月光に導きを求めたのは間違っていたのだろうか   作:いくらう

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お久しぶりです、20000字くらい。

感想、評価、お気に入り、閲覧、誤字誤用報告をしてくださる皆さま本当にありがとうございます。
だいぶ間が空きましたが、今話も楽しんでいただければ幸いです。


32:再び、リヴィラに向けて

 

 

 未だ霧わだかまる、肌寒い日。【エリス・ファミリア】本拠(ホーム)たる一軒家のリビングで、私とエリス神は机を挟んで向かい合っていた。

 全ては、ロキ神と交わした約定のため。不平等な力関係にある同盟相手である彼女からの頼みを、我々は撥ね退けることが出来ない。本来であれば、【ダンジョン】に向かっての資金稼ぎや【ゴブニュ】の【エド】に【仕掛け大剣(ルドウイークの聖剣)】のメンテナンスを依頼したり、買い出しなどの用を済ませる予定だったのだが……本拠(ホーム)での待機ともなれば、出来ることは限られる。何よりもだ。

 

「……遅いな」

「遅いですね……!」

 

 そう二人で視線を交わすこともなくつぶやいて、射し込んだ陽だまりを避けてリビングを横切る精霊に一度目をやった後、エリス神も私も揃って何とも言えぬ表情になった。

 

 昨日【ロキ】神によって課せられた『お願い』、それに付随したエリス神の提案によれば、ロキ神側のお目付け役が朝にはこちらに到着している手筈であった。だが、既に陽も登り都市の人々も目覚める時間帯となってなお、その姿がここに現れる事は無かった。

 

 このような事はエリス神も予想しておらず、その原因についていくつかの推測を論じもした。ロキ・ファミリアが裏を取っているという情報がそれほどに重大なものなのか、我々になどかまけている余裕も無いほどの事態が起こったのか。或いは、いつだかの私のようにダイダロス通りを彷徨っているのかもしれんなどと、私は私なりの経験とユーモアを以ってこの事態に当たっていたが……。

 

「…………ああ、流石にもう待ってらんないですよ!」

 

 先ほどから苛立ちながら部屋の中をうろうろと歩き回っていたエリス神はそうでもなかったようで、遂に音を上げて怒りを露わにした。

 

「どーなってんですかあんのセクハラ女神の頭の中は! もう割といい時間ですよ!? 朝には目付け役を送るって言ってたじゃあないですか!!!」

「そう声を荒げないでくれエリス神。まだ8時だ。十分に朝の範疇だろう?」

「ですがねえ! 私にも私の予定があるんですよ!」

 

 叫ぶエリス神の顔を私は複雑な顔で眺めるより無かった。彼女もまた、このオラリオに生きる神々の一柱。我々人間とはそもそもとして時間感覚そのものが違うのだろう。私がそんな事を考えて目を離したその時。既に彼女は、怒りのままにドアノブに手をかけていた。

 

「私、行ってきます! ルドウイーク、留守を頼みますよ!!」

「……いや待ちたまえエリス神、いくら待ちぼうけを食ったからとは言え、相手の本拠に乗り込むのは違うのではないか?」

「バイトの時間なんですよ!!!」

 

 もはや怒号とも言うほどの声量で叫んだ彼女に、私は自身の思い違いを理解させられた。何の事は無い。彼女は怒っていたのではなく、焦っていたのだ。

 

「そうか、そうだったか……」

「そうですよ遅刻するんですよ遅刻! まずいんです、分かりますよね!?」

「ああ」

「流石にマギーほど厳しくはないですけど、向こうはなんたってヘファイストス! このオラリオ一の鍛冶ギルド! その直営店のバイトをさせられ――――させてもらっているのに、遅刻なんてかましたら何言われるか!! ああいやだいやだ!!! もう泣きたくなっちゃいますよ私はもう!!!!」

「……ロキ神に一筆書いてもらうのはどうだね? 『私のせいでエリスは仕事に遅れました』と」

「それだ!!!」

 

 切羽詰まって喚く彼女に提案すると、エリス神は上半身だけをこちらに向け私の事を思いっきり指差し、まるで勝利への道筋を見出したかのように快哉の声を上げた。そして、思わず身を引いた私を無視して、素早く悪知恵を働かせはじめる。

 

「ええ、その手がありましたねルドウイーク! ナイスです! もうこの際、ロキには全責任をおっ被ってもらいましょうか!!」

「いや、私は遅刻の件だけを――――」

「いいんですよ実際待たされてるのはマジなんですから!! へへへ、じゃ、ついでに慰謝料も請求しちゃいますか。遅刻一分につき、10000ヴァリスくらい支払ってもらってですね……!」

「そうもいかんようだがね」

 

 私は彼女の杜撰(ずさん)な企みを否定しつつ、その背中越しに見えるドアへと目を向けた。人の気配。そして、神の気配。それに気づいた私がエリス神に忠告するべく口を開くよりも早く、玄関の戸がノックされる音が我々の居るリビングまで聞こえてきた。

 

「おーい! ウチや! ロキやで! 開けたってや!」

 

 ドンドンと無遠慮に叩かれるドア。それを見据えて、エリス神は自身の企みが挫かれた故か思いっきり嫌そうな顔をした。だが、それもつかの間。すぐに気を取り直して彼女がドアの取っ手を掴んで思いっきり引き開くと、開かれたドアから陽の明かりと冷えた空気と、神の気配が入り込んだ。

 

「おお、エリス! いやー遅れてえらいすまんかったわ! 待たせた?」

 

 開かれたドアの向こうにいた気配の持ち主たる赤毛の女神、ロキ。彼女は申し訳なさそうに苦笑いしながら、眼前のエリス神に向け手を合わせる。それは大ファミリアの主神が零細ファミリアの主神にする態度としてはそれなりに殊勝なものに私は思えたが……実際にその謝罪を受けたエリス神は、全くそうは思わなかったようであった。

 

「またっ、待たせたぁ!? 待ちましたよええそれはもう!! いやどんだけ待たせたと思ってんですか!? 私もう時間ヤバいんですけど!? バイト遅刻すんですけど!?」

「あー予想しとったけどホンマうっさいな自分!! ちょいと落ち着いたってや!」

「落ち着け!? 落ち着けと言いますかこんだけ遅刻しておいて!?」

「あー! ウチかていろいろあってん、これでもカッ飛ばしてきたんや! 堪忍してな!!」

「それで遅れてちゃ世話ありませんよ! ほんっとにデリカシーないですねこの――――」

「エリス神。言い争うのもいいが早急に話を進めるべきだ。急いでいるのだろう?」

「…………そうですね。私、忙しいので。じゃあロキ、どうぞ」

「……ん。ほいじゃ、邪魔するで~」

 

 ぎゃあぎゃあと騒ぎ出す二人の会話に冷や水を浴びせると、双方落ち着きを取り戻して部屋へと入っていった。騒ぎ出すと際限がない所や、落ち着くとお互い冷静に話を進められるところ等、案外似た者同士ではないかと彼女らの背中を眺めながらに思いつつ、私も彼女らを追って部屋へと戻ろうとして――――振り返る。

