―――目が覚める、隣には全裸のライダーが眠っている。美しく扇情的な裸体に見惚れそうになる。昨日、いや日を跨いでお互いを貪り合った。久しぶりに女性を抱いた興奮故か俺の欲求は収まる所を知らなかった。ライダーが動かなくなるまでした。起こさないようにそっとベッドを離れて着替える。
「ダンテ…ありがとうございました…。」
ダンテ「ああ悪い、起こしちまったか。」
「いえ、平気です。私も着替えます。」
ダンテ「しかし勿体ないな。その目隠しを外した顔を拝みたかったが。」
「申し訳ございません。魔眼故に外すことは出来ません。」
ダンテ「謝る必要はない。お前は充分に美しい。お前を抱けて俺は幸せ者だ。」
「私こそ伝説の魔剣士の御息子に抱いていただいて天国に昇る気分を何度も味わえました。感謝します。」
ダンテ「それは良かった。なにぶん久しぶりだったもんでな。先行ってるぜ。」
廊下に出る。桜は赤面して、バゼットはしかめっ面でふたり揃って立っていた。
「ダンテさん…⁉ あの…もう少し声を抑えていただけるとありがたいです…⁉ 主にライダーの声が凄かったですけど…⁉」
「マスターを放っておいて随分お楽しみのようでしたね。今夜は私の番です。マスターとサーヴァントは一心同体も同然の関係、忘れないでくださいね。」
ダンテ「悪かったバゼット、お前に血を飲ませたとライダーが聞いて興奮しちまったみたいでな。断れなかった。」
「……そういうことなら仕方ないですね。ダンテは誰のものでもありません。『今のところは』ですが。」
ダンテ「頼むからライダーと喧嘩なんてしないで仲良くしてやってくれ。お願いだ。」
「そこまで子どもではありません。物事の分別くらい弁えております。」
ダンテ「お詫びも込めて精一杯お前に尽くす。期待して今夜は楽しみに待っていてくれ。」
「はい…⁉ 楽しみに待っています…⁉」
バゼットが赤面する。こうやって改めて見ると彼女も美しい。態度とファッションセンスこそ男装の麗人といった様相だが服越しにでも良いスタイルをしていると分かる。今夜彼女を抱けると思うと収まったはずの興奮が沸き上がってくる。とりあえず今は考えるのを止めた。桜に少年の家にセイバーと少年の様子を見に行くと連絡してほしいと頼んだ。桜が電話をして戻ってくる。
「何だか先輩物凄くテンションが上がってましたよ? ダンテさん何かしたんですか?」
昨日の少年の家での経緯を説明した。
「……なるほど、とにかく物凄くダンテさんに感謝してましたからこれから行ってあげてください。いつまでも待ってるそうですから。」
ダンテ「了解、それじゃ行ってくる。」
「「いってらっしゃい。」」
キャバリエーレをブッ飛ばして少年の家へ向かった。赤いお嬢ちゃんと一緒にジャンプしながら手を振られ出迎えられた。
ダンテ「どうした? 随分ご機嫌だな。」
「あんた…じゃなくってダンテ⁉ ダンテのおかげで今まで出来なかったことも簡単に出来るようになった⁉ 本当にありがとう⁉」
ダンテ「『今まで出来なかったこと』って例えば?」
「こっち来て見ててくれ⁉」
桜の言っていた通り物凄くテンションが高かった。ふたりの後ろについていき庭へ着く。
「投影、開始(トレース、オン)」
アーチャーの再現を見ているような気分になった。
ダンテ「それは…アーチャーが使っていた双剣だよな? どうやって作ったんだ。」
「何となくイメージしたら出来たんだ⁉ 今まではやろうとしただけで全身に激痛が走って出来なかったけど…昨日ダンテの世話になってからどんどん魔力が漲るような感覚がして…出来た⁉ でもダンテの剣は作れなかったんだよな…何でだろ?」
ダンテ「そりゃあそうだ。伝説の魔剣士と言われた親父の膨大な魔力によって作られた魔剣スパーダって大剣と、かつての俺の愛剣リベリオンって奴が融合して出来たもんだからな。人間が真似しようとしたら一瞬で魔力を使い果たしてくたばるか、有り余る力を制御できなくて醜い巨大な肉塊になり果てた奴を知ってる。忠告しておく、悪魔の武器を作ろうとするのだけは止めておけ。セイバーが消えるハメになったら坊主だって嫌だろう?」
「それはそうだ。とにかく…ありがとう⁉」
ダンテ「どういたしまして。セイバーは元気か?」
「ああ、力が有り余って早くダンテとバーサーカー狩りに行きたいって言ってた⁉」
