拳闘大会、マギが優勝を勝ち取り、街ではマギの優勝の話で持ちきりだ。だが、マギの途中のネギと小太郎を操るやり方が面白くないと文句を言う者もいた。
がマギ擁護派と反対派が白熱してしまい、野良試合が勃発。夕映達騎士団が止める羽目になるのであった。
ところ変わってネギと小太郎。
「アベアット」
ネギがアーティファクトで木乃香の能力で自身の体を回復させていた。
「流石に3分経ったから完全回復とはいわないが、傷が消えてるもんやな」
「コタロー君は大丈夫?」
「あーかまへんかまへん。もうピンピンや」
沈黙が起こる。なんとも言えない空気が漂う。
「ありがとうねコタロー君」
「おお、うん」
またも沈黙が続く。試合が終わってからこの調子のネギ。
「ごめん、僕がもう少し頑張ることが出来れば」
仕舞いには自分を責め始めてしまう。こんな時どんな言葉をかければいいか考える小太郎。
気にすんな。お前はよう頑張ったやろ。これを言っても今のネギには逆効果でしかない。
しゃきっとせい! 負けた事にいちいち気にしすぎや! これを今のネギに言うのは酷でしかない。
どうしたもんかとうんうん唸っていると
「ね、ナギさん!」
あやかと夏美とアキラがチーフとバルガスを連れて部屋に入ってきた。
「お疲れ様でしたナギさん。とても素晴らしい試合でしたわ」
「お疲れ様です! 凄かった試合。魔法とかまだよく分かってないけど心動かされた!」
アキラはネギの試合を賞賛してくれた。
「よ、よう無事かよコタ、ジロー君」
「何やね村上さん」
「ま、まぁ頑張ったんじゃない? まぁ別にかっこいいとかは一切思わなかったけど? 脇役は脇役なりに仕事したっていうかー」
「はぁ? ちょっとアンタ最近おかしいで? 口調も変やし、頭でも打ったか?」
「う、うるさいなー!」
夏美なりに小太郎を賞賛したようだが、小太郎自体はいまいち分かってない様子だった。
「まぁでもよく頑張ったじゃないか! あんな試合を見せてくれたら客達も満足だろうさ!」
チーフはネギと小太郎を褒めてくれた。アキラやチーフが賞賛してくれたがまだネギの表情が晴れてない。
「よぉ」
すると、ラカンが部屋へ入ってきた。
「ぎゃあ! 人間核兵器!」
「何やねんそれ」
夏美はマギとの試合でのラカンを思い出してびびり散らかす。
「ほーら人間核兵器だぞー」
「きゃああああ犯されるー!」
ラカンは調子に乗って夏美をからかう。
「それで何しにきたんやラカンさん。負けた俺達をからかいに来たんか?」
「まぁそれは2割ぐらいはあるかな」
「あるんかい」
小太郎がツッコミを入れる
「どうせ負けた事でまたウジウジしてると思ってな」
そう言ってネギに歩み寄るラカン
「ラカンさん…………」
「おーおー、随分と萎びれてるじゃねぇか」
そう言ってネギの肩を軽く小突くラカン。
「本当に見事だったぜ。最後の畳みかけは俺が食らってもヤバいと思ったほどだ。俺が教える事はない弟子卒業だ」
「ラカンさん」
「お前がこの試合に投入した新呪文の数々。『雷速瞬動』『常時雷化』『融合呪文』に『敵弾吸収陣』どれをとっても一流魔法大学の教授が腰抜かすような一級品だぜ。しかもよもやその一級品の切り札をさらなる奥の手で誘うとはな」
「ふ、私も驚いたぞぼーや」
とエヴァンジェリンの幻影も現れた。
「私の巻物の中で何をしていたかと思いきや、まさかの新呪文の開発とはな。それに、ククっ…………そう言えば貴様は天才少年魔法使いだったな。闘技場ではなく机の上、新たな魔方理論と魔法技術の開発の場こそが貴様の独壇場だったとわな。見事な解答だったよぼーや」
幻影はネギをそう評価した。
「い、いえそんな師匠。僕の独創は『雷速瞬動』くらいで、後は師匠の理論を後追いしたに過ぎず…………」
でも師匠、ラカンさんと続けるネギ
「僕のこの方向性に気付けたのは僕の力だけじゃないんですよ。僕のこの答えに気付けたのはあやかさんと扉の陰にいるトサカさんのおかげです」
扉の陰に居たトサカはびくりとする。
「誰かのようになるんじゃなくてもしかしたらスゴくないかも知れない自分のままで、それでも主役は自分だろって。きっと僕1人で悩んでいたら答えを見失っていたと思います…………あやかさん、トサカさん。ありがとうございます」
