「連れてきたわ」
「お疲れさん藍歌」
雪一族との交渉役として長期任務に出ていた藍歌は一族のまとめ役と共に京之介の元を訪れていた。内容は雪一族全員の移住と生活基盤の保証である。
「こちらが木ノ葉側がお願いしたい内容となります」
応接室にまとめ役を通し、着座すると即座に一枚の用紙を渡した。
「…………これだけ?」
「ええ」
「戦闘への参加などが明記されておらんが」
「雪一族の皆さんはあくまでも保護対象です。ご自分の意志で木ノ葉の忍として戦うというなら話は別ですが、強制はしません。俺に氷遁の忍術を教えていただければなお良いですが、それも強制ではありません。大事なのはその下です」
「可能であれば氷遁を用いた商売の実施……」
「秘術を晒すのはよろしくはないと思いますが、その点だけは要検討していただきたい。その他のことはそれに比べれば些細なことですから」
「持ち帰って皆と検討したいが……」
「問題ありません。たとえ断られても一族の保護はしますのでご安心を」
「……失礼する」
まとめ役の男性は去っていった。
「本当にいいの? あの程度の条件で」
「構わない。もし保護した血継限界の人たちが木ノ葉の忍として働きたいと言ってきたとしても、それはその人の意思だ。尊重するべきじゃないか?」
「あくまでも向こうからってことね」
「そういうこと」
この後、雪一族は提示された条件のほとんどを受け入れ(京之介に術を教えるのはもう少し待ってほしいと言われた)、木ノ葉の一員となった。
すぐさま京之介は氷を用いた夏の季節を狙った商売を一族側に提案。かき氷や氷菓子に始まり、食品の冷凍倉庫など氷で出来ることを実行。夏の季節になると雪一族の売り上げは木ノ葉で群を抜くほどであった。
冬になった際は雪などを利用した見世物や祭りを開催。年間を通して安定した収入を得た。
さらに、火の国の大名からもお墨付きをもらったことで雪一族の地位と安全は守られたと言える。
これには他の血継限界を持つ移住者たちも負けん気を発揮し、あらゆる分野で活躍が目立つようになり、数年間で木ノ葉経済は高水準を維持し続ける大国となった。
「五つの国で木ノ葉は一強とも言える国になりましたね」
「ああ、他の四つが動くのはいつになるやら」
里を見渡せる山にて京之介は扉間と談話をしていた。
「扉間様が裏で動いてくれているので結構時間はかかるかと、俺のほうでも色々打撃は与えていますし」
「ふむ、ならばもう少し若い連中を鍛えてやるとするか」
「死なない程度でお願いしますね」
「分かっておるわ」
扉間は姿を消した。
「さぁて、やれることは全部やっとかないとな」
京之介の手元には近隣小国の情勢が書かれた書があった。
「まずは滝かな……」
京之介の暗躍はまだまだ終わりそうにない。