ジョジョの奇妙な冒険~アメジストのif物語~   作:Tarako@如月銘酪

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始めましての方は始めまして!
あとこんにちは!(こんばんわ!おはようございます!)
Tarakoです!
残り一話で十五話です!ボリューミーな小説になってきましたね!

~これまでのリンク~
プロローグ
https://syosetu.org/novel/237782/1.html
一章一話
https://syosetu.org/novel/237782/2.html
一章五話
https://syosetu.org/novel/237782/6.html
一章十話
https://syosetu.org/novel/237782/11.html

千UAも越えてそろそろ死ぬんじゃあないかなぁ、とおもっている今日この頃です!


人物紹介
○ジョラル
主人公っぽくない。なよなよしてる。でも元気がある時はやる。

○四之宮理亜
SPW財団職員。しょっぱなから少し怒ってるっぽい。口は固くない。

○ジョセフ
珍しくあまりちょっかい出さない。なにやら友人は入院中

○瑠
星が大嫌い。夢を叶えるためにシスターの夢を叶える。

○シスター
またやらかした()こいつがいると事件しかおきない。

○神父
頭いいけど、そこまで洞察力は良くない。人を困惑させるのが好き


*あらすじ*
ジョラルは自分のスタンドも制御できず、そのまま戦いを挑むことに不安を覚える。理亜も同じような心境らしく…?


14話「サファイア」

 

【挿絵表示】

 

 

「誇れるほどの話でもないんだが、『サファイア』にも産地によって価値が違うんだ。サファイアの、色の濃淡が違うからなんだよ。」

磨かれたサファイアを、ささくれだらけの男らしい手が、すぅっと撫でる。

「じゃあ、このサファイアの産地全部わかるの?」

黒い長い髪が揺れ、それを束ねる髪飾りの宝石は太陽の光を反射し、チカ、チカ、と光る。

「うぅーん、まぁ、わかるかなぁ」

男は手にとって、一つずつ産地をあてていく。

「すげえ、ほんとにわかるんだ」

紫の瞳は、キラキラとその男を写した。

 

「ん"ご!!!!」

ぱちくりと目を白黒させ、ジョラルはやっと意識を自分に戻した。

「はぁ、はぁ、はあ…」

なかなか昔の事を見て、頭が混乱しているようだった。

「おはよークソガキ」

理亜は黒い艶のある髪をさらりと揺らしコーヒーを飲む。

「瑠があんたを襲うのは満月の日らしいわ。」

ジョラルは、理亜から受け取った緑茶を飲みながら、「え?」と聞き返した。

「んーとね、瑠の出現条件をまとめてみたの。全部に共通する点が、満月、夜、あと…雨が降った前日、または直後の水溜まりが沢山出来る時なのよね。」

ジョラルが、「つまり?」と先を急かす

「つまり、この事から、今週の金曜日、五時…雨が降る時刻に合わせて、廃ビルに行くわ。」

「まてよ、理亜、もしかしてだけど、ディオさんが落とされた所じゃ無いだろうな」

「ねぇ、あなたをバカとは言いたくないのだけれど、もしかしなくてもディオさんが落とされた廃ビルよ。バカなの?あ、ごめん。言うつもり無かったわ」

理亜が呆れ顔で話す。

「おいおい、無謀でバカなのはお前の方だろう、廃ビルはダメだ。瑠が住み着いてるんだったら、瑠の方が地形的に有利になってしまうだろ。」

理亜の中で何かが切れたらしく、即座に彼の襟首を掴み怒鳴った。

「うっさいわねぇ、友達を死なせておいて記憶の無い馬鹿には言われたくないんだけどさぁ、アンタねぇ、この中で一番スタンドの戦いになれていて知識が多いのはどっち?私よね?なんか勘違いしてるみたいだから教えてあげる。アンタなんてクソの役にもたたないわ!アンタのせいで押し付けられた仕事だって少なくはないんだからね!余計なことゴチャゴチャ言ってないで私にしたがってれば良いの!わかる?」

ジョラルはその剣幕に押され、驚いた顔で理亜を見つめている。

理亜は疲れたのか、はぁ、と一息ついてから、席に座った。

 

先程より険悪な空気が流れている。

ジョラルはさっきから、気になっていた言葉を、思いきって言ってみた。

「あのさ…『記憶がない』…って何?まるで俺が何かしていたみたいじゃん。記憶あるけど?」

理亜は、チッ…と舌打ちしてからボソッと付け加えた

「歴史が改編されたの。アンタはその被害者だから記憶がないの。」

(物凄い怒ってるなぁ…あんまり聞き返すのはやめとこう…)

