鬼族の里に生まれまして(リメイク)   作:ゔぇる

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契約

 俺とロズワールは公務室へと入った。

 そして、ロズワールは座席へと腰を下ろすと、その鋭い瞳で俺を見つめる。

 

「それで、俺だけを呼び出したのはどういうことですか?ラムやレムに聞かれたくないことなのですか?」

「鋭いねぇーえ。まあそんなところだよ」

 

 すると、ロズワールの雰囲気が変わる。

 道化の如き軽薄さは霧散し、その瞳には深淵のような冷徹な輝きが宿る。

 

「君には私の『共犯者』になってもらいたい」

「共犯者?」

「そう。私の目的を達成するための共犯者に」

「その目的というのは?」

「今はまだ言えない。もし君が共犯者になってくれるのであれば、いつか……遠くない未来に話そう」

「分かりました。私の要望を聞いてくださるのであれば、私はあなたの共犯者となりましょう」

「聞こうじゃないか」

 

 俺はロズワールに俺の要望を話した。

 

 一つ、ラムとレムに絶対に危害を加えないこと。

 原作では聖域編でロズワールはラムを殺したことがあった。

 そんなことは絶対にあってはならない。

 

 一つ、俺の要望にある程度聞いてもらうこと。

 共犯者となっても隷属のような形にはなりたくない。

 俺から口出しする権利を持っておきたい。

 

 一つ、俺はラムとレムを優先すること。

 ロズワールの指示であっても、ラムかレムが反対のことを願えば、俺はそちらを優先させる。

 これだけは俺が絶対に譲れない場所だ。

 俺の優先順位は変わることはない。

 

「いいだろう。君の要望を全て飲もうじゃなぁーいか」

 

 ロズワールはあっさりと俺の条件を承諾した。

 

 俺はその言葉に頭を下げた。

 これは契約だ。

 この世界で約束とは非常に重い意味を持つ。

 

 だからこそ俺はしっかりと俺の譲れない部分を組み込んだ。

 

 そして、ロズワールはその契約を飲んだ。

 

 ここに俺とロズワールの契約が結ばれた。

 

「とりあえず今日は休みたまえ。使用人の仕事などはラムが回復してから行おうと思っているよ」

「かしこまりました。では失礼します」

 

 俺は一礼してからロズワールの公務室から出て行った。

 とりあえず、俺の目的は達した。

 

 あとは原作開始に向けて、力をつけよう。

 今度は全てを守れるように。

 

 

 

 

 カルが去った執務室にて、ロズワールは一人、一冊の本を見つめていた。

 

「できれば殺しておきたかった」

 

 一人となった部屋でロズワールは低い声で呟く。

 

 ロズワールの持つ叡智の書

 それは所有者の望む未来へ導くものである。

 

 だが、その叡智の書の中身は突如として、8年前に記述が書きかわった。

 内容に『カル』という名前が出てきたのだ。

 それと同時に未来にも大きな変化が起きた。

 

 そして、その『カル』というのはロズワールが求めていた人物ではない。

 むしろロズワールの目的の障害になる可能性も秘めている人物であった。

 

 だからこそ殺しておきたかったのだ。

 だが、カルを殺すことはできなかったのだ。

 

 そもそも、カルが万全の状態ではロズワールですらカルに勝つことは難しい。

 そして、鬼族の里の襲撃では弱体化をしていたが、オドを消費されて本気で敵対された場合が危険であった。

 

 カルはレムの精神的主柱だ。

 カルがいればレムは従う。

 レムが従えばラムが従う。

 

 逆に言えばカルがいなくなればレムが崩壊する。

 レムが崩壊すれば、絶対に失いたくないラムまで失う可能性がある。

 

 だから、共犯者という形に置いた。

 

 だが、8年前に記述されていた未来とは違って、今の未来は不安定だ。

 カルの行動一つで大きく未来がズレる可能性がある。

 

 あの夜、無理にでもカルを殺しておくべきだったのか。

 

 それは未来を見通す本を持っているロズワールにも分からないことだった。




投稿主は原作勢ですが、エアプでもあるので、叡智の書に関してちょっと分からないことが多いんですよね
とりあえずこの作品の叡智の書はこんな感じにしました

何か間違っていることとかあれば優しく教えてください
内容は変えないですが、主がへぇ〜ってなります
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