【リレー】今日もカオスなもんじゃ焼き   作:リレー小説実行委員会

23 / 50

 もんじゃ焼きメンバーの皆様!!大変長らくお待たせいたしました!!
 ご注文のもんじゃが完成いたしました!!

 なお、全身全霊をもって調理いたしましたが、味の保証はいたしませんのでご了承くださいません。
 そんな話ですが、楽しんでいただけると幸いです。

 長くなりましたが、よろしくお願いいたします。(砂原石像)



 


継承  (砂原石像 作)

 

 

「諦めるもんか。  

 こう見えてさ? 俺────すごく怒ってるんだよな」

 

 

 いま流は、燃えるような怒りをその瞳に宿し、裏秋月四天王の一人である東雲と向かい合っている。  

 

「覚悟しろ東雲ッ!! 

 お前は必ず、この俺とお地蔵様が……………………って、ん?」

 

 だがその時、突然この場にドゴーンという音が響き、しばし辺りが土煙に包まれた。

 

「おー! 流とかいう坊主! ひっさしぶりじゃのう~!!」

 

 今、次元の壁を越えて……天高く空から降り立った”ファンキー爺さん”が、流たちの前に現れた。

 

 

「────VUM(ヴァム)に入れてくれ! 

 わしもベリーユニ・マージに入れてくれ! 一緒に戦わしてくれ!」 

 

 

 

 流と東雲たちがポカンとする中、目をキラキラさせたファンキー爺さんの声が、この場に響いた。

 定めを変える流れは、我々の予想もつかない方向へと流れているようである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日もカオスなもんじゃ焼き 第ニ順 5話

 

 継承

 

~■■■が■■になる分岐点~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 敵も味方も、蟲獣でさえも唖然とするこの状況で真っ先に動いたのは、本屋の客として老人と親交を深めていた”諸星(もろぼし)のどか”であった。

 

「ファンキー爺さん!! よかった。無事だったんですね!!」

 

「ああ、のどかちゃんか!! 元気そうで何よりじゃ。第三の世界というわけわからんところに飛ばされおったが、無事帰還果たしたぞい!! ……婆さんはどうしているのかのう? わしが居ない間に何かなかったか心配なのじゃが」

 

「ファンキー婆さんなら、お元気にしていますよ!! おじいさんが返ってくるまで必ずこの店を守り切って見せるって、張り切っていました!!」

 

「そうか!! ならば早く婆さんに会いに行かねばのう!!」

 

 よかったと彼は安堵する。

 もし、自分が居ない間に愛する妻に何かあったら、死んでも死にきれないところであったと思う。

 

 何があっても妻を守り抜く。かの地で散っていった”父親”に誓ったのだ。それは、今でも老人の中で息づいている。

 そのために、この老人は生きているのだ。  

 

 秋月流。そして彼が率いるVUMという組織が一体何と戦っているのか、老人には皆目見当もつかない。

 けれども。流達の戦いが彼の愛した父が眠っている世界を、愛する妻が生きる世界を守るための戦いであること。それだけはわかっている。

 

 老人は”秋月流(あきつき ながれ)”に問いかけた。

 

「流よ!!」

 

「ハイッ!!」

 

 彼はとりあえず、持ち前の元気さを発揮して返事をする。

 

「いい返事じゃ!! その威勢のよさ!! まさしく大和男児そのものではないか!! 気に入った!!」

 

 ファンキー爺さんはその威勢のいい返事に好感を抱いた。

 心優しく、志高く、それでもって元気な若者であるという評判は本当だったと確信する。

「秋月流という若者のために何かしてやりたい」という思いがわいてくるのを老人は感じる。

 

 彼は妻のために戦うと誓った。

 だが、この国の未来を創っていく若者を守っていきたいという思いも人一倍、彼の中にはあるのだ。

 かつて父から受け継いだものを次代に受け継ぐこと。これは、彼が妻を守ることの他に自らに課した信念である。

 

 彼の脳裏に、自らをかばって戦場に散った”父親”の姿が浮かんだ。

 彼が父親から受け継いだものはきっと若い世代に受け継がれるだろう。

 

 このつながりは未来のために過去の思いと希望ををつなげていくもの。

 過去の怨念と憎悪で未来を歪める遺影の、その在り方とは全く違う心の在り方がそこにあった。

 

 

「さて、もう一度言おうか。この老人を仲間に入れ「喜んで!!」……最後まで言わせんか馬鹿者!!」

 

 秋月流の1分もしない決断。ベンチャー企業の社長経験者らしい即決ぶりである。

 

 かくして、老兵はカオスになっていく世界から、未来ある若者たちと自らの愛する家族を守らんがためにVUMのメンバーとして戦場に舞い戻ることとなった。

 

 

 ファンキー爺さん が なかまに くわわった。

 

 

 

 

 

「さて、老人介護はもう済みましたか? いきなり、突然現れて驚きましたが、こんなおじいさんが一人加わったところで何が起こせるのでしょか。さあ、私のかわいいお人形さんたち。校舎を破壊しなさい」

 

 流達が話している間に秋月東雲(あきつきしののめ)がしれっと増やした蟲獣。都合100体以上。

 数の暴力が美星学園に襲い掛かる。

 

 だが、老人はこの光景に眉一つ動かすことなく、杖を突きながら蟲獣の軍勢に向かう。

 

「さて、さっそくだがリーダーにわしの力をお見せしよかのぅ」

 

「え!? 爺さん? 一人で大丈________」

 

 コツ。コツ。という杖の音に、軍歌が添えられる。

 蟲獣の一体にたどりつくと老兵は片手で軍刀を思いっきり振るった。

 

 

「キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイ!!」

 

 

 猿叫がグラウンドに響きわたる。

 その場にいた全員が、彼のほうを見ると、暴虐の限りを尽くしてきた蟲獣その一体が斜め真っ二つに切り裂かれていた。

 

「……え?」

 

 東雲の顔から嘲笑が消え、困惑が広がる。

 

 

 「チェリャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

 もう一太刀振るうともう一匹。今度は蟲獣の首が鉄のにおいがする赤い花にすげ変わっていた。

 

「……えっ!?」

 

 そして、蟲獣たちの主は困惑の顔を驚愕の顔に変貌させていた

 

「ふむ。化け物でも切れば死ぬのじゃな? なら、あの戦場と何ら変わらんのう」

 

「はああ!?」

 

 魔獣は自らを害する強者を本能で感じ取り、死にもの狂いで襲い掛かるも、それはもはや蟷螂の斧。片っ端から切り刻まれていしまった。

 

「な……何ですか!? あのお爺さんは!? 私のお人形さんがこうも簡単に!! ……いいえ!! 

 そんなはずは!!」

 

 ”秋月東雲”は目の前に突如として現れた理不尽に対し、半ば現実逃避をするかのように『スポナー』で蟲獣を展開していく。

 

 だが。

 

 

「チエストオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 

 猿叫とともに一振り!! 