 

「あ、どうも」

 

 そこで小さく会釈して見せたのは、一人の人間(ヒューマン)の女性。色とりどりの髪色を持つオラリオの人々には珍しい黒い髪の持ち主、身長は160cm程度。立ち居振る舞いからして、年のころは二十前後か。そう考えた後、この世界には多種族との混血なども居るのだったなと、ここが外見から年齢など推し量れぬ街であったことを思い返す。身には防寒用の外套を纏っていて、体格は判然としない。その立ち姿からは時折オラリオで見かける強者たちのようなにじみ出る威圧感を感じず、おそらくは、まだそうレベルの高い冒険者ではないだろうと私は判断した。

 

 そして、彼女が身に纏う外套に縫われた、道化師――――【ロキ・ファミリア】の紋章。ああ、彼女がロキ神とエリス神の取り決めにあった『お目付け役』なのだなと、私は思索の末納得して、一礼を返したのち彼女も家へと招き入れた。

 

 

 

 

 

 

「――――で、ケツ(結論)から言うと、()が取れた」

 

 ソファに腰かけ机に肘付き、指を顔の前で組んだロキ神は、重々しい口調で言った。それに対して緊迫した表情を浮かべる我々を、彼女は薄く開いた瞳でもって見渡し、そして私の顔を見て目を閉じる。

 

「……ちゅーわけで昨日の約定通り、ルドにはダンジョンに潜って、ウチからの伝令をダンジョン攻略組――――まぁフィンか、リヴェリアやな。あいつらに届けてもらうっちゅー事ンなった」

「ええ、それは話した通りですね…………ルド?」

「で、これがその伝書や」

 

 ロキ神が後ろに控える女性に後ろ手を向けると、彼女は外套から一枚の封筒を取り出し、彼女の手に添えた。それを受け取り、ロキは机の向かいに座るエリスに向け封筒に施された道化師印の封蝋を示して見せる。

 

「ルドって呼んでいいなんて私言いましたっけ?」

「皆まで言わんでええ。いちお、中身は封させて貰っとるわ。ああ言うなや、ちゃんと内容は教えたる。ま、ゆーて先日言わせてもろたこととなんや変わっとらんのやけど」

 

 それを見たエリス神が異様に憮然とした顔で身を乗り出そうとしたのを手で制したロキ神は重苦しい表情で封筒の内容を語ると、そこで一度、机に置かれた水の入ったカップを掴んでのどを潤し改めて口を開いた。

 

「さて。前、『ジジイ』――――お前のバイトしとる、あんの【止り木亭】の主神。(やっこ)さんが動いとる、っちゅー話はしたな?」

「ええ、聞きました。そのせいで、【止り木亭】が休みになってるんですよね?」

「せや。ま、それだけなら構へんねん。アイツらがダンジョン潜るとき店閉めるなんて、ちょくちょくあることやし。んでも問題なんが、この件に対する奴らの入れ込み方でなあ……」

「入れ込み方……どういうことです?」

「実はな。【黒い鳥】をはじめとしたファミリアの戦力……マギー以外の全員、ダンジョンに潜っとるみたいなんや」

「……は? あのメンツが? このタイミングでですか?」

「このタイミングで、や」

 

 ロキ神の言葉にエリス神が怪訝な表情をするのを見て、私もまた眉をひそめた。この街のルールを未だに完全に把握しているわけでは無いこの身であるが、『遠征』がファミリア総出を上げた大事業であること、それに際して、他のファミリアからの余計な干渉を行う事をギルドが強く咎めているのは知っている。そうしなければ、他のファミリアの留守を狙って権力闘争を仕掛ける者が現れ、結果地上がより混沌とするからだ。

 

 その事はもはや、知識以前の常識。暗黙の了解でさえない明確なルールであり、破れば間違いなく制裁が科されるような類のもの。それはロキ神もエリス神も、神である以上、【止り木】の主も知っていることだろう。

 

「……な、なるほど。確かに、何もないのに()がそれだけの動きをするとは考えづらいです」

「せやろ? まあぶっちゃけ、もう下でかち合っとるかもしれんねんけど…………いちお、誰か死人が出た、って感じはせえへんしな」

 

 ロキ神はそう言って、苦笑いしながらも肩を竦めた。……神は、【恩恵】によって繋がった眷属の生死を判別できる。ゆえに彼女はこの不安要素の渦巻く状況下にあっても一応の平静を保っていられるのだろう。もっとも、本当に不安を感じているのかどうか……私にトリックスターとまで称される神の内心など、見抜く事など出来ようもない。

 

「ともかくや、目に見えとる問題に手ェ打たんほど、ウチはアンポンタンやない。例え手遅れかもしれんくても、やれることはやっとかにゃアカンねん」

「……ま、その辺はわかってますよ」

「あんがとなぁ、エリス」

「………………それよりももっと話を詰めましょう。ルドウイークには、すぐにダンジョンに向かってもらいますか?」

 

 ロキ神の礼に、少し複雑な顔をしたエリス神は一度彼女から目を逸らすと、具体的な話を取りまとめにかかった。その彼女の言葉に、ロキ神はソファに寄りかかって腕を組み少し思案してみせる。

 

「せやなあ…………ロクな話やないんは間違いないけど、慌てて動くっちゅうんは、避けたい。ウチらがここ数日何かを嗅ぎまわっとるんは、よっぽどのアホやなきゃ目に留まっとるはずや。けどエリスとウチが同盟を組んどるのは周知やないし、その()()はまだ見せとうない。ルドはそれくらいの札や」

「それはいいんですが、そのルドって言うのやめてくれません?」

「なんでや、自分が気にするところやあらへんやろ」

「いや、まあそうなんですけど……」

「ほーん…………」

 

 何か言いよどむエリス神に対して顔をしたロキ神は一度私へ薄く開かれた瞳を向けてきた。対して、既に神々の智謀に半ば感心し、半ば理解を諦めかけていた私はその意図を掴めず思わずその顔を見返した。するとロキ神は呆れたように肩を竦めて、また真剣な顔でエリス神へと視線を向ける。

 

「ま、それより時間なんやけど……少なくとも今すぐ動かれんのはなあ」

「……ですかね? あくまでルドウイークは表向きレベル2の冒険者です。我々の関係を知るものもいませんし、別にばれないんじゃ?」

 

 ロキ神の懸念に、エリス神が首を傾げた。確かに、今の私はレベル2の冒険者。レベル1の冒険者に比べればだが、それ以上の冒険者は数多く存在する。しかし、ロキ神はそれに首を横に振ることで答えた。

 

言う(ゆー)たやん、ルドはまだ隠しときたい手札て」

「……ああ、そう言う事ですか」

「どういうことなので?」

「ウチだけやない。エリスも、ルドの実力を隠しておきたいのは同じやろ。せやから」

「人目の多い昼間は避けたほうがいい……ですよね?」

「そゆこと。いくら知られてへんゆーたって、レベル2が単独で中層をうろつくなんか冗談にしたって無理あるで。だったら、人目少ない時間選んだほうがええやん? そうした方がそっちの負うリスクも最低限で済むはずや」

