転生しても戦争だった ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~ 作:ガンスリンガー中年
相変わらず仲は良い、夫婦(予定)仲円満を地で行くような話ですが……まあ、相変わらず色気はあんまりないかな?w
なのにおそらく文字数過去最大という不思議。
とにかくクリスマス・イヴの〆を楽しんでもらえたら嬉しいっス!
そして、12月24日の夜、視点は再びイタリア王国の王都ローマへと移る。
「ねぇ、カズヒト♪ 婚約発表のドレス、これにしてみたんだけど……どうかしら?」
「いいね。よく似合っている」
さて、ここはこの度に正式にイタリア王宮に返り咲いた”クイリナーレ宮殿”だ。
そう、サン・ピエトロ大聖堂にて”アオスタ新王の戴冠式”というイタリア的には世紀のビッグイベントが行われた後、この”クイリナーレ
「あと、何やら結構クリスマスを意識している……というか、どことなくサンタっぽい?」
「今はイタリア人でも”元日本人”のヲタとしては、クリスマス・コスには外せない一線という物があるのよ♪」
「コダワリって奴か?」
「うんっ♪」
「まあ、ミニスカサンタとかじゃないなら良いか。公式の場でありゃ流石にマズい」
「? カズヒト、ああいうコス、好きなの?」
「当然、嫌いじゃないぞ? (前世)日本が誇るサブカルの到達点の一つだと思ってる」
「えへへっ♪ そっかそっか♡」
とはいえ、式典その物は”イタリアの復興を象徴する政治イベント”を全面に押し出した非常にプロパガンダ的な物であったが……
それにイタリア国内はともかく、世界中のあちこちが戦時下である現状、他国、関係深いと言える日本や英国、ドイツなどからも重鎮の来訪というものは無かった。
正直、世界的には今はそれどころじゃないだろうし、それ以前にイタリア自体も戦争が終わったばかりで、とてもじゃないが他国の要人を受け入れられるような状態にない。(それでもどこぞの今上陛下は以前のように
また、親日的ではあるが同時にイタリアに被害を被った地中海沿岸諸国的には、いくら日本から支援を受けたアオスタ新王体制と言えど、ちょっと判断と国民感情処理に困るというか……
イタリアの貴族令嬢が日本の皇族に嫁ぐというのならまだしも、日本の皇弟が事実上婿入りしてイタリアの貴族になるというのは、例え「情勢がわかっていても、納得しがたい」ものがあるという事だろう。
何しろ状況だけ見れば「加害者である筈のイタリアが、結果的に一番おいしい目を見てる」と言えなくもないのだ。
事実、
いや、リビアだけでなく同じくイタリアの侵攻被害を受けたギリシャやその他の国も似たようなものだ。
なのでこれらの国から届いたのは、定型文のような「新王戴冠の祝辞」、”婚約式”に関してはその多くが「皇弟(親王)の結婚を祝う内容の祝辞」だった。
正直に言えば、既定路線だったアオスタ新王の戴冠式(正式な即位)より、「イタリア王国の貴族令嬢が日本皇国の皇族と結婚」の方が問題だと思う人間も各国要人に少なからずいたという事だろう。
この国際政略結婚、政治的には”ただのハイソなビッグネーム同士の婚約”じゃすまないのだ。
和仁親王が婚姻により新たなサヴォイア公爵になるということは、実質的にそれとトレードオフする形でイタリアが日本皇国の庇護や支援を受けると内外にアピールするようなものだ。
どんなに小さく見積もっても、”戦国地中海周辺国のパワーバランス”に影響が大きく出る。
実際にもうその影響は出ていて、皇国は戴冠式が終わると同時にあらゆる公式チャンネルで「イタリア王国との皇室外交を復活」させることを発表していた。
これに一番キレ散らかしているのは、「皇帝や王などの君主がすでにいない」ことを建前(本音では1931年の”モスクワ条約”などでソ連と接近や”アルメニア人大虐殺”で距離を置かれた)に、未だに皇室外交リストに復帰できていないのが現在のトルコだ。
なのにイタリアは新王の即位と同時にあっさりと皇室外交が復活し、尚且つ日本皇国の後押しで国際連盟への復帰も視野に入っていると言うのだ。そりゃあ面白くないだろう。
そんな複雑怪奇で大人の事情が絡みまくる国際政治(主に地中海沿岸諸国)はさておき……
「さぁ、カズヒト
それはまさに和仁とマリアンナの”デート・ア・ライブ作戦”の〆に相応しい言葉で、
「ああっ……!」
夫は大きくうなずくのだった。
*******************************
婚約式を終えた和仁とマリアンナ、婚姻後はカズヒト・サヴォイア公爵とマリアンナ・サヴォイア公爵夫人は改めて”サヴォイア公爵夫妻の居城”となる事が発表されたポーリ宮殿に戻ってきていた。
えっ? あれだけ引っ張った和仁とマリアンナの”婚約式”はどうなった?