 東雲が作り上げた「お人形さん」が、一刀のもとに切り伏せられる。その剣術の冴えは示を思わせる豪快なものであった。

 

 例え相手が百戦錬磨の兵士であろうと、悪の組織の戦闘員であろうと、現実離れの化け物であろうと、一太刀で切り伏せる。

 例え攻撃を受けようとも、否。攻撃の余地など与えず必ず仕留める。

 そういう覚悟のもとで放たれる剣戟であった。

 

 彼のファンキーな戦いぶりは見てて爽快なものであった。

 それを見ていた秋月流にファンキーな闘志がわいてきた。

 よし! と気合を入れて、彼は蟲獣を増やし続けている秋月東雲に向き合った。

 

「東雲! さっき、皆を馬鹿にした分きっちり返してもらうぜ!」

 

「くっ……。化け物一体仲間になって調子に乗っているのですか!? いいでしょう。私のお人形さんはまだまだ居ます。覚悟してください。あなたは確実に殺します」

 

「よっしゃ! 来やがれ!! 帰りうちにして説教かましたる!!」

 

【蟲獣使い】と【VUMの切り札(ジョーカー)】。

 

 奪うためと守るため。

 片方が勝てば必然的に敗者には未来はない。

 

 2つの信念が今まさにぶつかろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ファンキー爺さんのファンキーな戦いぶりは、加入してから3分と経っていないのにも関わらず、VUMメンバーをドン引きさせるものであった。

 

「ええ……。なんだよこの爺さん、化け物かよ……」

 

「私たちが苦戦したあの化け物たちがこんなに簡単に……」

 

「もう彼一人で何とかなるのでは……」

 

「待って!! 化け物がこっちに来るわ!!」

 

 こんなジジイ(化け物)相手してられるか!! とばかりに逃げ出した蟲獣(化け物)がVUMメンバー一同に襲いかかる!! 

 

 環いろはの強化魔法が切れた今、彼らは秋月東雲が言った通り一般人。対して蟲獣はファンキー爺さんの強さが桁外れなだけで普通に人を殺すことは可能な強さを持っている。

 素の実力で相手できるのは、室斑勝也(むろぶちかつや)渡辺摩利(わたなべまり)くらいなものだろうか? 

 

 絶体絶命な状態に立たされる一同。

 その蟲獣はトラの体躯とバッタの跳躍力、鷹の持つ飛行能力をもってVUMメンバーに襲い掛かった!! 

 

 

 ________その横から、猛スピードでトラックが蟲獣に突っ込んでいく。

 

 狂走するトラックは秒速5000センチメートルの速さで蟲獣を引き飛ばし、一瞬にしてミンチ(ひき肉)に変えてしまった。

 哀れ化け物は異世界へと転生しオリ主デビューを果たしたのであった

 

 

【悲報】わい蟲獣。まさかの異世界転生WWW【死んだンゴWWW】

 

 

 

 唖然とする一同の前に、急激にトラックが停車。 

 運転席から出てきた男の名は________”飯島直樹(いいじまなおき)”。

 生徒会長・秋月流のノリに唯一ついていける学園きってのトリックスターである。

 

 美星学園に通う生徒の中には「会長よりもこいつのほうがヤバい」と考える人さえもいるほどの問題児だ。

 軍刀ぶん回すヤバい奴に続き、しれっと無免許ひき逃げを行うヤバい奴が現れた。

 

 助手席から、顔が青くなった環いろはたまきいろはが下りてきた。

 よく見ると頭にたんこぶができているようだ。

 

 「見て……うい……。あれがルーベンスの絵だよ。……あれ、あれは彗星かな? いや、流星はもっとこう……ヴァーって感じだよね? ……ごめんね、うい。お姉ちゃんここまでみたい。ダメなお姉ちゃんでほんとごめん……」  

 

をい飯島ああああ!!!  

 

 一同のツッコミが響き渡る。

 てめぇ何しとんじゃ!! 

 軽く死にかけとるやないかい!! 

 

「ちょっと飯島! いろはちゃんになんてことしてんの!」

 

「ぐはっ!」

 

 ”岡島ナミ(おかじまなみ)”の戒めの拳が炸裂!! 

 ゴム人間にも効くだろうその拳は格闘タイプ。無免許暴走トラックひき逃げアタックを行うイカレ野郎は当然、悪タイプだろう。

 

 こ う か は ば つ ぐ ん だ! 

 

 

「大丈夫!? いろはちゃん!!」

 

「やちよさん? 今日はポイント10倍ですよね? 私も手伝いますから、一緒に行きませんか?」 

 

「いろはちゃん!?」

 

 秒速5000センチ飯島スプラッタマウンテンは少女のSAN値を削ってしまった*1ようであった。

 飯島は後でシバかれろ。

 

「あれ……? ここは……? 確か、飯島さんに手伝ってほしいと言われて……。そして……」

 

 少女は少しづつ正気を取り戻しているようだ。

 

「お前、どこ行ってたんだよ……」

 

「飯島先輩、そのトラック何でしょうか……。というより、無免許運転では……」

 

 ”早乙女アルト(さおとめあると)”と”ルカ・アンジェロー二”が飯島に問かける。

 同じ組織に所属はしているが感覚的には仲間の仲間といったところ。

 飯島が天才児で問題児でありなおかつ流の友達であるために彼の評判は知っている。だが、いかんせん付き合いがまで短いため彼の真意が見えにくかった。

 

 ちなみに、風紀委員であり彼の奇行に苦労していた摩利は「またかこの人……」とばかりに頭を抱えている。

 付き合いが長いのどかは軽く苦笑していた。

 

 そんな中、付き合いが長いもう一人。室斑勝也が確認するように問いかけた。

 

「武器を取りに行ってたのか」

 

「そうそう。この状況、流がスゲー奴になったとしてもさ……。もしかしたら、敵を取り逃がしたりするかもしれないだろ? そうなったら……。きっと流は俺たちを心配する。だからさ俺たちも流が安心して前を向けるようにってさ」

 

 友の質問に答えながら、トラックの荷台を開ける。

 中には”ビームサーベル”や”ビームライフル”、”ロボノイド”*2など、武器になりそうなものが雑に散らかっていた。

 

 彼は蟲獣がスポナーで召喚されたのを見て、「これは、俺たちにも危害が及ぶな」と判断した。先ほども書いた通り、いろはの強化魔法を使えない現状、最悪の場合死者が出るリスクを負うことになるだろうと予想したのだ。

 

 自衛のための武器が必要だ。そう判断しいろはを速攻で拉致。防犯用兵器倉庫へ駆け出す。

 目ぼしい武器を片っ端から持ち出し、トラックへの積み込みをいろはにしてもらう。

 そして、自身はトラックに騎乗しそれを運搬も可能な凶器として用いたのであった。

 

 そう、トラックというものは何も敵を異世界送りにするためだけにあるのではない。

 トラックは運搬も可能なのである。

 飯島直樹が環いろはを連れて行ったのは、何も少女にトラウマを植えつけるためではない。武器の調達の際、運搬に必要だと思ったからだ。

 

 前回の話でいろは自身が語った通り、魔法少女は基本的に身体能力が向上している。

 その上がり幅は、ただの中学生女子が普通に重火器を用いた戦闘を行えるようになるぐらい大きい。

 

 飯島直樹はそこに目を付けた。

 先ほど、いろははもう魔法が使えないといった。

 だが、単純な運搬力としては? 

 

 この場にいる彼らの中で秋月流を除けば、魔法少女の補正も相まって環いろはが一番力が強いのが現状である。

 言うなれば彼女は一般人の中に紛れたゴリラ。

 言語が通じるゴリラを活用しないという選択肢は飯島直樹の中には存在しなかった。

 

「お疲れ。いろは。助かった」

 

「うう……。お疲れ様です……」

 

 先ほどの戦闘と飯島に振り回されていろは。何とか正気を取り戻せたが、少しお疲れぎみのようだ。

 流の負担を減らしたい。その気持ちはわかるけども……。

 一同は、そう思いながらも飯島に対して微妙な目線を送った。

 

 中学生に無理やり力仕事をさせた後、猛スピードで揺れる車内の中でグロテスクな光景を見せるという乱暴な行いは後で説教ものだろう。

 現在この場にいなかったファンキー爺さんもその説教に加わるに違いない。

 

 そんな周囲を全く気にせず、一匹のアホはどや顔を決め言い放つ。

 

「40秒で支度しな」

 

「お前それ言いたいだけだろ」

 

 だが、時間がないのも事実。彼らは急いで準備に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 彼らは各々、トラックに積み込まれた武器を見た。

 

「”ビームサーベル”か……。竹刀の要領でいけるか……」

 

