どうやら俺は、この眼を持って生きていかねばならないらしい 作:けし
そしてそんなに時間があってもこれだけしか書けないことにもう泣いた。
時々、たまに。おかしな光景を目にすることがあった。それは俺にしか視えないものだから、そういうものかと納得していた。
死は絶対だが、確認しようのない不確かな存在だ。だから、それは固定されずに流動するし、植物の枝葉のように大きくなったり枯れたりもする。
それでも死はそいつだけのものであり、誰かを巻き込むように手を伸ばすことなどなかった。
「まただ……」
まるで俺を目指すように、辺りの死がこちらを向く。ふと気を抜けば絡め取られてしまうような危うさをすら感じてしまう。それらを躱しつつ、気味の悪さで込み上げてくる不快感を飲み込んだ。
青い柱が消えた今、瀞霊廷は各所で戦いが起こっている。隊長格を筆頭に敵の主戦力とかち合っているようだが、卍解を使えば奪われる恐れもあり劣勢もいいところだ。
雑兵どもですら席官クラスの戦闘力を持つというのに、それだって数を用意してるなら質でこちらが負ける。勝ち目なんて見えやしない。負けていないのは運がいいのと、諦めの悪さに他ならない。もはや意地になってると言ってもいい。
「しっかし暑いね。というより熱い」
それはそうと、さっきから猛暑通り越して酷暑と呼ぶのすら生温いくらいに熱い。人がまともに生きられるような環境かよコレ。俺の心象世界にある冷蔵庫の、その冷凍室にある式のアイスが食べたい。
こんな地獄みたいなことになってるのは、まあ言うまでもなくあの爺さんの仕業だ。ウチの隊長曰く『焱熱系最強最古の斬魄刀』という触れ込みらしいが、こんな光景を簡単に作り出すならそれも真実なのだろう。
そして滅却師とてこの地獄ではのうのうとしてられないだろう。あの防御力が果たして熱も防げるのかは気になるな。
「兄は、無事だったか」
「白哉か。そっちは──白星か。そいつは吉報だな」
「兄のおかげだ」
……? 話が分からんが、まあそういうこともあるのか? 朽木白哉とその副官である阿散井恋次は、一番に勝ち星を挙げていた。その過程で俺が役に立ったそうだが……。
「総隊長が全霊を賭しているのだ……、我々も闘わねば」
「隊長、まずは手当てを!」
「阿散井の言う通りだ。可能な限り万全にしてこい。四番隊とその隊舎は幸いにも無傷だ。直ぐにも治してくれる」
実際何人か隊士を放り込んできたし。勇音は戦わなきゃって顔してたが、役割ってのがあるから気にしないでいいと思う。……『凍雲』ってどうなんだろうな、滅却師相手だと。
「ほら、さっさと行け」
「く……、すまない」
阿散井に肩を借りて四番隊隊舎に向かう朽木白哉を背に、またまた群れをなすやつらをサクサクとナイフで切り捨てていく。そろそろ面倒なやつとかち合いそうではあるが、その時はその時だ。
「あの人、ただのナイフでなんであんなあっさり斬れてるんすか?」
「さて、な。我々には理解できるはずもない」
正しい自己評価は苦手なタチだが、多分合ってるだろうと思う自らの性格に、飽きっぽいというのがある。無人駅を通り過ぎる特急電車のような、そんなイメージで俺の興味関心は過ぎ去っていく。
「ぐぅ、おのれ……!」
しかし、そもそもそんな話をする以前にもはや誰も気にしていないのが現状だ。あれだけ堂々と振る舞われては、何も言うことなどあるまい。
「随分苦戦してるみたいだな、狛村隊長」
ぴくりと震える耳。振り向いた顔はまさに犬。副隊長からは人狼だと言われてはいるが、犬と狼の見分けなんて素人につくはずもなく。
「穂積副隊長か。……またワシを犬か何かと思っておるな?」
「いいだろ別に。この前現世のアイテムで喜んでたくせに」
「……見てたのか」
「見えた」
そして本人も犬寄りの気質があるらしい。忠誠心の高さもその一つなのだろう。肩の力をを抜いた狛村左陣との間に気の抜けた、弛緩した空気が漂い始めた。
「なに、ほっこりしてるのよ!?」
そしてそんな空気の中を、怒った声と共に切り裂く霊子の火の玉。咄嗟に飛び退いて躱すと、着弾した地面には見た目以上の破壊力が伺えた。
「へぇ、そういう能力もあるんだな。殺しまくって強くなるやつといい、バラエティ豊かなことで」
「『殺しまくって強くなるやつ』? もしかしてアンタがドリスコールを倒したの?」
どうにも上から目線の女であった。自尊心が高くて面倒くさそうな、さっきの金髪イケメンとは随分と毛色の違う滅却師だった。
「そのドリスコールってやつがもじゃひげの大男なら、間違いないな」
「ふーん、そ。アンタみたいななよなよした奴にやられるなんて、アイツも情けないわね」
随分と好き勝手言ってくれるものだ。少なからず気にしてるってのに。身長が小柄なはずの朽木ルキアとそれほど変わらないんだ。
「アンタらが卍解ってのを使わないのも、あたしらのコレを警戒してるってわけね」
そう言って見せてきたのは、星の意匠が刻まれた掌サイズの板のようなものだった。どうやらその板が、卍解奪掠のキーアイテムとなるようだ。随分と自慢げにぺらぺら喋ってくれたが言うまでもなく、分かりきったことだ。
「ま、卍解を使おうが使うまいがあたしには勝てないってことなのよ。分かった?」
「あ、話終わった? 橙子の話と違って興味湧かないからさ、悪いな」
タイミング良く声が途切れたので俺がそう言ってやると、狛村左陣が呆れたような目を向けてくる。本音だから仕方ない。ところが滅却師の方は、興味を持たれないということがお高いプライドに傷をつけたらしく。
「────殺す」
殺意を満たした瞳で、俺を見据えた。
正直陛下とか以外で誰と絡ませるかは悩みどころで、色々考えてこれでいいやってこうなりました。雑でごめんなさい。けど元々こんなもんでしたよね……よね?
続きは就活がちょっと落ち着いたら、多分書きます。