転生騎士の青春譚   作:おがとん

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前回から一気に時間を飛ばします
具体的には破軍学園進学、そして原作開始前まで

基本的に書きたいシーンとその前後くらいを書ければいいかなと思っているので、ご了承下さい

それでは、どぞ


時間が経つのって思ってたより早いよね

 

 心地いいくらいの春風が流れるのを感じつつ、数多くの生徒が学園へと足を運ぶのを視界の隅に収めながら自身の所属する教室を目指して俺   五条悟は淡々と歩んでいる。

  

 

 あれから色々とあって、俺は破軍学園に進学していた。

 

 いや本当に起こった出来事が多すぎて思い返すだけで胃もたれするくらいには多かった。

 

 何らかの「実験体」ではないかみたいに考えていた俺の思考は完全に杞憂であり、あの部屋は児童養護施設の中の一部屋であったりだとか、同じ施設にいた面々の中に原作メンバーの幼少期に似た顔ぶれを見た時は変な声が出かけた(周りからは訝しげにされた)。

 

 そんな個性豊かな面々と過ごしている時間が楽しくて、一緒にバカをやったり、揃って施設の人に怒られたり、それでも懲りずに「次はバレないように」みたいなことを考えていたら何故か考えがバレていたり(《読心》系の能力持ちでもいたのか?)

 

 本当に楽しかった。

 友達と遊ぶことがこんな感じなのかと実感できて胸の奥が少しばかり熱くなったり、それを目敏く見つけて揶揄ってきた親友の一人を照れ臭さから威力を間違えてボコったりもしたが、コラテラルダメージだ。

 

 そうしているうちにも時間はあっという間に過ぎていき、そろそろ将来を考えなきゃいけないという時期にきていた。

 

 幸いにも俺には容姿の元である五条悟の能力である「無下限呪術」をこの世界基準に置き換えたような能力が使えたから、さほど戦闘という点においては苦労することは無かった。

 能力に関しては特に言う事は無いだろう。強いて言えばちょいとばかし()()()()()()()()()()くらいで、それに関しても「転生特典か?」くらいにしか感じてないが、まあこれのお蔭で尚の事負けの目は無くなったから、特に気にするほどでもない。

 

 将来という観点に関して言えば、これはもう決まっている。

 

 

 『魔導騎士制度』というものがある。

 

 国際魔導騎士連盟の認可を受けた学校を卒業したものにのみ『免許』と『魔導騎士』という立場を与え、能力の使用を許可する制度。日本には認可を受けた学校は7校ある。各校に在籍している生徒は『学生騎士』として扱われる。学生騎士とプロ騎士は同じランクでも実戦経験や技術の差があり、基本的にはプロ騎士の方が高い実力であることが多いが、Bランク以上の学生騎士やCランクの学生騎士の一部にはプロ騎士と同等以上の実力を持つ者もいる。

 

 こんなようなことが社会の授業で習うくらいには、魔導騎士という存在が当たり前に認められている。

 

 そりゃまあ戦争に利用してるくらいだし当たり前と言われればそうかもしれんが、やっぱり前世とのギャップがあるせいで最初は慣れなかったな。

 

 今では特に気にもしてないし、何なら幾度かの『特別招集』を受けているが、その全てを()()で生還している。

 

   命の駆け引き。

 

 最初はかなり不安だった。

 前世では喧嘩なんて一度もしたことがなかったし、戦争なんてのもテレビの画面の向こう側の出来事でしかなかったが、今世では当たり前にそれに巻き込まれる道を歩んでいる。

 

 五条悟としての力が手元にあろうが、それを俺が上手く扱えるかは別の話だ。

 その証明として、原作において乙骨憂太は五条の身体や術式を上手く扱えてない描写が存在していた。

 

 けれど、それは突貫で力を扱おうとしていたからだろうと思う。

 

 現に幼少期からこの身体と能力に慣れた俺が今では何の問題も無く扱えていることから、乙骨も時間があれば扱えただろうとは思う。

 間違っても俺が戦闘に関して天才的な才覚があるとは思わない。

 あったとしても、それは五条悟の才能(転生元)が優れているのであって、間違っても俺が優秀という訳ではない。

 

 