「”ロボノイド”……作業用の機械ですけど、この状況だとありがたいですね」

 

「わあ! 銃を撃つ機会があるなんて! まるでサスペンスね!」

 

 それぞれ武器を取っていく中で、飯島はアルトに”それ”を見せた。

 

「アルト。お前ならこれを使いこなせるのではないか?」

 

「!? 確かに俺はこれを使いこなせるが……。いいのか? これは準備に時間がかかりすぎるんじゃないのか?」

 

「心配するな。準備が終わるまでの時間は稼いでやる。その間お前は俺が運転するトラックの中で準備してくれ」

 

「……俺に死ねと!?」

 

「ルカと虚先輩の分も用意した」

 

「更に犠牲者を増やそうとするんじゃない!!」

 

「流が心配じゃないのか?」

 

「……わかったよ。……ったく」

 

 早乙女アルトは敵と戦っている秋月流を見た。

【徳】いう力で戦えているがこちらをカバーする余裕はないようだ。

 よく見ると、敵は隙をついてさらに化け物を差し向けているようで、そのたびに流が少しあった様子を見せていた。

 あのバカのことだ。きっと周りのことも心配になって、敵にペースを握られているのだろう。

 

 

 ……学校のことは俺たちに任せろ。

 生徒会は……VUMはお前ひとりだけの組織じゃないんだ。

 

 あいつができないところは俺たちがカバーしてやる。

 

 ____________俺たちがお前の”翼”だ。

 

 

 そう誓い、副会長はトラックの荷台に乗り込む。

 ……死を覚悟しながら。

 

 

 

 

 一太刀。二太刀。三太刀。

 渡辺摩利はビームサーベルを振るい、蟲獣を捌いていく。

 

 元より、剣術が得意であった彼女が強力な剣を持ったことで強力な戦闘能力を発揮することが可能になった。

 その火力は現在のメンバーの中でも随一になった。

 

 そんな彼女の隙をついて蟲獣が迫る。

 だが、そんな蟲獣を横から殴り飛ばす猛者が一人。

 

 室斑勝也だ。

 彼は空手の名手であり、その拳は固い甲殻をもつ蟲獣を素手で殴っても怪我は見られない程堅く鍛えられたものである。

 

 そんな彼の手には手を保護するプロテクター。

 これによって、思いっきり拳を振るえるようになった彼は、摩利の隙をカバーするように立ち回る。

 

 火力と防御。

 それを両立する武術コンビはVUMの中でも頼もしい戦力であった。

 

 

 

 

 防犯用の槍を振るうのはナミだ。

 彼女はもともと自衛のために棒術を習得していたが、今回長物をもってなかったが故にその技術をもてあましていた。

 

 しかし、飯島の持ってきた武器の中に入っていたそれは彼女にとってちょうどいい武器であった。

 振るうたびにスタンガンのように先端から電流が走る。

 これは蟲獣の足止めに有力に働いていた。

 

 電流にしびれた蟲獣を殴り飛ばすのは機械の腕。

 上が開いている箱に手足をつけただけの単純な構造のそれは、”ロボノイド”と呼ばれる作業用機械である。

 採掘作業にも耐えうるその機械は蟲獣に対しても有効打を与えられるものであった。

 

 諸星のどかの戦闘能力を補佐するため彼女が操縦することになったのだが、案外適正というものはあったようだ。

 

 そして、彼女の後ろに座りボウガンで援護をしているのは環いろはだ。

 彼女はもう魔法を使う余裕がないようであるが、普通の攻撃ならある程度はできる。

 

 微力であるが、貢献したいのだ。

 

 

 

 そして、あたりを暴走するトラックが一台。

 クレイジーライダー飯島だ。

 

 荷台にいる人たちのことなどお構いなし。

 秒速5000センチメートルの速度で蟲獣をバンバンはねていく。

 

 そして、最前線でファンキー爺さんが、ばっさばっさと敵を薙ぎ払う。

 彼はこの戦場において、切込み隊長的な役割を担っていた。

 

 戦場において優秀な切込み隊長は、自軍の士気を格段に上げてくれる働きを持つという。

 そして、士気というものは戦場において、需要なファクターである。

 

 戦場で戦うのはいつだって最前線の人間だ。そして人間である以上、精神というものにある程度左右されるのだ。

 士気が低く、頭数だけそろえた集団と士気の高いたち少数の兵士であるなら、後者のほうが戦場でいい働きをするだろう。

 

 そして、高い士気は勢いを生む。

 古代中国の兵法書「孫子の兵法」において、勢いは戦場において重要である。と書かれるくらいだ。

 

 勢いを制するならば、戦場を制する。

 彼の働きによってVUMメンバーの皆はさらに快進撃を続けた。

 

 

 

 勢いのまま快進撃を続ける彼らであるが、それでも対処しきれないタイプの蟲獣が居た。

 空を飛ぶタイプである。

 

 そう。現時点でメンバーの中に対空手段はいろはぐらい。

 空の蟲獣の対処には遅れが出てしまうのだ。

 

 ふと、いろはは空から蟲獣がこちらを囲っていることに気が付いた。

 空から方位をした蟲獣の群れは、一斉に空からの強襲を仕掛けた。

 

 そんな中、急停止したトラックの荷台から3つの影が飛び出していった。

 それらはそれぞれの方向に分かれて、空を飛んでいく。

 彼らが纏っているのは”EX-ギア”*3と呼ばれる、パワードスーツの一種だ。

 元々、パイロットスーツとして運用されるそれは、対空戦用の装備として存分に活用されたのであった。

 

 ”ルカ・アンジェローニ”

 ”布仏 虚(のほとけうつろ)

 ”早乙女アルト”

 

 学校祭に向けて飛行の練習をこなしていた為か、それともこのスーツを使いこなす”才能”があったためか。

 

 __________この戦場の空は、もうすでに彼らの独壇場であった。

 

 

 

 

 

 【徳】の力をその身にまとった。秋月流に秋月東雲が生み出した蟲獣共が迫る。

 東雲がその魔獣の個体名を呼び、秋月流への殺害を命じた。

 

(上からくるで!! 気を付けろ!!)

 

 カジキの角を思わせる嘴を持った巨大なキツツキが、螺旋の軌道を描きマッハを超える速度で流に突貫する。

 一度きりの運用を前提として、速度と破壊力だけを融合によって強化された怪鳥は、敵対した相手を確実に仕留める矢として運用される。

 当たれば確実に相手を殺しうる、秋月東雲の持つ必殺の手札が一つである。

 

「よっと」

 

 だがしかし、【徳】の力の賜物か。彼にその攻撃は当たらない。

 蟲獣の攻撃をひらりと回避して次の攻撃に備える。

 

(次くるで!!)

 

 高度1000メートル上空から、巨大な羽をもつ象が重力による加速を伴い、秋月流へ衝突する。

 これもまた、一度きりの運用を前提にしてトン単位の巨大な質量と、それを宙に浮かび上がらせる巨大な筋肉量を強化された怪物は、敵対した相手を確実にミンチにする鉄槌として運用される。

 

(こういうときは【徳】を身体に纏ってと)

 

「いくぜ!! 昇竜拳!!」

 

 その程度の暴力では、”徳”の力を纏った秋月流をつぶすことはできぬ。

 掛け声とともに繰り出されたアッパーカットによって、鉄槌のような怪物はお空の星になった。

 

 確殺の手札を立て続けに潰された参の遺影の当主は、本家の当主に対する怒りをもって、次なる手札を切る。

 

「……ん? なんじゃありゃ?」

 

『スポナー』を構えると、東雲の周囲に手のひらサイズの小さなウサギが大量に召喚される。その数400。先ほどまでに飯島を追跡していた100を追加し、合計500のウサギ軍団が組織された。

 

 なぜウサギ? と首を傾げる流は、そのウサギがただのウサギではないことに気が付いた。

 

 まず、そのウサギの背には鳥のような羽が生えていた。

 次に、そのウサギの歯はピラニアのような形の鋼鉄であった。

 そして眉間にはカブトムシの角が生えていた。

 

 そう。このウサギは鉄さえもかみ砕く咢に、首を切り裂く角を持つ蟲獣。

 虫とウサギを掛け合わせた繁殖能力と、人の血肉に集まる習性を兼ね備えたその群れは、適当に街に放っただけで壊滅させることができる死の集団。

 

(気を付けろ!! これ食ろおたら流石に厳しいで!!)