 

 薄く笑って言った彼女の言葉に、私は感心した。自身も切羽詰まっているにも拘らず、相手の事情も(おもんばか)っているとは……流石に都市屈指の大ファミリアの長。通すべき筋をわかっている、と言った所だろうか。

 

 かつての私など、獣を狩るばかりでそういった配慮などロクに出来ず、協会の者たちや他の工房の者らへの折衝は<マリア>や<加速>、<ローレンス>達に任せていたのが実際の所だ。しかし、それでは救援に最速で向かうことは出来ない。それを懸念して、私はロキ神を見据える。

 

「なるほど……ですがそれではフィン殿たちへの伝達は遅れることになりますが」

「かまへん。ウチの子らはそんなヤワじゃあらへんし、今回はファミリア合同の大部隊や。あんのアホンダラ(【黒い鳥】)かて、意味なく仕掛けはせえへんやろ」

 

 そう、確かな自信を込めてロキ神は笑った。その笑顔からは自身の眷属への信頼を強く感じる事が出来る。

 

 しかし私はその言葉の後半……【黒い鳥】という男が、相手が大部隊だからと言って物怖じするような人種にはどうにも思えず、怪訝な表情を浮かべた。伝え聞く噂だけでも、彼の戦闘を行う基準が彼我の戦力差ではないのは明白だからだ。

 

「……しかし、【黒い鳥】と言う男は常識から外れた(たぐい)の冒険者なのでしょう? 相手の数云々(うんぬん)で刃を収めるような人間ではないと思いますが」

「そんくらいも分からんスットコドッコイやっちゅーんなら、叩き潰すまでや」

 

 私の懸念に応じたロキ神の表情は確かに、大ファミリアの主としての風格を纏っていた。背筋に寒気が走る。と同時に、この覇気を持つ智謀の神を敵に回さずに済んでいる現状に私は少々安堵して、小さく笑みを浮かべた。

 

「…………わかりました。ならば私から言う事もない。では、突入は夜に。日付が変わるころが最良でしょうか」

「んにゃ、そんくらいの時間になると逆にロクな奴がおらんからな。もーちょい早い方がええ」

「夕飯時ちょっと過ぎたくらいがちょうどいいんじゃないですか?」

「せやな。それ位なら戻ってくる冒険者の波も()けて、人目も多くないやろ」

「ルドウイーク自身、割と夜の間に潜っていたりしますし、違和感も無いと思います」

 

 同意を示したロキ神にエリス神が首を縦に振り、話はまとまったようだった。私もそれに同意を示すべくロキ神に向け口を開く。

 

「では、それで決まりですな」

「せやな」

「ですね。で、こっちの話なんですけど」

「おう、紹介したるで」

 

 話に一区切りついたところでエリス神が促すと、ロキ神も頷いて、後ろに佇むロキ・ファミリアの女性団員に目を向けた。視線を受けた彼女は僅かに緊張に身を強張らせるも、一歩前に出て深々とお辞儀をする。それを見届けてからロキ神がこちらへ視線を戻して、にこやかに笑って見せた。

 

「彼女がウチからエリスんとこについてもらうお目付け役、【レジーナ】や」

「ご紹介にあずかりました、レジーナです。エリスさん、ルドウイークさん、よろしく!」

 

 ロキ神の紹介に合わせて緊張を押し殺しながら笑顔で答えた彼女は、一歩前に出て右手を差し出してくる。それを見てエリス神と私は一度視線を交わすと、その握手に自然体で応じた。

 

「【エリス・ファミリア】主神、エリスです。よろしくお願いします」

「<ルドウイーク>です。私の不在の間、どうかよろしくお願いします」

「はい、精一杯やらせてもらいます!」

 

 握手を通して、彼女の快活な人柄が伝わってくるようでさえあった。流石にロキ神が選んできた人材か。私は握手を終えると穏やかに笑みを浮かべて一歩下がり、再びエリス神の後方につく。

 

「ふうん、悪くなさそうですね」

 

 言って、エリス神は不躾ながら真剣な視線をレジーナ殿へと送った。そしてその姿を上から下までわざとらしく眺めた後、首をひねりながら問いを口にする。

 

「……一応なんですけど、レベルは?」

「1や」

「へえ。間違いないですか、レジーナさん?」

「えっ、そうですけど……?」

「何や何やエリス! ウチのこと信用しとらんの? 傷つくわぁ~」

 

 あえて本人から言質を取ろうとするエリス神に、ロキ神が涙をぬぐうと同時に私は内心苦笑いを浮かべた。同盟と言う関係にありながら、嘘を見抜くという神の力を活用して確認を怠らない。その用心深さを金絡みの時にも発揮してもらいたいのだが。

 

 そう思ってエリス神の横顔を眺めていれば、彼女は怪訝そうな顔で私の事を睨みつけてきた。

 

「……今何か、失礼なこと考えませんでした?」

「ああ。すまない。考えた」

「考えとるんかーい!!」

 

 私の返答に突如としてロキ神が虚空に向けて右手の甲を振るった。何か、反射的とさえいえる動きだ。それとは対照的に凄まじい顔で睨みつけてくるエリス神。その様を見て、私は笑顔で肩を竦めた。

 

「いやすまない。話に水を差してしまった。気にせず続けてくれ」

「………………は~! ほんとにこの……!!」

「はっは、傑作やん」

 

 その私の姿を見て、エリス神の眉間の皺がますます深くなる。しかしそれもつかの間、机に置いてあった自らのグラスを手に取って一気に中身を飲み干すともう話すことはないと言わんばかりに音を立てて立ち上がった。

 

「まあいいです! 話は一旦終わりで! ルドウイーク、レジーナさんを部屋へ! 荷物等あるでしょうしその搬入も手伝ってあげてください!!」

「はい! よろしくお願いします、エリス様!」

「部屋は奥の空き部屋で構わないかね」

「わざわざ一緒の部屋にすることなんてありませんよっ!! わかったら進めてください!」

「了解した」

 

 背筋を正したレジーナ殿と私に向け頷くと、エリス神はロキ神の方を向き睨みつけながら指で玄関への扉を指し示す。

 

「次にロキ! 用事が済んだらチャチャっと帰ってください!! 邪魔です!!!」

「おうおう邪魔したなあ~ってそれ客に対して言う事やあらへんやろ! 土産とかないん?」

「あ、じゃあこれにサインをお願いします」

「ほいほい~っとって(なぁに)書かせてんねんワレーッ!!」

 

 あまりにも強権的な事を言い出すエリス神、それにロキ神がうんざりしたような言葉を返したときは一瞬ヒヤリとしたが、直後エリス神の取り出した書類に無警戒にサインをしたロキ神は突如豹変、渡されたペンをソファに向かって放り投げた。何だその行動は。

 

