加茂家に最強あり、ただし五条悟は除く 作:かなとこ
原作:呪術廻戦
タグ:R-15 オリ主 残酷な描写 転生 クロスオーバー オリジナル要素 独自解釈 原作改変 五条悟 両面宿儺 に勝てるわけないだろ!
何かと不遇な扱いをされる加茂家に、平安時代から生きる最強(五条悟と両面宿儺を除く)をぶち込んで何とかしてあげようって話。
御三家の相伝術式なんだからこれくらい盛ってもいいよね!
両面宿儺にとって他者とは、己の長い人生の暇をつぶすための、ただの「玩具」にすぎない。
彼は天災とも形容される圧倒的な呪術の実力を持ち合わせているにも関わらず、殊更成し遂げるような大義もなく、かといって仙人のようにただ無為に時を過ごすほどの悟りを開いているわけでもなかった。己の欲求のままに、邪魔な者、不快な者、あるいは少しばかりの食指を動かしたもの、興味を惹いた者すらも一切の区別なく、ただひたすらに平等に蹂躙し、己が愉悦の糧としてきた。
ただ一人、自身の傍に仕えることを許した例外もいるにはいるが、宿儺と対等な関係を築けたものなど、あの傲慢という言葉を形にしたような朝廷の人間にすら一人も存在していない。
むしろ、つい先日においては藤原家の精鋭部隊である「日月星進隊」並びに「五虚将」、そして安倍家の精鋭並びに菅原家余党によって構成された「涅漆鎮撫隊」すらも、宿儺は単身でことごとく血祭りにあげたばかりである。
ゆえに、”あの男”もまた、他の有象無象と同じく自身の暇をつぶすための玩具の一つであった……
……いや、
加茂家の嫡男として生を受けたその男は、長きにわたる加茂家の全史を見渡してもなお類を見ないほどの、圧倒的な呪術の才能を有していた。呪力量・出力ともに日本全土で並ぶものはいないであろう高みへと、齢二十を迎えるころには到達しており、基礎的な呪術の腕前のみを取り上げても、平安の猛者に引けを取らないものを持ち合わせていた。
しかし、男の持ちうる数多の才能の中で、特筆すべきものを一つ挙げるとするならば、彼を知る者全員が口をそろえ「術式にある」と答えるであろう
彼の術式は、加茂家の根幹を成し、代名詞ともいえる『赤血操術』である。
さらには、体内の血流を操作することで身体能力と防御力を劇的に向上させ、なおかつ術式の付与された血液は『呪霊』に対して害をなす毒として作用する。
戦闘において己の血液を用いる以上、常に失血死のリスクと隣り合わせであるという欠点はあるものの、それを補って余りあるほどの万能性と拡張性を併せ持っており極めて高い「呪」との親和性も相まって、途絶えることなく長きにわたり受け継がれてきた、まさに加茂家その物ともいえる術式であると言える。
ゆえに、周囲の人間は嫡男である彼の術式が赤血操術だと判明した時点で、全員が口をそろえ「加茂家の未来は安泰である」と確信した。
この国でも抜きん出た術師としての素養。そこに伝統と格式のある相伝術式を併せ持つこの男が次期当主となれば、力に貪欲なあまり血を濁らせている「禪院家」や、特異な目がなければ何も出来ぬ「五条家」になど決して遅れをとることはない。この呪術全盛の平安にあって、時代の覇権を握るのは我ら加茂家なのだと、誰もが疑わなかった
だが、加茂家には一つだけ致命的な誤算があった。
その男の才能は、加茂家の人間の驕り高ぶりすらも「底が浅い」と嘲笑えるほどに、常軌を逸して抜きんでていたのである。
そして、その才能はよりにもよって……、あろうことか、最悪なことに……
彼の「両面宿儺」に対し単身で喧嘩を売りに行けてしまうほどに――規格外のバケモノであったのだ。
「……ってな感じでさ、俺たちのことを後の世に語り継いでいこうと思うわけだけど、なにか他に要望とかある?」
「知らん、貴様はいきなり何を言い出すのだ」
自分の提案を熟考するでもなく、即座に切って捨てる目の前の男。腕は四本に腹には口、体中に意味の分からない文様を刻んだ異形ともいえる肉体を持ち合わせ、このご時世に“最強最悪”と呼ばれるこの男は、何を隠そう悪名高きあの両面宿儺なのだという。
俺はただ散歩していただけなのに、なぜこのような超ド級の危険人物と鉢合わせなければならないのだろうか。しかも、目を合わせて一呼吸を置く間もなく術式による攻撃が飛んでくるもんだから、こちらも考えるより先に体が動き穿血を打ち込んでしまい、よりにもよって宿儺の右上腕を打ち抜いてしまった、……しまったのである。こうなってしまってはもう後戻りもできず、さも当然であるかのように戦闘が開始されてしまったわけである。
もうかれこれ半刻は経過しているか……?こいつ、周囲の被害なんて何も考えずに領域展開してくるし、お互いが反転術式によって肉体の再生が可能なせいでなかなか決定打が生まれないせいで無意味に戦闘が長引いてしまっているのだ。しかもなんなんだよこいつ、外郭もなく領域を展開するとか一体どんな生活を送ってたらそんな発想にたどり着くんだ?