ようやく吹っ切れたのかあやかとトサカにお礼を言うネギ
「ね、ナギさん。私も貴方のお力になれたのなら本望ですわ!!」
「ケっ」
その後ネギのやり方が主人公ではなく博士ポジションと言われて場がどっと笑いの場になるのであった。
一方アスナがマギに文句を言おうと、マギの所へ向かおうとしていた。試合の中でマギがアーティファクトでネギと小太郎を操ったやり方が卑怯だと思ったからだ。
あやかはアスナに止めておきなさいとこれは試合で真剣勝負なのだからこそ試合で卑怯なことはないと、そう言ってアスナを止めようとしたが、正直者なアスナは納得がいかなかったからだ。
「ちょっとマギさん! 今日の試合の事で言いたいことがあるんだけど!!」
扉を思い切り開けて文句をマギに言おうとするアスナ。
一方のマギは先程までいろんなメディアからの優勝インタビューでようやく解放されて今は放心状態であった。
そんな事関係なくアスナはマギに詰め寄る。
「ちょっとマギさん聞いてるの!? マギさ────」
最後まで言い切れなかった。何故ならマギがアスナに月光の剣の剣先を向けたからだ。
「ちょ! マギさん!? いきなり何すんのよ!?」
いきなり剣を向けられて混乱するアスナ。対してマギは目に光がない状態でアスナを見て
「…………お前は誰だ?」
敵意をむき出しにしていた。
「ちょマギさん何言ってんの!? アタシよ! アスナよ!」
いきなり誰だ発言に混乱するアスナは自分はアスナだと弁明するがマギは
「アスナ…………そうだアスナだ。いや…………違う。アスナなのに、アスナじゃない…………? けど目の前に居るのはアスナだ…………」
とブツブツ呟いていたが、段々と目に光が戻ってきて再度アスナを見て月光の剣を収めた。
「おぉ、アスナか。急に来てどうしたんだ?」
さっきまでの敵意が消え、普通に接してきたマギに面食らったアスナは
「なっ何でもない!」
それだけ言うと去って行くのだった。
「何だったんだ…………?」
先程まで呆然としていたマギは首をかしげるのであった。
部屋を去り、角で壁にもたれかかったアスナ。
「あ、危なかった…………」
そう呟くとアスナの体が煙に包まれて、煙が晴れるとそこにはアスナではなく耳の長い別の少女へと変わっていたのであった。
「さっきまでの試合で色々と敏感になっていたの?」
いきなり剣を向けられて心臓が張り裂けそうになった少女。彼女がアスナに変わっていたのは数日前、ネギとフェイトが遭遇して戦った頃まで遡る。
「こんにちはお姫様」
路地裏に逃げたアスナの唇を奪う少女、いきなり少女にキスをされて驚くアスナは振りほどこうとするが、段々と意識が奪われ失神するアスナ。そして少女はアスナへと変わったのであった。
「成功だな栞」
いきなり現れたツインテールの少女がアスナを担ぎ、アスナに変わった少女を栞と呼んだ。
「当然です。フェイト様が10年をかけて完成させた技ですよ。さぁ早くお行きない焔。すぐにスイッチを入れます」
「了解だ。後は任せる」
焔と呼ばれた少女はアスナを担いでどこかへ行ってしまった。そしてアスナに変装した栞は目を閉じ、数秒立ち止まると
「ん? あれ、私…………は! さっきの炎使いの女の子は!? まさかアタシに恐れをなして逃げた!? 流石はアタシね!」
とまるでアスナ本人のように演じ始めたのであった。
「絶対にばれちゃいけない。最後までやり遂げるんだから…………!」
改めて決意した栞は再度アスナへと変装し、アスナを演じるのであった。
一方本物のアスナは何処にいるかというと
魔法世界どこか、霧がかかる廃墟そこにアスナは拘束されていた。
「ネギ…………」
鎖で両腕を拘束されて身動きが取れないアスナ。先ほどまでフェイトが拳闘大会の実況を見ていて、マギとの試合で負けたことに心配していると
「大丈夫アスナ?」
何故かメイド服を着たアーニャがアスナの世話をしていた。アーニャもこの廃墟に連れてこられたようだ。
「ネギの奴あんなに強くなったんだから、絶対助けに来てくれるって」
「うん…………」
アスナは沈んでいると
「無理ですね」
アスナの様子を見に来た焔が断言した。
