HARUTO~原作のないNARUTOの世界へ   作:ゆう☆彡

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心配という絆の形、託すという信頼の形

「……」

 

 

広い草原でアオイは精神を研ぎ澄ましていた。無に気持ちを落とすことで、自身の精神世界の深いところまで入り込む。そして、アオイがそれをやるには理由があった。

 

 

『……、またお前か』

「何度でも来るから覚悟しておいてよね」

 

アオイの眼前には、ハルトとミナトによって封印された三尾が青い檻のようなもので区切られた空間にいた。

 

 

『お前のチャクラ量では、尾獣を扱うことなんて一生かかってもできぬ。 大人しくしているから、ここに来るのはあきらめろ』

 

三尾は尾獣の中でも比較的おとなしく、また人間に対して理解しようとする尾獣であった。それこそ、アオイの中に強制的に移されてからその後、知らぬ間に封印されていたことには腹も立ったが、アオイの前に三尾の人中力でありアオイの体内に強制的に移したやつよりかは、アオイの中は落ち着いており、施されている封印は優しいものだった。

三尾はここを気に入っていた、だからこそ忠告する。アオイが自分を手中に収めようとすれば、自分を抑えられぬ限りはその結末は暴走であり、自滅である。

 

アオイのことを認めていないわけではないが、尾獣の本能とは難しいものなのである。

 

 

「いつか、あなたに認められるような忍になるから」

『……、何がお前をそこまで動かす?』

 

初めて自分に会いに来た時から、アオイには恐怖というものが見えなかった。それは、三尾にとっては初めてのことだった。その第一印象があったからこそ、三尾はこの場所をそこまで嫌わずに済んでいるというのもある。しかし、次第になぜその目に恐怖が映らなかったのか、疑問に思うようになっていったのだ。

 

 

「あなたは、自分に施されいるその封印術は嫌い?」

『封印術を好む生き物などいない。 しかし、縛り付けるだけではない封印術であれば、感じ方も変わってくるというものだ。

私に施されている封印術は、私自身を否定してくるものではない。 それは私たち尾獣にとって、力を否定されていないことと同じであり、信頼されていると感じることもできる。

その点でいえば、私はこの封印術は嫌いではない』

 

そう自分の気持ちを素直に伝えると、アオイは少し微笑んだ。

 

「その信頼に応えたいんです。

まるで、君にならあなたのような大きな力を上手に使えるようになる。 私利私欲のためではなく、正しいことに使ってくれると信じていると言われているようで。

大切な人が目を覚ました時に、その選択肢は間違いではなかったと思ってもらいたいんです」

 

 

その瞳は、三尾が今までに向けられたことのない強く、真っ直ぐな瞳だった。

 

『なるほど、ではお前は私の力を自分のもののように使えるようになりたいということだな』

「んー、傲慢に言えばそういうことかもしれません」

 

アオイは少し首を傾げた後、閃いたように言った。

 

「自分のものにしたいというよりは、あなたの力を上手く借りられるようになりたい、というほうが正しいでしょうか。

尾獣という大きな力が、なんの発展もない忍に縛られているのはあなたにとっても不本意でしょうから、あなたの意志に負けないような忍になります」

 

そこに宿るは、決意の強い意志。

その決意に折れたのか、三尾は話し始めた。

 

『……私のチャクラを扱えるようになりたいなら、戦闘で屈させるしかない。 私も協力できないことは無いが、尾獣の本能で身体は動く』

「! ……ありがとうございます」

『?』

 

お礼を言われた理由が、いまいち分かっていない三尾の檻の前まで歩く。すると、アオイの足下野水が渦になって、アオイを封印式のあるところまで押し上げる。

初めてこの場所に来た時に、アオイが持っていた気持ちはハルトの期待に応えたいというものだけだった。しかし、毎日訪れるうちに三尾の見えづらい優しさに気づいた。その身に宿すまでは、恐ろしく強大という認識しか無かったはずのその力は、アオイの中で大切な存在となっていった。そして、自分が上手く扱えるようになれば、忍界とまではいかなくても木の葉の里だけでも、尾獣への意識を帰られるのではないかと考えるようになった。

 

それは、アオイの中でハルト以外への気持ちが生まれた瞬間だった。

 

 

───────────────────────

 

「「「「「!?」」」」」

 

その突然のチャクラに、ほとんどの木の葉の忍が反応した。

 