 私が目を丸くしてその顛末を眺めていれば、跳ね返って床に転がるペンを一瞥したエリス神は手にした書面に一度目を通し、何故か顔を赤くして目を見開きロキ神に食って掛かった。

 

「ちょっと何してるんですかロキ!! 書面の内容を勝手に消さないで下さいよ!! って言うか書くの早くないですか!?」

「ナメたらあかんでコラァ!! ウチがここに来るまでどんだけ契約書類見てきたと思っとんねん!! こんなんお茶の子さいさいや!!」

「しかも消されてるの一番大事なとこじゃないですか!! 『私ロキはエリスがバイトに遅れた責任を負い、その賠償として金10000ヴァリスを本日中に支払うものである』ッ!!!」

「バイトに遅れてまう件は口利きしたってもええけど金出すわけあらへんやろ!! つーか1万!? ショッッッボ!!! 自分も神ならせめて100万くらい請求してみぃや!!」

「こんな理由でそんな請求できるわけないじゃないですか!!! 流石にその辺は弁えてますよ!!!」

「そもそも請求しとる地点でアウトやんけーッ!! ちゅーかはよ仕事行けや!!!」

「そうだった!! おのれロキ……!! これで勝ったと思わないで下さいよ!!!」

「おととい()ぃやアホンダラー!!!!」

 

 ひとしきりじゃれ合った後捨て台詞を吐いて家を飛び出していくエリス神と玄関まで見送って挑発的なサインをその背に向けるロキ神。その二人の姿に圧倒されていた私は隣で目を瞬かせるレジーナ殿の存在を思い出して、ごまかすように、気まずい苦笑いを彼女へ向けた。

 

「…………すまない、少し吞まれていた。家を案内する。荷物は大丈夫かね?」

「あ、はい、すぐ取ってくる…………いや、あの、えと……いつもこんな感じなんですか?」

 

 きまり悪そうな彼女の問いに私もどうにも居心地悪く、背を向けながら答えた。

 

 

「あの二柱(ふたり)は、私が思っていたよりずっと仲がいいらしい」

 

 

 

 

 

 

「……ま、こんなとこやろ、エリスとルドん奴が納得する落としどころは」

 

 エリス・ファミリア本拠からの帰路、ロキは自身の策のかみ合いを確認しながら、一人帰路に就いていた。

 

 実はすでに、フィン達遠征組の子細な状況は彼女の知るところとなっている。早朝、フィン直筆の報告書を携えベートが地上へと帰還していたからだ。エリスやルドウイークにはあずかり知れぬことであったが、それこそがロキの遅刻の原因であった。

 

 ロキは彼からフィン達がすでに18層でキャンプを張っていること、帰還の最中に【毒妖蛆(ポイズン・ウェルミス)】――――解毒に専用の薬品を要するモンスターの大量発生に遭遇し、多くの者が毒にやられ動けなくなっていること、そして59階層で起きた一連のあらましについて報告を受けている。

 

 つまり、既にロキがフィンらに【黒い鳥】達の動きを伝える必要はないのだ。フィン達が彼らと遭遇し、どのようなやり取りがあって、結果として、どうなったか。その多くを彼女は理解し、動き出している。

 

 帰還したベートをはじめとした動かせる団員達には地上の医療系ファミリアを回らせ、解毒薬の収集を行わせている。必要量を揃え、18層に届けるまで約2日かかるであろうとの目算だ。

 次に、フィンからもたらされた報告の確認と情報整理。今回の敵勢力は今までロキが相対してきた者たちの中でも、際立って大それている。フィンの眼力で見出した情報をもとに、その敵の明確な輪郭を見出すのがロキの役目だ。さらには、それを協力者である【ヘルメス】や【ディオニュソス】へと伝え、今後の対応を協議する必要もあるだろう。これからのオラリオに与える影響を考えればこちらも薬集めに劣らずの大仕事である。

 

 そして、自身の手によって盤上へと動かしたルドウイーク。これは当初の計画とは大きくずれた形になっている。ベートの帰還により、フィン達の状況を大方理解できたからだ。

 

 【黒い鳥】らとの遭遇自体は大きな被害もなく終わったことが知れているため、あの手紙に書いてあることは実際には【黒い鳥】らへの警戒を促すものではなく、ベートの報告を受けてのこちらの状況を知らせる返報の手紙。それを手にしたルドウイークが先鋒となって18層で遠征隊を休息させ、かき集めた薬品を持ったベートらが合流することによって戦力の回復を行いそれでもって地上への帰還に移る。

 

 打てる手は打ち尽くした。手負いであろうと、フィン達に中層以上のモンスターが敵うはずがない。更には成り行きによって同行しているという【ロスヴァイセ】とこちらから投入する無傷のルドウイーク、二人のレベル6相当冒険者という追加戦力。ベートらによる薬の収集も終わり次第、手負いとはいえ彼らもまたダンジョンに突入し皆との合流を狙って動く。万全の状態であればという枕はつくが、その総合戦力は【フレイヤ・ファミリア】をも上回りかねない。今出来る最善を尽くしているという確信が、ロキにはあった。

 

 ……にも拘らず、彼女の表情は明るくない。これから、彼らが何事もなく帰還するビジョンが、どうしても思い浮かばなかったのだ。

 

 もし、先日の動乱のような事件が18階層で起こったら? もし、遠征隊の消耗を見た【敵】が翻意して、彼らを潰すための手を打ってきたら? もし、【黒い鳥】らが相手をしていたような未知の怪物が、突如として現れたら?

 

 ――――『最悪は、時に双子でやってくる』。かつて歴史に名を残した冒険者が語った警句が、どうにも彼女の脳裏にこびりついて離れなかった。

 

 

 

 

 

 

「じゃ、15万ヴァリスな」

「……ごまん? いや、失礼。なんと?」

「15万だよ15万。無えなら帰れ。俺は忙しいんだ」

 

 驚愕と共に聞き返した私に、鍛冶師――――【エド】はぶっきらぼうに背を向けたまま答えた。

 

 【ゴブニュ・ファミリア】本拠、【ダナンの金床】。そこにある共同鍜治場の一角、商談のために用意された机にかけて何らかの書類と格闘するエドを前に、私は頭を悩ませていた。

 

 今夜、ロキ・ファミリアとの約定に基づきダンジョン18階層への突入(アタック)を控えている私は家の戸締りをレジーナ殿に任せ、下準備の一貫として【仕掛け大剣(ギミック・ブレイド)】――――<ルドウイークの聖剣>のメンテナンスを行ってもらうべく、この場所に馳せ参じ、制作者であるエドに仕事を頼もうとした。だが、結果は先の答え通りだ。眼前に広がる何らかの書類……様々な図形や、細かな計算が記された紙々(かみがみ)の相手に専念したいのかエドは取り付く島もなく、挙句の果てに法外な金額を要求してまでメンテナンスをやりたがらぬ始末。私はその暴虐ぶりに肩を竦め、しかし食い下がるわけにもいかず、彼に声をかけ続ける。

 