「栞のアーティファクト偸生の符は、外見だけでなく特殊な自己暗示によって性格反応まで本人そっくりと化す変装術です。貴女がさらわれた事に気づく仲間は居ないでしょう」
「そ、そんな事ないわよ! 今に見てなさい! ネギやマギが気づいてアスナと私を助けに来てくれるわよ!」
「どうでしょうかね」
それだけ言うと焔は去って行った。
「ネギ…………」
アスナはネギ達の事を考えるのであった。
ところ変わって闘技場。亜子、夏美、アキラの奴隷の解放が行われていた。
皆が見守っている中、テオドラが魔法で鍵を3本出して、ネギと小太郎そしてマギへと渡す。
小太郎は夏美の錠をネギはアキラのマギは亜子の錠を外してあげるのであった。
「これでようやく解放だ。よかった亜子…………」
「ありがとなマギさん。ねぇ少しかがんでもらってもええ?」
「こうか?」
言われた通りかがむと亜子はマギの唇にキスをした。
「ありがとなマギさん。やっぱりマギさんは王子様や」
「亜子、よかった…………」
マギは亜子を抱擁するのであった。
その後優勝、準優勝を祝いとしてパーティーを開くことになり、どんちゃん騒ぎとなった。亜子達が解放されたことに皆も笑顔になっていた。
パーティーに離れて、マギとネギが外の空気を吸っていた。
「お兄ちゃん問題が1つ終わったね」
「そうだな」
少し沈黙が起こったがネギがマギに問う。
「お兄ちゃん、僕は強くなったかな?」
「そうだな。ネギは強くなった。例えお前が自分を否定してもお前は強くなったと自慢して言える」
「お兄ちゃん…………ありがとう」
その時だった
「う…………ぐ…………!!」
マギがうめき声を出して膝から崩れ落ちそうになる。ネギがどうしたのと声をかけようとした瞬間、自分もズグンという痛みが体を巡り、マギと同じように黒い靄が出てき始めた。
何とか抑えようとするとネギの肩を叩く者が、ラカンである。
「よぉ、やっぱ傷が痛むか」
「ら、ラカンさん」
「闘技場の治癒術士と時間切れのアーティファクトじゃ完全に治ってねぇだろ。ちゃんと見てもらったほうがいいぜ? 俺の伝で最高の医者を呼んでおいた。看てもらえ」
「あ、ありがとうございます」
そう言ってネギはヨロヨロと歩いてその医者の元へ行くのであった。そして残ったのはマギだけ。
「さて、マギお前だがそろそろヤバいんじゃないか?」
「ああ、そうだな…………」
マギは右腕を見る。右腕は元々黒かったのがまたも腕に鋭利な刺が生えてきていた。
「闇の魔法の浸食か」
とエヴァンジェリンの幻影が現れ、呆れたように言う。
「ラカンとの試合そしてぼーやとの試合で闇の魔法を酷使し過ぎた。浸食はかなり深刻になっているだろうな」
「だからこそ応急処置をしないとな」
そう言って雪姫が現れ、ナイフで手首を切る。そして流れた血をコップへと注いでコップ一杯に血が溜まる。
「飲めマギ。飲めば少しは楽になるだろう」
「ありがとう雪姫」
雪姫に感謝して血を飲み干す。飲み終えると右腕の刺が消えた。
「当分の間は落ち着くだろう。また辛くなったらまた私の血を飲め。そら、そろそろ行け。主役が居ないと盛り上がらないだろう」
「ああそうだな。ありがとな雪姫」
雪姫に礼を言ってパーティーへと戻っていった。残ったのはラカンのエヴァンジェリンの幻影と雪姫。
「フェイト・アーウェルンクス『完全なる世界』残党、過去の亡霊が動き出したみてぇだな。あのぼーずとマギには強くなってもらう必要があったのさ」
「はん、救世の英雄J・ラカンが何を言う。いざとなれば貴様自らが出てなんでもすればいいだろう」
エヴァンジェリンの幻影は鼻を鳴らしてそう言った。まあなそりゃそうなんだけどなと頭を掻きながらラカンは
「だけど、イヤな予感って言うのかな…………もし、俺の予感が当たったら、マギとネギそしてその仲間達がこの世界の命運を握ることになる!! …………かもしれねぇ」
「ほう、面白そうだな」
「あ、おめー関係ないからって他人事だな」
「だが、マギとぼーやならば何とかするだろう。必ずな」
雪姫は遠くを見ながらそう呟いたのであった。
話のストックがなくなりましたので、新しく出来ましたらまた投稿いたします。