 

 500羽のヴォーパル・バニーが、秋月流に襲い掛かる。

 無数の角と牙は、秋月流の肉体に傷をつける。

 

 しかし”そこ”止まりだ。

 

 

「おおおおりゃああああ!!」

 

 叫び声をあげながら、放たれた青い光は、ウサギたちを纏めて焼き払う。

 運用次第で美星学園に絶望をもたらせたかもしれない怪物を、わざわざ一か所にまとめて吹き飛ばされる大チョンボ。

 彼女が冷静さを失っているということがうかがえた。

 

「……っ!! 次!!」

 

 蛇とムカデが合わさった外見をした蟲獣が口から猛毒の液体を大量に流す。

 その液体はいかにも毒っぽい紫色であり、それが流れる光景はまるで紫色の滝であった。

 

 この蛇ムカデなる蟲獣はムカデをベースに、実に敵を毒殺するためにあらゆる毒をもつ生物を掛け合わせた亜竜。

 その猛毒はインド象ですら、2秒もかからずに殺せる即効性の猛毒であるはずなのだが……。

 

「効か────────────ん!!」

 

 まあ、当然ですよね。

 

 毒を”徳”で無力化した流れは、蟲獣の吐き出す毒の滝で修行のまねごとをして遊んでいた。

 彼の恰好は道着であるためか妙に絵になっているのが、余計に腹が立つ光景であった。

 

 毒の滝が止むと、何事もなかったかのようにマッチョダンスを踊りだす標的を見て、蟲獣は「やってられるか」とばかりに不貞寝してしまった。

 

 余りに______。余りにも一方的な蹂躙であった。

 その光景は、秋月東雲に理不尽というものを体感させるものであった。

 

 自らの感性と技術を総動員して作り上げた自慢の「お人形さん」たちは徳を持つ選ばれしものに対してあまりにも無力。

 

「く……なぜ。なぜ!!」

 

 ナメクジのような蟲獣が背中から、触手を出しながら襲いかかった。

 高速で動く触手は鞭のように鋭く変幻自在の軌道で流を翻弄する。

 

「うおっ!? 気持ちわりー!!」

 

 そう言いながらも、触手を無視してサマーソルトキックを放つ。

 ナメクジの弱点は塩。

 サマーソルトが効かない道理はない。

 

 ナメクジは溶けた。

 

 

 その後も秋月流は、”電気ウナギの性質を持つネズミの蟲獣”、”モルモットとクルマエビを掛け合わせた蟲獣”、”犬とウナギの蟲獣”など様々な蟲獣を倒していく。

 

 参の遺影に伝わる【蟲獣使い】の業は【融合】、【使役】,【召喚】である。

 秋月東雲は天才的な感性で様々な生物を【融合】させ準備。

 様々な局面に応じて【召喚】。そして【使役】する。

 

 これが、【蟲獣使い】の戦法。

 代々受け継いだ邪悪なる業。秋月東雲は参の遺影から、怨恨と憎悪と共に【蟲獣使い】の業と称号を受け継いだのだ。

 

 これは、過去の影が未来を縛る、悲しい継承であった。

 

 

 

 秋月本家は代々、お地蔵様にお供え物をして【徳】を積み重ねる一族である。

 彼らは善意をもってお地蔵様にお供えものをして【徳】を継承していったのだ。

 

 秋月本家は代々バカだから、お地蔵様がいったいなんであるのかも忘れてしまった。そも【徳】を継承したことにすら気づいてなどはいなかった。

 けれど、「お地蔵様にお供えして祈りを捧げること」、これだけは大切なこととして継承している。

 

(みかえり)】があることなんて全く知らない。 

 誰かのために。自分の持っているものを分け与えること。

 代々の秋月一族が大切に思っていることであり、当たり前にそれができたこと。それを子供たち、そのまた子供たちに大切なこととして受け継いでいった。

 

 だからこそ秋月本家は膨大な【徳】を積み重ねていけたのである。

 

 しかし、「お供えもののセンスまで受け継いでしまったのはどうなのだろうか」とお地蔵さまは困惑しているのだが……。

 ともあれ、これは過去の思いが未来を助ける、暖かい継承であった。

 

 

 代々悪いことを積み重ねた一族が、代々よいことを積み重ねた一族に負ける。

 

 ___________________この構図はまるでお伽噺のようではないか。

 

 だが、それでもだ。

 お伽噺のように、敗北する”運命”など、受け入れられようか

 

 ”運命”が決まっているのなら、生きる意味などあるものか。

 

 正しい人が報われる。

 報われないのは、どこかその人に悪いところがあったから。

 世界が公正であるべきだという誤謬へ反逆するのは、いつだって”悪”であるのだから。

 

 秋月流(選ばれし者)に挑む裏秋月の遺影(選ばれなかった者たち)は、そういう”悪”だ。

 

 秋月流が世界征服を目指す限り、必ず向き合うことになる”影”だ

 

 

 

「東雲。もうやめないか? もう俺たちには勝てないことはわかってるだろ」

 

 圧倒的な力を見せてもなお食い下がる襲撃者を見かねてか、流は説得を始める。 

 もう、勝敗がついていることは誰の目に見ても明らかであった。

 

 仲間のことを馬鹿にされた。学校を壊されそうになった。仲間を傷つけられそうになった。

 そのことに対して、思うところは少しある。 

 だが、それ以上に彼は、見ていられなかった。

 

 

 蟲獣の使役がどういうものであるのか、彼は知らない。

 けれど、限界以上に力を振り絞っているのは、彼の目から見て明らかであった。

 

 彼以外に差し向けられていた蟲獣たちも、仲間たちの手で次々と駆除されておりもはや「詰み」であることは誰の目に見ても明らかであった。

 

「!! 黙れっ!!」

 

 東雲は、手に大砲を生成して放つ。

 流はそれに一切の反応を見せず、ただ当たる。

 

 しかして、それは彼に一切の傷をつけることはできず。

 ただ、彼女の疲労を悪戯に増やしてしまうだけだった。

 

「こんな”理不尽(うんめい)”!! 受け入れられない!! 私は!! 私のお人形さんは!! こんなに無力であるはずがない!!」

 

 必死になって叫ぶ彼女からは、嘲るような口調を保っていられるだけの余裕さえもなくなってしまっていた。

 全身から、玉のような汗を流し、その呼吸はフルマラソンを完走したかのような狂いようであり、見ているだけで苦しそうだ。

 

 早く止めないと。そう流は思う。このまま放っておけない。

 

 東雲は必死になって手に生成した銃を撃ちまくる。

 当然。効かない。

 

 そのことは彼女もわかっている。

 それでもなお食い下がる。

 

 彼女の濃い紫色の虚ろな瞳は執念をくべ、煌々と輝く。

 それはまるで、命を燃やして輝きを放つ光のようで。

 

 

 

 秋月流にとってそれは見ていられないものであった。

 

 ____ 生き急いでいる。何が彼女を駆り立てるのか。

 一族の怨念か。だが、それにしてもここまで命を掛けられるものだろうか? 

