インフィニット・ストラトス×家庭教師REBORN!―雪零の守護者―』 作:suzuki00
【学園編・日常編 最終章・真の結末】『白銀の卒業式:制服を脱ぐ花嫁たちと、非常勤講師の最後の義務』
修学旅行という最高の思い出、そしてアリーナでの「最後の夜間風紀指導」を経て、ついにその日がやってきた。
春の柔らかな陽光が降り注ぐ、IS学園大講堂。 厳粛な空気の中、卒業生席の最前列には、織斑一夏、凰鈴音、そして――袴姿の箒、白を基調とした最高級のドレス風制服に身を包んだセシリア、シャルロット、ラウラの4人の姿があった。
そのステージの上、教職員席の最前列には、黒いスーツを完璧に着こなした織斑千冬、眼鏡を少し直しながらすでにハンカチを握りしめている山田真耶、そして、白い講師用ジャケットを今日限りのものとして羽織った非常勤講師・白崎零士が静かに座っていた。
1. 式典の部:受け継がれる特等席と、織斑一夏の旅立ち
「卒業生答辞――。卒業生代表、織斑一夏」
校長である千冬に呼ばれ、一夏が真っ直ぐな足取りで壇上へと上がる。 かつて「世界唯一の男性IS操縦者」として、世界の中心という名の過酷な『主人公の特等席』に座らされていた少年は、今、見違えるほど晴れやかで、等身大の優しい笑顔を浮かべていた。
一夏は壇上に上がると、千冬へ礼をし、それから隣に座る零士へと、深く、心からの敬意を込めて一礼した。
「――僕たちは今日、このIS学園を卒業します。この3年間、たくさんの戦いがあり、世界の理不尽に巻き込まれそうにもなりました。……だけど、僕たちの前には、いつも絶対に揺らがない『白銀の背中』がありました」
一夏の言葉に、箒たちが一斉に零士を見つめる。
「ルールを破れば厳しく叱り、命の危機には死ぬ気で守ってくれる。そんな最高の『非常勤講師』がいてくれたからこそ……僕は、一人の普通の男の子として、隣にいる大切な人と共に、平穏な未来へ進む切符を掴むことができました。白崎先生、あなたが僕たちの先生で、本当に良かった。ありがとうございました!」
大講堂が、割れんばかりの拍手で包まれる。 隣の席で、鈴がボロボロと大粒の涙を流しながら一夏を見上げ、一夏もまた、壇上から彼女へ優しく微笑みかけていた。
主人公の座を降りたからこそ得られた、一夏の「普通の高校生としての最高の幸せ」。 それを見届けた零士は、フッと口元を緩め、心の中で「お前はその特等席で、鈴を世界一幸せにしろよ」と、静かにエールを送っていた。
2. 放課後の部(第三アリーナ):制服を脱ぐ花嫁たち
式典が終わり、一般の生徒たちが教室で別れを惜しむ中、箒、セシリア、シャルロット、ラウラの4人は、思い出の詰まった第三アリーナへと集まっていた。 そこへ、ポケットに手を突っ込んだ零士が、ゆっくりと歩いてくる。
「……おい、お前たち。卒業式は終わったぞ。臨機応変に、荷物をまとめて並盛行きのヘリに乗る準備を――」
言いかけた零士の言葉は、4人が一斉に駆け寄り、その身体に飛び込んできたことで遮られた。
「待たせたな、零士! 私はたった今、織斑千冬の『生徒』を卒業した! 明日からは……お前の唯一無二の、日本の妻だ!」 袴姿の箒が、零士の胸に顔を埋めてぎゅっと抱きつく。その瞳には、嬉し涙が光っていた。
「お貴方、私もですわ! 英国代表候補生としての制服は、今日で脱ぎ捨てました。これからは、お貴方の『雨の守護者』として、そしてアルコット家を率いる本物の妻として、一生お傍を離れませんわ!」 セシリアが縦ロールを揺らし、零士の右腕を愛おしそうに抱きしめる。
