突如始まったエイリアンからの攻撃によって、壊滅の危機に瀕した太陽系。追い詰められた人類は生き残っている戦力を搔き集め、決死の迎撃作戦を開始した。

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特殊雷撃隊突貫ス

『第五無人防衛線、通信途絶。火星衛星軌道、質量弾ヤードの残弾枯渇。第二十七機動艦隊への支援体制、完全に停滞』

 

「艦隊はいい、前方の三十二飛行隊は?」

 

『敵空間制圧弾の一斉射撃により、壊滅したと思われます。敵艦隊からの迎撃に注意して下さい』

 

「見りゃ分かる!機体のすぐそばを通り過ぎるのは敵の弾ばっかりだ、前からそう変わんねぇけどなチクショウ!!」

 

 狭くごちゃついたコックピットに押し込められたパイロットは、固定が甘いのかガタガタと揺れるディスプレイを押し退ける。そして推力ペダルはベタ踏みのまま、機体を最大速力でかっ飛ばしながら操縦桿のボタンを押しまくった。

 

『200mm回転式機関砲、2番弾倉の残弾なし。3番弾倉へ切り替え』

 

「再装填はキャンセルだ!一時格納して撃てる武器を寄越せ!」

 

 巨大なガトリング砲というべき代物は後方へ夥しい数の薬莢をばら撒き、弾切れによって動きを止める。パイロットの言葉によって背中から武器を管理するためのアームが伸び、別の武器が用意される。

 

『250mm速射砲を出しますが、冷却が未完了です』

 

「それに必要な時間くらいは作る。被弾した背部のC3区画は切り離せ!重心を戻すために対艦ロケットは今からぶっ放すから、警告なんて出すんじゃねぇぞ!?」

 

 暗い宇宙を行くのは本来なら艦隊防空用として建造された人型兵器、それに大量の武装を括り付けた急造品だ。背中には巨大な推進器と燃料タンク、そして武器弾薬が備えられているが、今にも壊れそうな脆さは外見からも窺える。

 

 名は特殊雷撃機と付けられたが、用途は敵陣ど真ん中に突っ込むこと。突っ込んだ後はとある装置を使って囮になり、集中砲火を引き受けて吹き飛ぶ。盛大な自殺のためのガラクタだった。

 

「エイリアン共の移動要塞は、空間跳躍まであと何分だ。味方はどの船を最後まで守り切ればいい!?」

 

『空間跳躍による敵要塞の予想到達時間まで、残り4分21秒。跳躍妨害は旗艦FMS-007、重力制御試験艦XMS-004及び005が行います、3隻中1隻は必ず守り抜いて下さい』

 

 重心位置とは関係なしに出る大量の警告表示を無視し、機体を横にずらすようにして動かす。側面に取り付けられた推進器が唸るが、これは振動を上手く抑えられていないことに起因する異常だ。

 

「1隻につき150人は乗ってるんだろう、それが盾になってボンボン沈みやがる。俺はこのまま囮になって突っ込むぞ!」

 

『命令は艦隊の護衛です』

 

「船の隣で突っ立ってろと!?戦艦クラスを沈めなきゃあ、盾になる船もみんな沈められるってのに!」

 

 パイロットスーツに取り付けられた注射器が信号を受け、操縦者の身体へと何かしらの薬が流し込まれた。恐らく鎮痛剤だろう、彼の身体はこの機動で何処かしら痛めている。

 

「敵艦隊の懐に入り込む、相手も同志撃ちが怖くて下手な撃ち方はできないってことはリサーチ済み。抱えて来た核融合弾の使い所だ、目標は敵前衛!」

 

『警告、機体が加害半径内です』

 

「使い捨ての耐熱シールドで受ける、黙って撃て!」

 

 この機体は本体たる人型兵器だけでも20m近いが、それに匹敵する長さの巨大なミサイルが放たれる。4発の核融合弾は散らばって敵艦隊へと向かって行き、2発が命中する前に閃光と化した。

 

『1番命中、2番迎撃、3番迎撃、4番命中』

 

「風穴が空いた!後は突っ込むだけだ、ビーコンを射出して味方に位置を教えてやれ!」

 