 

 秋月流はまだ知らない。なぜなら彼は、幸運にも知らずに生きてこれたからだ。

 

 東雲の様子を見て、彼はナハトムジークのことを思い出した。

 失った家族のために暴走した彼女の様子と、今ここで戦う彼女の様子はどこか似ている。

 そう流には思えてならないのだ。

 

 

「もしかして_____誰かのために戦っているのか?」

 

 

 

 

 

 

 エラーを起こしたロボットのように、少女の動きが止まった。

 

 その表情は能面のように感情を反映させないものになっていた。

 

 数瞬の間、この戦場は彼女のもたらした静寂しじまに包まれた。

 

 

 

 風が吹く。揺れる彼女の髪から、折り紙でできた紫陽花の髪飾りが落ちる。

 すると、動きを止めていたはずの少女はとっさにそれを掌にやさしく包み、大切なものを守るかのように胸元に抱えた。

 

「……それを知って、何になるというのです?」

 

 先ほどの激情を感じさせない、静かな声で彼女は問いかける。

 

「教えてくれ。大切な誰かのことを。もしかしたら、俺たちに何かできることがあったら手伝う。だから___」

 

 分かり合おうとする彼の言葉は

 

 

「じゃあ。死んでいただけますか?」

 

 

 凍てついた声に遮られた。

 

「……それは」

 

「あれ~? どうしたんですか? できることがあったら手伝うんですよね? ならどうして死んでくれないんですか? それとも、あなたのそれは偽善者ごっこだと言うのですかねぇ?」

 

 氷のような冷たさは消え、代わりに嘲笑の色が混ざった。

 

「……」

 

「フフフ。冗談ですよ。まさか本当に死んでくれるとは思いませんよ」

 

 どこか、どこかその嘲笑は、何かを誤魔化そうとしているように見えた。

 

「私はあなたを殺して【徳】を手に入れる。それだけが私の使命」

 

 嘲笑が消え、何かを読み上げるような無機質に変わる。

 

「そう。私は裏秋月家・参の遺影。第44代当主・秋月東雲。一族の本懐は、秋月本家を滅ぼし、彼らがもつ徳を簒奪し、そして私の家族の【不幸】を打ち消すこと」

 

 そう語る彼女の背後には、何か影のようなものが浮かんでいるように秋月流は錯覚した。

 

「そのために私は生まれ、そのために私は生きる」

 

 秋月東雲。裏秋月の怨念を受け継ぐ、影法師。

 受け継がれた影は、彼女の在り方も歪めている。

 

 秋月本家を滅ぼすか。道半ばで一切合切滅びるか。そのどちらかをもってしか、その歩みを止めること能わず。そのありようは活ける屍と大差はない。

 

 過去の裏秋月が遺していった無念。いまもなお、浮かび続ける影。

 故に遺影。憎しみが残したおぞましき残滓。

 秋月流が世界征服を目指す限り、必ず向き合うことになったであろう”影”だ。

 

「我が一族は無数の命を費やし、化生を作りし呪われし一族。屍を重ねて天に届きうる柱。故に我が命も、また費やされる一つにすぎぬ」

 

 そのあり方を聞いていると、秋月流の心に悲しみが湧いてきた。

 目的のために自分を大切にしない、そのあり方に。

 

 そして_____。

 ______大切にされているだろうにも関わらず、その価値を否定するかのような言葉を浮かべる彼女にだ。

 

 

 さっきの様子を見て、彼女は自分じゃない誰かのために戦っている。

 きっと、それは【遺影】から受け継いでしまった悲しいものだけではない。

 何か大切な理由があるのかもしれない。

 

 そう、秋月流には思えてならないのだ。

 

 秋月流はバカだが、大切なものを見失ったことはない。

 だから、彼女の心にある何かに気づきかけたのか。

 

「違う!! 君は!! 大切にされてきたはずだ!! 君じゃない、大切な誰かに愛してもらっていたはずだ!! それなのに! そんな悲しいことを_____」

 

 だけれども彼女を止めるためには「積み重ね」が足りない。

 

「黙れ!!」

 

 無機質な声が突如として、爆発するような声に代わる。

 悪戯に心の一部に触れてしまった。

 秋月流は自分の発言を少し後悔した。

 

「____っ……」 

 

「あらあら。失礼しました。余りにもお綺麗なことを言われるものですから、私の言葉はちょっと汚いようでしたかねぇ♪」

 

 そして、また嘲笑。

 それは心を隠す防衛機制か。それとも嗤うことでしか自分を保てないのか。

 その心を推し量ることはできない。

 

 彼女を止めたくば、力をもって打ち倒すべし。

 

「……あなたが徳の力を使ってからは、私の蟲獣は酷い有様ですね。折角私が、丹精込めて作り上げたというのにほぼ無傷で突破されて、一杯出したはずのお人形さんも、一人のおじいさんとさっきまで押してた筈の一般人の皆様に倒されて。嗚呼。なんて」

 

 ________________なんて「無常」なのでしょう。

 

 

 それは、嘆きというより自身に対する嘲笑であった。

 自分の力で一族に幸福をもたらすと誓ったはずなのに、それが本家の持つ”徳”の力に一切通じず、挙句の果てに一般人にすら片づけられてしまうという事実。

 

 自らの過信と傲慢。そして無力。

 自分の無能を。滑稽なあり方を。そして自分の「不幸」を。

 纏めて嗤うその様は、どこか人間的であり、狂気的であった。

 

 嘲笑の中、秋月東雲は計算を行う。

 

(さて。ここまで倒された蟲獣は総数の8割。そのうえでもう魔力もほぼ尽きた状態では、勝ち目は薄いといったところ。ここで留まると確実に負ける。けれど……おそらく、あの人には「最高傑作」も通用しないことは目に見えて明らか。次に備えるにしても結局は負けるだろう。……これが「運命」と思うと吐き気がする)

 

 だが、一つだけ。 

 彼女の頭の中に一つの考えが浮かんだ。

 

【逆天の鬼札】

 

 裏秋月の遺影がそれぞれ秘匿してきた必殺の一。【徳】に対抗しえる神の力。 

 この力をもってすれば、秋月本家を滅ぼしうるだろう。

 

 だが、これは代償が大きすぎる。

 もし、それが発覚した場合は、おそらく他の遺影は対策を講じるだろう。

 

【徳】を簒奪できたならいい。

【徳】の力と【鬼札】の力。二つの力があれば他の遺影はおそるるに足らず。

 だが【徳】を奪えず【鬼札】が露呈した場合は……。

 

 

「さて、こうなってしまったら、私に打てる手はたった一つしかないのですが」

 

「……まだやる気なのか」

 

「そこで一つ、賭けをしますか」

 

 少女はふと面白い遊びを思いついたかのように、それを提案した。

 

「賭け……?」

 

「ええ。これから私は参の遺影に伝わる奥義を使います。もし、あなたがそれを破れるのなら_______」

 

 

 ____________貴方に、私の事情をお聞かせしましょう。

 

 

「本当か!?」

 

「ええ。本当ですよ。だって、これが破られたらどの道私が勝てる道理はないわけですしぃ。それに……」

 

 

 ______________貴方がこれに勝てる道理など、ないわけですから。

 

 

 

 

 そう語り、

 秋月東雲は嘲笑う。

 

「運命」を味方につけた敵が、「運命」に裏切られて敗北する。

 その光景を想像しただけで笑いが止まらない。

 できれば自分の力でそれを齎したかったという本音も含めて、嗤う。

 

「そうか!! なら、こっちも全力で受け止めてやる!!」

 

「フフフ……。その余裕、それが崩れるさまを想像しただけで笑いが止まらない!! 後悔するがいい!! さっさと自分の命を捨てなかったことを!! お前はこれから、死ぬよりつらい目にあわせてやる!!」

 

「よっしゃ!! 来やがれ!!」

 

 そうして、秋月東雲は手にした大砲から巨大な砲弾を放つ。

 その砲弾は校舎に直撃するコースに向けて、一直線に飛んでいく。

 砲弾の大きさを考えると、校舎にあたった場合でも多少の損害で済む可能性のほうが大きい。

 