「昨日は色々と申し訳ございませんでした。そしてありがとうございました。早速アインツベルン城へ行きましょう、ダンテ。」
ダンテ「その魔力の感じは…10年前を思い出すな。やっと本気のセイバーが見られそうだ。ついでにお嬢ちゃんも俺の血、飲むか?」
「今までに費やした時間と労力とお金は何だったんだろうって悔しくなるけど…私もいただく。」
例の如く血を飲ませてからセイバーを後ろに乗せてアインツベルン城…10年前のセイバーの拠点へ向かった。道中で対バーサーカーの作戦を色々話した。
「……わかりました。それまではダンテひとりで戦っていただくことになりますが本当によろしいのですか?」
ダンテ「セイバーだってアレをブッ放すのに準備が必要だろ? それにアレを食らってもし生き延びるようだったら他に手段がない。それまでは可能な限り威力の低いスキル使いながら殺してく。トドメは頼んだぜ。」
「了解しました。」
禍々しい魔力を感知して飛び降りる。霊体化していたバーサーカーがいきなり現れ雄叫びを上げながら斧を振り回す。バルログを装着し斧を避けながら小刻みに右ジャブを当てる。炎が噴き出す。猛攻を掻い潜りリアルインパクト&トルネードをブチ込む。奴の動きが一瞬止まる。確かに1度死んだ。魔人化し再度リアルインパクト&トルネードをブチ込んだ。また動きが止まった。2度の目の死、残り4度。いや、本体の生命力も含めれば後5度だろうか。パンドラを召喚し避けてはジェラシー…ガトリング砲に変形させてチクチクと当てる。災厄ゲージが満タンになったのを確認する。一旦魔剣ダンテに持ち替えて思いっきりバーサーカーの斧を弾いて隙を作る。魔人化しパンドラを召喚し直しアーギュメント…浮遊砲台に変形させミサイルを一斉発射する。すかさずエボニー&アイボリーに持ち替え奴の目を狙撃し視界を遮る。ミサイルが全て着弾する。煙が晴れ腹から臓物を垂れ流しながら動きを止める。また蘇生する。残り4度、俺に出来ることは…もう真魔人化するしかない。魔剣ダンテを自らに刺し姿を変える。一瞬で間合いを詰めた。奴が斧を振る前に真魔人コンボを叩きこんだ。蘇生する間も与えずに連続で斬った。動きが止まる。残り3度、思いっきり飛び上がりザ ルーチェを一斉発射する。密集したエネルギー弾が奴の頭部を貫通する。残り2度、デモリションをぶつける。派手に破裂した。後1回、ジャッジメント…剣舞と魔力の奔流に飲みこまれ最後は魔力の大爆発でシメた。周囲が焦土と化す。奴が吹っ飛ぶが踏みとどまる。死には至らなかったようだ。予想はしていたが。斬り合いが始まる。
「ダンテ! 準備が出来ました‼」
ダンテ「俺ごと撃て‼」
「しかし…⁉」
ダンテ「俺を信じろ! 俺は死なねえ‼」
「……わかりました⁉ 『約束された勝利の剣(エクス…カリバー)』―――‼」
膨大な光の魔力の塊が俺とバーサーカーを包む。片っ端からロイヤルブロックしまくった。かつて神を名乗るデカブツが放つ魔力砲をロイヤルブロックしまくった経験が活きた。光と共にバーサーカーが塵になって消える。安心して息を吐いた。
「ご無事ですか⁉ ダンテ⁉」
ダンテ「ああ、見ての通りだ。全然問題ない。あれが伝説のエクスカリバーか…10年前はチラッと見ただけだったが、とんでもねえ威力だな。」
「あれを受けて原型を留めている貴方に私は驚いていますが…。」
ダンテ「ま、悪魔には悪魔なりの魔術があるってことだ。タイミングさえ掴めばどうってことない。それよりも魔力の方は減ってないか?」
「流石に疲れました。それで…その…よろしければ貴方の血を飲ませていただけませんか?」
ダンテ「いいぜ、好きなだけ飲みな。」
魔力供給を終えて次の行動について話し合う。
ダンテ「次はどうする? クサレ神父の所へでも行くか? タイミングによってはあの金ピカ野郎と殺り合うかもしれん。」
「望むところです。」
ダンテ「よし決まりだ、乗りな。」
教会の扉に突っ込み叫ぶ。反応がない。しかし…今まで気付かなかったが僅かな人の気配がする。地下から。魔剣ダンテで床に思いっきり切れ目を入れてバルログで踏み抜く。あっさり床が崩壊した。そこで見たものは見るも無残な光景だった。まだ子どもだろうか、ミイラのような状態で点滴を受けてかろうじて生きている。いや、生かされているというべきか。見るに堪えなかった。セイバーに教会から出るよう伝えてから真魔人化し真インフェルノで燃やし尽くす。即刻哀れな生存者たちを灰にした。ついでに教会も焼き払った。