キングクリムゾンしましたが……何か?
というか、”慶事アピール”が演出過多というか……政治色が強すぎて、表記してもあまり楽しい物ではないというのもあるし、それを書いても野暮という物だろう。
それより、
「じゃじゃ~~~ん♪ カズヒトご所望のミニスカサンタっ娘だよぉ~♡ さらにサービスで”へそ出し仕様”にしてみました♪」
どうやらこの日の為に、和仁に気づかれぬように特注していたらしい。
「カズヒト、
するとカズヒトは柔らかい微笑みと共に、
「お前はホントに可愛いな……ああ、大いに気に入ったぞ」
「えへへっ♪」
和仁はそっとマリアンナを抱き寄せて自分の隣に座るように促し、
「とりあえず、大変な一日だったな……」
まあ、相変わらずラブラブイチャコラのようで何よりである。
この二人を見ている限り、”
まあ、成功し過ぎて予想外に各国に影響出ている気もするが……
「そうね。転生してからは一応は”イタリアのお嬢様”として育ってきたけど、こういう如何にも”公的な式典”みたいなのは慣れないというか、肩がこるというか……」
そう苦笑するマリアンナに、
「激しく同意だな。俺は元々式典とか好きじゃないんだ……前世から」
「えっと空自、航空自衛隊のパイロットだったんだっけ?」
「ああ。一応、”
何やら和仁の転生前の前世年代が分かった気がする。
ちなみに現実でもF-15Jのパイロットが、教官選抜されてF-2B(F-2の複座練習機型)に乗るケースがあるらしい。
多分、和仁もそのクチかもしれない。
「あれは良い機体だったな。F-15EJも悪い機体じゃ無かったが、F-2は運動性が高かった。俺がパイロットを引退、いや自衛隊から退役した後に採用された後釜の”F-2
「ん? んん~? あれ? なんか私の知ってる話と違うような……カズヒト、知ってる限りどんな流れ、ううん。どんな戦闘機があったの?」
「ん? いや、俺の現役時代から退役後までの知ってる限りの話だと、まず要撃機の”F-106J(デルタダートの核搭載能力を削りM61バルカン砲とスパローAAMの運用能力を得たマ改造機。やってることはナイキJ地対空ミサイルと似ている)”の後継としてF-15Aのライセンス生産版のF-15AJ、後にアップデートのF-15Cのライセンス生産版、F-15CJを追加生産。戦闘爆撃機のF-4EJの後継でF-15Eのライセンス生産が決まりF-15EJが生まれた。んで、戦闘攻撃機で初の国産戦闘機のF-1 が陳腐化したから後継にF-16のライセンス生産機F-16CJ(※史実のブロック40/42相当)を使ってたんだ。まあ、”日本版ハイローミックス”だな。んで対艦ミサイルが本格的に猛威を振るい始めたのと中ソの海軍増強の煽りでより本格的な対艦攻撃機が欲しいって話になって、F-16CJをベースに作られたのがF-2。俺が知ってる限り、21世紀に入って近代改修型のF-2改になったってとこだ」