「忙しいのはわかるが……一体、何をそんなに悩んでいるのかね? 手を貸せることがあるのなら手伝うのだが」

「トーシロが口出すんじゃねえや、集中が切れる」

「だがね……」

「だがも何も無えっつってんだろうが! 失せねえとテメエのドタマ鍛え直すぞ!?」

 

 苛立ちと共に傍に転がしてあった金槌をひっつかむと、エドは怒りの形相で立ち上がり私に向けてそれを振りかざした。だが。

 

「グワーッ!?」

 

 その時、遠方から風を切って飛来した金槌が鈍い音を立ててエドの頭蓋を直撃し、彼を近くの棚に突っ込ませた。床に溜まっていた埃と灰がもうもうと立ち上がる中で私は崩れ伏したエドを一応抱え上げ、その状態を確認する。

 

「大丈夫かねエド」

「……痛ええええええ! クソがッ! 痛えんだよクソッ! ちくしょう!」

「大丈夫そうだな」

「ぐへえっ!?」

 

 悪態をついて喚くエドを軽く放り捨てて、私は飛んできた金槌を拾い上げた。小振りながら確かな重量感を感じさせる、鈍く輝くミスリルの頭部。ひどく使い込まれ、持ち主の手の形に合わせてすり減っているであろう柄。この金槌は、何度か目にしたことがある。使い手は間違いなく――――

 

「――――【アンドレイ】殿!」

「おう、俺だぜ」

 

 転げまわるエドとその横に立つ私のもとにのしのしと歩いてくるのはゴブニュ・ファミリア頭領、【薪の鍛冶(シンダー・スミス)】アンドレイ。このオラリオに十人と居ない【最上級鍛冶師(マスター・スミス)】の一角であり、一線を退くまでオラリオ最高の鍛冶師として君臨し続けた豪傑。彼はその威厳に似合わぬ気安い挨拶をこちらに向けた後、灰の中を転がるエドのもとに立ってため息をついた。

 

「ったく。凝りねえ野郎だな……いいか、よく聞けよ? 幾ら悩んでるからって、上客を商売道具で殴り飛ばそうとするなんざ流石にありえねえ。次やったらボコすからな」

「アアッ、クソ! だからって! このやり方は!! ねえだろ!!! クソッ!!!!」

 

 腕を組み、呆れたように見下ろすアンドレイ殿に対しエドの悪態は尽きることはない。それを見て溜息を吐き、今度こそあからさまに呆れて見せたアンドレイ殿は机の前に腰かけると、広げられた書類を一瞥した。

 

「お前、まだ新作に悩んでやがるのか。そろそろどうにかしねえと、【コードウェル】の奴にまたなじられるぜ?」

「なじられてんだよもう俺は! なんで俺がタダ飯喰らいだの穀潰しだの言われなきゃあなんねえんだ!?」

「それはいつもだし、事実だろ」

「チッうっせえな反省してまーす!! だからこうして、したくもねえ仕事を真面目にしてるんだろうが!」

「さっさと終わらせろよ」

 

 喚きながらも痛めた頭をさすり、エドはまた机に向かって書類を相手にし始めた。それをもはや諦めたように眺めたアンドレイ殿が、申し訳なさそうな顔でこちらに向き直る。

 

「つー訳だ、悪いがこいつには急ぎの仕事があってな……」

「いえ、緊急であるというのなら詮無き事。ではどなたか、代わりを紹介していただけると……」

「任せな、俺がやる」

「はァ!?」

 

 事情を飲み込んだ私の言葉を遮り、自身の胸を拳で叩いて示したアンドレイ殿。エドが不服そうに声を上げるが、アンドレイ殿も私もその声を極力無視して話を進める。

 

「下のケツを拭いてやるのも上の役目さ。詫びもかねてではあるが、眼鏡にかなう仕事をさせてもらうぜ。問題あるか?」

「いや、私は無いが……」

「俺はあるぞ! つーかジジイ人の客取ってんじゃあねえよ常識ねえのかよ!?」

「手前が常識ねえせいでこうなってんだろうが、溜まった仕事終わらせてから言いやがれ」

 

 ぐぬ、と呻いたエドを尻目に、アンドレイ殿は私に奥の作業場を指し示す。

 

 まあ、それが最善か。作り主のエドには悪いが自業自得なのだろうと、私はアンドレイ殿の後ろについてゆく。途中エドの発狂者じみた叫びと紙の破れる音を耳にしたが、周囲の者もアンドレイ殿もまるで気にする様子がなかったので、私もそれに倣うことにした。

 

 

 

 

 ――――結果、彼の手によって【仕掛け大剣(ギミック・ブレイド)】は元以上の輝きを取り戻し、その手際と余計な話による時間の無駄がなかった点を鑑みて、次回もアンドレイ殿に頼む事が出来ないかと私は内心願わずにいられなかった。

 

 

 

 

 

 

「はっ、はっ、はっ……!」

 

 大通りのど真ん中を、息を切らしながら走る。ロキのせいで、随分と遅くなってしまった。最近、バイト三昧で妙に体力がついてきた(気がする)私だけれども、決して並以上の速さが出るほどではない。神は不変の存在だし、私の本分は頭を使うことであって、体を使う事ではないのだから。

 

「っ……ふう!」

 

 手にした花束の花が散らぬように、注意を払っているのも速度が出ない理由のひとつかもしれない。過去や、名残りや、悲しみを意味する、いくつもの鮮やかな花々。大通りを抜け、細道に入る。そり立つ【摩天楼(バベル)】の輪郭を背にして、未だに速度を緩めることはない。

 

 ――――ああ、遅れてしまう。いつもギリギリだから、きっと今日は、今日こそは遅れてしまう。

 

 昼から始まるヘファイストスの店でのバイトまで、間に合うか間に合わないかの微妙な時間。普段でもあそこでいろいろ考えていたら平気で一時間なんて過ぎてしまうのに、やることまである今日はもっと時間がかかっちゃうだろう。

 

 そんな事を考えているうちに曲がりくねった道をすり抜けて、目の前には簡素な木の門。年季が入り、どうにか門としての体裁を保っている……だが、どことなく厳かな雰囲気を放つそれを私は走って通り抜ける気にはならず、駆ける勢いを緩めて静かにそこへと踏み込んだ。

 

 

 

 オラリオでは普段感じることのない土のにおいが鼻をくすぐり、喧騒から離れた、冷たい空気が肌を刺す。見渡す限りの靄の向こうに生きた()は居らず、あるのはその痕跡……数多に並ぶ、名も知れぬ墓標だけだ。

 

 【共同墓地】とだけ、呼ばれている。迷宮に挑み帰らなかったものたちを始めとした、このオラリオで命を落としたものたち、その全ての墓標。とはいえ、ここに眠っている者は墓の数とは比べ物にならぬほどに少ない。迷宮で死んでも、死体が一人で帰還するわけではないのだから。

 

