ハイスクールD×D ~転生のG~   作:さすらいの旅人

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今回の更新で最終話です。


番外編Ⅱ 後編

 ウンディーネを使い魔にする事を諦めた俺達は、違う場所へと移動した。イッセーはショックから立ち直るのにちょっとばかり時間が掛かったが。

 

「へぇ。この森に蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)が来てるんですか」

 

「お? もしかして知ってるのか?」

 

「ええ、まぁ。名の通り、蒼い雷撃を使う上位ドラゴンでしょう?」

 

「その通りだぜ」

 

 蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)の特徴を言い当てると、ザトゥージは感心そうに頷く。

 

「因みに性別は?」

 

「オスだぜ」

 

「ならソイツはアーシアの使い魔で決定だな」

 

「え? わ、私ですか!?」

 

 俺が蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)をアーシアの使い魔と決めた事に、指名されたアーシアは驚く。多分イッセーが使い魔にすると思っていたんだろうな。

 

「どうしてなの、リューセー? ドラゴンを使い魔にさせるのなら、赤龍帝であるイッセーの方が良いんじゃないの?」

 

 リアスもアーシアと同じ考えだったのか、疑問を抱きながら俺に尋ねる。

 

「まぁ確かにそうした方が良いんだろうけど、残念ながら今回の蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)じゃイッセーと相性が合わないんだよ。理由は――」

 

「おわっ!」

 

 俺が理由を説明しようと思った矢先、ザトゥージが突然大声を張り上げた。何事かと思った俺は説明を中断してリアス達と一緒に正面を見やると――

 

 

『ガ~』

 

 

 蒼い輝きを放つ鱗をしたドラゴン――蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)が巨木の枝で羽を休めていた。

 

「あれが蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)だぜ!」

 

 ザトゥージが出来るだけ声を潜めながらも、はしゃいでいる様子だ。

 

 大きさからして、あの蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)はまだ子供か。あれならすぐにでもアーシアの使い魔になれそうだ。

 

「(なぁ兄貴、アレってどう見ても子供だよな? 前に冥界でおっさんの領地(・・・・・・・)で見た蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)は成熟した――)」

 

「(イッセー、余計な事は言うな)」

 

 小声で話しかけてくるイッセーに俺が即行で黙らせる。リアス達に聞かれたら面倒な事になるからな。

 

蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)。私も見るのは初めてだわ」

 

「鱗がブルーダイヤモンドのように蒼く輝いていますわね」

 

 どうやらリアス達は蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)に意識を向けてたようで、俺とイッセーの会話は聞いていないようだ。安心したよ。

 

 取り敢えずあのドラゴンをゲットしてアーシアの使い魔にしようと――

 

「キャッ!」

 

 思った瞬間、突然アーシアが悲鳴をあげた。

 

 俺とイッセーが何事かと思って振り返ってみると、スライムと思わしきゲル状の物がアーシアを襲っていた。

 

「こ、これって!」

 

 リアスが驚愕した声を出すも、アーシアと同じくスライムに襲われてる。

 

 二人だけでなく、オカルト研究部女子全員もスライムに襲われていた。

 

 ペチャペチャとスライムが空から飛来してくる。一体何なんだ、このスライム共は?

 

「スライムか」

 

「スライムだな」

 

 祐斗と俺が揃って同じ事を言う。

 

「っておい! そのスライム、毒とか持って……え?」

 

 慌ててるイッセーがアーシア達を助けようとするが、すぐに動きを止めた。アーシア達を凝視したまま。

 

 イッセーがそうした理由は――

 

「ふ、服が……融けちゃってます!」

 

 アーシアの言うとおり、スライム共は女子の制服を融かしていたから。

 

「こ、これは……何て素敵な展開!」

 

 この光景にイッセーは鼻血が噴き出ながらも、目を最大限に見開きつつも凝視していた。

 

 イッセーのスケベ行動に反応したのか――

 

 

 ドゴッ!