どうやら和仁の前世日本は、中々に興味深い機種の変遷を遂げたようである。
「えっ? なんか私の知ってる自衛隊より豪華って感じが……」
豪華というより、何か和仁の前世は我々の知る史実と何やら齟齬がある気がする。
「そうなのか? そういや、先達……教官連中が『
「テト? フエ? えっと、もしかしてカズヒトって前世で”ベトナム戦争”に参戦したりした?」
「俺はしてないぞ? ただ、教官たちは”ベトナム航空帰還兵”がゴロゴロいたっけ」
「”ベトナム航空帰還兵”って凄いパワーワードを聞いた気がするわ……というか、やっぱりカズヒトの前世の日本って、ベトナム戦争に参戦してたんだ……」
「ベトナムどころじゃないぞ? 50年代の朝鮮戦争に60年代のベトナムに70年代のイランにアフガン、あと80年代のイラ・イラに90年代の湾岸……まあ、第二次世界大戦後のヤンキーが関わった戦争には大抵参戦したんじゃないか?」
どうやら本当に戦後史は大きく違うようだ。
いや、もしかしたら第二次世界大戦の時点で違うのかもしれない。
「まあ、10年に一回、ゲスト参戦って感じで米国に引っ張られて戦争してたから、自衛隊は実戦経験だけは事欠かなかった気がするな。俺がパイロット訓練受けていた頃にイランとアフガニスタンでクーデターが起きて、日米で軍隊出して阻止。俺が初めて戦場を飛んだのはイラン・イラク戦争、”イラン
はっきり分かった事がある。
和仁の前世のアメリカ合衆国は、我々の史実ほど赤化していない。
どうやら戦後は、「共産主義者と本気で戦ってた」ようだ。
そして、戦後日本は「史実より幸福で不幸だった」というべきか?
国防を史実より、「売国度やアカを含む左派に邪魔されず」にできたようだが、そうなるだけ・そうせざるえない理由があったようだ。
「なんか凄い話ね。文字通り”異世界の歴史”を聞いてる気分よ」
「ああ、それ兄上にも言われたな。『どうやら、”
「つまりは”パラレルワールド”的な感じ?」
「ああ。どうやらそういう事らしい。俺は兄上の知ってる歴史では、米国のATF計画でYF-22が選ばれて、実戦配備される前に冷戦が終わったと聞いてひどく驚いたぞ。それじゃあ何の為に作ったかわからんし」
「もしかして、カズヒトの世界だと……」
「ATFになったのはノースロップ・グラマンの”F-23 ゴースト”で、冷戦終結は1999年。ついでにF-14は21世紀まで生き残って”F-14E(※史実のトムキャット21準拠)”まで生産された。A-12は計画されずイントルーダーも改良されてA-6Fとして同じく21世紀まで飛んでたな」
和仁の前世はゴルバチョフは居なかったのだろうか?