 立ち並ぶ墓標の中を進んでいくと、靄に映ったオラリオの建物の影が見える。ここは迷宮都市の果てしない区画整理の中で生まれた間隙がいつからか利用され始めた場所で、確かに広いが、歪な形で限度もある。それにも関わらず立ち並ぶ墓標たちは、オラリオの歴史の一側面だ。しかしその全てに個人の名を刻まれてはいない。刻まれているのは、神の名。神の率いた、ファミリアの名だ。それぞれのファミリア一つにつき一つの墓。

 

 だが、それもすべてのファミリアではない。大きなファミリアになればそういう墓は墳墓や石碑等として自身の本拠(ホーム)に建ててあるし、死体が残っている者は別にある『第一墓地』などに埋葬される。そもそも解散したファミリアの墓は場所確保のため一定の期間を経てここから撤去されるため、もはや忘れ去られたものも存在する。

 

 だからここにあるのは、本拠にそう言う余裕がない――――あるいは失った――――弱小のファミリアの墓地で。

 

 

 

 私の【エリス・ファミリア】の団員たちの墓も、そう言った例に漏れることはなく。墓地の隅に、ささやかに佇んでいた。

 

 

 

 ………………神々は、天界(うえ)において死人(しびと)たちを導くものであった。けれど、下にいる神々の多くは、殆どが娯楽に目がくらみ、上での職務を放り出したものたちだ。中には、ウラノスのようにこちらで大きな役割を果たしている例外もいるが、その大前提は、まず覆ることはない。私だって、その一柱(ひとり)だ。

 

 墓の周りに溜まったごみを掃除し、花を手向け、膝をついて――――神であるのに――――祈りながら、かつての時代を思い出す。賑やかな日々、咲き誇る思い出たち、黄金の時代。全ては去り、残るのは墓と、今の本拠(彼女の家)と、借金と、私の記憶のなかにだけ。

 

 いつかあの栄光を取り戻す。こんな結果をもたらした奴らに、一泡吹かせてやる。そう何度ここで誓い、いったい何度日の巡りが過ぎたことか。

 

 『神にとって数年など、一瞬にも等しいひとときだ』。多くの神々はそう口にする。だが私は。エリスという女神はきっと、あの数年が、どうしようもなく好きで、愛おしくて、諦めきれては無いのだろう。そう顧みる私にしかし、ようやく希望が見え始めたのだ。

 

 ルドウイーク。彼の、あの異境からの来訪者の手によって、エリス・ファミリアは少しずつ、だが着実に、力を取り戻し始めている。優しい彼の、その力に甘えてしまっているのはわかる。だが、私はなりふり構ってはいられぬのだ。

 

 必ず、全てを清算して見せる。過去の自分の愚かさと、どうしようもない不運と、どうにもできなかった悪意の全てに、ケリをつけてやるのだ。きっと、きっと。

 

 きっと! 涙を拭いた私は、顔を上げた。

 

 

 

 

 ――――目の前に映るのは燃える大樹。周囲は白い花畑。

 

 眼を見開く。知らぬ(知っている)景色。ここはどこ? 首を巡らせて、気づく。

 

 赤い月。大きな大きな、月。その直下に、誰かが立っている。

 

 月を見上げる人影。羽根を畳んだ鴉を思わせる三角帽(トリコーン)。血に汚れた、重厚なコート。右手に握られた奇怪な武器(ノコギリ鉈)、左手にはラッパの様な工芸品(獣狩りの短銃)。不自然に感覚は歪み、その背丈も、体格も判断できない。だが、ただものではない。分かる。甘い甘い、匂いがする。月の香りに、血の匂いが。腹の底から蕩けてしまうような渇きと衝動が沸き起こる。欲しい。欲しい。()()が欲しい。あの子が欲しい。

 

 衝動に引きずられるかのようにふらふらと、私は立ち上がろうとした。だが、そこで気づく。影に。影、月の光を遮る影。

 

 人影しか見えていなかった視界に、何かが映り込む。月を背に、降りてくるものがいる。偉大なものが。水の音がする。ぴちゃぴちゃ。瞳が蕩けてしまいそう。

 

 あかいあかいつきのひかり。それをあびて、おりてくる。

 

 ちいさな、ひとのかげ。よくしる、ひとのかげ。

 

 ちじょうのひとかげをみおろす、そのかげは。

 

 わたしと おなじ

 

 すがたを していて ――――

 

 

 

<ー>

 

 

 

 

<ー>

 

 

 

 

<◎>

 

 

 

「――――おい」

「っ!?」

 

 かけられた声に、弾かれるように顔を上げる。周囲には靄と、土と、墓。共同墓地。

 

 振り向けばそこには黒い質素なローブの、背の高い男。フードを目深にかぶり顔を隠す彼は、墓守だ。この共同墓地を古くより保ち、勢力争いから不可侵としてきた、神。

 

 その彼はうんざりとした顔で、私を見下ろして言った。

 

「……まったく。祈りの最中に眠るなど、正気を疑うな、お前は。ああ(いや)(いや)だ。ここに来る神は少なくないが、そこまで祈りに身の入っていない奴は初めて見たぞ」

「ちょっ……それは言い過ぎ……」

「云い過ぎなモノか。長く祈る者はざらだが、随分と長いじゃないかと様子を見に来てみればこれだ。まったく笑えん」

「ぐっ……」

 

 目深にかぶったフードの奥から金色に輝く瞳が私を見据え見下し、言葉が私を打ち据える。いいじゃないかそのくらい。なんて心中で言い訳してみるが、この神には墓を用意してもらった恩がある。ここでのマナー以外を求められたことはないが、それ故に逆らうべきではないというのはわかっていた。

 

「…………すいませんでした。ちょっと疲れてるのかもしれません」

「そうかそうか。近頃随分と仕事が忙しいようだな? 私としては、適切な場所での、適度な昼寝をお勧めするぞ? あれはいい。誰にも迷惑かからんし、金も掛からん。お前には丁度良いだろう」

「ぐっ……別に間違ってないけどなんかムカつく……!」

 

 私よりずっと身長の高い墓守はまるで視線を合わせるかのように身を乗り出し芝居がかった仕草を見せた。付き合いは短くないが、この神のこう言った所には未だ慣れない。なんとか一言言ってやろうと私はちょっと靄のかかったような思考をフル回転させようとする。そこで頭に浮かんだのは、先ほど墓守が口にした一節だった。

 

「……ずいぶん長く」

「ん?」

「ずいぶん長くって言いましたよね。今、何時ですか」

 

 さっと血の気が引いてゆく。顔が青ざめるのが解る。少し震え、足元がおぼつかない。そんな私の様子を金色の瞳でじっと見つめて、それからさらに一拍置いてから、墓守は口を開いた。

 

「……それはもう、随分と長く微睡(まどろ)んでいたようだからな。私もそろそろ昼にするかと思っていたところだ。むしろ、お前には早くお帰り願って――――」

「すみませんでしたこれで失礼しまっっっす!!!!!!!」

 

 彼のいちいち長ったらしい話に付き合うのをやめ私は全速力で墓地を後にした。未来が見える。開店前準備をすっぽかし、あまつさえ開店にさえ間に合わず、土下座しまくって憐れみを買おうとする自分の姿が――――!!