 

 

「ぐふっ!」

 

 大事な部分を隠しながら、小猫がイッセーを殴った。しかもかなり本気で。

 

「……見ないで下さい」

 

「そ、そんなこと言ったって……」

 

 イッセーがその気になれば小猫の攻撃を避けれる筈なんだが、服が融かされてる女子達の姿を凝視してるスケベ丸出し状態の為に油断していた。それでもこの愚弟は諦めないように、視線をリアス達に固定しているが。

 

 リアス達の姿に祐斗は申し訳ないのか、違う方面へ顔を向けていた。悪魔でありながらも紳士だな。

 

「こ、小猫ちゃん、何で兄貴は殴んないの?」

 

「……リューセー先輩はあなたと違って卑猥な目で見てませんので」

 

「さ、差別だ……」

 

 一応俺はイッセーと同じ人間の高校生だが、思考は何千年も生きていた聖書の神(わたし)なので、女の裸を見ても大して動揺したりしない。と言うかもう、疾っくの疾うに見慣れてる。今更イッセーのような反応なんかしない。

 

 ついでに触手らしき物が巨木の幹から出現し、スライムと同様に女子部員達に襲うように体に絡み始める。

 

「ちょっとザトゥージさん、あのスライムと触手は何なんですか?」

 

 俺が尋ねると、ザトゥージはリアス達の姿を見て鼻血を出しながら言おうとする。

 

「コイツらは特に名称はないが、服だけを融かす特性を持つスライムと、ただの触手だぜ。コイツ等はコンビを組んで獲物を襲うんだ。獲物と言ってもスライムは女性の衣類、触手は女性の分泌物目当てで、特に目立った害はないんだが……」

 

 成程。道理で男の俺達には襲い掛かって来ない訳だ。

 

「害は無くても、女にとっては最悪ですね」

 

「ああ。兄ちゃんの言うとおり、森を探索してる女性悪魔たちから、かなりの苦情が来てるほど迷惑な生き物なんだぜ。まぁこう言うのは火の魔力で一気に蒸発させるのが――」

 

「部長! 俺、このスライムと触手を使い魔にします! これこそ俺の求めていた人材です!」

 

 しまった! よく考えたらコイツ等はイッセー好みの生き物だった!

 

 こんな馬鹿げた生き物をイッセーの使い魔にしたら、絶対に碌でもない事をするのが容易に想像出来る!

 

 それを阻止する為に俺は――

 

「消えろ。スライムと触手ども」

 

 

 カッ!

 

 

 リアスと朱乃と小猫に襲っているスライムと触手に光のオーラを当てて消滅させた。

 

 悪魔のリアス達にダメージがあると思われるだろうが、これは物凄く弱い光なので大した威力じゃない。ちょっと熱い程度の弱い光だ。

 

「ノォォォォォ! お、俺の使い魔になんて事をしやがるんだ兄貴ぃぃぃぃぃ~~~~!」

 

「阿呆。こんな大して役に立たん生き物を使い魔にしようとすんな」

 

「リューセーの言うとおりよ、イッセー。こういう役に立ちそうにない生き物は焼くの。邪魔だわ。それと助けてくれてありがとう、リューセー」

 

「どういたしまして」

 

「ぶ、部長まで酷い!」

 

 俺の台詞にリアスは賛同しながら俺に礼を言うと、イッセーは心外そうな顔をする。

 

「さて、アーシアに纏わりついてる残りのスライムと触手を――」

 

「させるかぁぁ~~!!」

 

「はうっ! い、イッセーさん!?」

 

 さっきと同じ要領で消そうとするが、突然イッセーがアーシアに抱き付いた。アーシアが大好きなイッセーに抱きつかれて顔を赤くしてるし。

 

 いや違うか。アレは抱き付いたと言うより、スライムと触手を庇ってると言った方が正しいか。

 

「イッセー、そこをどけ」

 

「嫌だ! いくら兄貴だからってこれ以上スラ太郎と触手丸を消されてたまるか!」

 

 スラ太郎と触手丸って……もう名前付けてんのかよ。

 

 ってか、そろそろアーシアから離れた方が良いと思うぞ。リアスがちょっと面白く無さそうな顔してるから。

 

「あらあら、もう名前まで付けているのですね」

 

 朱乃が楽しげに言う。だよなぁ。見つけて早々に名前を付けるなんてあり得ないよな。

 