 閑話休題(話を戻そう)

 

 

 とどのつまり、俺はこの身体と能力を十分に扱い熟すことが出来るようになってから戦闘そのものに対する拒否感は無い。

 人間は慣れる生き物だからな。必要とあれば適応もするだろうって話だ。

 

 そんなこんなで、俺は『魔導騎士』としての免許と立場を得るために破軍学園へと進学したわけだ。

 

 破軍学園を選んだ理由は簡単だ。

 

 

 

 親友達が、ここの()()として通っているからだ。

 

「さーて、楽しくなりそうだな」

 

 

 新しい舞台とまだ見ぬ未知に期待と希望を胸に秘め、黒いサングラスの奥にある蒼き瞳が輝いていた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「あ、悟くんだ」

 

 破軍学園の敷地内に入ってくる五条の姿に廊下の窓から気付いた東堂刀華は、無意識にそう呟いた。

 

「(昔から結構やんちゃだったよね・・・・・・)」

 

 

 東堂刀華から見た五条悟という存在は、自身よりも遥か高みにいる"天才"だった。

 

 何事に対しても積極的に挑戦していくスタイルでありながら、彼が最終的に熟せなかったことはほとんど見たことが無い。

 

 勉強、運動、悪戯に料理、果ては戦闘に至るまで、最初はこちらが勝っていたとしても最終的には上回られてしまうことが殆どだった。

 

 何より一番優れていたのが、未だ底を見る事が叶わない程の戦闘技巧と能力の理不尽さだ。

 

     《無限》の概念干渉系

 

 本人曰く、至る所に存在する『無限』を現実に()()()()()ことで物理的に作用する壁として現出させ、自身とそれ以外を分けるように存在させることで「無限の距離」を作り出している。

 

 言うなれば「アキレスと亀」を現実で再現している、らしい。

 

 最初に聞いた時は耳を疑った。

 

 だってそれでは、彼が意図して受け入れない限り攻撃を受ける事はあり得ないからだ。

 

 剣、槍、斧、弓、炎、水、風、爆発、その他あらゆる物理・魔力を問わない攻撃方法を試そうとも、彼に届かせることは一度足りとて出来なかった。

 それでも『無限』は完璧ではないらしい。

 

 光を拒めば周囲が暗闇と化して視認性が落ち、空気を拒めば呼吸する事すら叶わなくなり、音   正確には振動   を拒めば無音の世界と化す。

 

 能力の対象をマニュアルで対処しているために発生する人間であるが故に必要な情報を拒むことは難しい   それでも難しい止まり   のだ。

 

 しかしそれも僅かな期間だけだった。

 

 ある日のこと、幾度目かの『特別招集』から帰って来た時のことだ。

 

 ()()()()()()()()()の悟くんを見た時は一体全体何があったのだと驚きながら、怪我はないのかと彼に駆け寄ったのを今でも覚えている。

 

 そんな状態でも平然とした、まるで何事も無かったかのように「ただいま」と言ってきた時は、こちらも咄嗟に「おかえり」としか返すことが出来なかったけれど。

 まあその後質問攻めにはしたんだけど。

 

 そんな事があったから、しばらくは行動する際に「若葉の家」の誰かと一緒にいてもらった。

 本人は凄く嫌そうだったけど、これに関しては譲歩することは出来なかった。

 

 どのような方法かは分からないけれど、現状でも分かっている攻略方法が極僅かにしか存在しない『無限』の壁を破った何者かがいるということは確かなのだから、当たり前の警戒ではある。

 

 でも何より悔しいのは、最初に彼の『無限』を攻略したのが自身ではない事。

 

 色々知恵を巡らせたりしてみたけど、未だあの壁を突破することは成功していない。

 けれど、無駄ではないと確信している。

 

 少しずつ、でも確実に彼のいる場所に近づいている感覚はある。

 

 

 必ず彼の     悟君のいる場所に追い付いて。

 いや。

 

 追い越して見せる。

 

 

 だって私は。

 

「悟君の先輩、ですからね」

 

 誰にも聞こえないほどの声で静かに決意を確認する東堂の背中は、しかし誰よりも烈火の如く熱い闘志で燃えていた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 【落第騎士の英雄譚】の世界とそれ以外の作品を比較したとき、挙げられる違いとして最も多いのは何か?