ダンテ「Rest in piece.」
「酷い有り様でしたね…。」
ダンテ「これでクサレ神父を殺す理由が増えた。掃き溜めのゴミにも劣るあの野郎を生かしてはいけねえ。」
「何だ燃やしちまったのか、手遅れだったな。」
ダンテ「ランサー、てめえ地下室で何が起きてたのか知ってたのか?」
「ああ、粗方はな。」
ダンテ「少しは反抗して見せろよ。ペットじゃあるまいし…。」
「令呪のせいで体が言うこと聞かねえんだよ。」
ダンテ「それならてめえが存在する意味もねえだろ。今すぐ楽にしてやる。」
真魔人化する。ランサーの表情が驚愕に変わる。瞬時に間合いを詰めて真魔人コンボを叩きこむ。槍を弾き飛ばす。そのまま真スティンガーでランサーの腹を抉る。臓物と肉片と鮮血をまき散らしながら上半身と下半身が千切れる。胸から上だけになったランサーが喋る。
「てめえは…一体…何者…なんだ…⁉ それだけ…教えて…くれたって…いいだろ…⁉」
ダンテ「伝説の魔剣士スパーダの息子、ダンテだ。よく覚えておけ。」
「そうか…実在してた…とはな…。ありがとよ…ダンテ…楽しかった…ぜ…。」
ランサーも笑顔を浮かべながら塵になって消えた。悪い気はしなかった。
「行きましょうか…ダンテ…。」
無言で頷いた。セイバーを少年の家まで送る。剣がぶつかる音が聞こえる。訓練なんかじゃないマジの殺し合いだ。急いで門をくぐる。少年とアーチャーが対峙していた。
ダンテ「おいおいどうなってんだこりゃあ? 事情くらい話せ。」
「……小僧が力を付けて確信した。将来俺のようになると。だから殺すことにした。」
ダンテ「そうか…。この魔力の感覚…、てめえ坊主の未来の姿か。」
「その通りだ…⁉ 俺は…本来死ぬはずだった者たちを救い功績が認められ、死後に地球の意思とやらに英霊にされ、地球の守護者となった。始めは歓喜した。理想通りの正義の味方になれたと。だが現実は甘くなかった。どこの世界、いつの時代でも戦争を未然に防ぐことなど出来なかった。既に始まった戦争を終わらせるための掃除人に成り下がった。殺して、殺して、殺し尽くした。
己の理想を貫く為に多くの人間を殺して、無関係な人間の命なぞどうでもよくなるぐらい殺して、殺した人間の数千倍の人々を救った。────だが終わる事などなかった。生きている限り争いはどこにいっても目に付いた。キリがなかった。何も争いのない世界なんてものを夢見ていた訳じゃない。ただオレはせめて自分が知りうるかぎりの世界では、誰にも涙して欲しくなかっただけなのに…⁉」
ダンテ「そりゃあてめえの自業自得、因果応報って奴だ。この広い世界、良いことが起きれば悪いことも起きる。光と影、善と悪、聖と邪、それが人間ってもんだ。人間の可能性ってもんを信じてはいるが俺だって人間がそんなにお利口だなんて思ってねえ。テレビ見りゃあ誰がどこで死んだ、そんなニュースばかりだ。だからテレビなんて見ねえ。世間知らずにも程があるぞ。上手い話には裏がある、地球の意思とやらの上手い話に乗せられて今のてめえはそのツケを払ってるってわけだ。」
「だったら…⁉ いつまでツケを払い続ければいいんだ⁉」
瞬時に弓を精製して矢と化した剣を俺に放つ。エボニー&アイボリーの速射で弾き落とした。爆発が起きる。
ダンテ「地球が滅亡するまでじゃねえか? 何千万、何億年先か知らねえが。で? 英霊になる前の坊主を殺して未来の自分ごと消滅させようってか。だったら無駄だと思うぞ。坊主とてめえは完全に別人だ。無駄な足掻きは止めろ。」
「だが…万にひとつの可能性でも賭けるしかない⁉」
「アーチャーああああぁぁぁぁぁ⁉」
アーチャーが双剣を持って少年に飛び掛かる。少年も応戦する。黙って背を向けて帰った。どちらが勝とうが興味はなかった。出来れば少年に勝ってほしいとは思ったが。桜には悲しんでほしくない。間桐邸に戻ってバゼットに手を引かれて部屋まで連れていかれる。そのまま唇を重ねられた。
ダンテ「シャワー浴びなくていいのか?」
「私は既に身を清めましたので…⁉ ありのままのダンテを感じたいです…⁉」
それからお互いを貪った。バゼットも凄かった。彼女が失神するまで続いた。