「!? あいつ、校舎に!!」

 

 しかし、秋月流は校舎をかばう。かばってしまう。

 少年の頭の中に浮かぶのは、かつて地盤沈下で崩壊した校舎だ。

 崩壊した校舎。周囲から上がる悲鳴。そして笑顔を失った顔。彼視点で4年前の出来事は、今もなお心の空白に収まっている。

 

 彼は一つのことに真剣になって考えすぎるという点においても、バカと呼べる性格だ。

 もう少し割り切った、いわゆるバカではない考えかたをするのなら、きっと美星祭が地盤沈下で沈んだことに対して、ずっと後悔するわけはない。

 ましては4年前に戻ってやり直そうだなんて思わないだろう。

 

 失うことを恐れすぎるのは、きっと前の世界線から受け継いでしまった欠点で、いまだに克服できない心の傷だ。

 馬鹿に付ける薬はない。だから焦らずにゆっくり、傷と向き合うしかないのだ。少なくとも今の彼は幸いにも一人ぼっちじゃなくて一緒に向き合ってくれる仲間がいる。

 

 だがこの瞬間、急激にそれを直す手段はない。

 故に、彼女の策は成功する。

 

 

 秋月流が砲弾を身体で受け止めた瞬間、至近距離で爆弾が炸裂した。

 炸裂したそれからは激しい閃光と轟音が響きわたり、至近距離が故に、彼はそれを諸に食らってしまった。

 閃光が止むと、今度はスモークが出てきて引き続き視界塞ぎ続けた。

 目と耳を塞がれた彼は暫くの間行動が不可能になり、秋月東雲は数瞬、自由に動ける時間を得ることができた。

 

 だが、流にとっては幸運にも______東雲にとっては不幸にもすぐに突風が来て、グラウンド一帯に充満していた煙を吹き飛ばしていく。すぐに煙は晴れるだろう。

 晴れていく煙の中で、秋月流はすぐに仲間たちの安全を確認する。

 

「皆!! 大丈夫か!?」

 

「流!! そっちは大丈夫だ!! それより敵のほうを見ろ!!」

 

 勝也の叱責によって、流は敵がいる方へ視線を向けた。

 

(そうだ。あいつは奥義を使うと言ってたはずだ。だとしたら……)

 

 秋月流はゾッとした。

 閃光と音と煙で十手分。

 更に、仲間のほうを気にした分さらに手数を失ったことになる。

 

 これだけの時間を稼がれた。

 きっと秋月東雲は何らかの手を使ってくるだろう。

 

(巨大な化け物を出してくるのか? それとも数えきれないくらいヤバい奴を出してくるのか? まさか大砲? 俺が防げないくらい、すごいやつを打ってくるのか? これだけの時間だチャージは充分だろうし______________)

 

 そして流は晴れ上がった煙の先を閃光の影響から回復した目で確認する。

 

 

「は?」

 

 

 

 そこには何もなかった。

 

 

 

 

(流! 気を付けい。もしかしたら、姿を隠す性質の敵かもしれん!!)

 

 お地蔵様の声にハッとなった。

 

(そうだ。あれだけ変な奴らがいっぱいいたんだ。カメレオンみたいなやつとかいても、おかしくはないな)

 

 秋月流はグラウンドに落ちてた石を馬鹿力でぶん投げる。

 小石はどっかいった。

 

(流!! 徳を目に纏うんや!!)

 

(なるほど、凝ですね!!)

 

 目に【徳】の力を纏って目を凝らしてみたが、誰もいない。

 

(待てよ!! まさか!!)

 

 そうだ。なんで気づかなかった。透明になれるなら、仲間を狙ってもおかしくはない!! 

 

 そう思い仲間たちの方へと駆け寄る。

 

「皆!! 気を付けろ!! あいつ!! 透明になれる奴を呼びやがった!!」

 

「ええっ!?」

 

「なんじゃと!?」

 

「……くそ!! まさか!!」

 

 透明になれる敵。

 襲るべき存在が近くに潜んでいるという事実は、一同に強い警戒心を与える。

 もしかしたら、すぐ隣にいた一秒後には仲間が一人消えている。

 そんな事態さえあり得るだろう。

 

 秋月東雲の放った蟲獣は、見えないという特性と、その特性以外未知数であるが故。心理的な圧力を存分に与える存在であった。

 

「皆、円形を作れ!! 爺さんと摩利、室斑を外側に!! 気配があったら教えてくれ!!」

 

「俺たちは空から来ないか警戒する!!」

 

「いろはちゃん!! 魔力的な何かを感じたら教えて頂戴!!」

 

「わかりました!!」

 

 この戦いの中で鍛えられた連携は、見えない敵に対しても陣形を作り、どこから来ても対応できるようになっていた。

 この戦いを通して、彼らは一つの組織として成立するようになったようだ。

 

 だが、見えない敵。秋月東雲の放った最終兵器に対して、どう効力を発揮するのかは全く持って未知数。

 最大限の準備をしても、それが通じるかどうかわからない。

 まさしく、恐るべき奥義と言ったところか。

 一瞬でも連携を崩せばどうなるかわからない。

 

 ________そんな状態でも、自分の意見を言える飯島の胆力は、いかばかりか。

 

 

「なあ……流? 化け物はともかく、あの女はどこ行った?」

 

「え……?」

 

 

 ………………。

 

 一同に沈黙が走る。

 

 

 

「いや。わからない。あいつも何か透明に……?」

 

「勝也。何か気配は感じるか?」

 

「……そういえば、何も感じないが。摩利は?」

 

「私も何も感じないな?」

 

「殺気の一つも感じないのう?」

 

「魔力も感じません」

 

「空から見てるが、あの女らしい人影は見かけねえな」

 

 

 

 ………………。

 

 一同に沈黙が走る。

 

 

 

「いや。奥義と言うくらいだ。気配なんて簡単に……」

 

「それならなぜ仕掛けてこないんだ? チャンスはいくらでもあるはずだが」

 

 

 

 ………………。

 

 沈黙が続く。まさかという思いが彼らの頭の中に駆け巡る。

 

 

「……まさか。見えない敵は、存在しないから見えないってオチじゃないのかな……」

 

 諸星のどかはとうとうそれを言葉にした。してしまった。

 VUMの皆の視線が秋月流に集まる。

 

 

「……いや!! そんなはずない!! きっとどこかで待ち伏せてんだ!! 敵がいなかったてことは無いはず!! おい!! いるんだろ!! 出てこい!! 早く来い!! というか来てくれ!! 来てください!!! このままだと、見えない敵がいるってずっとビビってた俺がバカみたいじゃないかちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」  

 

 

 

 

 結局、秋月東雲も見えない蟲獣も姿を現すことは無く、「Very Uni-Merge」の初陣はグダグダのまま終わった。

 

 

 自らの目的のために、慚愧の念すら捨て「最適解」を選べる恐るべき”敵”。

 どこまでも”運命”へあがき続ける敵が裏秋月の遺影であった。

 

 

 

 

 

………………………………

………………………………………………………………

 

 

 

 その眼はどこかの景色を捉えて映し出している。

 その風景はどこかの学校のグラウンドと思わしきところであり、そこには蟲と獣を掛け合わせたような怪物と少年少女(あと爺)が戦いを繰り広げているところだった。

 

 景色は周囲を確認するように動きやがて、一人の少女だけを映すようになった。

 そして、その少女の眼を捉えると倍率を上げるかのようにその眼に近づいていき、やがてその奥へと、頭の中に侵入するように映像は進んでいく。

 

 そして、瞳の奥の奥。

 抽象的な映像の群れにたどりつく。

 

 そこには、少女の今までの人生。これから辿るであろう「運命」。【彼女のアカシックレコード】と呼べるものがそこに映されていた。

 