 

「……アオイ!?」

 

しかし、あまりにも大きすぎるそのチャクラの中から、その持ち主を探り出すことは難しく、また彼女の存在を知らない忍であれば、突然強大な力が襲ってきたように感じられた。

 

「シスイ! 何があったんだ!?」

「わかんないっす……。 でも、何かあったらここに来て欲しいってアオイから言われてた場所からです、このチャクラは……」

「行くぞ……っ!」

「はい!」

 

シカクとシスイが、そのチャクラを感じる点を辿って近づく度に、その強さは圧となって二人に襲いかかる。

 

「あそこにいんのは、ほんとにアオイなのか……?」

「何がどうなってんだよっ!?」

 

激しい風が吹き荒れる。しかし、その中心のアオイ自身が激しい動きをしている訳では無い。その内に秘めるチャクラだけが、アオイの内におさまらず外側の空気を震わせる。

唯一救いと思える点は、アオイのいる場所が広大な草原であり、近くに人がたくさん住んでいるような場所かないという点だ。

 

 

「アオイっ!! しっかりしろ!!!」

 

暴風によってアオイに接近できないため、遠くから叫ぶことしか出来ない。

シスイらには、アオイがこうなっている理由が何となく分かっていた。というのも、アオイが目覚めて十分に回復した頃、シスイはアオイから尾獣のチャクラを扱う練習をするということを聞いていた。もちろん危険があることも理解しており、火影や同じ任務についたミナトにも知らせていることだった。

ミナトによる封印術が組み込まれていること、そして既に木の葉にいる九尾の人柱力であるクシナを支えていることもあって、何かあった時にはミナトや火影による対処が行われていたが、今回のアオイのチャクラの膨張は過去に見た事のないものだった。それは……

 

 

 

『……しっかり意思を持て、呑まれるのではないぞ』

 

決して、アオイが尾獣に負けてしまったからではない。むしろ、今まで以上にアオイへの協力する姿勢を見せたことによって、今まで触れたことの無い所まで三尾からの尾獣チャクラがアオイに流れ込んでいたのだ。

 

三尾の眼下には封印を解かれたことによって、流れ込んだ三尾のチャクラ量を必死に身体に馴染ませようとしているアオイの姿だった。

三尾の戦闘本能は、アオイが解除していない封印・ハルトが仕込んだ封印術によって抑えられていた。

 

 

この修行において、間違ったことは何も行われていない。アオイは周囲への被害や自分の力量を考えて場所や封印を解く範囲を決めていたし、周りの人への認知も行っていた。三尾のチャクラ量も、なるべく多すぎない量を供給する努力をしていた。

 

それでも、力量を正確に図ることは出来ない。それも、未知の点が多すぎる尾獣の力。こうなることの可能性をゼロにすることなど不可能だった。

今、アオイ自身が行動で暴走していないのは、尾獣のアオイへの協力意識があったからだった。

 

「周辺の被害状況は」

「! ……地理的要因により、人的被害は今のところ報告はありません」

「なるほど。 周辺への警戒を弱めるでないぞ!」

「「「「はっ!!!」」」」

 

「俺の封印術が、全く効力がなくなったわけじゃない。 ただ、抑えるにはもう一度かけ直す必要がありそうだね」

「ただ、あそこに近づければの話だな」

 

現場に到着した火影・ヒルゼンの指示により火影直属の暗部組織が動く。そして、この現状を理解出来るミナトも集まった。

ただ、すぐに何かができる訳では無い。それほど、尾獣というのは未知の力だった。

 

 

 

 

アオイを見ながら戸惑うシスイの横を、小さく風が吹き抜けた。

 

「みなさん、構えてください」

「「「「!?」」」」

「『性質結界封印術・雷』」

 

アオイのチャクラがさらに膨張したと同じタイミングで、その周囲が紫色の膜で囲まれた。今まで地上の全方位に吹き荒れていた暴風が、開いた上空に集中して吹き抜けた。それは直接的ではなくても一点集中になったその爆風は、その勧告がなければ吹き飛ばされてしまう勢いだった。

 

 

そして、その声にいち早く反応したのは……もちろんシスイだった。

 

「……ハル、ト?」

「……おはよう。

 

ひさしぶりだね、シスイ」

 

 

 

近づけなかったアオイの周囲の一番近い場所から、結界を張ったハルトが振り返って小さく笑った。

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