半透明の体、目のように光る赤い核。
「それ」はいつのまにか知らない世界の幽霊Aになっていた。

生前の記憶として現代日本の教養を異世界に持ち込んだが、どうやら人間性や倫理観に関してはどこかで丸ごと落としてしまったらしい。
人の心を失った「それ」は、ただ怪異としての幸福を得るため、人間から恐怖を搾取することを選んだ。

怖がりな少女を捕らえて飼育し、社会には呪いをばらまく。
脅威となる組織には自ら頭を垂れて管理を受け入れる。

感情を度外視した冷徹な合理主義を武器に取り、「それ」は自らの生存と更なる幸福を求めて人間の社会に食い込んでいく。

――ああ、生存とは書いてあるようだが。
私は幽霊であるからして、不適切な言葉だな。


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