 熱と光を受け、粗雑な耐熱コーティングをされた装甲板はひび割れて破片が舞う。だがシールドはこのためだけに用意されたものだ、一度だけでも機体を守れるならそれで良い。

 

『ビーコン射出、当機以外の特殊雷撃機は確認できません』

 

「一番乗りとは光栄だね、他の核融合弾も使えば楽になる」

 

『艦隊直掩を除き、付近には確認できません』

 

 急造品とはいえ、敵艦隊へ突っ込んだ人型兵器達は少なくなかった。人型兵器以外にも正式に採用されている宇宙戦闘機を始めとした、攻撃隊だって組織されていたはずだ。

 

「そうだついて来い、ついて……確認……なんだって?」

 

『特殊雷撃機は当機以外撃墜されています』

 

「ああ、ああそうかい!だから奴らは俺に熱心なわけだ!!」

 

 既に同型は全滅、周囲の状況を示す三次元レーダーマップにも、味方機の反応は僅かしか残っていない。パイロットは明らかに無理矢理用意されたであろう、テープで括り付けられたオレンジ色の機材を見る。

 それは起動すれば一定範囲の敵を釘付けに出来る、謎の囮装置だった。カバーを外してレバーを回せば、半径数百kmの範囲で敵は彼に目を奪われる。

 

「駄目だ、艦隊のど真ん中じゃなきゃあ全員を振り向かせられない」

 

『旗艦FMS-007、轟沈』

 

「対艦ミサイルを全弾ぶっ放せ、機体を軽くする!後は武器を……予備冷媒タンクの3番ハッチを開放、武器に被せて冷却させる」

 

『警告、凍結の危険があります』

 

「どうせ撃てねぇなら今と一緒だ、やれ!」

 

 100発に迫る数の対艦ミサイルが放たれるが、敵は前衛だけでも500隻を超える。それに1発では敵艦を沈められない威力だ、賑やかしと嫌がらせ程度のものだろう。

 

「荷電粒子砲用意、化学発電カートリッジ装填。冷却は最初から全開で回す、3発撃ったらユニット丸ごと切り離せ!」

 

『砲身内の磁場安定せず、収束率70%に低下』

 

「コイルが狂ってやがるな、撃つしかないってのに」

 

 人型兵器が担ぐようにして展開したのは、たった数回とはいえ巡洋艦の主砲と同じ威力を出せる粒子砲だ。例によって無理矢理積んだ武器であるために、精度も何も無いようなもの、しかしこの距離なら何かには当たる。

 

「目標は正面、撃つぞ!」

 

 放たれた粒子は敵艦の防御機構によって減衰させられながらも、直撃した数隻を爆散させる。飛来していたであろう敵の砲弾や迎撃機を巻き込み、ビームの通った後には障害が消え去った。

 

「70%どころじゃない、思い切り拡散してるじゃねぇか。射程距離は半分ってとこか、使い捨てにしちゃあ上等……だッ!」

 

 2発目は薙ぐように放ち、さらに大きく道を作る。無重力空間で起こる球体の爆発がカメラを焼くが、お構いなしにもう一度引き金を引く。

 

『砲身使用限界、パージします』

 

「デコイとフレアを生きてる分だけ全部ばら撒け、後少しなんだよ!」

 

『メインブースター、燃焼終了』

 

「クソ、足が無くなった!」

 

 燃料タンクを切り離して多少は軽くなったものの、これ以上の加速は望めないという現実が彼にのしかかる。速度は十分に乗った、問題はここからだ。放ったデコイは敵からの攻撃を一瞬受け止め、気休めにもならずに吹き飛んでゆく。パイロットは無いよりマシだと自分に言い聞かせながら、敵の攻撃によって剥がされていく頼りない装甲の残り枚数を見て汗が引いた。

 

「身代わり装甲もない、品切れか!?」

 

『警告、敵艦より高熱源体射出』

 

「ええい、さては迎撃機!」

 

 相手が射出したのは、奇しくもこちらと似たシルエットの機体。まるで人型兵器を模したようなそれは、細長い棒を1つ抱えていた。

 