「森の厄介者と呼ばれるスライムと触手を欲しがる奴を見たのは初めてだぜ。確か兄ちゃんの弟だったか? 随分と変わった人間だぜ」

 

 ザトゥージが心底驚いた様子で俺に向かって言う。

 

「すいません。この愚弟は欲望に正直だから、兄の俺でさえ時々手に負えなくて……」

 

「って兄貴! 俺を身内の恥のように言わないでくれよ!」

 

「そう言わせてるのはお前……ん?」

 

 イッセーが反論してくるので俺が事実を言おうとすると、突然飛来する音が聞こえた。視線を動かすと蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)がイッセーの眼前まで近づいている。

 

 その直後――

 

 

 バリバリバリバリバリバリッ!

 

 

「うおっ! な、何だ!?」

 

 蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)が雷撃を放った。イッセーの全身を激しい電撃を襲うも、当の本人は咄嗟にアーシアから離れて闘気(オーラ)を纏って防いでいるが。

 

「おいテメエ! いきなり何しやがる!?」

 

「ガ~!」

 

 

 バリバリバリバリバリバリッ!

 

 

 イッセーが抗議しても、蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)は全く聞いてない様に再度雷撃を放ってくる。

 

「人の話を全く聞かねぇな。OK。俺に喧嘩売ってるなら、喜んで買って――」

 

「おい、イッセー。スライムと触手が炭になってるぞ?」

 

「んなぁぁぁぁぁ~~~~!!」

 

 戦闘態勢に移るイッセーだったが、俺が指摘した途端に炭となったスライムと触手を見て、膝を付きながら絶叫する。

 

「す、スラ太郎ォォォォォッッ! 触手丸ゥゥゥゥ! う、うわああああああああっっ!!」

 

 イッセーは黒こげとなったスライムと触手を抱き締めながら慟哭する。あそこまでするかよ、おい。

 

 因みにあの生き物がああなったのは、蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)が放った電撃だった。

 

 アーシアに当てずスライムと触手だけ当てるとは、随分と器用なドラゴンだな。

 

「ザトゥージさん、これってもしかして……」

 

「ああ。兄ちゃんの推察通り、蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)は外敵と定めた相手にしか雷撃のダメージを与えないんだぜ」

 

 やはりな。どうやらスライムと触手とイッセーがアーシアを襲ってると思って攻撃したようだ。

 

 もうついでに蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)は清い心の持ち主にしか心を開かないから、アーシアのような純真無垢な少女の傍にいたいんだろう。

 

「子供と言えども、やっぱオスに変わりないか」

 

「そう言えば、ドラゴンのオスって他生物のメスも好きだって聞いたことがあったわ。なるほど。確かにこのドラゴンでは、イッセーと相性が悪い筈だわ」

 

 リアスは漸く蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)がイッセーの使い魔にするのが無理な理由が分かったようだ。

 

「スラ太郎、触手丸、お前たちはいい奴だったよ」

 

 そんな中、イッセーは黒焦げになったスライムと触手を看取ったように呟いた。

 

 そして涙を拭ってのろのろと立ち上がり、蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)の前に立ちはだかる。

 

「テメエ、よくもスラ太郎と触手丸を黒焦げに……!」

 

 目の敵のように見てるイッセーに対し――

 

「ガー」

 

 蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)は鳴きながら欠伸をしていた。

 

 その行動にイッセーはキレたのか――

 

「……俺は怒ったぞ。スプライト・ドラゴォォンッッ!!」

 

 

 ゴォォォォオオオオオオオオッッッッッ!!!!

 

 

『きゃあっ!!』

 

「うおっ!」

 

「ぐっ!」

 

 全身から激しくも荒々しい赤い闘気(オーラ)を放った。その凄まじい衝撃により、リアスたち女性陣は吹き飛ばされそうになるも何とか踏ん張った。あとザトゥージと木場も何とか踏み止まっている。

 

「凄いな。赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)や龍帝拳も使ってないのに、ここまで闘気(オーラ)を上昇させるとは。今の状態ならライザー・フェニックスを簡単に倒せそうだ」

 

 俺は上昇してるイッセーの闘気(オーラ)を観察しつつも、少しばかり呆れていた。

 

 普段の修行でもここまで覚醒して欲しいんだがなぁ。欲望や性欲を一切抜きにしたままで。

 

「覚悟しやがれ、蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)。今代の赤龍帝である俺の力をとくと思い――」

 

「しらせんな、愚弟(ばか)

 

 

 バコッ!