理亜はとうとう限界が来たらしく、バン!と扉を閉めた。

ジョラルは伸ばし損ねた手をもとの場所に戻す。

「俺、分からないんだ。思い出せないんだ。誰かの思い出。すごく叫んでるのに、わからないんだよ…」

ジョラルは、むしゃくしゃしたからなのか、理亜と同じく、バン!とドアを閉め、自分の部屋のベッドにダイブする。

 

 

リビング

 

「ジョラルも困りもんだよなァ~」

ジョセフが、コーヒーを飲みながら、理亜に話を振る

「…困ったとかそういう次元じゃないですよほんと迷惑です。っていうか、ジョセフさん、ご友人の容態は。」

理亜が、自分の会話に突っ込んでほしくないらしく、話題を変える。

「おおっと理亜ちゃーん?その顔は「自分の話に突っ込んでほしくないから話題をそらした」顔だぜぇ?」

ジョセフがニヤニヤしながら理亜を指差す。

「は、ハァ!?そんな______」

「アンタは次に、『そんな憶測だけで簡単に言わないでください…!』と言う!」

「そんな憶測だけで簡単に言わないでください…!…っは!」

ジョセフはハーミッド・パープルを腕に伝わせながら、

「ははぁん、オレってばやっぱり天才?」

とコーヒーを飲む。

理亜はムスットした顔をして、礼儀正しく礼をしてから家を出た。

「…むずかしーんだろーなぁ、皆。」

ジョセフの友人がくれた花は、日の光を浴びて、さんさんと輝いていた。

 

 

「…夜、か。」

ジョラルがむくりとベットから起きる。

机の上に置かれたアメジストが、怪しく光る。

手を差し出すと、もうひとつの自分の 精神の具体化が、その上に手を置く。体温もなにもなく、ただ、その不思議な見た目の自分は、胸のうちに問い掛けてくる

「怖いのか。」

ジョラルは、手をぎゅ、と握る。

もう独りの自分の瞳はアメジストの深い瞳だった。

ズキン、と頭がいたくなる。

「目を背けるのは、怖いからなのか?」

ジョラルの握る強さが強くなる。

きっと見たことある、赤い光景。視界いっぱいに広がる、朱色の景色。

「い、やだ、目を背けたくない…!もう、いや、なんだ」

自分の具体化が、笑ったように見えた。

「なら、思い出せ」

 

黒玉の瞳が、なんの景色も写さなくなってしまった、あの、景色を。

 

「逃げない。逃げたく、無い。」

 

もうなにもない空間に、拳を握る。たしかに託された、誰かの希望のために。

 

 

*翌日

 

 

「ジョラル…あのさ」

理亜が、申し訳なさそうにジョラルを見る。

「理亜、ごめんな。思い出したんだ。」

ジョラルが、理亜の瞳を見ながら言う。

「…!本当、なの!?よかった…」

ジョラルが、顔を隠すように、理亜の手を握る。

「ごめん。俺、もう諦めないからさ。」

ポタ、ポタタ、とジョラルの瞳から涙が溢れる。

「…バァカ、ちょっと汚いからその手離しなさいよ。」

「俺、もう逃げないからさぁ、ほんと、ほんとに、ごめんなぁ、お願いだよ、手伝ってくれないか、きっと俺だけじゃ出来ないんだ。」

理亜が、シッシ、と手を払う。その後、ニヤニヤしながらこう言った。

「なにいってんのよ、私はSPW財団職員よ?手伝うために来たんだから、あんたも頑張りなさい。」

 

「あぁ、ありがとう…」

理亜は、くるりと背を向け

「ご飯できたってよ、いくわよ」

といって先に出発した。

テーブル越しに二人ですわる。

「んで、瑠仕留めたら、流れ的にシスターとも戦わなくちゃいけないわ。…奴の弱点がわからないから、私たちには痛手ね…」

理亜が、はぁあぁ、とため息を吐く。

「でも、とりあえず戦わないとダメだろ。それに瑠のスタンドなら俺は攻撃を見たことがある。一度受けた攻撃に二度食らうなんて羽目ははずさねーって」

理亜が、二度目の深いため息をつく。

「いい?そもそもスタンドに、強い、弱い、こーしたらすぐに再起不能になる、ってのは少ないのよ。そもそもたつ土俵が違うしね。一つ一つ別の能力があるから、それによって攻略方法を変えなきゃいけない。意外とめんどくさいのよ、スタンド同士の戦いは。」