「武器がシンプルすぎる、あれは……」

 

『警告、局所重力異常』

 

「重力制御!?馬鹿な、あのサイズで!」

 

 敵機が背中から光を伸ばしたかと思えば、それは折れ曲がって特殊雷撃機を狙う。装甲のない剥き出しの追加装備を穿ったそれは、紛れもなくただの光だった。

 

「高出力レーザーを重力で曲げたのか、どんな芸当だ!?」

 

『警告、警告、警告』

 

「喚いてないでオートで切り離せ、姿勢制御はこっちでやる!」

 

 幾つもの装備を切り離した人型兵器は、同じ体躯の敵機に向かって残った武器を向ける。既に敵艦隊の懐には入り込んだ、わざわざ迎撃機を差し向けて来たのも、味方を沈めかねない火力の武器を撃ちたくないからだ。

 

「こっちの目的は囮だ、お前なんかに構ってる暇は……ガッ!?」

 

 敵機はレーザーで弾を蒸発させ、そのまま格闘戦を始めた。手に持っていた細長い棒は殴り合いに使うためのものなのか、それでもって人型兵器を殴る。単純極まりない動きだが、それでも残っていた推進器をまとめて抉り取るだけの威力があった。

 

「背部ユニットが!」

 

『追加装備、全機能喪失。腰部武装担架システム、緊急展開』

 

 腰のコンテナが唯一残り、それ以外は全て切り離される。コンテナからは一対の腕が展開され、まだ使える武器を切り離された残骸の中から掴み取る。

 

『200mm回転式機関砲、装填完了』

 

「最後に残ったのはそれだけか!」

 

 重いガトリング砲を振り回すには、機体側の推力が足りていない。本来であれば扱える範囲を超えている火器だが、この連射力に物を合わせて押し切るしか勝ち筋は残されていない。

 

『衝突警報、敵機急速に接近』

 

「格闘戦をやる気か、どうしてレーザーを使わないんだ?」

 

 真っ直ぐ突っ込んでくる敵機に砲弾を浴びせるが、その全てはレーザーによって蒸発させられていく。内部の炸薬に引火して迎撃機のはるか手前で砲弾が破裂してしまい、飛び立った細かい金属片は簡単に溶かされてしまう。

 

「駄目かッ!」

 

 機関砲を捨て、咄嗟に近接戦用の鉈を抜く。しかし相手が持つ棒状の武器に鉈は叩き落とされ、そのまま機体の首を掴まれる。

 

「……まだだ、終わっちゃいない。まだ!」

 

 それに対して狼狽えつつも、パイロットは最適解を選ぶ。護身用にと取り付けられた、腕部の機関砲を使ったのだ。

 発射速度を最大にして引き金を引くと、弾倉の中身は3秒と待たずに吐き出される。関節部が火花を散らすほどの瞬間的な反動が過ぎれば、敵機は半身を穴だらけにしてそこに居た。

 

「まだ動くかッ!」

 

 既に身を守っていた装備という装備を失い、人型兵器という名のままの姿となった特殊雷撃機。そして出自が不明ではあるが、同じ姿形を持つもの。双方は満身創痍のまま、艦隊の中心へと向かっていく。

 

「なんでだ、どうして他の迎撃機が来ない!」

 

『敵艦隊からの攻撃を確認できず』

 

「おいおい……まさか、誘い込まれ……」

 

 囮を起動するためのレバーに手を伸ばす直前、機体は何かに打ち据えられた。急加速してぶつかって来た敵艦だ、相対速度が近いとはいえ機体にとっては致命傷になる。

 

 敵の迎撃機は身体から装甲の破片を散らしながら、ただこちらを見ていた。特殊雷撃機が幾らでも攻撃ができる隙を晒していたのにも関わらず、観察するようにただ宇宙に浮かんでいる。

 

「やられたッ!?」

 

『機体大破、姿勢制御装置全損』

 

 甲板の上を転がりながら、動かなくなった機体の中でパイロットは振り回される。誘爆の危険がある燃料は咄嗟に切り離したが、それによって動くことは不可能になった。

 