 彼女の「運命」と「過去」が映し出されているところから、いくつかの映像がピックアップされたかのように大きく映し出される。

 そして、それはまるで映像が加工されるかのように変化していく。

 

 その映像のある部分が強調され、ある部分は最初からなかったかのように消され、時系列の前後を移し替えられていく。また、どこかから誰かの人生と思わしき映像が加えられる。

 

 こうして、編集された【彼女の人生を編集した映画のようなもの】が完成する。

 

 

 そして、その映像と同時に折り紙でできた紫陽花の花畑が浮かび上がる。

 紫陽花の大きさは様々であり、小さいものは子供の手に乗るサイズであり、大きいものは人一人隠れられるほどの大きさであった。

 

 その中に、映像の少女が幼い頃らしき姿が見えた。

 そして少女の前に【人生を編集した映画】が映しだされようとして________。

 

 

 _________________________映像が途切れた。

 

 

 

 

「チッ。ここでオリジン・ゼロの工作か。……ここで秋月東雲に自棄を起こしてもらえば、素晴らしい光景が見られたのにな……」

 

 

 闇を思わせるくらい部屋の中。

 唯一の光源であるスポットライトのような光が一人の「超越者」を照らす。

 

 彼の名はミスター慧眼人(エメト)

 世界を破壊し「Come True (来たるべき未来)」を作らんとする者である。

 

「 素晴らしい始まりを邪魔してくれたお返しに、彼の始まりも台無しにしてやろうと思ったんだけどね……。どうやら、彼らはそれを望まないと見える」 

 

【超越者】は続ける。

 

「だが……いいのかな? 僕の計画を止めるためには、彼には早く【人柱】になってもらった方がいいというのに」

 

 ミスター慧眼人は自らの名を体現する【眼】の権能を行使し、アカシックレコードを閲覧した。

 

 それは、一言で言うと視覚化された嵐と言えるものであった。  

 この光景は、複数の【神】が因果を捻じ曲げ合いできた、荒れ狂う運命そのもの。

 それは、遠く___未来___に行けば行くほど激しく荒れ狂い辿りつく先が読めないカオスそのものである。

 

 その果てはアカシックレコードのオリジナルを持つ【オリジン・ゼロ】でさえ観測することができないだろう未知の領域だ。

 

 しかし、だ。

(真理をたどる)】【(魔眼を持つ)】【(人を超えたヒトたる存在)】はその名が示す通り、超越者(法則を超えた存在)の中でも目にまつわる・見ることに特化した権能を持っている。それ故にその未来の果て。

 “因果の嵐の向こう側の光景”に、たどりついていた。

 

 

 

 そこに独りの【神】が浮かんでいた。

 

 その神はどこか満足気な、そして寂しげな笑顔を浮かべているようだ。

 

(そう。これこそが僕を滅ぼしうる存在。すべてを解決するデウス・エクスマキナ(独りよがりの絶対神)。そして________あの「道化」の到達点。)

 

 少し、ブレが生じているその映像を見ながら、超越者は嗤う。自らを滅ぼしうる存在を知りながらも嗤えるのは彼の異常性が現れている。

 

 そして、超越者は閲覧を止める。

 少し、ブレが生じているその映像を見ながら、超越者は嗤う。

 

 自らを滅ぼしうる存在を知りながらも嗤えるのは彼の異常性が現れている。

 

 そして、超越者は閲覧を止める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……フフフ。彼らは気づいているかな。”彼”が僕を止められる唯一の【切り札(ジョーカー)】。僕の計画を止めるため、彼にいくつもの試練を超えさせて【英雄】にしなければならないということに」

 

 それなのに。と彼は続ける。

 

「その試練の機会を、自ら摘み取ってしまうとはねえ!!」

 

 悪は嗤う。どの道、彼の計画は進むのだから。

 少年の不幸を止めれば、それだけ組織のリソースは失われる。

 そうすればその分「Cume True」の計画遂行が容易になるからだ。

 

「……さて、彼らには僕から試練を与え続けよう。オリジン・ゼロ、オールインワンの連中はそれをどれだけ止められるかな? まあ、止めたらその分僕の計画は進むわけだが!」

 

 これは、超越者が破滅へと進みながら、それを止めさせる罠。

 この罠は、無視されればそれだけで自滅しかねない罠である。

 

 しかし、無視をすれば■■■の幸せを奪いかねない最悪の罠でもある。

 

 

 慈善組織故に善良な人間が多い【オールインワン】に対しては、効果を発揮するだろう。

 そしてその組織と同盟を結ぶ【オリジン・ゼロ】に対しても同様だ。もし、少年を見捨てる決断をしたら、それがきっかけで同盟が瓦解する可能性が出る可能性すらはらんでいる。

 

 そうなれば、その隙をついて両者に致命傷を負わせられるだろう。

 

「ククク。もうすでに”環いろは””ワーキングプア侍”を秋月流のところに配置した弊害は出ている。”神名あすみ(かんなあすみ)*4”率いる”神浜市殲滅部隊(セイラム)”は優位をさらに広げたところ。”味のヤマモト”陥落後の”暗黒街の乱”も我らが先手を取った。”ドッグ・ヴィル”の”人狼汚染”はもうすでに二つの都市を滅ぼした。そのほかにも僕が造った能力者たちは、各地で猛威を振るっている!!」

 

「さあ、どうする!? 【道化】を連れていくか? なら、二つ目の世界をマイナスポテンシアで染め上げて崩壊させよう!! 」

 

「オールインワン・オリジンゼロをねじ伏せ、蔓延る超越者共を超え■■■さえも斃し、この僕が視るのはただ一つCome True来たるべき未来の理想郷だ!!」

 

 

 邪悪は嗤う。Come True来たるべき未来を見据えながら。

 

 

 

 ………………………………

 ………………………………………………………………

 

 

 

「ふう……。間に合った……」

 

 ここはオールインワン本部。

 組織のリーダー「ハセ・ガワ氏」は、自らのデスクでため息をつきながらもたれかかった。

 

 彼の目の前にあるモニターには、どっと疲れた秋月流達が映し出されていた。彼らはグダグダした戦いに疲れているようであったが、その顔にはどこか満足そうな笑顔が含まれていた。

 

 ”悲劇が起こらなかった”その光景を見て、氏は満足そうに頷いた。

 

 

 

 ____その一方で、その外側に備えつけられたサブモニターには残酷な光景が流されていた。

 

 肉体だったものが飛び散るグラウンド。壊れる肉体を無理やり再生させながら、味方を庇うために走り続ける少年。

 最後の言葉を遺していく少年少女。蜘蛛のような怪物の群れ。邪悪なる術によって造られた【悪魔】。

 

 そして、表情の消えた顔でその悪魔を殴り殺す____の姿がそこにはあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………事の発端は、世界を管理する”オリジン・ゼロ”から借り受けた”未来演算装置ラプラス”が、その可能性を示した時からだ。

 

 ミスター慧眼人が秋月東雲を絶望させて【逆転の鬼札】を使わせ、秋月流の【徳】を消耗させようとする可能性。そして、その過程で発生する悲劇だ。

 

 裏秋月家。遺影ごとに異なる形で持ち得る【逆天の鬼札】は、秋月流の【徳】を弱体化し、秋月流に致命傷を負わせられることさえ可能であることが示された。

 

 参の遺影に伝わる【鬼札】は【悪魔の創造】。蟲獣の融合の極致であり、異端。

 継承してはいけない負の遺産そのものである。

 

 悪魔。それは宗教における絶対悪。

 そして、悪魔の中には敵対宗教の神が悪意で貶められた結果、誕生した者もいる。

 

【徳】の力は、言い換えれば【神】の力。

 これは異なる神の力によって対抗することが可能であるのだ。演算装置は【神】の力によってもたらされる結果を、可能な限り予測した。

 