普通に考えてあり得ないだろう。そのせいで己の領域の外郭が早々に破壊されてしまったので、窮地を脱するために極ノ番を出さざるを得なくなってしまった。
むしろこんな序盤に持ちうる手札をほぼさらし切って、それでもなお半刻も死なずに凌げたことに己をほめてやりたいくらいだ。自画自賛してやりたいね。
「ほれ、貴様が動かぬのならこちらから動いてやろう」
「うわ⁉お前ッ、人が考え事してる時にいきなり仕掛けてくるやつがいるかよ」
そういいながら、奴の放つ“不可視の斬撃”を回避する。回避したところで、その先に次々と斬撃が飛んでくるものだからこのままではいずれこちらの体が追い付かず体を両断されてしまうだろ。そのような未来は死んでもごめん被る。
奴の斬撃をよけつつも、己の周囲に百斂によって極限まで圧縮された血球を作り出していく。斬撃に当たり暴発してしまわぬよう、できうる限り小さく、小さく、小さく。呪力を練り、
宿儺が斬撃を放ち終え次なる斬撃を放とうとするその一瞬、瞬きの間に等しいその瞬間を、己は見逃しはしない。
「穿血・載」
極限まで圧縮された六つの血球を、指向性を持った殺意ある線として放つ。
その線が通った後は、まるで初めからなにも存在してはいなかったと思えるほどの滑らかさを持って切断されている。あの両面宿儺をもってしても、まともに受けては胴体が両断されると確信できるほどの圧を持って。
「クハッ、まさか俺の“解”を凌駕する切れ味とはな!」
「ちッ……、百斂」
だが、相手はあの両面宿儺。自身を取り囲むように放たれた穿血・載の軌道を完全に読み切り、その場が爆発したのではと錯覚するほどの膂力をもって飛び上がり攻撃を回避している。己はまた、着地の一瞬、再び隙ができるその一瞬を刈り取るために再び血液を圧縮し、次こそは……と、今度は両の掌を用いて確実に刈り取れるよう狙いを定める。
先ほどは六つに分割していた血液を、今度は一点に凝縮されていく。その圧力を受けた血液は異常なほどの熱を帯び、空気を切り裂くような異常な音を立てながら一点に圧縮されていく。
両面宿儺が着地するその瞬間……今ッ!
「穿血・載!」
いつしかお付きの爺やから「光にも匹敵する」と評価を受けた己の穿血。全身全霊を持ってはなった穿血、そう簡単に避けられるような代物ではない。いかにあの両面宿儺といえども完全に避けきることなど不可能なはず。
そう思っていたのだがな。気が付けば、己は右腕と左足を切断され、地に膝をつけていた。
「はあ……、そんなのあり?もう少し物理法則に従って生きた方がいいぞお前」
「相変わらず意味の分からないことを言っているな。なに、腕や足の一本や二本、貴様にとってはかすり傷にもならんだろう」
さっさと治せ、そういう宿儺の顔はむかつくほどに笑顔である。
着地の一瞬、本来なら回避できないほどの致命的な隙となるはずであったのに、あろうことかこの男は
というか、反転術式があるとはいえ痛いものは痛いんだよ。そもそも平穏に生きていたら腕が落ちる経験など一度もせずに済むはずだったのに、もうこの短時間で人生3回分は手足を生やしているってどういうこと?