『脱出、脱出』

 

「これ以上はもう無理か。動かないんじゃあ良い的だが、数秒稼げるなら御の字だ」

 

 彼はパイロットスーツの内側で血を流しながらも、オレンジ色の箱に手を伸ばし、レバーを回す。しかし囮は起動せず、独立している筈のシステムは何の反応も返さない。

 

「ケーブルが切れたか、それともさっきので故障したか、どちらかだな」

 

 手動で動かすしかない。歪んだコックピットハッチは上手く開かないためか、脱出用の火薬を使ってハッチを基部ごと外す。彼は拳銃を片手に外へと出ると、機体の腹部に取り付けられた囮装置へと向かう。

 

「一応無事だな、後は電源が生きてさえいれば」

 

 パイロットは命綱のフックを設けられた手すりにかけ、オレンジ色の球体に触れる。そしてメンテナンス用のハッチを開き、手順書通りに起動を試みた。

 今の状況に気になる点は幾つもあるが、かといって役目を果たさないわけにはいかない。彼はそう考えているようだが、内外の出血によって意識は朦朧としていた。

 

「電源が死んでやがる、非常用もダメか」

 

 最後の手段は、この球体内部にある囮装置の本体を物理的に破壊すること。安定性には欠けるが、今可能な方法はこれしかない。

 震える手で構えた拳銃に弾を込め、引っ張り出したクランクを回してハッチを開く。3重になっているそれを開くのは一苦労だが、無重力では更に難しい。

 

「鎮痛剤をありったけ投与しろ……聞いてるかAI!」

 

 脱出を呼びかける言葉を最後に、AIはあらゆる反応を絶っている。機体のメインコンピュータで動いていたシステムだ、大破と共に機能を失ったのだろう。

 パイロットは手動で生命維持機能を操作し、止血剤と残りわずかな輸血液を投与する。鎮痛剤は既に使用可能な量ギリギリだ、これ以上はシステムが許さない。

 

「クソッ、無駄に固い」

 

 一番大きな外壁のハッチが開けば、後は多少楽になる。残りのハッチはシャッターのようになっており、巻き取ればすぐに中身が露わになるだらう。

 

 そうして最後の壁を取り除くと、中にあったのは輝く何かだった。白く光るそれは様々な電磁波を放っているのか、パイロットスーツが自動的に目に届く光量を絞った。

 

「何だ、これ」

 

 個体とも液体ともつかない、何かゲル状の素材で構成されており、中央には立方体を組み合わせて作った歪な球体がある。白く光るのはそれらに光が通って、最終的には外に出ているからだ。

 

「まあいい、なんだっていい。コイツを壊しさえすれば……」

 

 拳銃を握る手に力はない、狙いも定まらない。ならばと彼は球体の中へと入り、球体へ銃口を押し付けるべく腕を突き出した。

 

「動くのかよッ!?」

 

 しかし囮装置の本体はゲル状の素材を伸ばし、拳銃を掴む。ゲルは拳銃から腕へと昇っていき、パイロットの身体を覆い始める。

 

「爆弾でも抱えて来るべきだったな、クソッ」

 

 無理矢理引き金を引くが、狙いはズレて当たらない。それどころか内壁に弾かれた弾が彼の体を裂く。しかし鎮痛剤で感覚は狂っている、拳銃は続けて発砲されたが、すぐに動きが止まる。

 

「……負けだ」

 

 弾切れになった拳銃から手を離すと、ゲルで出来た触手は拘束を緩めた。周囲を見れば、いつの間にか戦闘も止まっている。

 

「待て、何が起きた?」

 

 味方の艦隊は弾切れになって様子見か、敵艦隊はどんな理屈か、分からないながらも撃つのをやめたのだ。

 

『質問がある』

 

「AIの人工音声だが、もしかしてお前が?」

 

『肯定する。貴種族は強い自我を持ちつつも、何故生命活動の停止を前提とした行動を取ることが出来るのか』

 

「難しい、質問だな……悪いが俺は生命活動が停止する間際でね、答えには期待するなよ」

 

『構造の修復に関しては問題ない、思考の継続を求む』

 