 

 俺は「魔力」という概念だと思う。

 

 他のライトノベルにおける「魔力」の概念にそれほど大きく異なる点はない。

 肉体に満ちていて、空気中に漂っていたり、あるいは精神エネルギーだったりする。

 

 この辺りにそこまで差異は無く、また扱いにもそれほど比較されるようなことは無い。

 

 【落第騎士の英雄譚】も"異能を用いるための精神エネルギー"という意味においては他作品と相違ない。

 

 一番の違いは原則として「魔力総量は成長しない」という点だ。

 

 曰く、魔力総量とはその人間が生まれ持った運命の重さに比例する。

 努力で伸ばすことは叶わず、そこに存在するのは絶対的な才能という壁だ。

 

 故に伐刀者(ブレイザー)は「魔力総量」以外、つまりは魔力制御や魔力を用いた能力   伐刀絶技(ノウブルアーツ)を磨く。

 

 他にも自身の持つ固有霊装(デバイス)に合わせた武器術なんかを学ぶことが多い。

 

 基本的には近接武器であることが多いが、中には銃であったり弓などの遠距離武器、他にも珍しいもので言えば指輪や褌だったりと、その種類は千差万別。文字通り伐刀者の数だけ固有霊装は存在する。

 

 その中でも俺の固有霊装はかなりの変わり種だ。

 

 まあ原作の五条を思えばそれも当然だろうなとは思うんだが、もうちょっと、こう、なかったのかなぁとは言いたいよね。

 

 おかげでこちとら基本戦術が「伐刀絶技」以外は徒手格闘だからな。

 けど変に武器を持つよりかは良かったかもしれん。

 

 当然だが前世で喧嘩の経験など一度もない俺は武器など握った事などあるわけもなく、剣術やら槍術なんかを習おうにも伝手なんかも無かったしな。

 

 そういう点で言えば、分かりやすく殴る・蹴るだけに専念できたのは結構ありがたい。

 

 武器を扱うという事は、必然的に武器に合わせた立ち回りが必要となる。

 

 では武器なんて無い方がいいか?

 いいや、そんなことはない。

 武器を持つことと徒手格闘のみの差は必然として存在する。

 

 「間合い(リーチ)」の差だ。

 

 戦いにおいて最も重要なのは「間合いを制する事」だと、俺は考えている。

 極論、剣を持った人間と大砲を使える人間がいたとして、よーいどんで戦闘を始めた時、どちらが有利か?

 

 圧倒的に大砲の側だ。

 

 勿論例外はあるが、基本的に戦闘とは「相手の嫌な事を押し付け続ける事」が出来た方が勝つのだ。

 剣の間合いの外から一方的に撃ち続ける事が出来れば、そもそも剣を持った側は攻撃することすら出来ずに終わることになる。

 

 間合いとは、それだけで戦闘の行方を左右する程度には重要な要素になる。

 

 これが何を意味するかと言えば、まぁ、なんだ。

 

 

 

     やっぱ五条悟って反則だよなって話だ。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 そして季節は廻り、物語は始まりを告げる。

 

 ここから紡がれるのは、落第騎士(ワーストワン)が剣でもって運命を斬り拓く英雄譚ではない。

 

 

 

 

 ある一人の、人生を謳歌する青春譚である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伐刀者リスト

 

 名前:五条悟

 伐刀者ランク:A

 固有霊装:六眼(りくがん)

 能力:《無限》の概念干渉系

 伐刀絶技:《無下限》《蒼》《赫》《茈》《■■》《■■■■》

 

 

パラメータ

 

 攻撃力   A

 防御力   A+

 魔力量   B+

 魔力制御  A+

 身体能力  A+

 運     B

 

 

備考欄

・複数回の『特別招集』の参加経験を有するが、その全てを無傷で帰還。

・平均的な伐刀者と比較した際、保有する伐刀絶技の数が圧倒的に多く、能力の解釈という点に置いては既にプロを超えていると判断できる。

・しかし本来の魔力量はBランクであったが、魔力が増えているのは【《連盟支部》により検閲済み】

 

 

 




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