「零士、私もだよ。フランスのデュノア社には、もう『私は零士の家族になる』って正式に伝えてあるんだ。これからは、霧の炎でお前の孤独を全部、甘い幻影で包み込んであげるね」 シャルロットが左手の手のひらを重ね、天使の笑顔で零士の頬にキスをする。
「ふん、私はお前の『雲』だ。ドイツの軍籍など、お前というボスの前には何の意味も持たん! 零士、私を世界一の幸せ者にしろ、これは主命(だんなめい)だ!」 ラウラが零士の背中に飛びつき、その首に腕を回して不敵に笑う。
4人の嫁たちの、圧倒的な愛の出力。 IS学園の生徒という「表の仮面」を脱ぎ捨て、これから過酷なマフィアの世界へと、零士と共に歩むことを決めた、本物の「花嫁たち」の覚悟がそこにあった。
「……はぁ。お前たちの愛(出力)が重すぎて、せっかくの卒業式の余韻が台無しだぞ。だが……臨機応変に、お前たちの未来は、俺が死ぬ気で背負ってやる」
零士が観念したように笑い、4人の頭を一人ずつ、愛おしそうに優しく撫でてやった。
3. エピローグ(校門前):白銀の誓い、そしてイタリアへ
校門の前。そこには、大量の荷物を抱えた一夏と鈴、そして黒いスーツ姿の織斑千冬と、目を真っ赤に腫らした山田真耶先生が待っていた。
「う、うわぁぁぁん! 白崎先生ぇ! 箒さんたちぃ! 卒業おめでとうございますぅぅ! イタリアに行っても、山田のことを忘れないでくださいぃぃ!」 山田先生がハンカチをボロボロにしながら号泣し、千冬が「みっともないぞ、山田。……まぁ、私も少しだけ鼻がツンとするがな」と、ぶっきらぼうに山田先生の肩を叩く。
千冬は一歩前へ出ると、白い講師用ジャケットを脱ぎ、黒いボンゴレ特製のロングコートを羽織った零士の前に立った。
「白崎。いや、白銀の暗殺部隊・元非常勤講師」 千冬が、いつもの世界最強の操縦者としての、そして最高の教育者としての凛とした笑みを浮かべる。 「――織斑千冬の、最高の『最後の授業』だった。我が愛弟子たちを、一夏の未来を救ってくれたお前という男に、最大の敬意を。……元気で行け、零士」
「――ええ。お世話になりました、千冬姐さん。IS学園の風紀は、確かに守り抜きましたよ」 零士が不敵に笑い、千冬と力強い握手を交わす。
『ちゃおっす。極上のグランドフィナーレだな。ヘリの準備はできてるぞ、零士、花嫁ども』 校門の上の桜の木から、黒いハットを被ったリボーンが降りてきた。その背後の空には、そしてイタリアのボンゴレ総本山へと直行する、九代目とツナが手配した超大型のプライベートヘリが、激しい風を巻き起こしながら降下してくる。
「行くぞ、お前たち。俺たちの『家族(ファミリー)』の城へ」 「「「「はい! 零士(お貴方・主様)!」」」」
箒、セシリア、シャルロット、ラウラが、それぞれの最高の笑顔を浮かべ、零士の隣に並び立つ。 その後ろでは、一夏と鈴が「先生、イタリアで!」と大きく手を振っていた。
ヘリがローターの音を響かせ、日本の、IS学園の大地を離れていく。 見下ろす学園の景色は、朝日に照らされてどこまでも美しく輝いていた。
IS学園という、眩しい光に満ちた「表の日常」はここで幕を閉じる。 だが、白銀の非常勤講師と、その翼となった4人の花嫁たちが紡ぐ、愛と死ぬ気の炎に満ちた「新たなる日常(ボンゴレ・ライフ)」は、今、世界の裏側の特等席で、最高に物騒で賑やかに幕を開けるのだった。
(IS×REBORN:学園日常編・真の完全完結)