「どうせ生やすのなら、お前のように新しく生やせた方が幾分かマシだ」
「ふむ、貴様にな……ケヒッ」
「お前、今どんな姿を想像したんだよ」
どうしてこう、こいつの一挙手一投足は俺の神経を逆なでするのだろうか。
本来なら今頃、家の縁側で穏やかに茶でも飲んでゆったりできていたはずであろうに。
「ほれ、お前の力はこんなものでもないだろう。さっさと次の技を繰り出してこい」
「一体お前は俺の何を知ってるんだよ……」
大体、こいつは俺のことを心底嘗め腐っているのだ。今だって、俺はまだ右手を完全に再生しきっていない。できないわけではないのだが、それよりもいまは宿儺の動きを見逃すことのないように赤鱗躍動に意識を割いているため、どうしても足の再生速度と比較して腕の再生速度が落ちる。
つまり、今の俺は領域展開を使用できないのだ。今この瞬間に奴に領域展開を使われたら、今度こそ俺はなすすべなく切り刻まれ塵芥となってしまうのである。
それだというのにこいつは領域を使用せず、こちらの再生を待っているのだ。これを嘗め腐ってると言わずになんという。
まあ己もこいつのそんな性格を理解してきてしまっているので腕の再生を遅らせている面もあるのだが…。
「ったく……、はぁ」
「やる気になったか」
いまだに笑顔を崩すことのない目の前の宿儺を目に、己の中で何かの線が切れた気がする。というか、切れたし、キレた。
こっちは余暇の時間を潰され、死ぬほど痛い思いをしてるっていうのに、にやにや笑いやがって。
「そこまで言うなら……やってやるよ」
明らかに、目の前の男の雰囲気が変わった。
今までのやり取りで、この男が相当の実力を持っているというのはわかっている。伏魔御厨子による猛攻をしのぎ、半刻にわたって俺の術式をしのぎ切っていることからも、先日相手にした有象無象の術師とは一線を画している実力を持っていることは明らかだった。
それでもなお、両面宿儺からすれば何も変わらない“玩具”の一つであることには変わりなく。適当に遊んでやり、気が済んだら処分する。長い人生の中で、特段記憶にも残らない生活の一幕として、この男もまた宿儺に蹂躙されるはずであった。
しかし、なんだ……?目の前の男は、すでに手札を出し切っているというのに、なぜか感じる圧力が増幅している。
呪力量で言うのなら、確実に初めの戦闘時から半分以下にまでしぼんでいるし、最大火力であろう穿血とやらも、速度には目を見張るものではあるが呪力の起こりが分かりやすく貯めも長いため、宿儺にしてみれば恐れるに足りない攻撃であった。
現時点で、この男に俺を倒す手札はない。 だというのに、宿儺の身に言いようのない
(……ケヒッ)
目の前の男は今から、何かを魅せてくれる。
宿儺の脳裏に、言いようのない期待感が膨らみ、そして行動に移そうとしたその瞬間であった。
「……この術式は、己の血液を自在に操ることができる」
(いきなり何を言い出す?)
「それは、体内に巡る血に限らず、体外に流れ出たものであっても例外ではない」
「今さら術式の開示か?」
なぜ今さら?と、疑問が浮かぶが目の前の男は言葉を止めない。
「まあ聞けよ。そもそもこの術式は、細かく言えば赤血球のような人の目には認識できない血中成分を操作することが真髄とも言えるんだ」
赤血球、血中成分と宿儺には聞き覚えのない単語が続いていく。
術式の開示による性能向上は、あくまで術者本人の意識に依存している。そのため、どれだけ宿儺の理解が及ばない言葉を用いたとしても本人に「手の内を明かしている」という意識があれば縛りとして成立はするのだ。だが…
「今さらその程度の情報を開示したところでたかが知れているのは、貴様が一番わかっているだろう」
「うん。まあそうだな。だからこれは、今からやることの保険ってやつだよ」
男の迫力が、さらに増す。
「つまりだ、目に見えない、それほどまでに細かく離散した血中成分であっても俺の術式ならば操ることができる」
「……」
何をするつもりか、いまだ宿儺の思考は追いつかず。
「そして、大前提の情報として人間の体内は一種の領域として考えられる」
「領域展開は、己の生得領域を外側に持ってくることなんだから、どちらかと言えば逆な気もするがな」
……貴様はいったい、何が言いたい?ただの時間稼ぎか?
「そして、人間の体を巡り、満たし、成り立たせているのが血液なわけだ」
「……それで?」
「つまりだ、俺が言いたいのは、俺の血液が流れ満たされているその空間そのものを、俺の体内としてとらえることはできないか?ってな」
「解釈の問題ではあるが、言えないことはないだろう」
悪寒、緊張。今まで感じたことのない感覚が宿儺の体内を満たしていく。
「ずりーよな、お前の領域。伏魔御厨子だっけ?外郭を用いない領域の展開。まさしく神業だ。相手の領域の外郭を一方的に破壊できるんだから、領域戦においては無敵ともいえる」
「それが……今さらどうした?」
「だからさ……俺もやってみようと思って。神業の領域ってやつ」
「ッ⁉」
此奴は……まさか…
「今この瞬間、周囲には目に見えない俺の血液が広範囲で漂っている。己は、その範囲を
「貴様ッ!」
「ああ、じゃあやろうか。もう一回……」
まさか……そこまで魅せてくれるというのか。
「今度は負けねぇ、殺してやるよ」
「ケヒッ、魅せてみろ‼
「「領域展開……‼」」
「で、何とか逃げおおせたけどそのあと何回もやりあうことになっちゃって、結局負けて死んで、今に至るんだけどね」
「毎回言ってるけど、それ本当?」
「噓でしょ」
「嘘はよくないよ、憲導」
「みんな冷たくない⁉」
そうして今、幾度にもわたる宿儺との決闘の末敗れ死んだはずの俺は「東京都立呪術高等専門学校」で悠々自適にのんびり学生ライフを楽しんでいるというわけです。
この時代宿儺は指に閉じこもって表に出てこないし、呪霊のレベルは死ぬほど下がってるし、五条家の生意気なガキが最強名乗ってくれてるし。もう最高ですよ。
このまま何事もなく過ごして、田舎でのんびり隠居ライフを楽しんでやるんだ‼
「…………ケヒッ」
なぜ主人公において術式が特別だと思われているのかは今後描いていきます。
クロスオーバータグはそのためにある!!