少なくとも冷戦構造は8年間は史実より長引き、そしてアメリカは”ガチ”だったらしい。
「それに”F-3”が2020年代でも飛んでない世界があると聴いた時は驚いたな。俺にとってのF-3ってのは『ETF計画で落選した”F-16XL”を開発計画ごと買い取り、それをベースに開発した日本初の超音速巡航可能なマルチロールファイター』だったからな……2010年代には実戦配備されてる筈だぞ? というかそこいらの記憶は妙に曖昧だが……」
おそらくだが、年代的に老朽化した”F-15AJ”と近代化改修できない”F-15CJ”初期型の代替機として採用されたのが、”F-3”なのだろう。
後期型のF-15CJは、米国のMSIP-2準拠の近代化改修を受けた後に、最終的に”ゴールデンイーグル”と能力向上型J-MSIPの混合みたいな感じになったようだ。
F-15EJは、米国準拠の近代化改修の後に、その後継として”F-15EXJ”の導入が決まったようである。
しかし、”F-15EXJ”の記憶は和仁には無いようだ。
「私もそこまで詳しくは無いけど、私の知ってる”前世の記憶”と大分違うのはわかったわ。F-35とか導入しなかったの?」
「俺には、そのF-35、えっと”ライトニングⅡ”だっけ?の記憶が曖昧なんだよ。前世の日本が導入したかも分からないが……だけど、そこまで急ぐ話でも無かった気がするぞ? 前世の日本って、第二次世界大戦の頃から”防空思想”とか”シーレーン防衛”の意識が強くてな。ドクトリン自体もアクティブディフェンス寄りだった気もするし……ほら、ステルス機って『レーダーに探知されない侵攻戦力』って意味が大きいだろ? 実際、最初に実用化されたステルスはB-2爆撃機やF-117攻撃機だ。あんまり日本の防衛ドクトリンには必要ないとは言わないけど、重要性はそこまで高くなかったと思う」
何となくだが……和仁の前世では、真珠湾攻撃の失敗したか、あるいは計画自体が実行不能と中断された気がする。
もしかしたら、米大統領がルーズベルトじゃなかったかもしれない。
話の端々から、”普通の防衛戦争やって、米国の物量に単純に圧し負けた”という感じがするのだ。
故に戦後史自体が大きく異なる……例えば、話題のF-35も「近代化改修が難しいと判断された初期のF-16CJの代替機」という名目で2020年代に導入のようだが……その政治的判断まみれの決定を前世の和仁が知ることは無かった。
「ねえ、そこまで戦闘機に関わっていたら、皇国空軍に残った残った方が良かったんじゃない? だって、戦後イタリアで作れるのって民間機メインでしょ?」
「別にそこまで戦闘機にこだわりはないぞ? むしろ、飛行機は全般的に好きだし。何より、お前と結婚する以上に優先度の高い事柄じゃないさ」
「ふえっ!?」
「どうした? 急に妙なポーズとって」
「カズヒトのそういうこと天然で言うところ、ホントに狡いと思う」
「そうなのか?」
「バカ♡」
年齢の割には
いや、初期アイデアの段階では一線超えてしまう展開もあったんですが、何というか「次世代イタリアを担うこの二人」には、何となく”合わない”気がしたんですよ。
特にクリスマスを大事にする、クリスチャンの本場とも言えるイタリアだと。
これだけラブラブなら、「別にクリスマス・イブに子作りせんでも良いか」とか思ってしまってw
その分、情報量と糖分マシマシになった気がしますが。
今回、和仁の前世の一部が明らかになりましたが……
今更明かす裏設定ですが、実は皇弟の四人、全部”前世が微妙に違う”可能性があるんです。
その中でも前世日本が歩んできた第二次世界大戦から戦後が、いくらか”日本と日本人にとりマシ”だったのが和仁で、兄弟の中で「一番、米国への敵愾心が低い」のも和仁だったりします。
逆に一番、米ソに対する殺意が高そうなのが、嫁が規格外の三つ編みガネっ娘の属性てんこ盛りな合法ロリの四兄、榛名宮貴仁親王殿下な気がします。(だからこそ、安心して国外に出せた・国際結婚させられた可能性も……)
あのお方、夫婦で作ってる物が兄弟で一番物騒で、なんかそこはかとなく闇が深そうだし。
”今上陛下”?
いや、あの人……いや、本当に人なのか?はどんな前世なのか、そもそも前世が一つなのか? 今生の”顕現”は本当に”転生”なのか? そもそも”
とことん謎ばかりなので、コメントは差し控えさせていただきます。
さて、各国十人十色のクリイベリレーにお付き合いくださりありがとうございました。
次回からは、少し「歴史が動く」かもしれません。
ご感想、高評価、お気に入り登録してくださると大変嬉しいです。
次回もどうかよろしくお願いいたします。