 そんなのはいやだ。普段からそんなことしてたら、いざってときの土下座の価値が低くなる!!!

 

 私は損得勘定を冷静にはじき出す明晰な思考を脇に放り捨てて、必死になってオラリオの石畳を走った。不思議と体は軽い。だけど私にそんな事を気にする余裕の一つもなく、遥かに聳える我らが【摩天楼(バベル)】へ――――そこにある、ヘファイストスの店へと、全速力で急ぐのだった。

 

 

 

 

 

 

 ――――間に合ったか。

 

 中央広場にたどり着き、空を見上げた私はひとつ息をついて周囲を見渡した。

 

 アンドレイ殿のおかげで手早く済んだとはいえ、それでも【仕掛け大剣(ギミック・ブレイド)】のメンテナンスは一仕事だ。大きな影響のあるロスでは無いが、既に日は沈み、迷宮(ダンジョン)から戻ってくる冒険者の姿もまばら。一人残してきたレジーナ殿には申し訳なかったが、念のため早めにゴブニュ・ファミリアへ向かったのが功を奏したと言っていいだろう。でなければ、エドの愚痴に付き合わされたあの時間が本当に命取りになりかねなかった。

 

 さて……。私は一息つき終えると、荷の確認を行う。二振りの大剣――――【仕掛け大剣】、そして<月光>。同時に小さな背嚢(バックパック)と装束の各所に隠した道具達。

 大剣を二本背負い行動する私はあまり大きな背嚢を身に着ける事が出来ず、その分装束は運搬性能をこれでもと高めた作りになっている。最も重要なロキ神からの封書は懐の奥に。秘儀に使う幾つかの魔石袋と狩り道具、エリス神から(たまわ)った【神血(イコル)】なども装束へと隠している状態だ。

 

 装備に問題はなし。体調も上々だ。18階層への地図も所持し、暗記も終えている。以前の経験を加味しても道に迷う可能性は低い。では出発するかと、【摩天楼】の根本へと足を向ける。すると、【迷宮】に通じる入り口の近くで集まる、冒険者の集団が目に入った。

 

 一目見て、違和感に気づく。単一ではない、幾つかの【ファミリア】がそこには集っていた。皆、これから『冒険』に行くという雰囲気ではない。鬼気迫る、切羽詰まった雰囲気だ。

 

 何かの依頼による合同部隊だろうか? 【ロキ・ファミリア】の遠征に関する……だが、そういった話はロキ神からはなかった。あればとうに話しているだろう。ならば……?

 

 私がそう思案していれば、そのうちの一人――――サポーターに見えるような旅装用のローブに身を包んだ黒髪の少女がこちらに気づき、大きく手を振り回した。

 

「ルドウイークくぅーーーん!!!」

 

 その声に聞き覚えのあった私は驚愕を隠せなかった。それは、以前にも何度か顔を合わせたことのある声…………少女でも、サポーターでもない。【ヘスティア・ファミリアの主神たる【ヘスティア】の声だったからだ。すでに静まっていた中央広場に響く声に、その声に一種の焦燥を感じ取った私は思わず足を速める。彼女の周囲にいる冒険者たちも私へと怪訝そうな目を向けている。様々な意味で、無視できる状況にはないと察する事が出来た。

 

「ヘスティア神、お久しぶりです。その……」

「ルドウイーク君! 本当(ほんっとう)にいいタイミングで現れるね君ってヤツは!!」

 

 その格好はどうしたのか、などと問う前に、ヘスティア神は喜びで跳ねその二房の黒髪を振り回しながら快哉の声を上げた。そんな彼女の様子に周囲の冒険者たちは顔を見合わせる。一方でヘスティア神は驚くべき速さで私の懐まで接近し、有無を言わせぬ勢いで私の右手を取った。

 

「実はベルくん達が帰ってこなくて今から皆で助けに行くんだけど是非君にも来て協力してもらいたいんだ本当に少しでも確率を上げたくてエリスへの謝礼なら可能な限りは頑張らせてもらうからぜひとも頼むよボクの本気のお願いなんだこれはマジで!!!!!」

「待て待ってくれ、その、少しゆっくり話していただけませんか」

「あ、ごめんよ……!」

 

 捲し立てるように叫ぶように話す彼女を諭すと、少しは落ち着いたようで事情をぽつぽつと語り始める。

 

 クラネル少年が【中層】への挑戦(アタック)に向かったまま戻ってこないこと、彼らを救援するために【救援依頼】を出したこと、それと同時にクラネル少年のパーティへのモンスター群の押し付け行為――――【怪物進呈(パス・パレード)】を行ってしまったという【タケミカヅチ・ファミリア】の協力を取り付け、更には【ヘルメス・ファミリア】の介入もあって複数のファミリアによる連合部隊を組み中層への突入を行うこと、そしてそれに、神たるヘスティア神、そしてヘルメス神が同行するとの事であった。

 

「そこで、あー、そういうわけなんだけどさ! ルドウイーク君にもぜひ協力してもらいたいんだ!! 頼むよ!!」

「そう言われましても……」

 

 既に泣きそうな勢いで懇願するヘスティア神に私は困惑と逡巡(しゅんじゅん)を隠しきれない。私は現在、ロキ神からの依頼を遂行中の身だ。それに伴い確かに中層を通過するが、目標地点は18階層。クラネル少年らが挑んだとされる13階層には確かに行くが、あくまでも通過地点だ。

 

 私個人としても、クラネル少年やあのヴェルフという青年の無事を願ってはいたし、負い目もある。自分たちの都合のために、彼らの誘いを断っているのだ。だからこそ可能なら同行したかったが…………中途半端な考えで双方に手を伸ばせば、必ずどちらかを、最悪両方を取りこぼす。それはヤーナムの<夜>で、我々がさんざ経験したことだった。

 

「……申し訳ない。私も中層には向かいますが、捜索に協力するのは――――」

 

 そう言って、断るべく頭を下げようとしたその時だ。光が見えた。導きの糸が。

 

 それはここにいる冒険者全員とヘスティア神から、迷宮の入口へと向かっていた。彼らだけではない。私からも、一筋の細い糸が伸びている。導かれている。それをはっきり見て取って、私は首を横に振って小さく息をついた。

 

「ルドウイーク君?」

 

 不安そうに私を見上げるヘスティア神。私は少し憮然と空を見上げこの世界の月を探したが、ちょうど曇り隠れその姿を直視することはかなわなかった。一方で背の<月光>が疼いた。導きから目を逸らすなと言わんばかりに。

 

「…………わかりました。13……いえ、14階層までは同行します、私は今別の依頼を受けていまして、おそらくそこで別れることになりますが…………」

「ありがとうルドウイーク君!! ぜんっぜん構わないさ! 無理を言ってるのはこっちだからね!! 本当にありがとう!!」

 

 礼を言いながらヘスティア神は私の両手をがっしりと握り上下にぶんぶんと振り回す。少々痛い。そして、そのまま冒険者たちの元へと引きずるように連れて行かれる。

 

