アビドス駅

 

ホシノ「もうすっかり夜だなー、早く帰って寝ようかな、いやそれともちょっとだけパトロールしようかな?」

 

ヒナ「こんな時間になってもパトロールなんて、貴女本当に凄いわね。」

 

ホシノ「⋯⋯⋯あれ、ヒナちゃん?何でここに?」

 

ヒナ「ホシノ、貴女に感謝したくてここで待ってたのよ。」

 

ホシノ「ええ〜。そこまでしなくても。」

 

ヒナ「私にとって大事な事だから。ありがとう、ホシノ。一日風紀委員長やってくれて。どうだった?大変だった?」

 

ホシノ「⋯⋯⋯⋯⋯大変なんて言葉じゃ足りないくらいだよ。ヒナちゃんって凄いなって何度も思ったもん。」

 

ヒナ「そう、かしら?ただ当たり前の事をしているだけよ。」

 

ホシノ「その『当たり前』ができているから凄いんだよヒナちゃん。誇っていいよ、ヒナちゃん。君は凄い。」

 

ヒナ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯先生にも同じ事言われた。」

 

ホシノ「なら素直に受け取りなよ〜。」

 

ヒナ「そうね、分かったわ。」

 

ホシノ「⋯⋯⋯⋯⋯もしかしてと思ったけどゲヘナに行って風紀委員の皆を手伝うつもり?おじさんに感謝する為だけにここに来てるわけじゃないでしょ?」

 

ヒナ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯ホシノに感謝の言葉を伝える為が大きな理由だけど、ここに来たんだったらゲヘナに戻って手伝うのが効率的。」

 

ホシノ「そっか〜。ならおじさんの家に行かない?」

 

ヒナ「え?」

 

ホシノ「行ったらそのまま残業するつもりしょ?華の女子校生が残業なんておじさん悲しんじゃうな〜。」

 

ヒナ「でも仕事が残ってると思うし⋯⋯⋯。」

 

ホシノ「いいからいいから!今日くらい他の子に任せよ?ね?」

 

ヒナ「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯分かったわ。その代わり、ホシノもパトロールしないでそのまま家に帰って。帰った後にパトロールするなんてのも禁止よ。」

 

ホシノ「⋯⋯⋯⋯⋯うへ〜。」

 

ヒナ「それじゃ案内任せたわ。」

 

ホシノ「オッケー!出発だ〜!」

 

ザッザッ、カツカツと歩く音が静寂な夜に響く。

 

アビドスの夜は冷える。そして夜空が美しい。空には満開の星々が煌めいていた。

 

その歩いている最中も会話が続く。

 

今日は先生とどこ行ったの?それは!うへ〜、おじさんには秘密〜?今日は万魔殿の人が〜。マコトが?珍しい。イオリちゃんがね〜。あぁあの子は将来有望よ。今日食べたのは〜。私はパフェの⋯⋯⋯。他の対策委員会とは⋯⋯⋯。それはね〜。

 

仕事の話から他愛のない話まで。

 

家に着いても花を咲かせる。

 

きっと明日になったらそれぞれの日常に戻るだろう。

 

それでもこの日を境にほんの僅かでもホシノが変わったのは間違いないだろう。

 

まだまだ続いていく。

 

彼女達の青春の物語、

 

ブルーアーカイブは。

 

 

 

終わり




ここまで読んでくださりありがとうございました!


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