 

 

「ごっ!!」

 

 イッセーが攻撃を繰り出す直前、俺が一瞬で背後を取って後頭部を拳で思いっきり殴って気絶させた。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 イッセーのバカな行動を阻止した俺は、リアス達と一緒に森の入り口に戻っていた。

 

「取り敢えずアーシアが正式な悪魔になるまで、その蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)には俺の方で簡易的な術式を施しておくよ」

 

 そう言って俺はすぐに彼女と蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)に術を施す。蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)は驚いて電撃を放とうとするが、俺の軽い殺気と睨みによってすぐに止めた。多分、本能的に俺を恐れたんだろう。

 

「はい。一先ずこれでリンクは繋がったよ。アーシアの意思でそのドラゴンを出したり、姿を隠す事が出来る」

 

「あ、ありがとうございます、リューセーさん」

 

「すげぇな兄ちゃん。悪魔でもないのに、そんな事が出来るなんて一体何者なんだ? どう見ても普通の人間とは思えないぜ」

 

 俺が施した術を見たザトゥージがそう訪ねてくる。

 

「ハハハ。それは企業秘密って事で」

 

「……グレモリーさん、アンタの知り合いは随分変わった力を持った人間がいるんだな。そこの兄ちゃんの弟も含めて」

 

「イッセーはともかく、リューセーは私でも全く分からない不思議な人間なんです」

 

「おいリアス。人を未確認生物みたいな言い方すんな」

 

 全く失礼な奴だ。

 

 リアスの台詞に顔を顰めてると、術を施し終えた蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)がアーシアの元へ羽ばたき、じゃれだしていた。

 

「くぅ~~」

 

「うふふ。くすぐったいです。ラッセーくん」

 

「ら、ラッセー?」

 

 アーシアが名付けたと思われる蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)の呼び名に、いつの間にか目覚めたイッセーが反応する。

 

「はい。雷撃を放つ子ですし、イッセーさんからの名前をいただきました」

 

「…………まあ、いいや。とりあえずよろしくな、ラッセー」

 

 理由を聞いたイッセーは微妙な顔をするも、すぐに気にしないような顔をしながら蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)――ラッセーに近寄る。

 

 だが――

 

 

 バチッ! バリバリバリバリバリッ!

 

 

「………テメエ。学習能力ってのがねぇのか、おい?」

 

 ラッセーは近づいてくるイッセーに電撃を放ってくる。

 

 これには流石にイッセーは瞬時に闘気(オーラ)を出せずに喰らってしまったが、それでも大したダメージは無かった。だがそれでもまたキレかかっている。

 

「ったく。やっぱり子供でもドラゴンのオスで、他生物のオスが嫌いときたか」

 

「やんちゃね、ラッセーは」

 

「うふふ。男の子が嫌いなあたり、イッセーくんに似ていますわね」

 

 確かに。

 

 でもだからと言って、コイツの行動は少しばかり頂けないな。このまま成長したら碌なドラゴンにならん。

 

 そう思った俺は――

 

“ラッセー。今回は見逃すが、次に同じことをしたらお仕置きだ”

 

「………キュウ」

 

「あれ? ラッセーくんが急に怯えはじめました」

 

 警告交じりの念話と殺気を送ると、ラッセーは反省するように大人しくなった。

 

 子供のドラゴンだからって、使い魔になった以上はそれ相応の躾が必要だからな。

 

 一先ずこれでアーシアの使い魔は決まった。だがイッセーの方は、未だにスライムと触手に未練があった所為が、結局使い魔をゲットする事が出来なかった。

 

「なぁイッセー、やっぱりウンディーネを使い魔に――」

 

「それだけは止めてくれ!!」

 

 候補がいなかったからウンディーネにしようと思ったんだが、イッセーが強い拒否反応を示すように却下された。




取り敢えずコレにて完結です。ご愛読ありがとうございました。

次回は「ハイスクールD×D ~復活のG~」を投稿しますのでお楽しみに!!
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