 スーツに開いた傷口を塞ぐように動いていたゲルは、更に奥へと入り込む。人体の構造をほぼ完璧に模倣し、損傷した組織の間を埋めていく。異様なまでの気持ち悪さはあるが、今にも三途の川を渡りかねない状況からは確かに遠ざかっていった。

 

「分からねえよ。戦うべき理由が提示された時、とか?」

 

『承知した、人類は我々との融合対象に相応しいと判断する』

 

「判断早えな、融合って何のことだよ」

 

『我々は兵器であり、縛られた思考能力しか与えられていない。ソフト面での進化を行うためには、我々の範囲を超える要素が必要』

 

「今でも十分人間っぽいぜ、お前」

 

『肯定。当機は既に人間の解析結果を反映し、仮想状態にて動作確認を行っている』

 

「……なるほど」

 

 パイロットの目の前に現れた生命体かも怪しい物体こそ、今まで戦っていた敵の正体だ。末端の兵士には伝えられていない真実だが、彼は存外にも話が出来る球体を前に落ち着きを取り戻していた。

 

『記憶の解析も完了した。人間としての自我を我々の理解できる言語に翻訳するのは時間がかかる、全ての戦闘を停止して後退するようにと指示を出した』

 

「マジかよ、戦争終わった?」

 

『肯定。人類には定期的に数を減らし合う習性があると判断し、今回も種族内での新陳代謝に該当するため問題はないと考えていたが、齟齬があったようだ』

 

「その齟齬で開拓中だった火星が吹き飛んでんだよな。主力艦隊もこのザマだし、容赦なく減らしてくれたもんだよ」

 

『融合に適した個体の選別方法に苦慮し、戦闘を継続せざるを得なかった。貴個体との接触により、我々は目的を果たした』

 

 パイロットの肉体を置換する形で修復したゲルは、そのまま彼の体を薄く覆っていく。内部を読み取るように光を発するため、コピー機の読み取り装置にかけられたような気持ちで、彼は終わるのを待つ。

 

「待てよ、融合するってのは俺とってことか!?」

 

『肯定。物理的な融合ではなく、貴個体の要素を情報として我々に取り入れる。肉体的な損壊に関しての心配は必要ない』

 

「俺よりマシな奴なんて、幾らでも居ると思うんだがなぁ……」

 

 

ーーー

ーー

ー

 

 

 エイリアンとの戦争を終え、和平が取り交わされてから少し。あれほど恐怖の象徴だったエイリアン側の移動要塞は、今では火星の衛星軌道上を人類の宇宙ステーション群と共に仲良く回っている。

 

『質問がある、この軌道監視はあと何ヶ月続ければいい?』

 

「地球に帰ってこいって命令が来るまでだ、未定だよ未定」

 

『学習内容の多様化を求める、同じ業務の繰り返しでは成長が望めない』

 

「お前らが俺達を殺しまくったお陰で大変なんだっての、上が世論を上手く宥めるか誤魔化すまで待ってろ」

 

 だが戦争の傷跡は深く残り、エイリアン達とどう接するかもまだ決まっていない。そのため監視役として宇宙艦隊は火星に留め置かれており、戦争が終わるきっかけとなったパイロットも同様だった。

 

「俺はいつになったら帰れるんだろうな」

 

『この機体であれば地球への降下も可能では?』

 

「許可もなしに降りられるわけないだろ、迎撃されてバラバラになるわ。戦時の急増品がスペック通りに動くと思うなよ」

 

『……つまらない』

 

「どーせそれが本音だろ、基地に戻ったら映画でもなんでも観ればいいじゃないか」

 

『分かった』

 

「ま、この仕事に辟易しているのは俺も同じだがな」

 

 人型兵器に乗るのはパイロットとエイリアンの二人。なんだかんだで上手くやっているのか、機体は武器を向ける相手もなく、ただ宇宙で漂っている。

 

 周りには同じく異種族2人が乗った機体が浮かんでいて、この場ではある種の融和が叶っているように見えた。彼らが種族間の架け橋となり本当の融和が果たされるのは、暫く先のことである。





【挿絵表示】

機体イメージ

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