 エリス神に何と言い訳しようか。しかしまあ、クラネル少年たちの命がかかっているのだ。私が怒られるくらい安いものだろう。そんな事を考えるうちにヘスティア神が私の手を離す。そして、集った冒険者たちに向け私の事を紹介し始めた。

 

「皆! なんとなんとド級の助っ人がきてくれたぜ!! 【エリス・ファミリア】のルドウイーク君だ!!!」

 

 大喜びで紹介され、私は苦笑いしながらも<狩人の一礼>で答える。周囲の冒険者たち――――精悍な青年と長い髪を一房くくった女性、そして片目を髪で隠した少女の三人は急な人員の追加を見てやはり困惑したかのように顔を見合わせていたが……やがて意を決したように頷き合い、青年が一歩前に出て小さく会釈をして見せた。

 

「ルドウ()ークさん……いや、ルドウイークさんか。俺たちは【タケミカヅチ・ファミリア】。俺は団長の【カシマ・桜花(オウカ)】だ。こっちは【ヤマト・(ミコト)】。こっちが今回サポーターを務めてもらう【ヒタチ・千草(チグサ)】。今回は俺たちの行動が原因で【ヘスティア・ファミリア】には迷惑をかけちまってな。アンタにも迷惑をかけるみたいだ、すまん」

「構わない。都合もあって途中までの参加となると思うが……よろしく頼む」

 

 団長とされたオウカ青年にそれぞれが紹介されるたび頭を下げるその姿に、随分と礼儀正しいファミリアだななどと考えながら私も頭を下げる。サポーター以外の二人は推定レベル2か。ヘスティア神を守りながら13~14階層を行き来するには不安な戦力だが……。

 

「ヘスティア神。これで全員ですか?」

「いや、まだなんだ。【ヘルメス】の奴がなんか時間食ってて……来た!!」

 

 問うた私に焦りも露わに否定を見せた彼女だったが、【摩天楼】から降りてきた一柱の神を見つけると声を上ずらせた。彼女の視線の先には二つの人影。

 飄々とした表情の、橙黄色の髪を持つ男神と銀枠の眼鏡の奥に神経質そうな――――いや。苦労していそうな視線を湛えた水色の髪の女性。

 

「彼らがそうかね?」

「ああ、【ヘルメス】と団長の【アスフィ】だよ。全く何やってたんだか、こっちは急いでるってのに!」

 

 問いを投げた私への返答そこそこに、二房の髪を揺らし苛立ちを露わにするヘスティア神。そんな彼女にヘルメス神は一度目を向け、私へと油断なく視線を巡らせた後、即座にそれをヘスティア神に戻して苦笑いを浮かべて見せた。

 

「いやあ、ちょっとばかし野暮用というか、手続きというか……やっとかなきゃいけないことがあってね。待たせてすまない」

「ホントだよっ!!」

 

 憤慨して今にも飛び掛からんとするヘスティア神を周囲のタケミカヅチ団員たちがまあまあ、となだめにかかる。そんな神の怒りをそよ風のように受け流して、ヘルメス神は私に視線を向けつつヘスティア神に首を傾げた。

 

「それで、こっちの彼は何だい? 話にはなかったと思うが」

「ああ、こっちはルドウイーク君。ボクの方で用意した心強い助っ人さ!」

「いや、偶然通りがかっただけなのですがね」

 

 先までの怒りはどうしたか、自慢気に胸を張るヘスティア神にふうん、と軽く答えた後、ヘルメス神はこちらを見据えて数秒思案に耽り、しかしすぐさま納得したかのように小さく頷いて右手を差し出してきた。

 

「【ヘルメス】だ、【白装束(ホワイトコート)】。こっちはうちの団長の【アスフィ】。よろしく頼むよ」

「【アスフィ・アル・アンドロメダ】です、よろしくお願いします」

「こちらこそよろしく頼みます、ヘルメス神、アンドロメダ殿」

 

 短く言葉を交わし、それぞれ握手を交わす。互いに初対面であるし仲を深めるほどの時間の余裕はない。目的は同じである以上、道中可能な限りのコミュニケーションをとっていくべきだろうが、まずは邪魔をしないように気を付けねばな。アンドロメダ殿のどこか同情というか、共感めいたものを感じさせる視線を感じながらそんな事を考えているとさあ出発だと号令をかけんとしたヘスティア神に、長い髪を一房くくっていた――――ミコト殿だったか。彼女が耳打ちし、ヘスティア神が視線を巡らせる。

 

 彼女の視線の先から、フードを深くかぶった人影が歩いてきた。

 

 女性だ。しかしその容姿は腰まで届くケープとそのフードに隠され、顔の下半分しか見えないために人相ははっきりしない。一見華奢ともいえる体格ではあるがしかし、こちらへと歩く立ち姿からは並々ならぬ実力を感じさせる。武装は二振りの小太刀と長い木刀。ヤーナム人からすれば木製の武器など頼りない得物であるが、こちらでの実績を知るわたしは見て取れた腕前からして並みの得物ではないのだろうなと一人推理する。しかし――――

 

 私の思索をよそに周囲の冒険者たちも彼女の気魄を感じ取ったか僅かに身構える。だがその中で一柱(ひとり)、ヘルメス神が数歩歩み出してこちらに振り返り、両手を広げ彼女の安全をアピールしてみせた。

 

「そう身構えなくて大丈夫だ。彼女は今回の救援のため呼んだ助っ人でね、実力はオレが保証するよ」

 

 白い歯を見せ笑うヘルメス神に、ヘスティア神は何か言いたげな、怪訝をうな視線を向ける。だがそれよりもやるべきことがあると思いだしたのか、彼女は首を振って二房の黒髪を振り回し、自身の胸の前で右手の拳を左掌にぶつけ号令をかけた。

 

「まあともかくこれで全員だね!? さあ行くよ! ベルくん救援作戦、スタートだ!!!」

 

 その声に皆が表情を引き締めダンジョンへと歩き出す中、期せずして最後尾になってしまった私は先頭を行く謎めいた救援の冒険者の後ろ姿に目を向ける。

 

 フードからわずかに覗いた薄緑色の髪と空色の瞳。どこかで見た記憶があるが……しばらく考えて、答えの出た私はもう一度首を傾げた。

 

 【リュー・リオン】。【豊穣の女主人】の店員がどういう経緯で?

 

 私はどうにもそれが気になったが、しかしそれを推察する材料も経験も持ち合わせてはおらず、オラリオという街の奇々怪々とした情勢がもたらしたものなのだろうということにして、遅れぬように彼女らとともに【摩天楼】の入り口をくぐりダンジョンへと突入した。

 

 

 





ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON 日本ゲーム大賞2024優秀賞受賞おめでとうございます。
来る12/10の"Secret Level"での一編も楽しみにしています。

ダンジョン内部の話は次回。また年単位でかかったらごめんなさい。

今話も読んで下さって、ありがとうございました。
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