ジョラルが目を見開く。

「まてよ、それって、どのスタンドも、「最強」になれるってことかよ!?」

「まぁ、そうなるわねぇ」と理亜があまり不思議ではない、というような言い方をする。

「でも、大切なのはそのつぎよ。スタンドが現れるって言うことは、表裏がはっきりするタイプ、性格が固定された状態。それになると、スタンドが生まれたり、またはスタンドが強化されるわ。そして等しくスタンドには弱点がある。それを見つけてその弱点をついて戦うのが正しい戦い方ね。」

理亜からもっと詳しくはなしをきくと、どうやらスタンドは生まれる条件も特殊だったり、自分自身がスタンド使いということに気付かない、ということもあるそうだ。

「なかなかおくが深い話だなぁ」

自分のスタンドが発現したのは、契との戦いの時だ。あの時、自分は何を思っていたのか、今では自分自身も良くわからない。ただ、自分がスタンド使いになることは無い、と思っていたから、とてつもなく驚いた、ということぐらいしかあまり記憶に残っていない。

「…でも、そうね。あなたが瑠の技を一度でも受けたことがあるなら好都合だわ。もしかしたらすぐに弱点が見つかるかもしれないわ。」

 

 

 

 

 

*廃ビル・屋上

 

「…んで、俺は何をすればいいんだ?」

ガーネットの瞳は、もはやなにも見えない。それは、彼自身が自分が回りを見ることを拒み続けた結果なのだろう。

「あなたは彼と戦ってくれればいいわ。私はその間に全てを終わらせる。うまく行けばすぐに塗り替えられるわ。」

ぶわ、とブロンドの髪が揺れる。

廃ビルのしたには、沢山の自動車、そしてビルが並ぶ。瑠の背中は照らされ、逆光のせいで顔はうまく見えない。

「…本当に、やってくれるんだな?…お前のことを信じているわけではない。」

「"ただの保険だ"…そう言いたいのでしょう?…安心してください。私の精神は尚も強くなりつつある。あなたの願い程度ならすぐにでもかなえられます。」

瑠がギロリとシスターの顔を睨む。

「じゃあなぜかなえない?貴様が先に夢を叶えれば、貴様の夢も確固たるものになるだろう。」

シスターは、どこか焦っている、と瑠の表情から汲み取った。

「なぜか、と?必然ですよ、あなたの夢を今ここでかなえたら、あなたは私の欲望を叶えてくれない。あなたはすぐに私のことを裏切るでしょう?」

不思議な虹色をする瞳が、瑠を睨む。虹色は濁った色をしていた。シスターが一歩、瑠の前に足を踏み出すと、瑠はぴくりと体を震わせた。

「それに、あなたは今とても焦っているように見える。」

瑠の手を握り、シスターは微笑んだ。

「我々は神の声を聴くことが出来ます。何も動揺することはない。救われたいのでしょう?」

その手に力が込められていく。きっと、「もう離してやらない。あなたと私は一心同体」と、言っているのだろう。瑠は、ポタリと頬から汗を流しながら言った。

「…ッチわかってる。俺は貴様を裏切らない。」

シスターは手をぱっ、と離し、「では、検討を祈っていますよ。」といって宵闇の中に溶け込んだ。瑠は、体の脱力感を覚え、ゆっくり座ると、固いコンクリートの上に身を委ねた。

 

 

 

「…君は、これから僕のすることを許してはくれないだろうね」

ジョナサンは、電話の向こう側の相手に、そうしてくれ、と願うように言った。

「あぁ、俺は許しませんよ。何もジョースターさんがやることじゃあない。…俺が代わりにやることだって」

受話器の向こう側の相手は、ジョナサンを諭すように言ってくる。行って欲しくないようだ。

「ただ、僕はこうでもしないと、自分の無力さを紛らわせないんだよ。残念なことに僕は、君のようにお人好しじゃない。」

決意を決めたようだった。受話器の向こう側の相手は、わなわなと唇を震わせている。

「だからといってもし自分が失敗した時の代わりなんて、作る必要がないじゃないですか!俺は言ったはずですよね、アンタが幸せを無くしちまうんじゃないかって!今まさに、そんなことをしようとしてるんですよ!俺はアンタに行って欲しくない…!」

ジョナサンは苦し紛れに笑った。…と相手は感じた。

「大丈夫。僕は負けない。負けたとしても、彼らが遣ってくれるから。…じゃあ、そろそろ切るね。」

受話器の相手は、まだなにか言いたそうに叫ぶ。ただ、ぷつんときれてしまったその時、彼はもうその家にはいなかった。受話器の相手は、何も出来ないのかと崩れ落ちた。

 




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次回十五話!お楽しみに!
アリーデヴェルチ!

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