活動報告一覧 15件

9月1日は防災の日だったので

◆ ▼球体のボディがまるで眼球のように見えるその機体は、ひたすらに塔を登り続ける。 ▼動く速度は人間のものとさほど変わらず、踏破しなければならない距離を思えば牛歩の歩みだ。 ▼それでも、その機体は丸い外装についた手足として動く細い鞭のような触腕を駆使して塔を登る。 ▼機械の存在だ。 ▼疲れはない。 ▼時間の経緯も気にしない。 ▼あるのは己の使命のみ。 ▼◆ ▼やっと着いた己の職場。 ▼破壊され、む…


日時:2020年09月12日(土) 17:24/全部読む/コメント:0件


「セバス一人」の1シーン

◆◆◆ ▼亜人にとって誇りとは生きていくために必要なことだ。 ▼そして生きていくためなら、誇りを一時的にしまいこむことも必要なことと理解している。 ▼亜人は強者に従う。 ▼従わなければ殺されるのなら、当然の行動だ。 ▼もちろん、そこにも誇りは存在する。 ▼よりよい待遇を勝ち取るために、自らと自分の一族の有用性を積極的に宣伝しそれを証明するだろう。 ▼亜人が定住しないのも、強者の存在が必ずあるからだ…


日時:2020年07月20日(月) 15:44/全部読む/コメント:0件


マーレの休日・虫籠

◆ ▼女は必死に走る。 ▼追ってくる集団から逃れる為に。 ▼もはやどのように走ったのかなど、覚えていない。 ▼たとえ後から追ってくる集団から逃れる事ができたとしても、元の場所に戻る事はできないだろう。 ▼それでも一縷の望みをかけて、ひたすらに走る。 ▼まずは生き延びる事こそが肝要なのだから。 ▼そして―― ▼塀に突き当たる。 ▼右を見ても左を見ても塀だ。 ▼高さもかなりある。 ▼びっしりと生えた植…


日時:2020年06月25日(木) 17:19/全部読む/コメント:0件


小話・1000字未満

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ▼「なにしてるんだ?」 ▼NPCの作成をいつまでも行っているギルドメンバーを不思議に思い、確認のために質問する。 ▼「■■■に似た外見にできないかと思ってさ」 ▼「なんで?」 ▼「■■■って気に食わないから、似たNPC作って憂さ晴らそうかと思ってさ」 ▼「ばか、アカウント停止されるぞ」 ▼「何でだよ。拠点NPCは壊れないし、拠点の中なら問題ないだろ」 ▼「肖像権の侵…


日時:2020年04月23日(木) 18:03/全部読む/コメント:0件


書きたいと書けるは違う

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ▼その悪魔の言葉は毒だった。 ▼しかし決して無視できない。 ▼なぜなら、それは薬にもなるからだ。 ▼決して起こらない、とは言えない、恐ろしい、けれどいくらでも有り得る可能性。 ▼「成る程。確かにこの生け簀と養殖の技術が確立されれば、貴方の部族はとりあえずは安泰でしょう」 ▼「他の部族が攻め込んでこなければ、ですがね」 ▼「もし、また魚が穫れなくなった時、他の部族は…


日時:2019年12月24日(火) 14:26/全部読む/コメント:0件


未1000字 10月31日

▼◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ▼「すみません。今日は何月何日でしょう」 ▼「〇月〇日です」 ▼「……そうですか」 ▼とぼとぼと歩く。 ▼ジャック・オー・ランタン ▼水辺の悪魔と恐れられた人間の成れの果ても、今やお祭りやらゲームやらで出てくるキャラクター扱いである。 ▼「ユグドラシル」でも期間限定で出てくるNPCである。 ▼しかし彼は正しく「期間限定」だった。 ▼「10月31日っていつになっ…


日時:2019年11月13日(水) 17:15/全部読む/コメント:0件


未1000字 亡国・酒場の店員

◆酒場の店員 ▼何ともすごい客だ。 ▼着ている服の見事さも、払いの良さと、その思い切りの高さ。 ▼ぽん、と三倍の支払いをしてしまうのだ。 ▼さて。 ▼あの客が自分の待ち合わせの相手の飲んだ酒の支払いをした。 ▼これはいい。 ▼だが、店に支払われるべき金額は、この支払いに使われた三分の一だ。 ▼残りの三分の二は、本来は存在しない金額である。 ▼だからといって、これを自分の懐に納めてしまうのは、あまり…


日時:2019年10月03日(木) 17:47/全部読む/コメント:0件


未1,000字 亡国の吸血姫編

◆キーノ ▼キーノ・ファスリス・インベルンは心から思っていた。 ▼悟に会えて本当に良かったと。 ▼良かったことは沢山ありすぎて、言葉に出し切れないほどだ。 ▼その中の一つ。 ▼自分たちを殺した本当の犯人を知ることができた。 ▼キュアイーリム=ロスマルヴァー。 ▼竜王であり、キーノの仇。 ▼あの竜王がキーノたちの国を滅ぼしたのだ。 ▼ずっと、キーノは自分の「生まれながらの異能(タレント)」の中にある…


日時:2019年09月08日(日) 22:24/全部読む/コメント:0件


息抜き マーレの虫籠 ユリ√

◆◆◆ ▼「どうかな、ユリ。なんかいい使い道ってあるかな」 ▼「え~と」 ▼戦闘メイド(プレアデス)の長女ユリ・アルファは、自分の友人にして、ナザリック上位者である、第六階層守護者アウラ・ベラ・フィオーラからの相談に困惑していた。 ▼アウラからの相談があると言われ、頼られることに喜びを感じる完全な長女体質なユリは、アウラの相談にのることに何の疑問も無かった。 ▼「ま、まあ、行きだおれていたところを…


日時:2019年07月19日(金) 17:54/全部読む/コメント:0件


考えていない

▼「ここは?」 ▼全く見覚えの無い光景に、ギルド、アインズ・ウール・ゴウンの拠点、ナザリック地下大墳墓で第一〇階層につめる、家令(ハウス・スチュワード)の仕事もこなせる執事(バトラー)であるセバス・チャンは、現在の状況に驚いた。 ▼「なんだ、ただの人間じゃないか」 ▼目の前にいるのは、不機嫌さを隠そうともしない一人の男。 ▼「お前、何ができるんだ?執事仕事とか言わないよな?」 ▼訳が分からないが…


日時:2019年06月11日(火) 17:29/全部読む/コメント:0件