 

 秋月東雲が自らの肉体さえ用いて創造し、その創造主から肉体を奪った悪魔は、まさしく貶められた神そのものであった。

 

 その悪魔の力によって秋月流は【徳】による肉体強化を封じられ______”幸運”なことに再生は失わずに済んだ。

 

 _________一方的に嬲られる結果となった。

 

 壊れる体を再生させながら、仲間を庇い続けた流を見てられない仲間たちは、次々と命を懸けて悪魔と戦い命を失った。

 ”環いろは”もソウルジェムが濁る覚悟で強化魔法を使い、結果として命を失ってしまった。

 

 そして、秋月流は怒りのままに【徳】の力のほとんどを使い、肉体を【神】の領域にまで押し上げた。

 その代償として、魂が摩耗し心が砕けたが、彼にはそんなことは重要ではなかった。

 

 こうして彼は表情を一切変えずに【悪魔】を殴り殺した________。

 

 これが、演算装置が導いた最悪の予想だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………それを見たハセ・ガワ氏は激怒した。

 

 必ずやこの運命を覆さなければならない。

 といった感じで、彼はオリジン・ゼロの助けも借りて、ミスター慧眼人の介入を全力で阻止。

 見事計画を阻止することができたのであった。

 

「全く。アカシックレコードに注ぐ【徳】が失われる可能性もそうだけど、少年少女が傷つくところなんて、見たくはありませんよ」

 

 ハセ・ガワ氏はそう呟いた。

 不安はある。秋月東雲は次は【鬼札】を使ってくるはずだ。そのために準備を重ねているだろう。

 他の裏秋月の遺影が【逆天の鬼札】を引っ下げてくる可能性も、否定できない。

 さらなる敵が現れる可能性も、超越者たちの介入もあり得るだろう。

 いつでも「オール・イン・ワン」が助けに行けるとも限らない。

 

 

 ____________秋月流はどれだけ戦い続けなければならないだろうか? 

 

 

 

 ふと、気になって彼は映像の中の時を進める。日時は一日後。

 美星祭まで14日のあたりだ。

 

 どうやら、「 Very Uni-Merge(ベリー・ユニ・マージ) 」の結成式の打ち上げが行われているようだ。

 ヤングストリートにあるもんじゃ焼きで有名な迷店でそれは行われているようだ。*5

 

 この店は、8人の店員が勝手気ままにもんじゃ焼きの具材を決めて、お客様に提供する店だ。

 シェフの気まぐれ料理を常時全てのもんじゃで行うそのフリーダムスタイルは、まさしくカオス。

 

 だからか、この店の店名は【今日もカオスなもんじゃ焼き】という名前で呼ばれていた。

 その店の個室にて、結成式が行われているようだ。

 

 

 

 その様子にハセ・ガワ氏はほっこりした。

 この光景は悲劇の後には起こりえない光景である。

 そして、一人きりでは作り出せない光景でもあった。

 

 

 ハセ・ガワ氏は願う。

 どうかこの一時が、いい安らぎになってくれることを。

 

 どうかこのままこの少年が仲間と一緒に楽しく過ごせていることを。

 

 

 

 大人は願う。子供が過去の因縁を断ち切り、光を受け継ぎ、そして未来に向かうことを。

 

 そして、仲間が友と一緒に歩んでいける未来を。

 

 

 

 

 _______________美星祭まで14日。彼の運命はどこに流れつくのだろうか? 

 

 

 

 

*1
1d6

*2
出典:未来少年コナン

*3
出典:マクロスF

*4
出典:魔法少女まどか☆マギカ(?)

*5
なおハセ・ガワ氏の知るところではないが、どうやら流はサイゼリアかこの店かで悩んだらしい。






 作者さまのページ↓
 https://syosetu.org/user/146269/


 砂原さま、執筆お疲れ様でした♪

 もう私からは、何も言う事はありません。
 きっとこの作品を読んだ全員が、私とおんなじ気持ちでいてくれてる。と思いますから。

 ――――見たか、感じたか! 砂原さまの情熱をッ!!
 これが物書きの“魂”だッッ!!!!

 それでは! 5番手お見事でしたっ☆
 めっっっっっっちゃ面白かったZE!!!! 砂原さまありがとぉ~う♪(hasegawa)

 PS
 この作品内には部分的に、いくつかの【なんか不自然な箇所】があったと思います。
 それは、あえてそうしている意図的な物ですゾ! 皆さん!(ヒント)




☆もんじゃ焼き伝言板☆

 ここまで見ていただきありがとうございます。
 今回の話を楽しんでいただけたのなら大変ありがたく思います。

 あと、品質向上のためアドバイスがあったらご気軽に書いていただけると助かります。
 原作持ちキャラクターの動かし方とかキャラクター同士の会話とか、改善点がありましたらよろしくお願いいたします。

 もちろんよかったところを書いて頂けるのなら幸いです。うれしいです。最高です!恐悦至極にございます!!

 …あと、この話には【隠し要素】を入れときました。
 割と衝撃的な内容ですが簡単に見つけられると思いますので、そちらも是非試していただけたら幸いです。
(ただ、鬱・グロ展開注意です。先に見つけてしまった方についてはお詫び申し上げます。)



天爛 大輪愛様

 最高のバトン。私なりに継承させていただきました!!

 秋月東雲さんのキャラクターの解釈はどうでしたか?
 私なりに解釈をしてみたのですが、お気に召したのであれば幸いです。

 あと、ファンキー爺さんを生み出していただきありがとうございます!!
 彼の存在が、今回の話の着地点に大きく影響いたしました。
 彼が居なければこの話はもっと違ったところに行っていたと思います。

 アイネ・クライネ・ナハトムジークの話からずっと自分の手番が来るのを楽しみにしておりました。この話を楽しんでいただければ幸いです。

 重ね重ねお礼申し上げます。ありがとうございます!!



Mr.エメト様

 今回、あなた様の名前をしたキャラクターを動かさせていただきました。
 「彼」の設定、気に入っていただけたら幸いに思います。

 あと、私の書いた世界征服の会の三人、というより飯島君はどうでしょうか?

 なんか気づいたらどんどんクレイジーになってしまっているのですが…?

 

A-11様

 引き続き、設定をエスカレートさせてしまったこと、お詫び申し上げます。

 原作持ちのキャラクターの設定ともんじゃ焼きの設定をつなげて活かす手法は素晴らしいと感じています!実のところを言うと話に唐突に出てきた【武器庫】の設定は1巡目の校舎のセキュリティ設定から思いついたものです。

 次の手番、楽しみにしております!

 

マスターP様・街田和馬様

 この場をお借りして、挨拶をさせていただきます。 

 今日もカオスなもんじゃ焼きに参加していただきありがとうございます!
 歓迎の印として、今回の話を送らせていただきます!

 あなた方の手番が来るのが楽しみです!どういったアイディアでどういった展開で勝負するのか?私は非常に楽しみになっています!

 これからよろしくお願いいたします!!



3710様

 更にエスカレートさせてしまいました(白目)。

 実は私、今回の話で初めて流君を書かせていただきました。
 私なりに書いた彼を気に入っていただけたら幸いです。

 あと、生徒会メンバーの描写に関しても違和感なく受け入れていただけたら幸いにおもいます。
 ありがとうございます!

(砂原石像)



※このお話から続く番外編。

・【NG集】こういう未来もあったけど、オールインワンの方で回避しときました
 https://syosetu.org/novel/245415/6.html

・【スピンオフ】魔女の野望
 https://syosetu.org/novel/245415/7.html

・【スピンオフ】魔法少女こゆき☆マギカ
 https://syosetu.org/novel/245415/8.html

・【番外編】予告
 https://syosetu.org/novel/245415/10.html

・【番外編】結成式の一幕
 https://syosetu.org/novel/245415/11.html

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。